資金に余裕があるなら預金連動型住宅ローンの利用がお得?メリット、デメリットを考えてみた

読者様からご質問をいただきました。

住宅ローンを組むことを検討していますが、預金連動型住宅ローンってどうなのでしょう?
良さそうに見えますがデメリット等あればあれば教えてほしいです、
今回は預金連動型住宅ローンについて考えて見ましょう。

預金連動型住宅ローンとはなにか

まずは今回ご紹介する「預金連動型住宅ローン」とはなにかについてみていきましょう。

預金残高で利息が軽減される

「預金連動型住宅ローン」は名前のとおり、預金と住宅ローンが連動する仕組みの住宅ローンです。

簡単に言えば対象の預金残高と同額の住宅ローン残高には、金利を軽減させる仕組みということです。

つまり、預金残高がたくさんある人なら住宅ローンが有利に組めるということです。

これが最大のメリットになりますね。

また、保証料や繰り上げ返済手数料が無料などの特徴もあります。

銀行からすれば預金残高が担保みたいなものですから、貸倒れのリスクが減るのがメリットなのでしょう。

もともとは東京スター銀行がはじめた住宅ローンの仕組みですが、人気となったことでJAバンクなど今ではいくつかの銀行が同様な仕組みを提供していますね。

預金あるなら住宅ローンを組まなくても・・・

預金があるなら住宅ローンを組まなくても。。。って思われる方も多いと思います。

これは組んだ方がトクなケースが多いんですよ。

なぜなら条件を満たせば住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)を受けられるためです。

つまり、住宅ローンを組むことで所得税や住民税が安くなるんですよ。

当然、預金で家を買ってしまえば住宅ローン減税は受けられません。

ですからお金があってもあえて住宅ローンを組む方が多かったんのです。

本来、住宅ローン減税は住宅ローンの利息部分を軽減するための制度ですが、最近の低金利で多くの方は逆ザヤ(減税分の方が大きい)となっていたんですよ。

ですからお金があっても金利を考えても住宅ローンを組んだ方が良かったりしたんですよ。

「預金連動型住宅ローン」を使えば利息部分はさらに減らせますから住宅ローン減税の恩恵をより受けやすくなります。

繰り上げ返済も基本的に同じ考え方ですね。




預金連動型住宅ローンにはデメリットも・・・

ただし、預金連動型住宅ローンは良いことばかりではありません。

デメリットも存在します。

金利が高め

一般的に預金連動型住宅ローンは金利が高めに設定されているケースが多いです。

そもそも銀行は利息及び手数料で儲けています。

預金があれば確かに貸倒れ(回収できない)リスクは軽減できますが、金利が取れなければ儲けられませんよね。

ですから高めに設定されているのです。

例えば東京スター銀行の場合、預金残高があればそれでも基本金利が掛からず、特約金利(東京スター銀行の場合:年率0.300%~0.702%)だけで済みますから低い水準とはなりますが、預金残高がない方だと基本金利もプラスされ逆に金利が高く付いてしまうということになってしまうのです。

事務手数料は融資額にかかる

また、手数料も高くなりがちです。

住宅ローンを借りるときには事務手数料が掛かります。

その事務手数料の多くは融資額に対しての定率となっているんですよ。

お金がない分だけ融資してもらう一般的な借り方と比べて「預金連動型住宅ローン」の場合は融資額が高くなりがちです。

融資額が高くなれば定率で計算される事務手数料も高くなりますね。

預金連動型住宅ローンを利用するなら総額で計算してみよう

「預金連動型住宅ローン」の仕組みだけをみるとかなり魅力的に映ると思いますが、今までみてきたようにもともとの金利が高く設定されていたり、事務手数料が高くなりがちというデメリットがあります。

トータルでどれだけ掛かるのか、住宅ローン控除なんかも絡めてしっかり検討することが大事でしょうね。

投資に回したほうがお得なケースも

現在の低金利を考えるとお金に余裕があるならその余裕部分を投資に回したほうがプラスになるケースも多いでしょう。

それならあえて預金連動型住宅ローンを使うよりも低金利の住宅ローンを借りて、普通に投資したほうが良いですよね。

年3%で運用した場合の例

例えば預金10,000,000円を年利3%で20年投資できた場合で考えて見ましょう。

この場合、20年後には18,061,112円となっています。

つまり、1.8倍になっているんですよ。

利益だけでも800万ほどとなります。(利確した年には税金が20.315%別途引かれます)

これと預金連動型住宅ローンを利用して安くなる利息を比較するのです。

年利3%ってなかなか難しいだろ。

素人にはムリと考える方も多いかもしれません。

しかし、現実的で無理のない水準なんですよ。

GPIFの例

例えば日本の年金等を運用しているGPIFの過去からの収益率は年率3.79%(2021年度第3四半期まで)です。

GPIFは下記のようなかなりわかりやすいアセットアロケーション(資産配分)をしています。

  • 国内債券25%+-7%
  • 国内株式25%+-8%
  • 外国債券25%+-6%
  • 外国株式25%+-7%

つまり、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式を1/4ずつ買っているだけです。

これを真似ているだけで過去の数字としてはそれくらいの数字は記録できたんですよね。

投資信託なんかを使えばこのような比率で投資をすることは難しくありません。

GPIFIの投資の真似方などはこちらの記事を御覧ください。




元祖:東京スター銀行の「スターワン住宅ローン」は新規受付停止

ちなみに「預金連動型住宅ローン」の元祖である東京スター銀行の「スターワン住宅ローン」は2022 年 1 月 31 日(月)17:00 をもって新規受付を停止しています。

新規受付を停止する理由は公開されていませんが、「預金連動型住宅ローン」を使うまでもなく低金利の住宅ローンは他社で多く存在しており、あまり儲からなかったのかもしれませんね・・・

JAバンクや山陰合同銀行などが提供する同様な「預金連動型住宅ローン」は健在ですので仕組みが問題になったわけではなさそうです。

東京スター銀行では資産形成プランにシフト

ちなみに東京スター銀行では「資産形成プラン」として東京スター銀行での資産形成プラン対象商品を利用することで金利を引き下げる仕組みに力を入れているようです。

例えば以下の条件を満たすと全期間の金利が1.55%引き下げられます。

ご契約までに以下の1~2のいずれかの条件を満たす方
1積み立て商品を毎月合計30,000円以上の申し込み、もしくは引き落としを確認できた方
2資産運用商品を合計300万円(30,000通貨単位)以上の申し込み、もしくは保有を確認できた方
積立商品は投資信託、外貨普通預金。資産運用商品は投資信託、外貨定期預金、外貨仕組預金、円仕組預金となっています。
今後はこういった投資商品とのセット売りみたいな売り方が増えてくるかもしれませんね。
東京スター銀行はわかりませんが、銀行の投資信託などはかなり信託報酬が高いものを売りつけるケースが目立ちますのでお気をつけください。




まとめ

今回は「資金に余裕があるなら預金連動型住宅ローンの利用がお得?メリット、デメリットを考えてみた」と題して預金連動型住宅ローンについてみてきました。

たしかにお金に余裕がある人は預金連動型住宅ローンが魅力的に映ると思います。

しかし、一般的な住宅ローンと比べてベースの金利が高めだったりといったデメリットもあります。

また、投資をした場合なども考えておきましょう。

そのあたりをしっかり加味した上で検討してみてくださいね。

元祖である東京スター銀行が撤退していますし、銀行からしてもそこまで儲からなかったのかもしれません・・・

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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