つみたてNISAは個人型確定拠出年金(iDeCo)と同様に税制優遇がある分散、積立、長期で投資をすることができる制度ですが、いくつか相違点があります。
その一つが定期預金などの安全資産(無リスク資産)がラインナップされていない点です。
また、ローリスク・ローリターンの代表的商品である債券のみの投資信託も対象となっていません。
ですから株を中心とした投資信託など比較的リスクが高めの商品の中から選択しないといけないんですね。
しかし、老後資金のためにつみたてNISAを始める方などはローリスク投資(リスクが低い投資方法)を希望している方も多いと聞きます。
そこで今回はつみたてNISAで選択できる比較的ローリスクな商品のうちおすすめの5本をご紹介していきます。
なお、つみたてNISAってなに?って方はこちらの記事からどうぞ
先日、個人型確定拠出年金(iDeCo)のまとめ記事を書いたところ、好評でしたのでその続編としてつみたてNISA版を作ろうとしてあることに気づきました。それは今までつみたてNISAに関連する記事はたくさん書いてきましたが、そもそも「つ[…]
つみたてNISAでリスクが低い商品はどういうのがあるのか?
つみたてNISAの対象となっている商品は金融庁が厳しいルールを設けそれをクリアしたものだけが対象となっています。
しかし、基本的に分散、積立、長期で投資をすることが前提となっているため定期預金などの安全資産やリスクの低い債券のみの投資信託は対象とされていないんですね。
ではつみたてNISA対象でリスクが低い商品にはどのようなものがあるのでしょうか?
これは簡単です。リスクの低い債券(とくに国内債券)を多く含んだバランスファンドがリスクが低くなります。ただし、その分理屈上のリターンも低くなります。つまり、債券が増えれば増えるほど基本的にローリスク・ローリターンになるってことですね。
代表的な債券を含んだつみたてNISA対象商品
例えば債券を含んだ代表的な商品は以下のものがあります。
(SBI証券の投資信託人気ランキングでつみたてNISA対象で債券含む商品を上位から)
ファンド名 | 信託報酬率 | 債券比率 |
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) | 0.152% | 国内債券12.5%、先進国債券12.5%、新興国債券12.5% |
eMAXISバランス(8資産均等型) | 0.54% | 国内債券12.5%、先進国債券12.5%、新興国債券12.5% |
野村インデックスファンド・内外7資産バランス・為替ヘッジ型 | 0.54% | 国内債券1/9、先進国債券(為替ヘッジ型)1/9、新興国債券1/9 |
ダイワ・ライフ・バランス30 | 0.1944% | 国内債券55%、外国債券15% |
iFree 8資産バランス | 0.2376% | 国内債券12.5%、先進国債券12.5%、新興国債券12.5% |
ニッセイ・インデックスバランスF 4資産均等型 | 0.17172% | 国内債券25%、先進国債券25% |
eMAXIS 最適化バランス(マイゴールキーパー) | 0.54% | 国内債券49%、先進国債券28%、新興国債券2% |
三井住友・DC年金バランス50(標準型) | 0.2484% | 国内債券35%、外国債券10% |
ニッセイ・インデックスバランスF6資産均等型 | 0.1712% | 国内債券1/6、先進国債券1/6 |
実は結構ラインナップされているんですね。
債券の中でもリスクはかなり違います。
債券の中のリスク比較
一般的に以下の順でリスクが高いと言われます。
ローリスクで行くなら国内債券の比率が大きいことが重要と言えるでしょう。
私の考えるローリスク投資信託の基準
もちろんリスクを低くすることだけを考えれば国内債券が多ければ多いほど該当することになります。
しかし、それではせっかくのつみたてNISAの運用益が非課税というメリットは活かせません。
そこで私が考えたつみたてNISA内のローリスク投資信託の基準は以下です。
以上の条件で抽出します。
ちなみにこれは国民年金などの運用しているGPIFの運用比率を元にしたものです。
今回は国民年金の運用よりもリスクが低ければローリスク投資信託であると定義しました。
この定義を元に比較していきます。
参考:GPIFの投資比率
GPIFの基本ポートフォリオは下記の通り設定されています。
国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%
ちょうど株が50%、債権50%となっていますね。
債券は70%が国内債券となっています。
GPIFについてもう少し詳しく知りたい方は下記記事を御覧ください。
突然ですが、日本最大の投資機関をご存知でしょうか?投資機関といってよいのかはわかりませんが、最も大きいのは国民年金や厚生年金を運用しているGPIF(年金積立管理運用独立行政法人)という団体です。テレビのニュースや新聞などでは[…]
私が選ぶつみたてNISA対象のローリスク投資信託
それでは条件に合致したつみたてNISA対象のローリスク投資信託をみてみましょう。意外?に少ないんですよ。
ダイワ・ライフ・バランス30
まずはダイワ・ライフ・バランス30です。
SBI証券取扱の投資信託の中で販売金額週間62位、販売件数週間54位となっており人気もそれなりにある商品です。
ダイワ・ライフ・バランス30 概要
内外の株式および債券に投資します。
日本株式20%、日本債券55%、外国株式10%、外国債券15%を標準組入比率とし、合成ベンチマークに連動する投資成果をめざした運用を行う投資信託です。
投資比率
投資比率は以下の通りとなります。
出典:大和 「大和ライフバランス30」目論見書より
債券は国内債券55%、外国債券15%と合計で70%が債券に投資をする投資信託となります。
信託報酬率
信託報酬率は0.1944%と比較的低めの商品です。
たわらノーロード 最適化バランス(保守型)
次はアセットマネジメントOneのたわらシリーズでいちばんリスクが低いタイプのたわらノーロード 最適化バランス(保守型)です。
たわらノーロード 最適化バランス 概要
ファンドごとに目標とするリスク水準(標準偏差)を設定し、目標とするリスク水準に応じて各資産別の投資比率を決定します。
マザーファンドへの投資を通じて、実質的に国内外の株式、公社債および不動産投資信託証券に投資し、実質組入外貨建資産の一部について、対円での為替ヘッジを行います。
投資比率
投資比率は以下の通りとなります。
出典:たわらノーロード 最適化バランス「目論見書」より
具体的な投資比率は公開されていませんが国内債券だけで半分は50%を超えており、先進国債券も為替ヘッジありで多くの投資比率を占めているかなりローリスクな投資商品となります。
目安リスクは2%です。
信託報酬率
信託報酬率は0.54%です。
債券比率が大きい割にちょっと高めかな・・・
DCニッセイワールドセレクト(安定型)
次はDCニッセイワールドセレクト(安定型)です。
DCニッセイワールドセレクト(安定型)概要
国内株式・国内債券・外国株式・外国債券を投資対象としたバランス運用を行い、国内外の株式市場および債券市場の動きを捉えることを目指します。
国内株式5%、国内債券60%、外国株式5%、外国債券25%、短期金融資産5%を基準ポートフォリオとします。
投資比率
投資比率は以下の通りとなります。
出典:DCニッセイワールドセレクト(安定型)「目論見書」より
国内債券60%、外国債券25%ですから債券だけで85%を占めるかなりローリスクな投資信託となりますね。
信託報酬率
信託報酬率は0.1728%です。
国内債券がかなり多いこともあり比較的低めの商品となります。
ニッセイ・インデックスパッケージ(国内・株式/リート/債券)
次はニッセイ・インデックスパッケージ(国内・株式/リート/債券)です。
ニッセイ・インデックスパッケージ(国内・株式/リート/債券)概要
国内の株式、リート(不動産投資信託証券)および債券に分散して投資を行います。
基本投資割合は債券70%、株式15%、リート15%とし、各投資対象資産の指数を基本投資割合で組合せた合成ベンチマークの動きに連動する投資成果をめざします。
こちらはリートも入った商品となりますね。また、国内のみですから為替のリスクはありません。
投資比率
投資比率は以下の通りとなります。
出典:ニッセイ・インデックスパッケージ(国内・株式/リート/債券)「目論見書」より
国内債券が70%を占めるこちらもかなりローリスクな投資信託です。
信託報酬率
信託報酬率は0.30456%です。
国内債券がかなり多いわりにはちょっと割高な気もしないでもありません。
三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)
次は三井住友DSアセットマネジメントの三井住友DC年金バランス30(債券重視型)です。
三井住友DC年金バランス30(債券重視型)概要
内外の株式・公社債に投資する4つのマザーファンドの組入れを通じて、わが国を含む世界各国の株式、公社債に分散投資することにより、信託財産の着実な成長を目指した運用を行います。
株式の基本組入比率は 30%です。
投資比率
投資比率は以下の通りとなります。
出典:三井住友DC年金バランス30(債券重視型)「目論見書」より
国内債券55%、外国債券10%となっています。
信託報酬率
信託報酬率は0.2376%です。
今日ご紹介した中では真ん中くらいですね。
つみたてNISA対象のローリスク投資信託の成績等を比較
それでは今まで見てきたローリスク投資信託の成績等を比較してみましょう。
なお、標準偏差とは平均を中心にして、そこからのバラつきの度合いを示した指標です。つまり、期待されるリターンに対して実際のリターンがどれだけ変動したかをもとに測定した指標です。数値が大きいほどバラつきが大きくリスクが高いことを指します。
2019年5月30日現在(リターンは4月30日現在)
ファンド名 | 信託報酬率 | 純資産額 | 標準偏差 | 1年リターン | 3年リターン(年利) |
ダイワ・ライフ・バランス30 | 0.1944% | 14,044百万円 | 5.38 | 0.59% | 3.21% |
たわらノーロード 最適化バランス(保守型) | 0.54% | 7百万円 | 1.65 | 1.43% | – |
DCニッセイワールドセレクト(安定型) | 0.1728% | 656百万円 | 2.45 | 1.39% | – |
ニッセイ・インデックスパッケージ(国内・株式/リート/債券) | 0.30456% | 20百万円 | 3.40 | 1.83% | – |
三井住友DC年金バランス30(債券重視型) | 0.2376% | 10,681百万円 | 5.22 | 0.7% | 3.19% |
標準偏差ではたわらノーロード 最適化バランス(保守型)が最も低くなっています。
ただし、たわらノーロード 最適化バランス(保守型)は信託報酬が高めなのと純資産額がかなり少ないのが気になりますね。
リターンでは1年でみればニッセイ・インデックスパッケージ(国内・株式/リート/債券)がトップ
3年だとまだ計測できない(3年経っていない)投資信託が多いですがダイワ・ライフ・バランス30が最も成績が良いです。
つみたてNISA対象のローリスク投資信託まとめ
今回は「つみたてNISAでローリスクな投資がしたい。そんなときにおすすめの投資信託はこれだ!」と題してつみたてNISA対象のリスクの低い投資信託を見てきました。
以上の結果をまとめると個人的なおすすめはダイワ・ライフ・バランス30です。
純資産も多く、信託報酬率も低めです。
次点は三井住友DC年金バランス30(債券重視型)とDCニッセイワールドセレクト(安定型)かな。
他の2つも悪くありませんが、運営期間が短いこともあり純資産額が少ないです。
長期間投資をすることを考えるとちょっと不安がありますね。今後に期待したいところです。
そのため長期的な投資を考えるならこの3本がおすすめになりますね。
あとは比率の好みで選択するのがよいでしょう。
SBI証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)などにラインナップされているGPIFのアセット・アロケーションを意識した「iFree 年金バランス」なんかは低リスク投資でつみたてNISAは対象なら最適だと思うのですがラインナップに入りませんね。
こちらも今後に期待でしょうか。
その他おすすめ投資信託はこちらの記事をご覧ください
つみたてNISA(積立NISA)の取扱商品が各社続々でてきています。特にSBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券あたりはかなりの充実度です。また、商品数こそ少ないですが大和証券や野村證券、日本郵便もなかなかよいツボをつ[…]
最後まで読んでいただいてありがとうざいます。
読んでいただきありがとうございました。
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