給油のたびに「満タンで」と言いながら、金額指定のほうが得なのでは、と気になっていませんか。
今回は2026年の実勢価格で両者をきっちり計算します。
答えは「金額指定がわずかに勝つ。ただし差は年数百円、時給に直すと約100円」。
浮いた手間の使い道まで、この記事でご案内しますね。
結論:勝つのは金額指定、ただしコーヒー1杯分
結論から言うと、満タン給油と金額指定給油の勝負は「金額指定の勝ち」です。
毎回同じ金額で入れると、ガソリンが高い日には少なく、安い日には多く買うことになり、平均単価が自動的に下がるからです。
これは相場観のうまい下手に関係なく、計算上必ずそうなります。
では今日から金額指定に乗り換えるべきか。
私はそうは勧めません。
勝ちは勝ちでも、その賞金が年に数百円しかないからです。
実際に私がこのブログで2018年に10か月分の価格データで検証したときは、満タン給油との差は104円でした。
缶コーヒー1本分にも届きません。
104円のために給油回数を増やすのか、という話で終わらせてもいいのですが、それではもったいない気がします。
「理屈の上では必ず勝てるのに、なぜ賞金はこんなに小さいのか」。
この仕組みがわかると、ガソリンに限らず、世の中の細かい節約テクニックを一瞬で仕分けできるようになるんですよ。
順番に見ていきましょう。
金額指定給油が「ドルコスト平均法」になる理屈
ガソリンをドルコスト平均法で買う、と聞くと大げさに感じるかもしれません。
ドルコスト平均法とは、投資の世界で使われる「毎回一定の金額で買い続ける」手法のことです。
毎月3万円ずつ投資信託を積み立てるのが典型で、価格が高い月には少ない口数を、安い月には多い口数を買うことになります。
金額指定給油は、これとまったく同じ構造を持っています。
毎回3,000円と決めて入れると、リッター180円の日には約16.7L、150円の日には20Lちょうど入ります。
安い日ほど多く買っているわけです。
一方、満タン給油はタンクが空いた分だけ入れるので、価格を見て量を調整する仕組みがありません。
理屈は本物なんですよ。
ならば話は決まりのように見えます。
ところが、実際の価格データを当てはめると、景色が変わります。
投資と給油の決定的な違いは、タンクに上限があること
投資のドルコスト平均法で安く買った口数は、証券口座に積み上がり、その後もずっと働き続けます。
10年分でも20年分でも買いためられて、値上がりすれば売って利益にできます。
倉庫の広さが実質無限なんです。
ガソリンはどうでしょう。
安い日に「多めに買う」といっても、入る先はタンクだけです。
普通車で50L、軽なら30L程度しかありません。
しかも買ったそばから燃やして消えていき、値上がりしたからといって売ることもできません。
携行缶で自宅にためる手もありそうですが、ガソリンの保管には消防法の規制があり、危険性を考えても現実的ではないですね。
つまり、どんなにうまく買っても、得できる量には天井があります。
天井の高さは「タンクの空き容量×値動きの幅」。
2026年前半の底値157円で50Lタンクを空から満たし、その後の169.9円への上昇をまるごと避けられたと仮定しても、50L×約13円で約650円です。
底値を完璧に当てるのは投資と同じで至難ですから、現実の取り分はその一部、やはり数百円に落ち着きます。
年間消費量が固定という点も効いています。
投資なら「安いから今月は多めに」と総額を増やせますが、ガソリンの年間消費量は走る距離で決まっていて、買い方では1Lも減りません。
金額指定給油が動かせるのは「どの日の価格で買うか」という配分だけ。
ここが、ガソリンのドルコスト平均法の限界です。
毎回3,000円給油の知人を「節約時給」で換算してみた
私の知り合いに、ガソリン代の節約のために毎回3,000円ずつ給油している人がいます。
理由を聞くと「満タンにするとその日の値段で全部買うことになるから」。
ここまで読んだ方ならわかるとおり、この理屈自体は正しいんです。
私も頭ごなしに否定はできませんでした。
そこで、責める代わりに一緒に計算してみました。
月40L走る人の場合、3,000円給油だと1回約17.6L(170円換算)で年に約27回スタンドへ行きます。
満タン給油なら残り4分の1で入れるとして年に約13回。
差は14回です。
給油と寄り道で1回10分かかるとすれば、年に140分、約2時間20分を余計に使う計算になります。
得られるのは、先ほどの試算で年約250円。
250円を2時間20分で割ると、時給約107円です。
ガソリンのドルコスト平均法は、理屈は満点、時給は約100円。
しかも、スタンドへの寄り道が片道500m増えるだけで、14回分の燃料約1L(約170円)が消え、利益はほぼゼロになります。
「ガソリン 定額指定 損」と検索する人が後を絶たないのは、この実感があるからだと思います。
損とまでは言い切れませんが、得とも呼べない水準です。
節約時給で考えよう
この計算方法には名前を付けておきましょう。
「節約時給」です。
- 節約時給 = 年間で浮くお金 ÷ 年間で増える手間(時間)
- 時給1,000円超:仕組み化して続ける価値あり
- 時給100〜1,000円:趣味と割り切れるなら
- 時給100円未満:やめて、浮いた時間を別の節約に回す
ポイント還元のはしご、遠くの安売りスーパー、1円安い自販機探し。迷ったらこの式に入れてみてください。
金額指定給油は、残念ながら一番下の段でした。
「ド満タン」は損なのか
こうなると逆の疑問が湧いてきませんか。
「ガソリンをド満タンにすると損」という説です。
給油ノズルが止まった後も口切りいっぱいまで足す、あの入れ方ですね。
重さの問題
ガソリンは1Lで約0.75kgありますから、常に満タン近くを保つ人は、3,000円給油の人より平均して20L、約15kg重い車を走らせていることになります。
重さは燃費に効きます。
実際にある自動車メーカーの車はあえて、ガソリンの入れれる量を小さくしているそうです。
燃費がよくデータとして出るからだとか。
環境省の「エコドライブ10のすすめ」によると、100kgの荷物を積んで走ると燃費は3%程度悪化します(出典:環境省「エコドライブ10のすすめ」)。
15kgなら約0.45%。年間のガソリン代81,600円(480L×170円)に当てはめると、約370円の損です。
お気づきでしょうか。
金額指定給油で得する額が年約250円、満タンの重さで損する額が年約370円。
同じ桁で、ほぼ相殺です。
つまりこの勝負、どちらの陣営に付いても数百円のゲームでしかありません。
私の結論は「好きな入れ方でいい。ただし迷うなら満タン」です。
私が満タンを推す理由
満タンを推す理由はお金ではなく、災害への備えと手間暇です。
石油連盟は大規模災害時の燃料不足に備えて、燃料計が半分になったらこまめに満タンにする「満タン&灯油プラス1缶運動」を呼びかけています(出典:石油連盟「満タン&灯油プラス1缶運動」)。
停電時の車は、暖房にも電源にも避難手段にもなります。
数百円の損得より、タンクに残っている200km分の安心のほうが、私には価値があるように思います。
なお、通勤路にスタンドがあって寄り道ゼロで給油できる人は、手間のコストがないので金額指定でも構いません。
節約時給の分母がゼロなら、分子がいくら小さくても損はしないからです。
また、給油の回数が増えれば手間も増えます。
さらに給油のための寄り道が増えればその分燃料も使います。
この辺りはガソリンスタンドが生活動線にあるかによって答えが反転しますね。
よくある質問
- ガソリンの金額指定と数量指定(リッター指定)はどちらが得ですか?
-
差はごくわずかで、金額指定がやや有利です。
金額指定は価格が安い日に多く買う仕組みになるためですが、当ブログの検証では数量指定との差は10か月で22円でした。
手間が同じなら金額指定、こだわる必要はない水準です。
- 満タンにするとガソリンの重さで燃費が悪くなるって本当ですか?
-
本当ですが、影響は小さめです。
環境省の資料では荷物100kgで燃費が3%程度悪化するとされ、ガソリン25L分(約19kg)なら悪化は0.6%弱。
年間のガソリン代に直すと数百円の差で、災害時の備えを考えれば満タンの安心が上回ります。
- 暫定税率の廃止でガソリンはいくら安くなりましたか?
-
ガソリン税の暫定税率分25.1円/Lが2025年12月31日に廃止されました。ただし店頭価格は原油相場の影響も受けるため、2026年は2月に157円台まで下がった後、7月13日時点では全国平均169.9円まで戻していま
- ガソリンは金額指定にすると1L単価が高くなりますか?
-
同じスタンドで同じ油種を同時に買うなら、満タンでも金額指定でも1L単価は同じです。
変わるのは給油量と支払総額です。
現金、会員価格、アプリ割引など支払条件が違う場合は、店頭表示とレシートで確認してください。
- ガソリンのドルコスト平均法は本当に節約になりますか?
-
価格が上下する期間では、安い日に多く買うため平均購入単価を抑えられます。
ただし、走行量と期末残量をそろえ、追加給油や寄り道費用まで含めなければ総額の節約とは判断できません。
定額は値引きではなく、購入時期を分散する方法だと考えるのが正確です。
まとめ
給油方法の議論に決着がついたところで、浮いた使い道を考えましょう。
同じガソリン代でも、打ち手によって効き目の桁が違います。月40L走る人の年間効果で並べてみます。
| 打ち手 | 年間の効果目安 |
|---|---|
| 金額指定給油(ドルコスト平均法) | 約250円 |
| ド満タンをやめて重さを減らす | 約370円 |
| 1円/L安いスタンドを選ぶ | 約480円 |
| 2円/L引きのアプリ・カード割引を使う | 約960円 |
| 燃費を5%改善する運転(急発進をやめる等) | 約4,000円 |
上の2つが、今まで議論してきた「給油の仕方」です。
下に行くほど手間は変わらないのに、効果は桁で増えていきます。
とくにスタンド選びと決済の見直しは、一度設定すれば手間ゼロで効き続けるので、節約時給は事実上無限大になりますね。
今日やることを1つだけ挙げるなら、ガソリン価格比較アプリやサイトで、いつものスタンドと近隣店の単価差を確認することです。
3分で終わります。
5円/L違う店が見つかることも珍しくなく、それだけで年2,400円、金額指定給油10年分の差になります。
実はこの記事は8年ぶりの書き直しです。↓8年前の記事

暫定税率の廃止で「ガソリンの買い方」への関心が久しぶりに高まっていると感じたからです。
関心が高まったときこそ、効き目の小さい技から順に広まってしまうもの。
数字で桁を確かめてから動く習慣が、ガソリン以外の家計にもそのまま効きます。
ちなみにガソリン高のことを考えるとEVという選択肢も現実的なんですよ。
うちも一台EVにしました。

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