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【スペースXは割高?】公開価格135ドル、初値予想は?ファンダメンタルで剥がす283兆円の正体

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【スペースXは割高?】公開価格135ドル、初値予想は?ファンダメンタルで剥がす283兆円の正体

人類史上最大のIPO。

この言葉に、あなたの心は少し躍ったかもしれません。

同時に、頭の片隅でこんな声もしませんか。「283兆円って、さすがに高すぎないか?」と。

この記事では、熱狂を一度脇に置き、スペースXの株価をファンダメンタルだけで冷静に解剖します。

目次

スペースXのIPOの確定した事実を整理

まずは数字を確認しましょう。

2026年6月3日(米国時間)、スペースXはSECに訂正届出書を提出し、公開価格を確定させました。

報道された主な条件は次の通りです。

  • 公開価格:1株あたり135ドル
  • 公募株式数:約5億5,560万株(オーバーアロットメント除く)
  • 調達額:約750億ドル(オーバーアロットメント込みで約862億ドル)
  • 公開時の時価総額:約1兆7,700億ドル(約283兆円)
  • 上場市場:米ナスダック、ティッカーは「SPCX」
  • 上場予定日:最短で2026年6月12日

調達額750億ドルは、2019年のサウジアラムコ(約290億ドル)を大きく上回り、文字通り史上最大です(出典:日本経済新聞, 2026年6月4日)。

日本市場にも最大20億ドル(約3,200億円)分が割り当てられる予定で、SBI証券・楽天証券・みずほ証券、PayPay証券が取扱いを案内しています。

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ここまでは、どのニュースサイトにも書いてあります。

問題は、この「135ドル」という値札が、企業の中身に対して高いのか安いのか、です。

結論:「業績」ではなく「夢」を買う価格です

先に、この記事の核心をお伝えします。

スペースXの株価は、現在の収益力で説明できる水準を、はるかに超えています。

つまり、ファンダメンタルの常識的な物差しでは「割高」です。

ただし、それは「買ってはいけない」という意味ではありません。

スペースXに値段をつけているのは、損益計算書ではなく、未来への期待。

すなわち「夢」です。

宇宙開発。
再使用ロケット。
Starlink。
AI。
Grok。
軌道上データセンター。

これだけ材料が並ぶと、冷静な分析よりも「乗り遅れたくない」という感情が先に立ちます。

だからこそ、あなたが問うべきは「割高かどうか」ではなく、「自分はその夢に、いくらまでなら賭けられるか」なのです。

なぜそう言えるのか。数字で見ていきましょう。

売上は急成長、しかし会社全体は赤字という現実

スペースXが上場申請で初めて開示した連結財務は、市場に小さな衝撃を与えました。

2025年の連結売上高は約187億ドル。3年でほぼ倍増しており、成長率だけ見れば見事です。

ところが、純損益はおよそ50億ドルの赤字でした。

ここで多くの人が抱くであろう疑問に、先回りして答えます。

「売上がこれだけ伸びているのに、なぜ赤字なのか?」と。

答えは、設備投資の規模にあります。

2025年の設備投資は約207億ドル。

売上を上回る金額を、ロケットの再使用機材、Starlink衛星、そしてAIデータセンターに注ぎ込んでいるのです。

会社はいま、収穫期ではなく、種まきの真っ最中だということです。

問題は、この「種まき」が報われる保証が、現時点ではどこにもないということです。

利益を生んでいるのは、たった一つの事業

スペースXを正しく理解する鍵は、会社を3つの事業に分解することにあります。

会社自身が届出書で「Space(宇宙)」「Connectivity(通信)」「AI」の3セグメントを掲げました。

それぞれの実態は、驚くほど対照的です。

事業2025年の状況一言で言うと
Connectivity(Starlink)売上 約114億ドル、営業利益 約44億ドル唯一の稼ぎ頭
Space(ロケット打上げ)売上 約52億ドル、利益率は中程度安定はするが利幅は薄い
AI(xAI / Grok)売上 10億ドル未満、巨額の資金流出期待先行の赤字部門

数字の出典は複数報道を整理したものです。

ここから見えてくる構図はシンプルです。

スペースXという巨大企業の利益は、実質的にStarlink一本足で支えられています。

Starlinkは2026年初頭に世界の加入者が1,000万人を突破し、衛星ブロードバンドという分野でほぼ独占状態にありま。

ここは紛れもなく優良資産です。

しかし、283兆円という時価総額は、Starlink単体の価値だけでは到底説明できません。

残りの大部分は、まだ利益を生んでいないロケットの将来性と、赤字を垂れ流すAI事業への期待で構成されているのです。

ファンダメンタルから見るスペースXの株価

ここで、ファンダメンタル分析の基本に立ち返りましょう。

Reutersによると、スペースXの2025年売上高は187億ドル。前年の140.2億ドルから33%増加しています。

一方で、2025年は49.4億ドルの純損失となり、前年の7.91億ドルの黒字から赤字に転落しています。

売上成長は強い。しかし、利益は赤字。

純利益が赤字なので、株価収益率(PER)は計算できません。

これ自体が、伝統的なバリュエーションが通用しないことを示しています。

そこで売上を基準にした株価売上高倍率(PSR)で見てみます。

時価総額283兆円を、2025年の連結売上187億ドル(約2.9兆円)で割ると、PSRはおよそ95倍

これは、年間売上の95倍もの価格がついていることになり、かなり高いです。

高成長企業では売上高倍率が高くなることはあります。

しかし、約90倍超という水準は、相当な未来の成功をすでに織り込んでいると考えるべきです。

ここで大事なのは、「高いからダメ」と短絡的に決めつけることではありません。

本当に見るべき問いは、こちらです。

今の株価は、どれくらい未来を先取りしているのか。

仮に、投資家が妥当な売上高倍率を20倍と考えるなら、1.75兆ドルの企業価値を正当化するには、売上高が875億ドル必要です。

売上高倍率を10倍まで落として考えるなら、必要な売上高は1,750億ドル。現在の約9.4倍です。

想定売上高倍率1.75兆ドルを正当化する売上高2025年売上高比
100倍175億ドルほぼ現状
50倍350億ドル約1.9倍
20倍875億ドル約4.7倍
10倍1,750億ドル約9.4倍

つまり、スペースXの公開価格135ドルは、「今の利益」ではなく「将来、複数の巨大市場を取ること」を前提にした価格です。

この前提が実現するなら、今の株価でも説明できます。

逆に、Starlinkの成長鈍化、AI投資の赤字拡大、Starshipの遅延などが起きれば、一気に割高感が意識されるでしょう。

見落とされがちな「3つの注意点」

熱狂のなかで、競合記事があまり強調しない論点を、誠実にお伝えします。

長期投資家としての私自身が、一番気にしている部分です。

異例の「固定価格方式」が意味すること

通常の米国IPOでは、まず仮条件(価格帯)を示し、投資家の需要を見ながら最終価格を決めます。

ところがスペースXは仮条件を省き、いきなり135ドルという固定価格を提示しました。

この手法は米国では「ごく少数」に限られます。

需要を測る前に値段を決められるのは、ブランド力が圧倒的だからこその荒業です。

裏を返せば、市場の冷静な価格発見プロセスを経ていない、ということでもあります。

投資家にとっては、自分で価格の妥当性を判断する責任が、より重くのしかかる構造です。

ロックアップ解除という時限爆弾

公開価格で買えても、その後の需給は別問題です。

マスク氏以外の保有株のロックアップは段階的に解除され、最短で2026年6月30日に保有株式の約20%が解放される予定とのことです。

上場直後の熱狂が冷めたタイミングで、まとまった売り圧力が発生する可能性があります。

初値の高さに飛びつくと、この需給の崖に巻き込まれかねません。

議決権はあなたの手に渡らない

クラスB株式は1株で10株分の議決権を持ち、上場後もマスク氏が強大な支配力を維持します。

あなたが買えるクラスA株式は、会社の方向性に口を出せない「経済的な持ち分」にすぎません。

経営はマスク氏の判断に完全に委ねられる、という前提を忘れてはいけません。

スペースXの初値はどうなるのか?

ここまで読んで、「結局、初値予想は?」と気になっているはずです。

公開価格135ドルを受けて、世界的な知名度と需要の厚さを考えれば、公募割れ(公開価格を下回ること)のリスクは低めと見る声が多数派です。

理由は3つあります。

1つ目は、圧倒的な知名度です。

スペースXは、通常のIPO銘柄とは比べものにならないほど知名度があります。

イーロン・マスク氏のブランド力もあります。

個人投資家、機関投資家、富裕層、指数連動資金まで巻き込む可能性があります。

2つ目は、供給より需要が強くなりやすいことです。

報道では、ロードショー開始時点で需要は極めて旺盛とされています。

IPOは需給イベントです。

とくに人気銘柄は、公開価格が多少高くても「買わなければならない投資家」が出てきます。

3つ目は、初値にファンダメンタルだけが反映されるわけではないことです。

初値は、企業価値の精密な計算結果ではありません。

当日の注文、需給、話題性、指数採用期待、空売りのしにくさ、機関投資家のポジション調整で決まります。

そのため、スペースXの初値予想としては、公開価格135ドルを基準に、短期的には135ドルから170ドル程度のレンジを想定する見方もあります。

ただし、これは「妥当価値」ではありません。

あくまで初値の需給予想です。

ここを混同してはいけません。

初値が170ドルになったから割安だった、とは言えません。

初値が120ドルになったから失敗、というわけでもありません。

IPO直後の値動きは、ファンダメンタルよりも需給が勝つことが多いからです。

ただし、ここに罠があります。

期待が公開価格に大きく織り込まれている場合、初値で高くついたあとに利益確定売りが出て、株価が下落する展開も十分あり得ます。

公募割れよりも、上場後の値動きの荒さにこそ注意すべきIPOだと言えるでしょう。

歴史を振り返れば、巨大な期待を背負ったIPO(かつてのFacebookやUberなど)が、上場直後に荒れた値動きを見せた例は珍しくありません。

逆にIPO時に人気がなく公開価格割れをしたキオクシアが、今の株式市場の主役になっているなんてケースもあります。

つまり、「人気」と「適正価格」は、別物なのです。

Reutersの分析では、過去5年の高評価額IPO上位50社について、IPO価格で買えたと仮定しても、平均リターンは27%。同じ期間のS&P500平均リターン53%に劣後したとされています。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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あなたが「買うべきか」を決める3つの問い

最後に、判断を他人任せにしないための問いを用意しました。

次の3つに、自分の言葉で答えてみてください。

  1. あなたは「いまの利益」を買いますか、それとも「10年後の夢」を買いますか。前者なら、この株は明確に割高です。後者なら、検討の余地があります。
  2. 上場直後の数日で利益を狙うのか、それとも10年単位で保有するのか。前者なら値動きの荒さを覚悟し、薄く参加するのが定石です。後者なら、急いで初値に飛びつく必要はありません。
  3. 仮に投資額が半分になっても、夜眠れますか。赤字企業への超高倍率の投資とは、そういう種類のリスクです。

参考までに、IPO実務に詳しい専門家のなかには、上場後2〜3日以内に売り抜けるか長期保有なら株価が落ち着いてから買うほうが良い、という見方もあります。

これは一つの考え方として、頭に入れておく価値があります。

日本のIPOと違ってかなり公開価格が高くなっていますしね。

私の考え

ちなみに私の考えはこうです。

公開価格で少額だけ参加できるなら、宝くじ枠としての参加はあり。

ただし、ファンダメンタル投資として全力で買う価格ではない。

これが率直な結論です。

理由はシンプルです。

良い会社であることと、良い投資対象であることは違うからです。

スペースXは、おそらく世界でも屈指の革新的企業です。

再使用ロケットの実績、Starlinkの拡大、政府需要、技術者集団としての強さは疑いようがありません。

しかし、公開価格135ドル、企業価値1.75兆ドルという水準は、すでに相当な成功を織り込んでいます

投資家が問うべきなのは、「スペースXがすごいか」ではありません。

この価格で買って、将来のリターンが見合うか。

特に避けたいのは、初値高騰後の成行買いです。

まとめ

スペースXは歴史的な案件です。

公開価格135ドル
調達額750億ドル
企業価値1.75兆ドル
世界最大級のIPO
Starlinkの急成長
AIと宇宙インフラの融合

これだけ並べば、投資家がワクワクするのは当然です。

スペースXは、間違いなく時代を変える会社かもしれません。

しかし、ファンダメンタルから見ると、冷静になるべき点も多くあります。

夢に投資すること自体は、決して間違いではありません。

間違うのは、夢を「割安だ」と勘違いして、身の丈を超えて賭けてしまうときです。

この銘柄は、あなたのポートフォリオの主役にする株ではないと、私は考えています。

もし参加するなら、なくなっても生活が揺らがない範囲の「夢への一口」として。

それが、熱狂と冷静さの、ちょうどいい折り合いではないでしょうか。

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この記事を書いた人

豊かに生きていく上で必須なのがお金の知識です。
しかし、日本では「お金」が汚いものという認識が根強く、あまり勉強されてきませんでした。そのため今後は老後破産が増えてしまうなんて話もありますね。
そんな世の中を少しでも変えたいという強い信念を元に「お金に生きる」を立ち上げました。
投資歴15年以上、社会保険労務士、中小企業診断士、簿記1級、1級販売士、ファイナンシャルプランナー2級、年金アドバイザー3級持ちの私が「お金」についてどこよりもわかりやすくお伝えることを目指していきます。
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