少子化対策の財源は経団連の提言のとおり消費税が妥当だと思う理由

岸田政権が掲げる「異次元の少子化対策(次元の異なる少子化対策)」の施策の内容はさておきその財源に大きな注目を集まっています。

社会保険を充てようとしているというのです。

経団連が消費税を財源も・・・って発言したところ、大炎上しています。

しかし、個人的な見解としては社会保険を充てるのはかなりの愚策で、どうしても実現したいなら消費税が妥当だと思うんですよ。

今回は少子化対策の財源が社会保険となった場合の問題点について考えてみたいと思います。

次元の異なる少子化対策の施策のたたき台(試案)

まずは今回の話の前提となる「異次元の少子化対策(次元の異なる少子化対策)」の施策のたたき台(試案)について見ておきましょう。

児童手当の拡充

まずは児童手当の拡充が挙げられています。

所得制限を撤廃して、支給期間を高校卒業まで 延長するとともに、多子世帯が減少傾向にあることや経済的負担感が多子になるほど強 いこと等を踏まえ、手当額についても、諸外国の制度等も参考にしつつ、見直しを行う。

出典:こども制作担当大臣 こども・子育て政策の強化について(試案)

ちょっとわかりにくいですが、3つの内容が含まれています。

  • 1つ目が所得制限を撤廃
  • 2つ目支給期間を高校卒業まで延長
  • 3つ目が多子を優遇

というものです。

出産時の経済的負担軽減

次が出産時の経済的負担軽減です。

これまで実施してきた幼児教育・保育の無償化に加え、支援が手薄になっている妊娠・ 出産期から2歳までの支援を強化する。令和4年度第二次補正予算で創設された「出産・ 子育て応援交付金」(10 万円)について、制度化等を検討することを含め、妊娠期からの伴走型相談支援とともに着実に実施する。また、令和5年4月からの出産育児一時金の大幅な引上げ(42 万円→50 万円)及び低所得の妊婦に対する初回の産科受診料の費用助成を着実に実施するとともに、出産費用の見える化について令和6年度からの実施に向けた具体化を進める。その上でこれらの効果等の検証を行い、出産費用(正常分娩) の保険適用の導入を含め出産に関する支援等の在り方について検討を行う。

出典:こども制作担当大臣 こども・子育て政策の強化について(試案)

こちらも複数の内容が盛り込まれていますね。

  • 出産・子育て応援交付金の制度化
  • 出産育児一時金の引き上げ
  • 低所得の妊婦に対する初回の産科受診料の費用助成
  • 出産費用(正常分娩) の保険適用の導入

個人的に反対の内容もありますが、今回の趣旨とは外れますので紹介だけにしておきましょう。

医療費等の負担軽減

次は医療費等の負担軽減です。

こども医療費助成について、国民健康保険の減額調整措置を廃止する。あわせて、適正な抗菌薬使用などを含め、こどもにと ってより良い医療の在り方について、今後、国と地方の協議の場などにおいて検討し、 その結果に基づき必要な措置を講ずる。学校給食費の無償化に向けて、給食実施率や保護者負担軽減策等の実態を把握しつつ、 課題の整理を行う。

出典:こども制作担当大臣 こども・子育て政策の強化について(試案)

高等教育費の負担軽減

次は高等教育時の問題です。

こちらも複数の内容が挙げられていますね。

長いのでポイントだけ抜粋すると

  • 貸与型奨学金について、減額返還制度を利用可能な年収上限を 325 万円から 400 万円に引き上げ
  • 貸与型奨学金について、出産や多子世帯への配慮など、子育て時期の経済的負担に配慮した対応
  • 授業料等減免及び給付型奨学金を多子世帯や理工農系の学生等の中間層(世帯年収約 600 万円)に拡大
  • 授業料後払い制度(仮称)を修士段階の学生を対象として導入

こちらも個人的に反対の内容もありますが、今回の趣旨とは外れますので紹介だけにしておきましょう。

子育て世帯に対する住宅支援の強化

次は住宅支援です。

こちらも複数の内容が挙げられていますね。

長いのでポイントだけ抜粋すると

  • 子育て環境の優れた地域に立地する公営住宅等の公的賃貸住宅を 対象に、子育て世帯等が優先的に入居できる取組
  • 空き家の改修や子育て世帯の入居を拒まないセーフティネ ット住宅など既存の民間住宅ストックの活用
  • 住宅金融支 援機構が提供する長期固定金利の住宅ローン(フラット 35)について、住宅の広さを 必要とする多子世帯に特に配慮しつつ、支援の充実
  • 集合住宅の入居者等への子育て世帯に対する理解醸成や、子育て世帯に対 して入居や生活に関する相談等の対応を行う居住支援法人に重点的な支援

こちらも個人的に反対の内容もありますが、今回の趣旨とは外れますので紹介だけにしておきましょう

サービスの拡充

こども・子育て世帯を対象とするサービスの拡充も掲げれれています。

こちらも複数の内容が挙げられていますね。

多いのでポイントだけ抜粋すると

  • 伴走型相談支援
  • 産後ケア事業の実施体制
  • 国立成育医療研究セ ンターに、「女性の健康」に関するナショナルセンター機能をもたせる
  • 1歳児及び4・5歳児の 職員配置基準について1歳児は6対1から5対1へ、4・5歳児は 30 対1から 25 対1 へと改善
  • 保育士等の更なる処遇改善
  • 未就園児のモデル事業の拡充
  • 放課後子ども総合プラン(2019 年度~2023 年度)による受け皿の拡大

かなりいろいろ予定されていますが・・・ちょっと気になるところもあります。

育休

育休を取りやすくする取り組みも盛り込まれています。

具体的には

  • 国・地方の公務員の男性の育休取得率の目標を引き上げ
  • 産後パパ育休の給付率8 割程度(手取りで 10 割相当)へと引き上げ
  • 雇用保険が適用されていない週所定労 働時間 20 時間未満の労働者の育児期間に係る保険料免除措置の創設に向けた検討
  • 自営業・フリーランス等の育児期間に係る保険料免除措置の創設に向けた検討

これはよいのではないでしょうか。



社会保険が財源となった場合の問題点

それでは本題、社会保険が財源となった場合の問題点について考えてみましょう。

一言で言えば

子育て世帯の手取りが減っちゃう

ってことに尽きます。

せっかくいろいろな少子化対策をしたところで自分の給料の手取りが減ってしまえばこどもを作りたいという意欲が乏しくなるので意味があまりないんですよ。

消費税を財源とすべきと考える理由

個人的に少子化対策をどうしても実行するなら消費税を財源とスべきと考えます。

消費税を上げるとなると抵抗感が強いでしょう。

しかし、消費税のほうが社会保険や他の税金よりも公平という部分があるのです。

すでに現役世代の負担がかなり高い水準まで来てしまっているんですよ。

国民負担率は46.8%

厚生年金は給料から天引されていますのであまり認識の無い方が多いですが、同じく厳しくなっている健康保険や介護保険と合わせて年々負担割合が増えてしまっているのです。

国民負担率という国民全体の所得に占める税金と社会保障費の負担割合をみると令和5年度で46.8%まで増えているんですよ。

財政赤字分を含んで算出した「潜在的な国民負担率」は新型コロナ対策でお金をばらまいた影響もあり53.9%と大きく50%を超えてしまっています。

それだけ少子高齢化による健康保険や介護保険、年金の負担がすでにおおきくなっているんです。

その上にさらに負担を増やすというのは・・・

高齢者世帯からお金を徴収するなら消費税か資産課税しかない

厚生年金、健康保険、介護保険などの社会保険が上がれば負担が増えるのは所得のある現役世代の方です。

現役世代の負担が増えれば一番消費意欲の多い世代ですから、国全体の消費が減ってしまう可能性が大きくなります。

さらにお金がないということから子供を作れず少子高齢化にさらに拍車が掛かります。

そうなればさらに年金等が厳しくなり負担が増えてしまうという悪循環が繰り返されてしまうのです。

逆に厚生年金、健康保険、介護保険が上がってもすでに年金等の恩恵を受けている高齢者世帯はほとんど負担が増えません。

そもそも年金しか所得がなければ所得税、住民税、厚生年金、健康保険、介護保険等は少ないですからね・・・

しかし、消費税なら高齢者世帯も消費すれば使いますからある意味公平なんですよね。

他に高齢者世帯の税等を増やそうとすれば不動産などの資産課税や金融所得などへの課税しか難しいですね。

資産課税等を強化すれば現役世代の成り上がるすべがかなり少なくなってしまいますから両刃の剣となります。

高齢者は貯蓄が増え、現役世代は増えが鈍化

世帯主の年齢階級別貯蓄・負債現在高の推移

出典:総務省統計局 家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)

上記の図は2人以上世帯の年代別貯蓄の推移です。

これを見れば現状がわかっていただきやすいかもしれません。

平均貯蓄は増加傾向になります。

しかし、2020年をみると現役世代の40歳未満の貯蓄はそれほど増えていないんですよ。

逆に60歳以上はもっとも伸びが大きいという。。。。

これは現在の負担が現役世代にかなり負担となっていることが大きいと思われます。

ですから少子化対策するなら高齢者にも負担してもらいましょうというのが消費税を財源にすべきという理由なのです。



まとめ

今回は「少子化対策の財源は経団連が提言のとおり消費税が妥当だと思う理由」と題して少子化対策の財源を社会保険にするという話をみてきました。

しかし、それは個人的に大反対です。

どうしても大規模な少子化対策をしたいならその財源はすべての世代が負担が必要な消費税とすべきと考えます。

たしかに消費税を上げれば消費が落ち込むなどマイナス面も大きいでしょう。

しかし、現在の仕組みでいけば現役世代の手取り収入が減ってしまうということになりますから結局は同じなんですよ。

それなら高齢者にも負担が出てくる消費税の方が公平性が高くよいのでは?と感じています。

現役世代におんぶに抱っこから高齢者の方にも負担してもらうという考えに変えるということになります。

選挙に行く方は高齢者が多く、消費税や年金の話題がでると政権の安定性が揺らぐなんて話もある政治家からすればあまり触りたくない部分です。

しかし、これからの日本の少子高齢化を考えると避けては通れない問題。

ぜひ逃げずにこういう機会にこそ真剣に議論してほしいなって思います。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。
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