裏口上場?SPACとはなにか?メリット、デメリットを解説

2020年くらいから経済番組をみるとSPACという言葉を聞かない日はないくらい注目を浴びています。

日本ではSPACはできませんのであまり馴染みがないのですが、アメリカでは2021年だけで約900億ドルの資金調達が行われているそうです。

しかし、個人的にSPACという仕組みにはかなり懸念もあるんですよ。

そこで今回はSPACとはなにか、なにが問題があるのか等について解説していきます。

SPACとは

SPACとは「Special Purpose Acquisition Company」の頭文字をとった言葉です。

日本語に直訳すれば「特別買収目的会社」。

言葉の意味の通り、簡単に言えば非上場会社の買収を目的として設立される法人のことです。

SPAC自体は事業を行いませんので実質ペーパーカンパニーですね。

通常であれば厳しい上場のチェックが入り、通った企業だけが株式上場できるのですが、このSPACを経由するとその上場プロセスを行なうことなく上場できてしまうのです。

つまり、裏口上場をするための手段といっても良いでしょう。

これがアメリカで大流行しているのです。

SPACの仕組み

イメージが沸かない人も多いでしょうからSPACの仕組みを解説しておきましょう。

まず設立者が自己資金を投じてSPACを立ち上げます。

多くの場合、著名の経営者や投資家が設立者となるケースが多いですね。

次にSPACを上場させます。

この際に株式を売り出し、設立者の知名度や信用度を武器に投資家から資金を集めます

その投資家から得た資金を元にベンチャー企業などを買収

買収された企業とSPACを合併して被買収企業を存続会社とすることで上場会社とするのです。

まとめると以下のような流れとなります。

SPAC設立

SPAC上場(資金を集める)

買収
>↓
被買収企業を上場会社に
実はSPACという仕組み自体は1980年代からあったんですよ。
しかし、不正やトラブルが多かったため、それほど使われていませんでした。
昨今、ルールが厳しくなったことや新型コロナの影響による金融緩和での金余りで再び注目されるようになったのです。
なお、今のところ日本ではSPACは認められていません。
しかし、ソフトバンクグループがSPACをアメリカのナスダック市場に上場させるなど活用する企業がでてきていますね。

SPACのメリット

SPACの最大のメリットはスタートアップ企業やベンチャー企業にはかなり大きなハードルとなる上場の厳しいプロセスをすっ飛ばして上場できることにあります。

上場プロセスは私も仕事で経験がありますが、かなり大きなハードルです。

しかし、スタートアップ企業やベンチャー企業はお金も人も足りませんのでなかなかそのハードルを超えられないんですよ。

SPACを使えばそのハードルをクリアしやすくなるのです。

また、IPOをするまで時間もかなり掛かりますが、SPACを使えばその時間を短くすることも可能です。

つまり、上場を考えてるスタートアップ企業やベンチャー企業からすればSAPCはメリットがかなり大きい仕組みなのです。

投資家にもメリットは有る

実は投資家側にもメリットがあります。

スタートアップ企業やベンチャー企業等の未公開会社の株はあたるとかなり美味しいのですが、上場してくれないと売る相手を自分で探す必要があり、売買のハードルがかなり高いのです。

しかし、SPACの仕組みならば上場してもらえば売却も容易となります。

つまり、通常の未公開株を買うのと比較してリスクが低いのです。

SPACに投資をするのは少額から可能ですしね。

また、SPACは投資家保護規定があります。

もし、SPACが未公開企業の買収は2年以内に行わなければいけませんが、それに失敗した場合は基本的に投資家に資金が返ってきます。

つまり、未公開株にある上場できないというリスクはSPACなら回避できるのです(お金が返ってきますからね)

このあたりの仕組みは同じく未公開株に投資をする株式投資型のクラウドファンディングよりも魅力的ですから人気となるのもわかりますね。


SPACのデメリット

SPACのデメリットは特に投資家側に強いものとなります。

SPACで上場する企業は厳しい上場プロセスを経ていないわけですから、その企業に問題があるケースが見逃されてしまう可能性があるのです。

つまり、問題のある企業が上場してしまう可能性が通常の上場よりもかなり高いというわけ。

経営計画が甘かったり、コンプライアンス上の問題があったりなんてことがありえるのです。

簿外債務や粉飾決算なんかも怖いところですね。

例えばSPACの問題としてよく語られるのが「ニコラ」株。

ニコラ株の例

ニコラはトラックのEVメーカーです。

SPACで2020年6月にNASDAQに上場しました。

二酸化炭素を排出しない大型トラックを計画している同社は話題のテーマであったこともあり、株価は上場後上がり続け、一時時価総額3兆円を突破するまでに成長。

しかし、その後に技術や広告に問題があるのではないかとの話がでてきて、創業者は辞任。

株価も大きく落ち込んでいます。

下記は上場後からのニコラ株の動きです。

ニコラ株推移

出典:GoogleFinance ニコラ株

SPACで上場する企業は通常のプロセスでIPOする企業と比較すると上場プロセスを踏んでいいないため、このようなケースが多くなる可能性はSPACへ投資するなら知っておく必要があるでしょう。

まとめ

今回は「裏口上場?SPACとはなにか?メリット、デメリットを解説」と題してSPACについて見てきました。

アメリカでかなり盛り上がっているSPAC。

米国株人気が高まっていることもあり日本からの投資も増えていくことでしょう。

そうなれば日本でもSPACをなんて話にもなる可能性がありますね。

しかし、個人的には厳しい上場プロセスを踏んでいないという怖さがありますし、SPACで上場した株にはよほどのことがない限り投資はしないと思います。

SPACが大きな暴落のきっかけにならないと良いのですが・・・

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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