日銀短観の見方を覚えよう。株式などの先行指標でトレンドの転換がわかる

日本経済の動向を掴む事ができると言われる指標はたくさんあります。

例えば、「消費者物価指数」「雇用統計」「機械受注」「住宅着工件数」「家計調査」などなど統計データです。

その中でも特に重要度が高いと言われるのが今回ご紹介する「日銀短観」です。

今回はこの「日銀短観」についてみていきたいと思います。

日銀短観とは


「日銀短観」は正式名称を「全国企業短期経済観測調査」といい、日本銀行が4半期ごとに上場企業や中小企業へ行う業況調査のことです。

日銀短観は他の統計データと違うところがあります。

それは、前述の「消費者物価指数」「雇用統計」「機械受注」「住宅着工件数」「家計調査」などなど統計データは数値の集計結果です。

一方、「日銀短観」は「判断調査」といって数値に現れないものについても調査をしています。

それは経営者や経営陣がどのように今後考えているかという気持ちの問題です。

結局その気持ちが今後の景気を左右してきますので、他の指標よりも早く景気の波などの傾向がでてくると言われています。

そんなこともあって要注目の指標なのですね。

特に株式の先行指標としてはかなり使えます。

特に中長期で投資をしている方には必須ですね。

わたしも羽黒法と合わせてトレンドの転換の確認のために注視している指標の1つです。

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羽黒法とは

ちなみに「日銀短観」の元になっているアンケートについては私も回答をしたことがあります(笑)

私が前いた会社のように経理や総務が回答しちゃっている会社も多そうなのがこの調査のちょっと問題点な気もしますが・・・


日銀短観でわかること

日銀の調査は前述のように企業の経営環境の見方を問う「判断調査」というものと売上高や設備投資額、新卒採用者数等の定量的な「計数項目」を合わせて調査しています。

具体的には判断項目として下記があります

業況
国内での製商品・サービス需給
海外での製商品需給
製商品在庫水準
製商品の流通在庫水準
生産・営業用設備
雇用人員
資金繰り
金融機関の貸出態度
借入金利水準
CPの発行環境(発行企業ベース)
販売価格
仕入価格

その他、年度計画や、実額として下記の項目が調査されています。

売上高
内需額
輸出額
想定為替レート
営業利益
経常利益
設備投資額(含み土地投資額)
ソフトウェア投資額
土地設備額
ソフトウェアを含み設備投資額(除く土地投資額)
研究開発投資額
ソフトウェア・研究開発を含む設備投資額(除く土地投資額)

また、企業の物価見通しとして下記の項目があります

販売価格の見通し
物価全般の見通し

最後は金融機関(銀行、協同組織金融業、金融商品取引業、保険業、貸金業)の年度計画項目として

D.I
前年同期比増減率等
実額

日銀短観でこれだけは知っておきたいことを解説

とくに、みておきたいのは判断調査の大企業製造業DIと設備投資の計画、企業の想定為替レートなどです。

今回はそのうち大企業製造業DIについて解説しておきます。

D. Iとは

D.Iはあまり聞き慣れないと思いますが、、Diffusion Index(ディフュージョン・インデックス)の略で、企業の業況感や設備、雇用人員の過不足などの各種判断を指数化したものです。

日銀短観のD.I.は、各判断項目について「1、良い」「2、さほど良くない」「3、悪い」の3つの選択肢を用意し好況感を「良い」と感じている企業から、「悪い」と感じている企業の比率を引きDIという指数にして算出しています。

見方はとてもシンプルで、D.I.の数字がゼロより大きければ、経済は拡大すると考えている企業が多く、マイナスのときは経済が縮小すると考えている企業が多いということです。

景気とDIの関係

大企業製造業DIはその大企業製造業を集計したものです。

他にも大企業非製造業DIは大企業の非製造業を集計したものもありますが、非製造業 サービス業などよりも製造業のほうが景気を敏感に感じ取りやすいのでこちらに注視しておけばよいでしょう。

景気って結局は経営者が気持ちの問題が大きいです。

これから景気がよくなるぞ、って多くの経営者が思えば設備投資や人材集めに資金が流入して景気がよくなり、

逆にこれから景気が減速するぞって思えば設備投資は縮小し、人も減らす方向に進みます。

つまり、これらの指標をみれば数年先の日本経済が垣間見えるってことなんですよね。

アメリカ株ならキャタピラーの業績に注目

日銀短観とは全く関係ありませんが、先行指標という点では米国株の動向を見る場合に有効なのが、キャタピラーという会社の業績です。

これをみておけば数年先の経済がわかるとまで言われていますね。

キャタピラーは圧ショベル、ホイールローダといった建設機械の会社で設備投資の動きがここみればわかるよってことで先行指標になりうるのです。

今回発表の日銀短観はどうだったのか?

それでは今回発表された日銀短観の結果はどうであったのかをみていきましょう。

下記は製造業DIの推移です。

日銀短観製造業

出所:日銀短観2018年3月

ちょっと分かりにくいですが前回調査(12月)と比べると大企業製造業DIはプラス24ポイントと2ポイント減っています。(前回調査はプラス26ポイント)

実は悪化したのは8四半期ぶりですからかなり久々となります。

また、先行きについてもプラス20ポイントとこちらも前回調査の24ポイントから4ポイント下がっています。

これを見る限りそろそろ景気の曲がり角が近いかな??って感じもでてきていますね。

まとめ

今回は日銀短観のカンタンな見方についてお話しました。

なかなか全部を把握しようとすると難しいですがトレンドの転換の確認がしやしい今回ご紹介した箇所などはぜひチェックしてくださいね。

大まかな流れを知っていて取引をするかどうかは長期投資でも全然違います。

もちろんつみたてNISAやイデコでも大きな転換点は抑えておきたいおものです。

羽黒法の動向や日銀短観のことも合わせて記録しておくのもいいですね。

読んでいただきありがとうございました。

 

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