ソフトバンクグループが国内の上場企業として過去最大の赤字を記録もまだまだ大丈夫な理由

ソフトバンクグループが2022年4~6月期決算(国際会計基準)で純損益が3兆1627億円となったことを発表しました。

これはソフトバンクグループとしても四半期決算としては過去最大ですし、国内の上場企業としても過去最大とのこと。

ここまで大きな赤字だと倒産を心配される方も出てくるかもしれません。

過去にも心配された読者様からの質問に答える形で「すぐに倒産したりするような決算内容ではない」と返答させていたいたことがあります。

今回はこの記事を書いてから2年以上経っていますし、大きな赤字が計上されていますので現状を考えてみたいと思います。

ソフトバンクグループ2023年3月期第一四半期の経営成績

まずは前提となる今回発表された経営成績を確認してみましょう。

ソフトバンクグループ2023年3月期第一四半期の決算

出典:ソフトバンクグループ 2023年3月期 第1四半期決算 投資家向け説明会 プレゼンテーション資料

売上は前年の同期比よりも6.3%増加しています。

しかし、税引前利益も当期純利益も一気にマイナスに転じていますね。

こちらのグラフがわかりやすいですね。

過去からみても大きな赤字であることがわかります。

ソフトバンクグループ2023年3月期第一四半期大赤字

出典:ソフトバンクグループ 2023年3月期 第1四半期決算 決算説明会 プレゼンテーション資料

大きな要因はソフトバンク・ビジョン・ファンド事業となります。

投資事業といえばわかりやすいかもしれません。

この3ヶ月間では投資環境が悪かったので当然といえば当然なんですよ。

なお、経営成績の見方についてはこちらの記事も合わせて御覧ください。

バークシャー・ハサウェイも大赤字

ソフトバンクは大きく騒がれていますが、同じような投資会社はどこも苦労しているんですよ。

例えばウォーレン・バフェットさん率いる「バークシャー・ハサウェイ(BRK)」もこの期間はかなり大赤字となっています。

米著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイが6日発表した第2四半期決算は、米株式市場の急落が響き純損益が438億ドルの赤字となった。

出典:2022年8月6日 ロイター

438億ドルの赤字です。

日本円にするとマイナス59,130億円(1ドル135円換算)とソフトバンクの赤字よりも大きいという笑

それだけ投資会社には厳しい環境下だったと言えるかもしれません。

ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業の利益をほぼ吐き出した

ソフトバンクビジョンの利益はほぼ吐き出した

出典:ソフトバンクグループ 2023年3月期 第1四半期決算 決算説明会 プレゼンテーション資料

また、ソフトバンクグループの過去業績を支えていたソフトバンク・ビジョン・ファンド事業の利益は今回と前四半期決算の赤字で殆どを吐き出してしまっていますね。

1年前には7兆945億円も累計で利益が出ていたんですよ。

ナスダックが厳しい下げだった

ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業は多くをナスダックに上場している企業やナスダックに上場する前のスタートアップなどに投資をしています。

下記のように3ヶ月で22%もナスダック総合指数は下がっていますのである意味当然の閣下なのかもしれません。

ナスダック下落

出典:ソフトバンクグループ 2023年3月期 第1四半期決算 決算説明会 プレゼンテーション資料



ソフトバンクグループ2023年3月期第一四半期の財政状態

次は財政状態を見ていきましょう。

ソフトバンクグループ2023年3月期第一四半期の財政状態

出典:ソフトバンクグループ 2023年3月期 第1四半期決算 決算説明会 第一四半期決算短信

資産合計が大きく下がっています。

これ保有株式の価値が下がったことが大きいですね。

なお、財政状態の見方についてはこちらの記事も合わせて御覧ください。

ソフトバンクGがまだまだ大丈夫な理由

過去最大の赤字を計上。

資産も減っているとなれば単純に考えれば厳しそうな気がします。

ソフトバンクは借金もかなりの金額があることが有名ですしね。

しかし、ぜんぜん安泰なんですよ。

こちらの資料を御覧ください。

ソフトバンク保有株式と夫妻

出典:ソフトバンクグループ 2023年3月期 第1四半期決算 決算説明会 プレゼンテーション資料

保有株式と純負債の関係です。

保有株式は減ってはいるものの21.7兆円あるのに対して純負債は3.1兆円です。

いざとなればこの保有株式を売ればいくらでも借金返せてしまうってことなのです。

アリババの分だけでも4.5兆円ありますからね笑。

ちなみにこのアリババの株の一部は売却予定がすでに発表されており、4兆6000億円の利益が計上される予定とか。

会社の試算ではことし7月から9月までの決算で、およそ4兆6000億円の税引き前の利益が計上される見込みだとしています。

出典:2022年8月10日 NHK ソフトバンクG アリババ株一部手放すと発表 関連会社外れる

つまり、その利益だけでも純負債がまかなえてしまうレベルなんですよ(ソフトバンクGはあらたな投資などをするでしょうが)

ですからソフトバンクが危ういとか厳しいというのはこの決算情報を見る限りないのです。

むしろ、純負債/保有株式の割合は過去よりも減っており、より安泰になったといえるんですよ。

ソフトバンクLTV

出典:ソフトバンクグループ 2023年3月期 第1四半期決算 決算説明会 プレゼンテーション資料

ソフトバンクグループはむしろ割安?

ちなみにソフトバンクの株価と1株あたりのNAVを比較すると以下の通り。

NAVとはソフトバンクが重要指標として挙げているもので、時価純資産のことです。

保有株式から純負債を引いたもので、1株当たりのNAVとはその時点で解散をしたら1株あたりもらえる金額ですね。

それと比較して株価は安いと孫さんは常に言っていますね。

ソフトバンクグルーオプは割安

出典:ソフトバンクグループ 2023年3月期 第1四半期決算 投資家向け説明会 プレゼンテーション資料

たしかに1株当たりのNAVと比較すると半分くらいの株価でしかないんですよ。

ソフトバンクグループ規模で株式を保有していれば、売却すると相場に大きな影響を与えるので、時価の株価ではなかなか売れないでしょうから現実的な数字ではないかもしれませんけどね。



まとめ

今回は「ソフトバンクグループが国内の上場企業として過去最大の赤字を記録もまだまだ大丈夫な理由」と題してソフトバンクグループの決算についてみてきました。

結論は前回見たときと同じですね。

すぐに倒産したりするような決算内容ではない

現状の状況はむしろ安泰で、割安な水準なんですよ。

ただし、今までもずっとそうですが、ソフトバンクグループはかなり身の丈を大きく超えた投資を繰り返す企業です。

ですから投資で失敗を繰り返せば今後はわからないんですけどね。

ソフトバンクグループに投資をする場合にはその辺りも加味しつつ決算内容などを定点観測する必要があるでしょうね。

なお、決算書や四季報はどのように読めばよいのかわからない方はこちらの記事をどうぞ。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。
ソフトバンクグループが国内の上場企業として過去最大の赤字を記録もまだまだ大丈夫な理由
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