国民年金の決算が赤字

国民年金の決算は3年ぶりの赤字だが報道に騙されるな。株で失敗してない件。

先日、厚生労働省が厚生年金と国民年金の平成30年度の決算を発表しました。

これによると時価ベースで厚生年金は2兆4094億円の黒字。

国民年金は772億円の赤字となりました。

テレビや新聞の報道をみると年金の運用がうまく行かなかったことが原因との内容が多くなっていました。

そもそも厚生労働省の概要説明が前年度の対比ばかりでミスリードとなってしまっていることも否めませんが。

ただ、ちゃんと勉強して報道しろよ・・・って思うところがあります。

それら報道があることもあり、ツイッターでは「年金は株で損した」と政府批判を発信している人がたくさんいます。

しかし、実際はぜんぜん違うんですよ。

報道を真に受けずまずは元情報を確認するようにしたいところですね。

また、年金返せデモが行われていたときにも書きましたが、年金の仕組みを知ってないと間違った報道に踊らされてしまうことにも繋がります。

まずは年金の仕組みを知っておきましょう。

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年金制度について

今回は国民年金の決算が3年ぶりの赤字の内容をみていきます。

厚生年金・国民年金の平成30年度の収支決算

それではまず、厚生年金・国民年金の平成30年度の収支決算をみておきましょう。


厚生年金の平成30年度収支決算

厚生年金の平成30年度決算は以下のとおりとなります。

厚生年金平成30年度決算
厚生年金平成30年度決算

出典:厚生労働省年金局「厚生年金・国民年金の平成30年度の収支決算の概要」より

歳入と歳出の差は5,963億円となります。前年と比較すると9,630億円減っています。

これは年金受給者が増加したことによるものが大きいとのこと。

国民年金の平成30年度収支決算

次は国民年金の平成30年度収支決算です。

国民年金平成30年度決算
国民年金平成30年度決算

出典:厚生労働省年金局「厚生年金・国民年金の平成30年度の収支決算の概要」より

こちらは歳入と歳出の差は1,199億円となります。前年と比較すると1,066億円増えています。

これは基礎年金拠出金の按分率が減少したことによる再出が押さえられたことが大きいようです。

厚生年金・国民年金の年金積立金

平成30年度の決算後の年金積立金は以下のとおりです。

厚生年金・国民年金の年金積立金
厚生年金・国民年金の年金積立金

出典:厚生労働省年金局「厚生年金・国民年金の平成30年度の収支決算の概要」より

国民年金が赤字になったと報道しているのは積立金の増減額の時価ベースの話ですね。

()内の数字です。

つまり、赤字報道はこの772億円時価ベースの積立金が減ったことを指しています

厚生年金は2兆4094億円のプラスです。

年金の仕組みを知っておこう

今回の話を理解するにはまずは大前提として押さえておかなければならないことがあります。

それは日本の公的年金の運営方式です。

年金の運営方式は主に2つのやり方があります。

「賦課方式」と「積立方式」です。

日本の公的年金はそのうち「賦課方式」で運用されています。

日本の複雑な年金制度を理解するにはまずは賦課方式を知っておく必要があります。

まずは賦課方式についてから見てみましょう。


賦課方式とは

賦課方式とは年金支給のために必要な財源を、その時々の保険料収入から用意する方式です。

現役世代から年金受給世代への仕送りに近いイメージです。

つまり、今の働いている世代が納めた保険料で老後生活をしている受給世代の年金を支えているのです。

賦課方式とは
賦課方式とは

出典:厚生労働省「いっしょに検証!公的年金」より

現役世代が高齢になって年金を受給する頃には、子どもなどその下の世代が納めた保険料から自分の年金を受け取ることになります。

ですから少子高齢化になることでもらう側の人間が増え、支える現役世代が少なくなることから年金不安が叫ばれているのです。

運用しているのは約1割だけ

GPIFに回すお金
GPIFに回すお金は1割

出典:GPIFツイッター

勘違いしている方が多いのがこちらです。

年金資産は基本的に前述のように世代間扶養となります。

ですから現在の現役世代が納めた年金は、現在の老後世代の人のが基本的にもらっています。

運用に回しているのはその極一部。

余剰分(約1割)を不足が発生した時に対応するために運用しているのです。

つまり、将来のための運用なんですよね。

この点も知っておきたいところ。

国民年金の決算が赤字の理由

それでは国民年金の決算が赤字となったのはなぜなのでしょうか?

厚生労働省年金局「厚生年金・国民年金の平成30年度の収支決算の概要」に以下の記述があります。

時価ベースの積立金は、平成 30 年度の国民年金勘定分の運用益1,328億円及び決算結了後の積立金1,304億円増加したが、年金積立金管理運用独立行政法人が累積運用益の一部(3,300 億円)を歳入へ納付したことから 667 億円減少している。

簡単に言えば、年金を株等で運用して 1,328 億円の利益、決算結了後の積立金1,304億円増加した。

しかし、累積運用益分の一部である3,300億円を国民年金の歳入に回したことで積立金は667億円減少。

さらに増減に業務勘定余剰金の組入れ104億円

667億円と104億円を合計すると771億円ですね。

数字は丸めてあるでしょうから、実際は772億円となるのでしょう。

これらが時価ベースで年金積立金が減った理由となります。

具体的な記述はありませんからわかりませんが、今回、年金積立金管理運用独立行政法人が累積運用益の一部(3,300 億円)を歳入へ納付したのは前述のように国民年金の不足分を補うという動きなのでしょう。

つまり、国民年金が赤字になったのは株等で運用して減ったわけではないのです。

むしろ運用では1,328 億円の利益なんですよ。

ちなみに厚生年金は運用では2兆2131億円の利益です。

つまり、逆に株に回すことによって年金財源をだいぶ増やしてくれているんですよ。

GPIFは今までに66.1兆円稼いでくれている。

年金の悪い話が出る度に株で失敗したからだ。。。的な発言をたくさんみます。

しかし、実際はぜんぜん違うんですよ。

年金の運用をしているGPIFは下記のグラフの通り2001年の市場運用開始以降、2008年のリーマンショック等の大暴落の時期を含めても、平均収益率は年率+3.00%累積収益額は+66.1兆円(2019年度第一四半期まで)稼いでくれているのです。

GPIF運用成績
GPIF運用成績

出典:年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) WEBページより

株など投資はどうしても波がありますから落ちるときもあります。(その時だけマスコミが騒ぎますが・・・)

しかし、長期的な目で分散投資をすれば理論上はプラスになる可能性が極めて高いのです。

GPIFはある意味、理想的なインデックス投資を行っているんですよ。

感謝こそすれ批判するべきないようではないと思うのです。

他国と比較しても株割合は少ない

また、株の比率が多すぎると批判する方も見えます。

しかし、他の国と比較しても日本がもともと株式の比率が異様に少なかっただけで今が普通なんですよ。

もしくは少ないくらいなんです。

詳しくはこちらの記事を御覧ください。

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GPIFを他国と比較

まとめ

今回は「国民年金の決算は3年ぶりの赤字だが報道に騙されるな。株で失敗してない件。」と題して国民年金が3年ぶりに赤字になったという件をみてきました。

ニュースや新聞なんかを見るといかにも年金の運用を失敗して赤字になったという趣旨の報道がされていますが実際はぜんぜん違うんですよ。

最近、報道各社の年金に対する印象操作はひどいものだな・・・と感じています。

ニュースや新聞を真に受けずまずは元情報を確認するようにしたいところですね。

今回の報道の元になったソースはこちらからご覧いただけます。

>>厚生年金・国民年金の平成30年度の収支決算の概要

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