給料から引かれている税金、社会保険をわかりやすく解説。社会人なら知っておきたいお金の基礎知識

読者様からご質問をいただきました。

要約すると以下のような内容。

「最近転職したのですが、給料の額面はあまり変わらないのに手取りが大幅に増えています。会社によって社会保険が違うのでしょうか?給料から引かれる社会保険の内容を解説してほしいです。」
給料から天引きされる社会保険などの内容について知りたいということですね。
今回は給料から引かれる社会保険、税金などについてわかりやすく解説していきます。
これってとても重要なことですが、学校では教えてくれませんし、自分で勉強するしかない社会人なら知っておきたいお金の基礎知識なんですよ。

給料から天引される税金、社会保険はなにがあるか?

それでは給料から天引きされる税金、社会保険について見てみましょう。

  • 所得税(復興特別所得税)
  • 住民税
  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金
  • 雇用保険

以上が給料から天引きされる税金及び社会保険です。

所得税と住民税が税金。

健康保険、介護保険、厚生年金、雇用保険が社会保険ですね。

会社によってはこれ以外に財形貯蓄持株会、◯◯積立、組合費などが天引きされているケースもあります。

順番に詳しく見ていきましょう。

給料から天引きされる所得税

まずは所得税です。

所得税は名前のとおり、所得に対して掛かってくる国に対して支払う税金です。

所得税は1年間の所得を元に年末調整もしくは確定申告で確定します。

ですから毎月の給料から天引きされる金額は仮で徴収されるものとなります。

源泉所得税ともいわれますね。

なお、現在は東北の地震に掛かったお金を復興特別所得税としてみなさんが負担していますので、2037年まではそちらも加算されています。

天引きされる所得税の計算方法

所得税の天引きされる金額の計算は簡単です。

その月の社会保険料等を控除した給料額と扶養親族で以下の表に当てはめるだけです。

前述したようにあくまで仮の金額で最終的には控除等を考慮した上で年末調整もしくは確定申告で確定しますので多くの方は少し余分に取られている感じになりますね。(年末調整で還付されるのはそのため)

なお、2024年は歴史的な愚策と名高い定額減税が実施されますので、引かれる所得税、住民税は少し少なくなります。




給料から天引きされる住民税

次に住民税です。

住民税とは市町村民税都道府県税のことで合わせて住民税と呼ばれます。

市と県に支払う分の所得税みたいなものです。

ですから所得で決まってきます。

なお、住民税の支払い方法は2つのパターンがあり、給料から天引きされていない方も見えます。

住民税は納付方法に普通徴収と特別徴収がある

  • 普通徴収・・・自分で納付
  • 特別徴収・・・会社の給料から天引

給料をもらっている方は基本的に特別徴収となりますが、確定申告の際に自分で納付(普通徴収)にチェックを入れると普通徴収として自分で納付できるようになります。

後日、普通徴収の納付書が来て自分で納付が必要ですからプラスマイナスはないのですが。。。

ちなみに会社に内緒で副業をやっている方がバレてしまう主な理由が住民税の特別徴収ですね。

会社にバレたくないなら普通徴収を選択しましょう。

住民税は支払う時期にズレがある

住民税はちょっとややこしい点があります。

住民税は昨年の分を1年掛けて支払う仕組みになっているんですよ。

所得税はその月の仮の税額を納付する形でしたが、住民税は決定した昨年分の税金分を支払います。

具体的には会社員の場合には6月から翌年5月の給料から昨年分の住民税が引かれます。(特別徴収の場合)

例えば2023年分の住民税は2024年6月〜2025年5月に払うのです。

住民税はあまり気にしない方も多いですが、税率もそれなりに高いですし、時期が1年近くずれますので計画的に払っておく必要があるでしょう。

稼いだ時期と納税する時期がかなりズレているため、住民税を全く意識せず生活していると住民税を払うために借金をするなんて方も・・・

プロ野球選手が引退すると後から住民税の納付書がきて困るなんて話もよく聞きますね。

転職した場合の住民税はややこしい

なお、住民税は退職や転職したときもややこしい扱いとなります。

退職時にすでに転職先が決まっていて手続きを踏めば特別徴収を継続できますが、それ以外の場合は以下の扱いとなります。

1月1日〜5月31日の退職

この場合は残りの住民税は最後の給料から一括で徴収されます。

最後の給料の金額が残りの住民税で足りない場合は普通徴収となり自分で納付する形となります。

6月1日〜12月31日の退職

退職月の住民税まで給料から天引きされ、残りは普通徴収となります。

後日納付書が届きますのでご自身で支払うことになります。

そのため、今回ご質問いただいた読者様の場合は退職のタイミングによっては住民税の負担が無くなっているから天引きが少なくなったかもしれません

天引きされる住民税の計算方法

天引きされる住民税は所得税と違い確定値です。

昨年の所得に対して計算された金額を天引きされます。

詳しくは5月中旬から下旬に渡される住民税決定通知書をご確認ください。

また、住民税が高いな・・・と感じる方は多いようですが、そんな方は以下の記事を合わせて御覧ください。




給料から天引きされる健康保険

次は健康保険です。

健康保険も少々ややこしい仕組みです。

健康保険と一括に言っても実は種類がいくつかあるんですよ。

健康保険の種類

健康保険は大きく分けて3種類。

さらに運営母体などにより細かく分かれています。

会社員の方が加入するのは「組合健保」、「協会けんぽ」となります。

組合健保

組合健保は大企業もしくはそのグループ企業、業界団体などが共同して保険者となって設立された組合が母体となった被用者保険です。全国に約1,400の健康保険組合が存在し、約10万社、2,914万人が加入しています。(平成28年3月時点)

ただし、あまり業績がよくない健康保険組合が多くなっています・・・
なお、健康保険組合はそれぞれが独自に運営していますから健康保険組合によって保険料も違いますし、給付内容なども違いますね。
高齢者が多く所属する健康保険組合よりも、若い方が多く所属するIT系などの健康保険組合の方が保険料も安く給付などもよかったりします。
今回、ご質問いただいた読者様の場合は加入する組合健保が変わったため保険料が変わった可能性もあります。

協会けんぽ

協会けんぽは「全国健康保険協会」が運営する健康保険のことです。
組合健保を持っていない企業に勤めている方とその扶養者が加入する形となります。
なお、協会けんぽは都道府県ごとの運営で保険料がかなり違います。
例えば令和2年度の全国健康保険協会発表のデータによると最も高い佐賀県と最も低い新潟県では1.15%も差が開いているんですよ。

例えば標準報酬が30万円の人の場合で見てみます。(標準報酬の平均は30万くらいです)

佐賀県:32,190円。会社負担16.095円、本人負担16.095円
新潟県:28,740円。会社負担14,370円、本人負担14,370円

月々の本人負担で1,725円の差が生じてきます。年間にすれば20,700円の違いとなります。

結構大きな差ですね。

今回、ご質問いただいた読者様の場合に転職した県が異なっていればこれが原因の可能性もあります。

天引きされる健康保険の計算方法

天引きされる健康保険は加入する組合や協会によって金額は違いますが、計算方法は概ね同じです。

ちょっとややこしいですが、健康保険は4月、5月、6月の報酬総額を元に報酬月額を算定します。
それを元に厚生労働大臣は毎年1回、標準報酬月額を決定。
それを下記表にあてはめることで健康保険の金額が計算できるって感じですね。

例えば協会けんぽの場合は以下の表に当てはめて計算ができます。

つまり、健康保険は基本的に4月〜6月の報酬によって決定するということです。
なお、健康保険は会社と本人が折半して支払う仕組みです。
給料から天引きされているのは本人負担分ですが、同じ金額を会社も負担しています。



給料から天引きされる介護保険

次に介護保険です。

介護保険はすべての方が対象ではありません。

40歳から64歳までの方が天引きされます。

なお、介護保険も会社と本人が折半して支払う仕組みです。
給料から天引きされているのは本人負担分ですが、同じ金額を会社も負担しています。

天引きされる介護保険の計算方法

天引きされる介護保険も加入する組合や協会によって金額は違いますが、計算方法は概ね同じです。

こちらは健康保険に介護保険料率がプラスされるだけですから計算方法は全く同じです。
基本的に4月〜6月の報酬によって決定するということですね。
標準報酬月額を元に健康保険でご紹介した保険料額表に当てはめることで計算ができます。
なお、協会けんぽの場合は介護保険料率「1.80%」(令和3年分)となっています。
また、介護保険は市町村運営のため地域差が凄いんですよ。

給料から天引きされる厚生年金

次に厚生年金です。

厚生年金は会社員や公務員の方が加入する公的年金制度です。

強制加入で老後や障害などを抱えた場合に年金が支払われます。

国の年金制度はちょっと複雑で3階建て構造になっています。

厚生年金はその2階建ての部分になりますね。厚生年金を支払っている場合には国民年金も含まれる扱いとなっています。

国民年金は金額が固定ですが、厚生年金は報酬額に応じて増える仕組みとなっています。

たくさん払うことになりますが、その分老後にもらえる金額も増えます。

また、厚生年金も会社と本人が折半して支払う仕組みです。
給料から天引きされているのは本人負担分ですが、同じ金額を会社も負担しています。

天引きされる厚生年金の計算方法

天引きされる厚生年金は健康保険と計算方法は全く同じです。

基本的に4月〜6月の報酬によって決定するということですね。

標準報酬月額を元に健康保険でご紹介した保険料額表に当てはめることで計算ができます。
ちなみに厚生年金は令和2年9月から上限が改定されていますね。



給料から天引きされる雇用保険

最後は雇用保険です。

雇用保険は失業した際などに給付がもらえる国の制度です。

失業したときだけでなく。教育訓練の給付なども充実していますのでうまく活用したいところ。

また、雇用保険も会社と本人が支払うものですが、割合は折半ではありません。
多く会社が負担しています。
一般の事業の場合、全体の雇用保険率は9/1000ですが、本人負担は3/1000で会社負担は6/1000となっています。
 つまり、本人は1/3の負担ってことですね。(事業の種類により多少異なる)

天引きされる雇用の計算方法

天引きされる雇用保険の計算は簡単です。

税金と社会保険料を引く前の給与(額面)に保険料率を掛けることで求められます。

なお、保険料率は下記の表にあるように事業の種類によって異なり、多くの場合は3/1000となります。

つまり、給料額面の0.3%が本人負担の雇用保険ってことですね。

手取りを増やす方法

今まで見てきたように給料から天引きされる税金、社会保険は種類がかなり多いですし、金額もそれなりに行くことがわかっていただけたと思います。

国民負担率は年々上がっていますしね。

それではそれら天引きされる金額を減らす方法はないのでしょうか?

iDeCo(イデコ)に加入する

まずおすすめは個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)です。

イデコとは年金の3階建て部分にあたるもので、毎月決まった金額を積み立てることで老後の生活に備えるための公的な制度です。

この制度最大の特徴は税金面で優遇措置が取られていることです。

イデコを掛けると掛けた金額は全額所得控除となります。

それにより所得税と住民税を減らす効果があるのです。

つまり、将来に備えることで所得税と住民税を減らせるという夢のような仕組み。

節税できる金額はその人の所得によって異なりますが、所得税率20%の方なら住民税と合わせて30%の節税ができてお得なんですよ。

詳しくはこちらの記事を御覧ください。

選択制確定拠出年金制度に加入する

イデコと同じような制度で選択制確定拠出年金というものがあります。

こちらに加入できる企業に勤めている方はそちらを使うのも手です。

これは給料の一部を給料として受け取るのではなく、確定拠出年金に拠出するという仕組みです。

これにより給料が下がったこととなりますので社会保険を減らすことに繋がるのです。

ただし、選択制確定拠出年金はデメリットも多いので加入は慎重に

4月から6月の残業を控える

前述のように健康保険、介護保険、厚生年金は基本的に4月から6月の報酬で決まってきます。

つまり、4月から6月に残業等を頑張りすぎてしまうと1年間社会保険が高くなってしまうという。。。

ですから4月から6月の残業を控えるだけでも多少社会保険を下げて手取り額を増やすことは可能となっています。

健康保険、介護保険、厚生年金を減らしたい方は検討してみても良いでしょう。

会社近くに引っ越す

また、あまり知られていませんが、住む場所も影響してきます。

実は会社が払ってくれる通勤費も社会保険の算定に影響しているのです。

つまり、会社近くに住んでいる人の方が遠くに住んで通勤費が高い人よりも同じ給料なら社会保険が安く済む可能性があるのです。

結構大きな差となりますので、家賃との兼ね合いも含めて住む場所を検討してみてくださいね。

詳しくはこちらの記事を御覧ください。




まとめ

今回は「給料から引かれている税金、社会保険をわかりやすく解説。社会人なら知っておきたいお金の基礎知識」と題して給料から天引きされている税金や社会保険について解説してみました。

かなりややこしい部分も含まれていますが、ぜひ自分を守るためにも知っておきたいところですね。

なお、ご質問の回答としては以下のとおりです。

  • 健康保険、介護保険:会社の加入する健康保険の種類によって変わる可能性がある。
  • 住民税:会社によって変わるものではないが、退職タイミングによって天引きされていない可能性も。
  • 雇用保険:会社の事業の種類によって変わる可能性がある。
  • 所得税、厚生年金:会社によって変わるものではない。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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