レバナスなどのレバレッジETFや投信を中長期の投資におすすめしない理由:金融庁が注意喚起

先日、新しい投資信託「楽天レバレッジNASDAQ100」をご紹介した際にレバレッジ型ETFについて金融庁からの注意喚起がでているという話をちょろっと書いたところ、読者様から詳しく説明してほしいとのご質問をいただきました。

レバナスを金融庁の注意喚起している理由がわからなかったので詳しく解説してほしいです。

今回はレバナスなどのレバレッジETFや投資信託が中長期投資に向かないという金融庁の注意喚起についてを詳しくみていきましょう。

レバレッジ型のETFや投資信託は中長期向けに設計されていない

まずは金融庁の注意喚起の内容から見ていきましょう。

金融庁の注意喚起内容

レバレッジ型・インバース型 ETF 等は、指数・指標の値動きのレバレッジ倍(又 はマイナスのレバレッジ倍)の値動きを日次(1日)で達成するように運用され ています。例えば、日経平均株価の日々の値動きの2倍の値動きを目指すレバレッジ型 ETF は、日経平均株価が1%上昇した日には、2%の上昇になることを目指して運用されます。 しかし、日次ではなく2日以上の運用期間で見た場合には、以下の例に示すと おり、当該 ETF 等の価格は、参照する指数・指標の価格のレバレッジ倍にならない可能性があることに注意が必要です。

出典:金融庁 レバレッジ型・インバース型 ETF 等への投資にあたってご注意ください より

例えば先日ご紹介した「楽天レバレッジNASDAQ100」や「iFreeレバレッジNASDAQ100」はNASDAQ100(米ドルベース)の日々の騰落率の概ね2倍を目指す投資信託です。

たしかに1日単位で見ればたしかに2倍となりますが、値動きのパターンによっては2日以上でみるとそうとも言い切れないパターンが多いのです。

金融庁の指摘したケースで確認してみましょう。

1日目、2日目とも上昇の場合

まずは問題ないケースから見てみましょう。1日目、2日目とも上昇するパターンです。

レバレッジETF1日目、2日目とも上昇パターン

出典:金融庁 レバレッジ型・インバース型 ETF 等への投資にあたってご注意ください より

この場合は1日目も、2日目も日々の値動きは指数と比較して倍となっています。

さらに基準日からの値動きで見れば指数よりも更に大きくプラスになるという値動きとなっており、購入する側からして全く問題ないはなしとなっていますね。

1日目が下落、2日目が上昇の場合

ここからはちょっと心配なケースです。

まずは1日目が下落して2日目が上昇したパターン。

レバレッジETF1日目が下落、2日目が上昇パターン

出典:金融庁 レバレッジ型・インバース型 ETF 等への投資にあたってご注意ください より

1日目が大きく下落(20%)。

するとレバレッジを掛けていればその倍ですので40%下落となります。

次の日25%上昇。

するとレバレッジ指数は+50%となります。

日々の値動きを見れば確かに2倍の値動きとなっています。

それでは基準日(スタート地点)からの値動きはどうでしょうか?

20%下げて25%上げてますので指数は当初同じとなります。

20%下げて25%上げたら+5%じゃない?と思われる方もみえるかもしれません。

しかし、そうはなりません。

例えば10,000円スタートで20%下げたら8,000円となります。

そこから10,000円に戻すには25%の上昇が必要となるんですよ。

2倍のレバレッジ指数の場合、40%下げて、50%上げていますので

10,000円スタートならで40%下げたら6,000円

6,000円が50%上げても9,000円しかならずレバレッジの指数はマイナス10%となるのです。



1日目上昇、2日目が下落の場合

次に1日目上昇、2日目下落のケースを見てみましょう。

レバレッジETF1日目上昇、2日目下落パターン

出典:金融庁 レバレッジ型・インバース型 ETF 等への投資にあたってご注意ください より

1日目が大きく上昇(25%)。

するとレバレッジを掛けていればその倍ですので50%の上昇となります。

次の日20%下落。

するとレバレッジ指数は-40%となります。

こちらも指数は基準日から見れば0%の増減となります。

基準日の指数が10,000円なら25%上昇で12,500円

20%の下げで10,000円ですね。

レバレッジだと-10%となります。

基準日の指数が10,000円なら50%上昇で15,000円

40%の下げで9,000円ですね。

1日目、2日目とも下落の場合

それでは2日とも下げた場合どうなのでしょうか?

レバレッジETF1日目、2日目とも下落パターン

出典:金融庁 レバレッジ型・インバース型 ETF 等への投資にあたってご注意ください より

1日目が20%下落

するとレバレッジを掛けていればその倍ですので40%の下落となります。

次の日も25%下落。

するとレバレッジ指数は-50%となります。

指数としては合計して基準日からみれば40%の下落です。

基準日の指数が10,000円なら20%下落で8,000円

さらに2日目の25%の下げで6,000円ですね。

つまり、40%の下落です。

それではレバレッジの場合どうなるのでしょう?

結論から言えば-70%というかなり厳しい下げとなります。

基準日の指数が10,000円なら40%下落で6,000円

さらに50%の下げで3,000円となってしまうのです。

金融庁の結論

金融庁としては以下の結論を示しています。

レバレッジ型・インバース型 ETF 等は主に短期売買により利益を得 ることを目的とした商品であり、投資経験が少ない個人投資家の方が中・長期の資産形成を目的としてレバレッジ型・インバース型 ETF 等を投資対象とする場合には十分な注意が必要

出典:金融庁 レバレッジ型・インバース型 ETF 等への投資にあたってご注意ください より

つまり、レバレッジ型は短期売買用だよ。

中長期に使うのは注意しなさいということです。

また、レバレッジ型は先物取引コストがあるよ。

とか先物取引の期限(限月)を乗り換える際に、リスクが生じるよとも注意喚起しています。

この辺りのリスクをしっかり認識した上で取引しましょうね。

少なくともレバナスに投資をするならレバレッジ型ETFの仕組みや先物取引の仕組みは理解しておきたいところ。

私が口を酸っぱくしていつも書いている

ということです。

ちなみに今回の金融庁の資料はETFをベースとしていますが、レバナスなど投資信託でも同様と指摘しています。

これらのリスク・コストは、ETF 等の上場商品に限らず、公募型投資信託で販売されているレバレッジ型・インバース型商品であっても同様です

出典:金融庁 レバレッジ型・インバース型 ETF 等への投資にあたってご注意ください より




まとめ

今回は「レバナスなどのレバレッジETFや投信を中長期の投資におすすめしない理由:金融庁が注意喚起」と題して金融庁のレバレッジ型ETFについてに注意喚起について詳しくみてきました。

レバレッジ型のNASDAQ100の商品は先行する「iFreeレバレッジNASDAQ100」の成績を見てもかなり良いです。

また、NASDAQ100は中長期でみても過去成績が抜群です。

そのため、レバナスの人気が高いのも理解できます。

しかし、金融庁の指摘のように今後も指数が上がり続ける場合は良いですが、それ以外の値動きの場合はそもそもの仕組み的に中長期では不利な仕組みであることは知っておきたいところ。

また、当然NASDAQがこければかなり大きなマイナスも生じる可能性があります。

このあたりのリスクをしっかり認識した上で投資を検討しましょうね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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レバレッジETFや投信が 中長期の投資に 向かない理由
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