証券会社各社の投資信託のページにいくと信託報酬率などと並んで「トータルリターン」や「基準価額騰落率」が表示されています。
この2つかなり似ていますのでちょっとわかりにくいんですよね。
読者様からご質問をいただきましたので今回は「トータルリターン」と「基準価額騰落率」についてわかりやすく解説していきます。
トータルリターンとは
まずは「トータルリターン」から見ていきましょう。
SMBC日興証券ではこちらのように説明していますね。
トータルリターン(Total Return)とは、一定期間内に投資商品への投資から得られる総合収益を指します。これにはキャピタルゲイン(譲渡益)だけでなく、再投資された分配金(インカムゲイン)などが含まれます。こうした利益の合計額を投資コスト(購入価格)で割ってパーセンテージで表すことが多く、総収益率ともいいます。
トータルリターンは、投資信託の運用成績を表す際に用いられます。分配金を全て再投資したと仮定し、ある一定期間の分配金込みの基準価額の騰落率を年率で表します出典:SMBC日興証券 トータルリターン
つまり、その投資信託を保有し続けたらどれだけその期間で利益(損失)が得られたかを示します。
投資信託の過去の成績を見る場合なんかに使われますね。
トータルリターンの計算式
なお、トータルリターンの計算式は以下の通り。
例えば1年前に100万円で購入したものが、110万円に値上がり。
さらに1万円の分配金があって全く売ってない場合には110万円+1万円-100=11万円となります。
パーセンテージにする場合には11万÷100万で11%となります。
騰落率とは
次に騰落率を見ていきましょう。
同じくSMBC日興証券ではこちらのように説明していますね。
騰落率とは、ある期間の始めと終わりとで価格がどれだけ変化したかを表すものです。例えば、価格が100円の運用商品が105円になれば5%の上昇、90円になれば10%の下落となります。
株式や債券の場合は、1日の騰落率を評価するのが一般的ですが、投資信託では、1カ月、3カ月、6カ月、1年、3年、5年と中長期の騰落率も評価します。出典:SMBC日興証券 騰落率
つまり、どれだけ価格が変化をしたのかを表すのが騰落率です。
トータルリターンと似てはいますが考え方は違うんですよ。
騰落率の計算式
騰落率の計算式は以下のとおり。
例えば1年の騰落率なら1年前の基準価額(100万円)から当日が110万円を引いたものを100万円で割ることになります。
つまり、騰落率は10%となります。
トータルリターンと騰落率の違い
トータルリターンと騰落率は今まで見てきたようにかなり似た指標ですが考え方が少し違います。
- トータルリターンはその投資信託を保有し続けたら一定期間にどれだけ儲かった(損した)のかを表す
- 騰落率はその投資信託が一定期間にどれだけ上がった(下がった)のかを表す
つまり、騰落率は投資信託自体のリターンを測るもの。
トータルリターンは投資家のリターンを測るものと捉えればよいでしょう。
ですから基本的にはトータルリターンを優先して見るとよいかもしれませんね。
ちなみにトータルリターンは通知しなさいと自主規制機関の日本証券業協会が定めていたりします。
(投資信託等の損益の通知)
第 23 条の2 協会員は、顧客から保管の委託を受けている又は振替口座簿への記載若しくは記録により管理している投資信託等について、別表に定めるところにより、顧客に当該投資信託等に係る損益を通知しなければならない。出典:日本証券業協会
なお、前述のよう多少考え方の違いはありますが、計算式自体は比較すると表現こそ違えどそれほど変わりません。
しかし、なぜかトータルリターンと騰落率が結構ずれているケースがあります。
それはなぜなのでしょう?これにはいくつかの理由があります。
例えば本日現在で「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」の3年騰落率を見ると+77.14%となっていますが、トータルリターン3年は+19.55%です。
57.59%もずれているんですよ。
計算期間が異なっている
1つ目の理由は計算期間が異なっている事によるものです。
騰落率はその日から○ヶ月(年)前の基準価額に対して、算出します。
一方、トータルリターンは直近月末(前月末)の基準価額と○ヶ月(年)前の月末(前月末)基準価額をもとに算出します。
つまり、その日からみるのか、月末から見るのかのタイミングが違うんですよ。
ここが騰落率とトータルリターンがズレるまず大きな部分ですね。
分配金
「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」は分配金を出していないので関係ありませんが、分配金の違いもあります。
分配金を出すと投資信託はその分だけ基準価格が下がります。
基準価格が下がれば当然、騰落率も下がりますよね。
一方、トータルリターンは分配金も含めていますので(再投資したと仮定して算出)そこでも違いがでてきます。
年率表記
もう一つ大きな違いがあります。
騰落率はその期間の騰落を表します。
例えば3年騰落率なら3年間でどう動いたかってことですね。
一方、トータルリターンは証券会社にもよりますが、多くの場合年換算となっているのです。
つまり、3年分の動きをまとめて表記したのか、1年辺りに換算したのかの違いですね。
まとめ
今回は「トータルリターンと騰落率ってどう違うの?わかりやすく解説」と題してトータルリターンと騰落率についてみてきました。
よくトータルリターンや騰落率が高い投資信託は買いと思ってしまう方が見えますがそれはなんとも言えません。
あくまでも過去の成績がよかったに過ぎないのです。
例えば話題になった投資信託で言えばレバナス(iFreeレバレッジNASDAQ100など)というものがあります。
NASDAQにレバレッジをかけた運用を目指すという投資信託でトータルリターンや騰落率がかなり高く話題になっていました。
しかし、2022年9月30日時点のトータルリターンは1年-48.26%、6ヶ月–48.71%、1ヶ月-19.48%となっており、かなり苦しい状況になってしまっているのです。
過去良かったから今後も良いとは限らないという良い例かも。
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