最近、ある会社の株が気になっていました。
私の厳し目のルールに久々にひっかかってきた株があったのです。
過去このルールに引っかかった会社の株は軒並み大きく上がっています。
今後も使っていくので詳しいことは書きませんが、かなり厳しい株式指標等でフィルター掛けて下記の羽黒法で中長期の動きを見ています。
その2つが合致した場合だけ買い出動となるのですが、かなり厳しいルールなため滅多に出てこないんですよ。
それが久々に出てきたのです。
ファクタリングとは
まずは今回の話の前提となるファクタリングについて解説しておきましょう
ファクタリングを簡単に言えば債権を期日前に買い取ってくれるサービスです。
債権は将来もらえるお金のことで、このケースでは企業が将来お金をもらえる予定の売上代金の売掛金などですね。
売掛金は企業間の取り決めによって、月末締めの翌月末払いなど入金されるまでに少々時間があります。
それよりも早くお金が必要な場合に、売掛金を受け取る権利を売却するような仕組みですね。
ただし、このファクタリング金融庁も注意喚起を出すちょっと厄介なもののケースもあるのです。
ファクタリングのメリット
ファクタリングを使う企業のメリットとしては早く現金化できるってことですね。
資金繰り的なメリットが大きいです。
財務諸表の数字は悪化しない
また、隠れたメリットもあります。
それは財務諸表上の話です。
ファクタリングは融資ではないので、利用しても有利子負債は増えないんですよ。
財務諸表の見栄えが悪くならないということです。
さらにROA(総資産利益率)などはむしろ借り入れをした場合と比較して良くなってしまったりします。
ファクタリングは、実際には将来もらえるお金の先食いみたいなものですが、財務諸表を悪化させるのを防ぐ効果があるのです。
これは投資側からすると厄介な部分だったりします。
ファクタリングのデメリット
ファクタリングのデメリットは手数料です。
かなり手数料が高い場合が多いんですよ。
私も某ボロ株企業の経理責任者をやっていたときに、資金繰りが厳しかったこともあり何度かファクタリングの営業は受けました。
しかし、とんでもない手数料が高くてびっくりした覚えがあります。
ですから金融機関から簡単にお金を普通に借りられる場合は、資金繰りが厳しくてもわざわざファクタリングを使わないんですよ。
ちなみに大手金融機関などもファクタリングサービスを提供していますが、それでも手数料はかなり高いんですよ。
例えば大手銀行(子会社)が提供するファクタリングの手数料は1%〜10%で業界最安値を謳っていますね。
ちなみに一般的な相場は1%〜30%といわれています。
ファクタリングの手数料は年率ではない
これ数字だけを見るとそこまで高くなさそうですが、手数料ですから年率じゃありません。
期間は関係なく表記の利率が発生します。
年率に換算するとびっくりするくらい高くなるんですよ。
例えば翌月に入る予定の10,000,000円の売掛金があったとしましょう。
そのまま待っていれば1ヶ月後には10,000,000円満額入ります。
しかし、早くお金がほしいために1%〜30%手数料を払って早く入金させているということですね。
例えば一番安い1%で実行したとしても100,000円の手数料を払うことになります。(その他にも印紙代が掛かったり、その他手数料もかかります)
つまり、1ヶ月10,000,000円を早く入金させるために100,000円以上のお金を使ったことになります。
しかし、その売掛金と同じ金額の借り入れをできれば、利息のほうがかなり安く済むはずなんですよ。
例えば10,000,000円を1ヶ月(31日)だけ年3%の利率で借りたら25,479円の利息です・・・
かなり違いますよね。。。。
金融庁も注意喚起
ちなみにファクタリングについては金融庁も注意喚起を出しています。
まず、手数料が高いことについて以下のような注意喚起を出していますね。
ファクタリングにおいて、高額な手数料を支払うと、かえって資金繰りが悪化し、多重債務に陥る危険性がありますので、十分注意してください。
出典:金融庁 ファクタリングに関する注意喚起
また、金融取引でないため貸金業登録を受けてないやばい企業もかなり参入しているとのことへの注意喚起を出していたりします。
そういったリスクも大きいのです。
ファクタリングでも下記のように実質貸付と同様な扱いをされている場合は、貸金業に該当する可能性もあるとのことです。
譲渡した債権の回収(集金)がファクタリング業者から売主に委託されており、売主が集金できなかった場合に、
- 売主が債権を買い戻すこととされている
- 売主自身の資金によりファクタリング業者に支払をしなければならないこととされている
などといったようなものについては、貸金業に該当するおそれがあります
出典:金融庁 ファクタリングに関する注意喚起
なぜ私がファクタリングを利用している企業へ投資をしないのか
私の判断では、ファクタリングを利用している企業は投資対象から外します。
それはなぜなのでしょう?
資金繰りがやばい可能性がある
まず最大のポイントはファクタリングを使わざるえないほど資金繰りがやばい可能性があるということです。
銀行借入れをすれば安い利率でお金を借りられるのに、わざわざ高い手数料を出してお金を工面しているということですからね。
借り入れの利率レベルで低い手数料のファクタリングなら問題ないでしょうが、売掛金が大手しか無いとかでない限りないでしょう・・・・
普通に考えれば可能性として考えられるのは2つ。
- 急にお金が必要な事案が出てきて、銀行借入れが間に合わなかった。
- 銀行が貸してくれない
その会社の財務諸表を見る限り、そこまで資金繰りに窮している感じはありませんでしたので、前者の可能性が高そうですが・・・
それでも資金計画や事業計画とかが杜撰であるとも言えなくもないので、どちらにしても微妙な状況にあることは間違いないのです。
利率に対する意識が低い
もう一つは利率に対する意識が経営者、経理責任者などが低い可能性が高いことです。
○%の数字だけみるとファクタリングもそこまで高くはありません。
ですからそこまで数字に強くない経営者などだと、意識せず利用してしまう可能性があるのです。
一回だけどうしても必要なときだけ使うというならそこまで問題ないでしょうが、継続して使うならかなり高い利息でお金を借りていると同じですから金融庁が指摘するようにかえって資金繰りが悪化してしまいますからね。
ですからそのような意識の低い経営陣のいる投資対象として不適格としかいいようがありません・・・
私がいたボロ株企業の社長もそのタイプで、私が説得しなければファクタリングを利用していましたね・・・
ファクタリング利用企業の見極め方
それではファクタリングを利用している企業の見極め方を見ていきましょう。
財務諸表をさらっとみるだけではわからないんですよ。
前述のようにファクタリングは融資ではないので、利用しても有利子負債は増えないですし、財務諸表は悪化しないんです。
それでも確認する点はあります。
ファクタリングの会計処理
まず、ファクタリングの会計処理(仕訳)は以下の様になります。
※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。
勘定科目 | 借方 | 勘定科目 | 貸方 |
現金預金or未収入金 | ☓☓☓ | 売掛金 | ☓☓☓ |
売上債権売却損(営業外費用) | ☓☓ |
つまり、ファクタリングの手数料部分が営業外費用にあがってくるということですね。
企業が発表している財務諸表では細かい勘定科目まではわからないケースが多いですが、営業外費用の金額はわかります。
ですからまず営業外費用が多くなっていないかを確認することがポイントです。
また、未収入金があまりに多いとかも注意する必要があるかもしれません。
未収入金自体は本来そこまで多額の金額が計上される項目ではありませんからね。
指標での異常を確認
また、ファクタリングを利用すると売掛金の動きが変わるはずです。
ですから売掛金に関する指標である「売掛債権回転率」や「売掛債権回転期間」などの指標に大きな変化が生じます。
このあたりもわかりやすいポイントですね。
ただし、継続してファクタリングを利用してれば変化は起きませんのでこれで判断は難しいかもしれません。
同業他社と比較してみるとわかりやすいかもしれません。
ちなみにこのあたりの指標に大きな動きがあるのは、粉飾決算をしている場合でもよくある話ですので合わせてチェックできますね。
財務諸表の定性的情報など
また、財務務諸表そのものには見えてこなくても、財務諸表の定性的情報や個別注記表にファクタリングについて記載しているケースもあります。
私が今回取り上げた企業は「財政状態に関する説明」にファクタリングについての記載がありましたね。
まとめ
今回は「【財務分析】ファクタリングを利用している企業に注意しよう。」と題してファクタリングについて見てきました。
あくまで私の考え方ですが、ファクタリングを利用している企業への投資は避けますね。
今後、手数料がかなり安いファクタリングがでてこれば別ですが・・・
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