お金に余裕があれば住宅ローンの繰り上げ返済した方がよいのか?

読者様からご質問をいただきました。

住宅ローンを借りていますが、相続でまとまったお金が入ってきました。
繰り上げ返済したほうがよいのでしょうか?
今回は住宅ローンの繰り上げ返済について考えて見ましょう。

住宅ローン控除期間中の繰り上げ返済

まず、住宅ローン控除の期間から考えて見ましょう。

結論から言えばこの期間は繰り上げ返済しないほうがお得なケースが多くなります。

まずは住宅ローン減税(控除)制度の概要から見てきましょう。

住宅ローン減税(控除)制度とは

住宅ローン減税(控除)は住宅ローンを借入れて住宅を取得する場合に、取得者の金利負担の軽減を図るための制度です

具体的には毎年年末時点の住宅ローン残高又は住宅の取得対価のうちいずれか少ない方の金額の1%がに当たる金額を税金額から控除できます。

住宅ローンの金額は大きいですから1%でもかなり多くの節税となるのです

それが10年間適用されます。

なお、正式名称は「住宅借入金等特別控除」です。

住宅ローン減税の計算

住宅ローン減税イメージ

出典:国土交通省 住宅ローン減税制度の概要 より

住宅ローン減税の税額控除の基本的な計算方法は以下のとおりです。

毎年年末時点の住宅ローン残高又は住宅の取得対価のうちいずれか少ない方の金額の1%(上限40万円)
殆どの場合、毎年年末時点の住宅ローン残高の方が住宅の取得対価より少ないでしょうから年末時点のローン残高の1%が控除対象ということになります。
例えば2,000万円が毎年年末時点の住宅ローン残高ならその1%ですから20万円が所得税から控除できるのです。
また、所得税から控除しきれない(所得税より控除額が多い)場合は住民税から控除もされます。
なお、住民税からの控除の上限は年13.65万円(前年度課税所得✕7%)となっています。

繰り上げ返済すると住宅ローン控除が減る

年末時点の住宅ローン残高で控除額が決まりますから返済をすればするほど控除額が減っていくんですよ。
つまり、繰上げ返済などをすると住宅ローン控除の適用される金額も減っていくのです。
ただし、住宅ローン控除は支払った税金以上の控除はできません。
そのため、税金(所得税、住民税)が少ない場合は繰り上げ返済してしまった方が利息が低くなります。
ですから住宅ローン控除が残っている期間は、住宅ローン控除で適用される金額と繰り上げ返済で減る利息。
そのあたりを天秤に掛けて検討してください。
現在の低金利状況では多くの場合、
繰り上げ返済はしてしまうよりも住宅ローン控除の適用を受けたほうが得となるケースが多い
となるのです。
変動金利の場合で金利がこれから急激にあがってこれば話は変わってきますが・・・

住宅ローン控除は2021年までは特例あり

なお、住宅ローン控除の適用が受けられる期間は本来10年間です。

しかし、消費税が8%から10%に増税される際に住宅需要が大きく落ち込まないように時限付きで13年間控除が受けられる特例が導入されています。

ちなみに3年間分の控除が受けられると消費税増税の2%分くらいの金額となる計算となっています。

つまり、消費税は増税されていますが、消費税増税の分の控除を増やしてくれているのです。

ただし、これは期限付きなんですよ。

ちょっとわかりにくいので表にまとめると以下の通りとなります。

※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。

契約入居
注文住宅の新築の場合令和2年10月1日から令和3年9月30日まで令和3年1月1日から令和4年12月31日
分譲住宅の取得等の場合令和2年12月1日から令和3年11月30日まで令和3年1月1日から令和4年12月31日

つまり、注文住宅の新築の場合は2021(令和3年)9月30日まで、分譲住宅の取得の場合、2021年(令和3年)11月30日までに契約をして入居を2022年(令和4年)12月31日までに終えれば13年間控除できるのです。

※もともとの期限は新築は令和2年9月、それ以外は令和2年11月末までに契約した方まででしたが、新型コロナウィルスの影響もあり、新築(注文住宅)の場合は令和2年10月から令和3年9月末まで、それ以外の場合は令和2年12月から令和3年11月末までに契約した場合は令和4年末までに入居した方も特例の対象となっています。

3年間の控除があるかないかはかなり大きいですよね。。。

詳しくはこちらの記事を御覧ください。


住宅ローン控除終了後の繰り上げ返済

それでは住宅ローン控除終了後はどうでしょう?

投資等をしないなら繰り上げ返済したほうがお得

後述する投資等をしないなら繰り上げ返済した方がお得です。

例えば3000万円の住宅ローンを30年で0.5%で組んでいたケースです。

住宅ローン控除が終了する時点で1,000万円を繰り上げ返済すると利息部分が軽減され総返済額は75万円ほど少なくなります

つまり、繰り上げ返済をすることで利息を節約できたということになるのです。

投資資金に回して運用した方がお得なケースも多い

ただし、現在の低金利を考えるとその繰り上げ返済する余裕のある部分を投資に回したほうがプラスになるケースも多いでしょう。

例えば繰り上げ返済予定の10,000,000円を年利3%で20年投資できた場合で考えて見ましょう。

この場合、20年後には18,061,112円となっています。

つまり、1.8倍になっているんですよ。

利益だけでも800万ほどとなります。(利確した年には税金が20.315%別途引かれます)

繰り上げ返済して安くなるのは75万円でしたからその差は725万円あります。

年利3%ってなかなか難しいだろ。

素人にはムリと考える方も多いかもしれません。

しかし、現実的で無理のない水準なんですよ。

例えば日本の年金等を運用しているGPIFの過去からの収益率は年率3.37%です。

GPIFは下記のようなかなりわかりやすいアセットアロケーション(資産配分)をしています。

  • 国内債券25%+-7%
  • 国内株式25%+-8%
  • 外国債券25%+-6%
  • 外国株式25%+-7%

つまり、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式を1/4ずつ買っているだけです。

これを真似ているだけで過去の数字としてはそれくらいの数字は記録できたんですよね。

投資信託なんかを使えばこのような比率で投資をすることは難しくありません。

GPIFIの投資の真似方などはこちらの記事を御覧ください。


まとめ

今回は「お金に余裕があれば住宅ローンの繰り上げ返済した方がよいのか?」と題して住宅ローンの繰り上げ返済について見てきました。

結論としては以下の通り

  • 多くの場合、住宅ローン控除期間中は繰り上げ返済しないほうがお得
  • 住宅ローン控除終了後は繰り上げ返済する余裕資金で投資をしたほうがプラス
  • 投資をしないなら住宅ローン控除終了後は繰り上げ返済をしたほうがお得

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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