金融広報中央委員会の知るぽるとが2007年から毎年実施している「家計の金融行動に関する世論調査」の2021年(令和3年)バージョンが発表されています。
今回は「家計の金融行動に関する世論調査」の2021年(令和3年)バージョンの中から金融資産に関する内容を詳しく見ていきます。
なお、You Tube版はこちらです。合わせて御覧ください。
2人以上世帯のデータ
それでは「家計の金融行動に関する世論調査」の2021年(令和3年)バージョンを元に日本人の金融資産保有額をみていきましょう。
2人以上世帯では新型コロナウィルス渦ではありましたが、過去最高を更新しているんですよ。
出典:金融広報中央委員会の知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」
前年より127万円も増えているという結果に。
2020年にコロナが蔓延しだしてから増えているという興味深い結果に・・・
2人以上世帯金融資産の保有額の平均値、中央値
二人以上世帯における金融資産の保有額2021年は
となっています。
2020年調査では平均値が1,436万円、中央値が650万円でしたから平均値は大幅上昇となります。
平均値は過去最高となっているんですよ。
ただし、中央値は2020年から200万円下がっています。
2極化が進んでいるといえるのかもしれません。
なお、平均値、中央値の違いってなんだけ?って方はこちらの記事を御覧ください。
金融資産の内訳(平均)
なお、金融資産の内訳は以下のとおりです。
- 預貯金:670万円
- 金銭信託:16万円
- 生命保険:193万円
- 損害保険:32万円
- 個人年金保険:84万円
- 債券:70万円
- 株式:296万円
- 投資信託:140万円
- 財形貯蓄:20万円
- その他:32万円
出典:金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]より
株や投資信託も以前と比べて増えていますが、まだまだ日本人の金融資産の大半は預貯金ですね。
今回の特徴として生命保険や損害保険が減って、株式、投資信託、債券が増えたところですかね。
各国が金融緩和して株価があがったことも大きかったのでしょう。
就業先産業で大きな差
かなり顕著な結果がでているのが世帯主の就業先の産業別のデータです。
平均値(万円) | 中央値(万円) | |
農林漁鉱業 | 953 | 500 |
建設業 | 835 | 198 |
製造業 | 1,410 | 460 |
運輸業、郵便業 | 805 | 150 |
卸売業、小売業 | 1,959 | 280 |
宿泊業、飲食サービス業 | 646 | 235 |
医療、福祉 | 1,016 | 320 |
公務、教育、電気水道業 | 1,573 | 600 |
その他サービス業 | 1,548 | 433 |
出典:金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]を元にお金に生きるで作成
かなり産業別で差が開いていますね。
年齢でも大きな差
また、世帯主の年齢別でも大きな差が出ていますね。
平均値(万円) | 中央値(万円) | |
20歳代 | 212 | 63 |
30歳代 | 752 | 238 |
40歳代 | 916 | 300 |
50歳代 | 1,386 | 400 |
60歳代 | 2,427 | 810 |
70歳代 | 2,209 | 1,000 |
出典:金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]を元にお金に生きるで作成
かなり世帯主の年齢で差がでていますね。
高齢者は高くなっています。
金融資産を保有していない世帯はもとに戻った
また、2020年は今までと比較して大きな変化がありました。
それは金融資産を保有していない世帯の割合が大幅に減ったことです。
しかし、2021年ではまた元に戻ってしまいました。
時系列でみると以下の通り。
出典:金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]より
多くが預金に回ったと言われている国民一人当たり一律で10万円の現金給付した特別定額給付金の影響があったことで2020年は増えたけど、またもとに戻ってしまったということなのかもしれません、
つみたてNISA、iDeCoなどの保有額
NISAなどの税制優遇のある制度を利用している方の平均保有金額も出ていますのでご紹介しましょう。(保有している人だけの集計)
- 一般NISA 242万円
- ジュニアNISA 81万円
- つみたてNISA 74万円
- iDeCo(個人型確定拠出年金) 369万円
出典:金融広報中央委員会の知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」2021年
ちなみに2020年のデータはこちらです。
- 一般NISA 161万円
- ジュニアNISA 77万円
- つみたてNISA 52万円
- iDeCo(個人型確定拠出年金) 164万円
出典:金融広報中央委員会の知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」2020年
すべて少しずつ増えていますが、特にiDeCo(個人型確定拠出年金)がかなり増えていますね。
単身世帯のデータ
出典:金融広報中央委員会の知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」
次に単身世帯をみていきましょう。
単身世帯金融資産の保有額の平均値、中央値
単身世帯における金融資産の保有額2021年は
となっています。
2020年調査では平均値が653万円、中央値が50万円でしたからどちらも大きく増えていますね。
ただし、70歳未満のみにすると平均値が901万円、中央値が68万円と大きく下がります。
金融資産の内訳(平均)
なお、金融資産の内訳は以下のとおりです。
- 預貯金:442万円
- 金銭信託:8万円
- 生命保険:108万円
- 損害保険:13万円
- 個人年金保険:67万円
- 債券:44万円
- 株式:224万円
- 投資信託:132万円
- 財形貯蓄:8万円
- その他:17万円
出典:金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]より
二人以上の世帯のデータと比べて株や投資信託の比率が高くなっていますね。
就業先産業で大きな差
かなり顕著な結果がでているのが世帯主の就業先の産業別のデータです。
平均値(万円) | 中央値(万円) | |
農林漁鉱業 | 153 | 9 |
建設業 | 1,101 | 43 |
製造業 | 889 | 151 |
運輸業、郵便業 | 873 | 50 |
卸売業、小売業 | 627 | 50 |
宿泊業、飲食サービス業 | 393 | 8 |
医療、福祉 | 937 | 100 |
公務、教育、電気水道業 | 1,689 | 300 |
その他サービス業 | 847 | 100 |
出典:金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]を元にお金に生きるで作成
かなり産業別で差が開いていますね。
公務、教育、電気水道業がかなり高い数字となっています。
公務員の方が多い産業だからでしょうか・・・
逆に農林漁鉱業と宿泊業、飲食サービス業は中央値が一桁万円という厳しい結果に・・・
年齢でも大きな差
また、世帯主の年齢別でも大きな差が出ていますね。
平均値(万円) | 中央値(万円) | |
20歳代 | 179 | 20 |
30歳代 | 606 | 56 |
40歳代 | 818 | 92 |
50歳代 | 1,067 | 130 |
60歳代 | 1,860 | 460 |
70歳代 | 1,786 | 800 |
出典:金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査 単身世帯調査]を元にお金に生きるで作成
こちらもかなり世帯主の年齢で差がでていますね。
高齢者は高くなっています。
金融資産を保有していない世帯は減った
出典:金融広報中央委員会の知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」
ちなみに金融商品を全く保有していない単身世帯は3.8%でした。
こちらは2人以上の世帯と違い保有していない世帯は減っています。
つみたてNISA、iDeCoなどの保有額
次にNISAなどの税制優遇のある制度を利用している方の平均保有金額も出ていますのでご紹介しましょう。(保有している人だけの集計)
- 一般NISA 216万円
- つみたてNISA 50万円
- iDeCo(個人型確定拠出年金) 119万円
出典:金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]より
こちらもイデコが昨年より増えています。
ただし、二人以上世帯と比較するとあまり大きくはありません。
まとめ
今回は「2021年金融資産保有額は大幅増も二極化が進む。業種別、年齢別で顕著な差が生じている」と題して2021年金融資産保有額を見てきました。
株などがあがっていたこともあり、2021年の金融資産保有額は過去最高を記録しています。
ただし、平均値と中央値の差も大きくなっていたり、産業で大きな差があったりと2極化がより加速している感も大きいです。
まずは自分の金融資産と比較してみてくださいね。
なお、2020年分同内容の記事や元の統計資料はこちらからご覧いただけます。
>>2020年金融資産保有額は平均値1,436万円、中央値650万円と大幅上昇で過去最高へ
>>金融広報中央委員会の知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」
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