かなり久々にマネックス証券が主幹事のIPOが登場します。
「スローガン」です。
マネックス証券の主幹事は前回が2017年ですから4年ぶりとかなり久々なんですよ。
マネックス証券主幹事はレアですから注目度が高くなりそうですね。
今回はそんな「スローガン」の財務分析をしてみたいと思います。
マネックス証券の主幹事はかなりレア
マネックス証券は平幹事はちょくちょくありますが、主幹事はあまりありません。
かなり少ないのでレアとなっています。
過去のマネックス証券主幹事は好成績
過去の主幹事を調べても以下の5件だけなんですよ。
※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。
銘柄名 | 時期 | 公募価格 | 初値 | 騰落率 |
マネーフォワード | 2017年9月 | 1,550円 | 3,000円 | 93.55% |
マルマエ | 2006年12月 | 470,000円 | 1,010,000円 | 114.89% |
比較コム | 2006年3月 | 450,000円 | 2,700,000円 | 500% |
エスプール | 2006年2月 | 250,000円 | 610,000円 | 144% |
ドリームバイザードッドコム | 2005年6月 | 500,000円 | 1,300,000円 | 160% |
数が少ないので参考程度の話ですが、どれもかなりの好成績となっていますね。
特に比較コムとか驚異の500%という・・・
一撃で2,250,000円のゲットという結果となりました。
ただし、マルマエからマネーフォワードまで11年。マネーフォワードから今回のスローガンまで4年ですからかなりレアな主幹事となります。
マネックス証券は完全抽選
マネックス証券は上記のように主幹事になるケースは少ないです。
しかし、個人投資家に有利な部分があります。
それは割当株もすべてを平等に抽選することです。
その分抽選参加者も多いんですけどね・・
それでも資金がない個人も当選しやすい証券会社といえるでしょう。
東証マザーズに新規上場するスローガンの財務分析
それではスローガンの財務分析を見ていきましょう。
なお、財務分析は目論見書で掲載されている直近2年によります。
まずは上場情報、事業内容や企業理念から見ていきましょう。
スローガンの上場(IPO)情報
スローガンのIPOの条件、日程等は以下のとおりです。
※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください
上場予定日 | 2021年11月25日(木) |
仮条件決定日 | 2021年11月8日 |
ブックビルディング期間 | 2021年11月9日〜2021年11月15日 |
公募価格決定日 | 2021年11月16日 |
購入申し込み期間 | 2021年11月17日〜2021年11月22日 |
公募株式数 | 500,000株(公募) |
OA分 | 75,000株 |
発行株式数 | 2,703,075株 |
想定価格 | 1,020円 |
IPOの資金使途 | 採用活動費及び人件費、業務委託費、広告宣伝費に充当する予定であり、その一部については、当社子会社チームアップ株式会社に対する投融資等を通じて充当する予定 |
主幹事 | マネックス証券。SMBC日興証券 |
幹事 | SBI証券、松井証券、楽天証券、みずほ証券、岡三証券、丸三証券、いちよし証券、極東証券 |
スローガンの会社情報
次にスローガンの会社情報を見ていきましょう。
会社名 | スローガン |
所在地 | 東京都港区南青山二丁目11番17号 |
設立年月日 | 2005年10月24日 |
従業員数 | 109人 |
監査法人 | EY新日本有限責任監査法人 |
スローガンの事業内容
出典:スローガン 目論見書より
スローガンの事業はキャリア・サービス分野とメディア・SaaS分野に分かれています。
キャリア・サービスでは新卒向けの就職支援サービス、社会人向けの求人エージェントが中心ですね。
「ベンチャースタートアップ企業中心」、「コンサル就活」、「スタートアップ求人特化」などちょっと他社とは切り口が違うのが特徴でしょうか。
また、メディア・SaaS分野では若手イノベーション人材向けビジネスメディア「FASTGROW」と入社後の組織過大にアプローチをするSaaS型HRサービス「TeamUp」を展開しています。
スローガンの事業ビジョン
スローガンの事業ビジョンは以下の通り
才能を最適に配置することで
新事業を創出し続ける
スローガンの収益性
次にスローガンの収益性を見ていきましょう。
売上高推移
出典:スローガン 目論見書より
売上高は順調に推移してきていましたが、直近で伸びが止まっているのが気になります。
新型コロナの影響もあり、企業の求人ニーズが下がっていることが大きいのでしょうか。
利益率推移
売上高総利益率は以下のとおり。
- 2020年2月期:96.37%
- 2021年2月期:96.01%
と少し落ち気味ですね。
本業の儲けを表す売上高営業利益率は以下の通り。
- 2020年2月期:11.82%
- 2021年2月期:3.26%
こちらも急激に落ちています。
直近の2021年2月期ではそもそもの売上も下がってしまったことで営業利益段階で172,455千円が42,854千円と大幅減少しています。
売上が下がったものの販売費及び一般管理費が下がっていないところをみると家賃や人件費など固定費が経費の大半を占める会社なのでしょう。
こういう会社が売上が下がると利益がかなり大きく減りますが、逆に売上が上がると利益も大きく上がる傾向にあります。
経常利益、経常損失推移
出典:スローガン 目論見書より
経常利益、損失も固定費が多いことが影響してるのでしょう。
かなり波が生じていますね。
第17期ではかなりの数字があがる予定とはなっているようですが・・・
スローガンの安全性
次にスローガンの安全性を見てみましょう。
流動比率
短期的な支払い能力をみる流動比率は以下のとおりです。
- 2020年2月期:158.28%
- 2021年2月期:169.55%
こちらは良化傾向にありますね。
流動比率の安全の目安は150%程度と言われていますので問題ない水準です。
また、流動負債の大半が前受金であるのが興味深いところ。
前受金とかサービスの提供する前にお金を受け取っている部分のことで、先にお金を受け取っているのでとりっぱくれしにくいビジネスとなっているようです。
自己資本比率
次は自己資本比率です。
- 2020年2月期:38.40%
- 2021年2月期:41.98%
こちらも良化傾向にありますね。
自己資本比率も問題ない水準ではあります。
キャッシュフロー
営業活動によるキャッシュフローは以下のとおり。
- 2020年2月期:-30,238千円
- 2021年2月期:4,185千円
投資活動によるキャッシュフローは以下のとおり。
- 2020年2月期:-32,432千円
- 2021年2月期:1,743千円
財務活動によるキャッシュフローは以下のとおり。
- 2020年2月期:184,085千円
- 2021年2月期:-51,010千円
かなり極端な数字となっています。
2020年2月期は簡単に言えば本業で大きなお金が出ていって、投資にもお金を回して足りない部分を社債の発行で賄った
2021年2月期は簡単に言えば本業で少しお金が生み出され、投資活動でも少しお金が出来たので借入金の返済と自己株式の取得にお金を回した
という状況です。
これだけ2期で極端な違いがあるケースは珍しいです。
ちなみに2022年2月期(中間)は以下のようなキャッシュフローです。
- 営業CF:353,021千円
- 投資CF:60,473千円
- 財務CF:-38,944千円
動きとしては2021年2月期と似た感じですね。
成長企業は一般的に投資活動によるキャッシュフローがマイナスとなるケースが多いので、投資キャッシュフローがプラスなのはちょっと気になるところではありますが・・・(先行投資が嵩むため)
詳しいキャシュフローの読み方などはこちらの記事を御覧ください。
スローガンの株価水準
次にスローガンの株価水準を見てみましょう。
PER、PBR
まだ公開価格等決定していませんが、想定価格で考えるとPER、PBRは人材支援系と考えると同業者と比較して高め。
SaaS系と考えるとそうでもないという感じでしょうか
ちなみに売上の内訳は以下のとおりです。
出典:スローガン 目論見書より
2021年2月期でメディア・SaaSは18.4%だけですから現状は人材支援系の会社ととらえるのが正解でしょうね。
既存株主状況
株主構成を見るとVSはいますが、90日 or 1.5倍のロックアップが掛かっています。
また、役員や従業員には180日のロックアップがあり。
ですから1.5倍まではそれほど大きな売り圧力はなさそうな気配。
ストックオプションは195,500株発行されていて、上場時に行使可能なのは143,000株となっています。
まとめ
今回は「4年ぶりのマネックス証券主幹事のIPO登場【スローガン】新規上場株式(IPO)財務分析」と題してスローガンの財務分析をみてみました。
過去のマネックス証券のIPOはかなり成績が良いので期待したいところですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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