先日、「池上彰のニュースそうだったのか」という番組で「若者に教えたい!投資のこと」という投資の特集がありました。
放送後はNISAがツイッターのトレンドに入るなど大きな反響となったようです。(私は番組を見ていません)
その中で投資信託の信託報酬が高いほうが優秀な人が運用しているという話がでていたそうです。
優秀な人に頼むからその分手数料も高くなります。ってことですね・・・
それは本当なのでしょうか?
今回はそのあたりを検証してみたいと思います。
なお、同じ「池上彰のニュースそうだったのか」という番組で「若者に教えたい!投資のこと」で紹介された20代男性の4割が投資しているという話はこちらの記事で解説しています。
信託報酬の高い投資信託と低い投資信託の成績を比較
運用者が優秀かどうかは外からわかりませんので成績で比較してみます。
優秀な人が運用しているなら成績も良いはずですよね・・・
公平を期すために今回はSBI証券で取り扱われている同じカテゴリーに属する3年以上運用している信託報酬の高い投資信託(アクティブ)とつみたてNISAの対象となっている信託報酬の低い投資信託(アクティブ)、投資信託(インデックス型)で2020年12月31日時点の1年リターン、3年リターンで比較してみます。
国内株投資信託で比較
まずは国内株式です。
アクティブ(高い信託報酬)
SBI証券で取り扱われている国内株を対象とした投資信託で信託報酬率でソートをかけると上位に来るのは下記の3つのファンドです。
直近1年はどれもプラスとなっていますね。
ただし、ニッセイ日本ストラテジックオープンは3年リターンだとマイナスという厳しい結果・・・
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投資信託名 | 運用方針 | 信託報酬率 | 1年リターン | 3年リターン(年利) |
J・エクイティ(愛称:K2000) | アクティブ | 3.41%以内 | 31.90% | 9.22% |
ニッセイ日本ストラテジックオープン | アクティブ | 2.97%以内 | 3.77% | -0.39% |
日興アクティブ・ダイナミクス | アクティブ | 2.2%以内 | 17.88% | 4.17% |
アクティブ(低い信託報酬)
次に同じ国内株式でもつみたてNISAの対象となっているアクティブ型の投資隠宅で信託報酬の低い3本の成績も比較してみましょう。
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投資信託名 | 運用方針 | 信託報酬率 | 1年リターン | 3年リターン(年利) |
年金積立 Jグロース | アクティブ | 0.902% | 17.91% | 7.05% |
コモンズ30ファンド | アクティブ | 1.078%以内 | 15.54% | 4.60% |
ひふみプラス | アクティブ | 1.078%以内 | 20.73% | 5.39% |
アクティブ型としては信託報酬率が低い上記の3つのファンドですが「J・エクイティ」にはリターンで負けていますが、他の2本には勝っていますね。
インデックス
次にインデックスタイプを見てみましょう。インデックスタイプは指標ごとに最も信託報酬が低い投資信託で見ていきます。(同じ信託報酬率の商品が複数ある場合は最も成績がよいもの)
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投資信託名 | 運用方針 | 信託報酬率 | 1年リターン | 3年リターン(年利) |
iFree 日経225インデックス | インデックス:日経225 | 0.154% | 18.35% | 8.52% |
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) | インデックス:TOPXI | 0,154%以内 | 7.27% | 2.01% |
日経225をベンチマークとしたiFree 日経225インデックスは今まで見てきた投資信託の中で1年リターンでJ・エクイティとひふみプラスに次いで3位。3年リターンではJ・エクイティに次いで2位という好成績となっています。
他の投資信託は高い信託報酬率を払っているのに日経225に負けている状況です。
同期間で好成績だった投資信託
ちなみに同じ期間で好成績だった投資信託は以下のとおりです。
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投資信託名 | 運用方針 | 信託報酬率 | 1年リターン | 3年リターン(年利) |
企業価値成長小型株ファンド (愛称:眼力) | アクティブ | 1.595% | 69.94% | 29.65% |
厳選ジャパン | アクティブ | 1.694% | 75.65% | 28.58% |
DIAM新興市場日本株ファンド | アクティブ | 1.672% | 80.63% | 24.35% |
成績が良かったは上位はすべて小型グロース株に投資をするタイプの投資信託でした。
信託報酬の高さと成績の高さは相関関係が見えないという結果となりました。
アメリカ株
アメリカ株でも同様なのかを確認してみましょう。
アクティブ(高い信託報酬)
まずは信託報酬が高い投資信託の成績を見てみましょう。
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投資信託名 | 運用方針 | 信託報酬率 | 1年リターン | 3年リターン(年利) |
アメリカン・ドリームファンド | アクティブ | 2.585% | 22.28% | 12.95% |
アメリカン・ニューステージファンド | アクティブ | 2.288% | 19.17% | 11.33% |
米国イノベーションファンド | アクティブ | 2.255% | 22.03% | 12.37% |
アメリカ株が強かったこともあり、信託報酬率は高いですがどれもなかなかの好成績ですね。
アクティブ(低い信託報酬)
アメリカ株を対象としたアクティブ型の投資信託でつみたてNISA対象はありませんので、アクティブ型の商品で信託報酬が低いタイプで3年以上運用しているものを比較してみましょう。
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投資信託名 | 運用方針 | 信託報酬率 | 1年リターン | 3年リターン(年利) |
農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね | アクティブ | 0.99% | 15.36% | 12.39% |
フィデリティ・米国優良株・ファンド | アクティブ | 1.562% | 17.24% | 10.24% |
米国小型株式アクティブファンド | アクティブ | 1.4817% | 35.62% | 15.16% |
信託報酬の高いタイプと比較して成績的に大きく劣っていることはないようです。
むしろ米国小型株式アクティブファンドは上回ってますね。
インデックス
次にインデックスタイプを見てみましょう。
インデックスタイプは指標ごとに最も信託報酬が低い投資信託で見ていきます。(同じ信託報酬率の商品が複数ある場合は最も成績がよいものとしています。
なお、米国株が人気になりだしてそれほど経ってないこともあり、3年以上運営しているのは少ないです。
例えばS&P500をベンチマークとする投資信託は信託報酬率0.1%を切っているものまでありますが、どれも期間が3年を超えていないので除外しています。
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投資信託名 | 運用方針 | 信託報酬率 | 1年リターン | 3年リターン(年利) |
iFeee S&P500インデックス | インデックス:S&P500 | 0.2475% | 10.23% | 9.88% |
たわらノーロード NYダウ | インデックス:NYダウ | 0.2475%以内 | 1.82% | 5.61% |
楽天・全米株式インデックス・ファンド | インデックス:CRSP USトータル・マーケット | 0.162% | 12.75% | 10.27% |
米国株はここ数年調子が良かったこともありますが、アクティブ型の方が強いという結果となっています。
ちなみに今回の比較は3年以上運用というフィルターを掛けていますので除外されていますが、最近はNASDAQをベンチマークを対象としたインデックス型の投資信託も登場してきています。
例えばこちらですね。
同期間で好成績だった投資信託
ちなみに同じ期間で好成績だった投資信託は以下のとおりです。
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投資信託名 | 運用方針 | 信託報酬率 | 1年リターン | 3年リターン(年利) |
netWIN GSテクノロジー株式ファンド Aコース(為替ヘッジあり) | アクティブ | 2.09% | 40.22% | 22.50% |
米国NASDAQオープンAコース | アクティブ | 1.694% | 47.30% | 22.07% |
三菱UFJ NASDAQオープンAコース | アクティブ | 1.672% | 42.85% | 21.92% |
成績が良かったはテクノロジー系のファンドです。NASDAQ関連の2つのファンドはNASDAQの中で優良銘柄に投資をするタイプのものですね。
こちらの結果からも信託報酬の高さと成績の高さは相関関係が見えないという感じとなりました。
ちなみに米国株以外も購入しているものならもっと成績が高いものもあります。
たとえばみずほ証券でしか買えませんが、グローバル・プロスペクティブ・ファンドは年率125.85%という圧倒的な成績を残しています。
まとめ
今回は「投資信託は信託報酬が高い方が優秀な人が運用してて成績もよいってほんと?」と題して信託報酬率とリターンの関係を見てきました。
信託報酬率の高さと実際の成績はそれほど相関していないことがわかっていただけたと思います。(あくまで直近3年の成績で比較しているだけですから、実際の運用者が優劣まで判断は難しい)
つまり、信託報酬率が高いから優秀という考えは捨てたほうがよいということです。
2020年の相場はちょっと異常でしたのであれですが、昔から投資家に愛されてきた名著「ウォール街のランダム・ウォーカー」では個々の株式を売買したり、プロのファンド・マネジャーが運用する信託報酬が高い投資信託に投資するよりも、信託報酬が低いインデックス・ファンドを買ってじっと持っているほうが、遙かによい結果を生むということをデータをつかって検証してくれていますよ。
ぜひ読んでみてください。
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