大手のアクティブファンドを買わない方が良い理由を金融庁が説明してくれている件

アクティブファンドはなんとかく駄目・・・って印象をお持ちの方も多いかもしれません。

実はすべてのアクティブファンドが駄目なんじゃなくて大手の運用するアクティブファンドが良くないのではないか?というのを金融庁が2021年6月に公開した「資産運用業高度化プログレスレポート2021」の中で解説しています。

今回は大手のアクティブファンドを買わない方が良い理由を金融庁が説明してくれている件をみていきましょう。

インデックスファンドの平均を下回るアクティブファンドが多い

アクティブファンドのシャープレシオ

出典:金融庁「資産運用業高度化プログレスレポート2021」より

上記の図は運用資産の大きい資産運用会社順に、その資産運用会社のアクティブファンドのシャープレシオを集計したものです。

ちょっと見にくい資料ですが、横線が引かれているのがインデックスファンドとアクティブファンドのシャープレシオの平均、水色の点がそれぞれのファンドごとのシャープレシオ。

赤い点がその資産運用会社のアクティブファンドのシャープレシオの平均です。

なお、「シャープレシオ」とは投資のリスクに対してどれだけリターンが得られるのかを示した指標で、これが高ければ運用効率が高いことを示します。

資産運用規模の大きい会社の成績が悪い

これを見ると一目瞭然。

資産運用の大きい会社のアクティブファンドの方がシャープレシオが低い傾向が見られますね。

つまり、運用効率が良くないということです。

上位14社までインデックスファンドのシャープレシオの平均を資産運用会社のアクティブファンドのシャープレシオの平均が下回ってるんですよ。

当然、中にはシャープレシオのインデックスファンドよりもかなり高いファンドもありますが、それ以上にシャープレシオの低いファンドが多く足を引っ張っている感じですが・・・。

資産運用規模の大きい会社は信託報酬が異様に高く、成績が伴っていない投資信託を多く売っているということなのかもしれません。

金融庁も

顧客利益を最優先するガバナンスを強化していくことにより、運用成果を向上させていくことが期待される。

としていますね。自社の儲け優先の考えが生み出している状況なのでしょう。

全体平均で見てもアクティブファンド<インデックスファンド

全体平均で見てもアクティブファンドはインデックスファンドに負けています。

アクティブファンドのシャープレシオの平均は0.27

インデックスファンドのシャープレシオの平均は0.41

とかなりの差が開いているのです。

これはお金や足を使って企業調査などして運用効率をあげようとしても、何も考えず機械的に平均を目指すインデックスファンドには勝てていないということを示します。

アクティブファンドがインデックスファンドのシャープレシオを下回る意味

アクティブファンドとはそもそも市場の平均以上の成績を残すことを目的としたファンドです。

そのため、ベンチマークとした指標と同じ動きを目指す(市場平均を目指す)インデックスファンドと比較して信託報酬が高めに設定されています。

つまり、アクティブファンドがインデックスファンドよりもシャープレシオが低いということは、そもそもアクティブファンドの存在価値がないということです。

市場平均を超えることを目的として作られて高い手数料を取っているのに、蓋を開けたら市場平均を下回っているということですからね。

ただし、上記の図をよく見るとシャープレシオが高いファンドと低いファンドが両方あり、トータルで平均を下回っているということですから、シャープレシオの高いファンドを選別できればアクティブファンドを選択する意味はあります。

しかし、下記記事でも書いたように多くの金融機関が自社の儲けを優先している傾向がまだまだありますので、自分で選別できないとそれも難しいでしょうね。




独立系の資産運用会社はパフォーマンスが良いところも

逆に資産運用規模の小さい運用会社はその会社によってシャープレシオがバラバラとなっています。

インデックスファンドの平均を上回っている運用会社も多いです。

特に大手金融グループに属さない独立系の運用資産会社はシャープレシオも高くなっていますね。

独立系資産運用会社シャープレシオ

出典:金融庁「資産運用業高度化プログレスレポート2021」より

全体のアクティブファンドのシャープレシオの平均は0.27、インデックスファンドのシャープレシオの平均は0.41に対して、

  • A社:0.43
  • B社:0.83
  • C社:0.52
  • D社:0.53
  • E社:0.78

アクティブファンドはもちろん、インデックスファンドの平均も上回っています

※とくに成績の良い5社を引っ張ってきているのだと思います。

ひふみ投信はE社?

ちなみに私が推測するのにE社が「ひふみ投信」かな?(間違えていたらごめんなさい)

ひふみ投信はもともと中小規模の企業を対象とした投資信託でしたが、資産が増えすぎて身動きが取りにくくなりインデックスファンドに負けているという状況になってしまっていました。

そこから海外株などに投資をするなどかなり方向転換してまた復活してきてる感じですね。

最近ではバランスファンドも作るなど範囲を広げている裾野を広げている感じです。




クローゼットトラッカー問題

もう一つ金融庁が取り上げている問題で興味深いのが「クローゼットトラッカー」です。

クローゼットトラッカー問題とを簡単に言えばアクティブ運用を行うとしながら実質的にはインデックス運用に近いファンドの問題のことです。

アクティブとうたって高い信託報酬を取っているものの、実際にはインデックス型投資信託と変わらないポートフォリオ運用に終始しているという・・・

ある意味詐欺みたいなもんですね。

ちょっとわかりにくいですが、以下のような図が公開されています。

クローゼットトラッカー問題

出典:金融庁「資産運用業高度化プログレスレポート2021」より

•アクティブシェアが低いファンドに信託報酬が高く、また、シャープレシオの低いファンドが散見される(図表A、Bの青い楕円部分)。
(※アクティブシェア:アクティブ運用するファンドについて、指数運用との差異を定量的 に示す数値。0~100%の値を取り、0%だと指数と完全に一致し、100%だと指数と全く異なる運用手法になることを示す。)

• 虚偽の説明や誤解を招く説明により顧客の利益を害することとならないよう、運用方針と実際のファンド運用との整 合性の定期的な確認、乖離が認められた場合の速やかな対応、適切な信託報酬の設定、商品販売時におけるリスクリターン特性と信託報酬水準についての正確でわかりやすい説明が重要である。

出典:金融庁「資産運用業高度化プログレスレポート2021」より

簡単に言えばアクティブで運用している割合が低いのに信託報酬が高くて、シャープレシオの低いファンドがあるよってことです。

このようなファンドを見極めないと騙されてしまうということ。

これも今まで見てきた資産運用の大きい会社のアクティブファンドの方がシャープレシオが低い傾向が見らるということにつながっていそうな気もします。(金融庁が具体的に指摘しているわけではありませんが)

クローゼットトラッカーは世界的に問題に

また、これは日本だけの問題ではなく世界的な話なんですよ。

ESMA(欧州証券市場監督局)のレポートでも「クローゼットトラッカー」問題は取り上げられており、以下の問題が指摘されています。

• 投資家は、実際よりもアクティブな投資を行っているとの誤った期待に基づいて投資判断を行っている
• 投資家は、想定とは異なるリスク/リターンプロファイルにさらされる。
• 投資家は、ベンチマークとされるインデックスを追跡する旨明示するパッシブファンドよりも高い手数料を支払っている

出典:金融庁「資産運用業高度化プログレスレポート2021」より

「クローゼットトラッカー」のようなファンドかどうかを見極める必要がありますが、なかなか一般の方には難しいかもしれません。。。

それならはじめからインデックスファンドを買うのが正解でしょうね。



まとめ

今回は「大手のアクティブファンドを買わない方が良い理由を金融庁が説明してくれている件」と題して金融庁の資料をもとにアクティブファンドの話を見てきました。

アクティブファンド=悪とは思いませんが、どうしても地雷と言われる投資信託のほとんどがアクティブファンドです。

その見極めが必要ですが、過去の例をみてもそれを金融機関に期待するのは難しい・・・。

銀行や証券会社も商売ですし、ノルマがありますから儲かる商品(手数料が高い投資信託)を売るのを責めるのは酷ですしね。
自分の資産は自分で守るしかありません。

自分で見極めれない方ははじめから低い信託報酬のインデックスファンドを買うのが正解でしょうね。

独立系の資産運用会社のようにがんばっているところもありますが・・・

なお、今回取り上げた「資産運用業高度化プログレスレポート2021」の中では同一のベンチマークで同じ資産運用会社、同一の販売会社なのに信託報酬が違う商品が複数存在しているのも問題視されています。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

「資産運用業高度化プログレスレポート2021」の原本はこちらからご覧いただけます。

>>資産運用業高度化プログレスレポート2021

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