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レナウン経営破綻の予兆はあった。倒産する企業の見分け方ポイントはここだ!

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レナウン経営破綻の予兆はあった。 倒産する企業の見分け方ポイント

アパレル大手のレナウンが新型コロナウィルスのが外出自粛で百貨店での販売が激減したことで経営再建を断念し民事再生の手続きに入りました。

レナウンと言えば「レナウン娘」のTVCMが印象的な会社で、アーノルドパーマーなんかのブランドも有名ですね。

そんなレナウンですが決算書を見れば今回の経営破たんの予兆はかなり出ていたんですよ。

今回はレナウンの決算書をもとに危険な企業の見分け方を見ていきます。

新型コロナウィルスの影響で同様の話はどんどん出てくる可能性も高いでしょう。

ぜひ参考にしてくださいね。

目次

第一の予兆:決算発表の遅延

まず、決算発表を見る前に「やばい」状況はでていました。

それが決算発表の遅延です。

上場会社の決算は期末後50日で発表する必要がありますが、それが実現できませんでした。

理由としては

滞留している売掛金の回収可能性について貸倒引当金繰入 額の計上、および連結財務諸表に関する注記事項の検討のため
とありますが、売掛金の相手先は親会社の子会社とのことですがなんか不思議な話なんです。
まずこの時点でおかしいと感じることが必要です。

第二の予兆:損益計算書

次に実際に発表された決算書を見ていきます。

まずは企業の経営成績を表す損益決算書です。

なお、損益計算書の見方についてはこちらの記事も合わせて御覧ください。

2019年12月期:売上高

売上高は以下のとおりです。

※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください

2019年12月期 50,262百万円
2019年2月期 63,664百万円
2018年2月期 66,396百万円

出所:レナウン「第16期有価証券報告書」より

直近の2019年12月期は決算期変更のため前期との単純な比較はできません。

しかし、一月平均で考えれば2019年2月期は1月当たり5,306百万円だったものが5,026百万円と5%程度落ちているのがわかります。

その前の2018年2月期も同様に下がっていますので少しずつ売り上げは下がっている状況だったということでしょう。


月次売り上げの推移(前年同月比)

次に決算後からの月次売り上げの推移をみてみましょう、

※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください

1月 2月 3月 4月
メンズ 87,7 84.2 55.4 15.5
レディス 88.9 79.7 50.1 18.5
その他 103.2 106.2 84.9 28.0
全社 88.5 82.7 53.5 17.2
全社既存 95.7 91.1 57.5 19.0

出所:レナウン「月次概況」より

新型コロナウィルスの問題が発生する前の1月、2月は売り上げが前年同月比88.5%、82.7%とかなり厳しい状況でした。

実は消費税増税後の10月からずっと前年比70%〜80%なんですよ。もともと新型コロナウィルスがなくても厳しい状況だったのがわかります。

それが新型コロナウィルスの影響で出店している百貨店などが営業自粛の影響もあり3月53.5%、4月に至っては17.2%とかなり厳しい状況となってしまったのです。

ちなみに前期の売り上げの55.4%は百貨店での売り上げですから営業自粛の影響が大きいことは想定できますね。

2019年12月期:経常利益

次に経常利益です。

※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください

2019年12月期 △7,795百万円
2019年2月期 △1,988百万円
2018年2月期 565百万円

出所:レナウン「第16期有価証券報告書」より

2019年2月期の時点で売り上げが落ちて経常利益も大きなマイナスを計上しています。

そこに消費税増税の影響を受けて2019年12月期でマイナス幅がさらに広がった感じです。

まだ、新型コロナウィルスの影響はでていない時点ですがこれだけのマイナスなのです。


2019年12月期当期純利益

次に当期純利益です。

※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください

2019年12月期 △6,742百万円
2019年2月期 △3,942百万円
2018年2月期 1,352百万円

出所:レナウン「第16期有価証券報告書」より

こちらもほぼ同様の状況ですね。すでに2019年2月期でかなり大きなマイナスを計上しています。

第三の予兆:貸借対照表

次は企業の財政状態を見る貸借対照表を見ていきましょう。

なお、貸借対照表の見方についてはこちらの記事も合わせて御覧ください。

2019年12月31日:総資産

まずは総資産です。

2019年12月31日 32,344百万円
2019年2月29日 39,713百万円
2018年2月28日 46,942百万円

出所:レナウン「第16期有価証券報告書」より

総資産も少しずつ少なくなっていますね。ただし、総資産が多ければよいかというとそうでもありませんので単純な話ではsりません。

2019年12月31日:純資産

次に総資産から負債を除いた純資産です。

2019年12月31日 15,335百万円
2019年2月29日 21,923百万円
2018年2月28日 25,725百万円

出所:レナウン「第16期有価証券報告書」より

こちらも同様に少しずつ少なくなってきています。大きな損失を計上していますのでその影響が大きいでしょう。

流動比率

次に注目したのが企業の資金繰りの状況を表す流動比率です。

2019年12月31日 220.15%
2019年2月29日 280.53%
2018年2月28日 239.18%

出所:レナウン「第16期有価証券報告書」より

流動比率は一般的な目安を150%以上なら安全圏とされています。ですから数字だけを見ればすぐに資金繰りが問題となる状況ではありません。

しかし、内訳をみるとそうとも言えないのです。

流動比率はすぐお金になる資産(流動資産)ですぐ支払わなければならない負債(流動負債)で割ってどのくらい資金に余裕があるのかを指します。

しかし、流動資産の内訳を見ると項目は流動資産となっていますが、実際はすぐお金にならないと思われる金額が多分にふくまれているのです。

2019年12月31日時点の流動資産は23,690百万円ですが、そのうち現金及び預金は5,377百万円でした。

多いのが受取手形及び売掛金で13,423百万円(貸倒引当金5,840百万円)、商品及び製品7,544百万円です。

このあたりはすぐお金になるものではありませんので抜いて考えると(特に受取手形及び売掛金は決算発表の遅延にあったように何かしらのトラブルがある)実際の資金繰りは結構厳しい状況であることが予想できます。



第四の予兆:キャシュフロー計算書

次に着目するのがキャッシュフロー計算書です。

倒産するかどうかで一番大事なのはこちらです。

極論から言えば万年大赤字でもお金さえ回れば倒産しません

このあたりは私が元々ボロ株の中の人だったこともありますのでよく分かります(笑)

なお、キャッシュフローの見方についてはこちらの記事も合わせて御覧ください。

キャッシュフローはあまり過去にさかのぼっても仕方あsりませんので前年との比較で見てみましょう。

2019年12月期:営業活動によるキャッシュフロー

まずは本業でうまくお金が回っているのかを示す営業活動によるキャッシュフローです。

2019年12月期 △4,567百万円
2019年2月期 1,212百万円
増減 △5,779百万円

出所:レナウン「第16期有価証券報告書」より

営業活動によるキャッシュフローが大きなマイナスに転じています。

つまり、本業でうまくお金が回っていない状況ということです。

繰り返しますが、これは新型コロナウィルスの影響が発生する前の話です。

2019年12月期:投資活動によるキャッシュフロー

次はお金を投資に回した部分がわかる投資活動によるキャッシュフローです。

2019年12月期 1,090百万円
2019年2月期 △4,195百万円
増減 5,285百万円

出所:レナウン「第16期有価証券報告書」より

2019年2月までは積極的に投資をしていましたが、2019年12月期は業績が悪化し、資金繰りも低下していることからそれらを回収しているのが見て取れます。

2019年12月期の内訳をみると有形固定資産の売却が大きくプラスとなっているのがわかります。具体的な内容はわかりませんが何かしら会社の資産を売却しなければお金が回らない状況だった可能性があります。

ちなみに営業活動によるキャッシュフローと投資活動キャッシュフローの合計で出される事業で自由に使えるお金であるフリーキャッシュフローもマイナスとなっていますね。

2019年12月期:財務活動によるキャッシュフロー

次は財務活動でのお金の動きがわかる財務活動によるキャッシュフローです。

2019年12月期 △1,025百万円
2019年2月期 △93百万円
増減 △932百万円

出所:レナウン「第16期有価証券報告書」より

こちらは大きな動きはないですね。借り入れの返済が大変そうだな・・・ってくらいです。

2019年12月期:現金及び現金同等物の期末残高

次は最終的に残った期末の現金残高です。

2019年12月期 3,316百万円
2019年2月期 7,832百万円
増減 4,516百万円

出所:レナウン「第16期有価証券報告書」より]

1年で4,516百万円現金が減り、残ったのが3,316百万円であることがわかります。

つまり、単純計算で同じような経営をすれば1年以内にお金が底をつくということなのです。

当然そうなる前に借り入れなどの手は打つでしょうがなんとも心もとない状況であることはわかりますね。

まとめ

今回は「レナウン経営破綻の予兆はあった。倒産する企業の見分け方ポイントはここだ!」と題してレナウンの決算書をみてきました。

今まで見てきたように新型コロナウィルスの問題が発生する前の2019年12月期の時点でかなりやばい状況であったことはわかります。

そこに新型コロナウィルスの問題が発生してトドメとなってしまった感が強いですね。

企業の状況はちゃんと決算書の分析をすればある程度わかります。

特に倒産する企業はその前の様々なシグナルを発していますからその点を気付けるようにしておきたいところですね。

注意したいポイントはたくさんありますが、特に倒産しないかを確認したいポイントは以下の点ですね。

  • 売り上げは低下していないか?
  • 利益率の低下はないか?
  • 流動比率、当座比率に変化はないか?
  • 営業キャッシュフローはプラスか?
  • フリーキャッシュフローはプラスか?

また、業績が悪い企業に投資をする場合には粉飾決算にも注意しましょう。

粉飾決算をしっかり見破っておかないと大きな損失を被ってしまう可能性があります。

これも決算書をちゃんと見ればある程度見分けることも出来るんですよ。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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