通勤手当の非課税がなくなり、課税化されるかもしれないというニュースをわかりやすく解説

元々財務省寄りと言われていた岸田総理になってから実質的な増税な話が非常に増えています。

さらに現在非課税の通勤手当がターゲットになるという話がでてきました。

この話少々わかりにくいので、わかりやすく解説したいと思います。

通勤手当の非課税をやめる??

まずは今回報道されているニュースソースから見てみましょう。

所得控除だけでなく、「非課税所得」もターゲットとなっている。社宅の貸与や、食事の支給、従業員割引などの現物給付のほか、1カ月15万円を上限とする通勤手当までも例示された、「非課税等とされる意義が薄れてきているとみられるものがある場合には検討を加えることが必要」とした。

出典:夕刊フジ 岸田政権に仰天!通勤手当も〝サラリーマン増税〟 政府税調でリストアップ 扶養、配偶者、生命保険控除もターゲット

あくまで「夕刊フジ」が報じてるだけですから信憑性はわかりませんが、最近増税続きですからこのような話があってもぜんぜん不思議ではない感じですね。

現在の通勤手当の課税ルールはどうなっているか

それでは現在のルールはどうなっているのか見ていきましょう。

通勤手当は非課税限度額以内の場合には所得税は非課税となります。

所得税の計算に含めないということですね。

現在の非課税限度額は以下の通りです。

※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。

区分課税されない金額
①交通機関又は有料道路を利用している人に支給する通勤手当1か月当たりの合理的な運賃等の額

(最高限度 150,000円)
②自動車や自転車などの交通用具を使用している人に支給する通勤手当通勤距離が片道55キロメートル以上である場合31,600円
通勤距離が片道45キロメートル以上55キロメートル未満である場合28,000円
通勤距離が片道35キロメートル以上45キロメートル未満である場合24,400円
通勤距離が片道25キロメートル以上35キロメートル未満である場合18,700円
通勤距離が片道15キロメートル以上25キロメートル未満である場合12,900円
通勤距離が片道10キロメートル以上15キロメートル未満である場合7,100円
通勤距離が片道2キロメートル以上10キロメートル未満である場合4,200円
通勤距離が片道2キロメートル未満である場合(全額課税)
③交通機関を利用している人に支給する通勤用定期乗車券1か月当たりの合理的な運賃等の額

(最高限度 150,000円)
④交通機関又は有料道路を利用するほか、交通用具も使用している人に支給する通勤手当や通勤用定期乗車券1か月当たりの合理的な運賃等の額と②の金額との合計額

(最高限度 150,000円)

出典:国税庁「通勤手当の非課税限度額の引上げについて」より

公共交通機関を利用している場合には上限が月額150,000円。

ですからすべての方が非課税というわけではないのですが、よほど遠くから通勤しているとか新幹線通勤しているとか以外の方は非課税水準に収まるんですよ。



すでに社会保険は通勤手当も計算に含めている

ちなみに社会保険はすでに通勤手当を計算に含めているんですよ。

社会保険料(健康保険、厚生年金)は基本的に定時決定というルールで計算されます。

定時決定とは7月1日現在で働いている人の3か月間(4~6月)の報酬月額を算定基礎届として届け出するもので、厚生労働大臣は、この届出内容に基づき毎年1回、標準報酬月額を決定することをいいます。

この決定された標準報酬月額に基づき保険料額表にあてはめれば健康保険、厚生年金の金額が出てくるのです。

ここで決まった標準報酬月額は、大きな変動等がなければ9月から翌年8月までの各月に適用されます。

届け出する報酬月額は以下のように3ヶ月の平均報酬で決まります。

標準報酬月額
出所:日本年金機構「定時決定

報酬には給料はもちろん、残業代休日出勤手当て家族手当住居手当などの各種手当て食事代等の現物給与などが含んだものとなります。

基本的に名目は関係なく会社から支給される金額は含めると思ってただければよいでしょう。

そのため、通勤手当や在宅勤務手当も足して算出されるのです。

ですから同じ給料をもらっていても通勤費が安い人のほうが社会保険が安くなるのです。

ただし、社会保険の場合は払う金額が増えれ将来もらえる年金額(老齢厚生年金)が増えますし、病気などで会社を休んだときにもらえる傷病手当金や会社をやめたときにもらえる失業保険(雇用保険の基本手当)にも影響があります。

さらに以下の制度に影響が・・・

(1)労働者を解雇する場合の予告に代わる解雇予告手当… 平均賃金の30日分以上
(2)使用者の都合により休業させる場合に支払う休業手当… 1日につき平均賃金の6割以上
(3)年次有給休暇を取得した日について平均賃金で支払う場合の賃金
(4)労働者が業務上負傷し、もしくは疾病にかかり、または死亡した場合の災害補償等
(5)減給制裁の制限額 … 1回の額は平均賃金の半額まで、何回も制裁する際は支払賃金総額の1割まで
(6)地方労働局長が作業転換の勧奨または指示を行う際の転換手当… 平均賃金の30日分または60日分

つまり、通勤手当が高いほどもらえる金額も増えるのです。

ですから社会保険の場合には通勤手当が計算に含められたからといって単に損とばかりは言えないんですけどね。(所得税は得な点はありません・・・)

非課税が終了したらどの程度の影響があるのか

それではもし、通勤手当の非課税が終了した場合にどの程度の影響があるのでしょう。

まだルールがでているわけではないので、単純に通勤手当全額が非課税をやめて給料として扱われた場合で考えてみましょう。

単純に通勤費分が所得税計算する金額に上乗せすると考えればよいですね。

例えば現在年収500万円(給料所得)の方が月の通勤費が2万円だったとしましょう。

この方の場合、控除を考えると所得税の税率は10%でしょうから、2万円の12ヶ月分24万円の10%2万4000円所得税が増えてしまうってことになりますね。

住民税も所得税と同じく通勤手当は非課税のルールとなっていますが、それも同じく改正されるならさらに10%の2万4000円分住民税が増えると考えれば良いでしょう。

そのため、合計年間4万8000円税金が増えてしまうという事になりえるのです。

通勤費は多くの場合は実質使う金額を支給されていますから単純に手取りがそれだけ減ってしまうということですね・・・

テレワークを理由にするかも

「非課税等とされる意義が薄れてきているとみられるものがある場合には検討を加えることが必要」とのことですから課税等とされる意義が薄れてきていると示す必要があります。

このあたりはどう説明するのでしょうか?

私の予想ではテレワークが増えてきていることが原因として浮上してくると予想しています。

テレワークの場合は通勤手当は掛からなくなります。(実費精算の場合が多い)

かわりに支払っている在宅勤務手当は決まった金額が支給されるようなケースの場合は賃金と同じ扱いとなり課税対象となります。(電気代や通信費などを実費精算する場合は掛からない)

ですから不公平感があるとされていましたのでそれを理由にするのかもしれません。

出張時の日当(出張手当)などもターゲット?

さらに現在は所得税対象にはなっていない出張時の日当(出張手当、旅費日当)などもターゲットになる可能性がありそう。

例外として、次のような手当は非課税となります。

(1) 通勤手当のうち、一定金額以下のもの

(2) 転勤や出張などのための旅費のうち、通常必要と認められるもの

(3) 宿直や日直の手当のうち、一定金額以下のもの

出典:国税庁:No.2508 給与所得となるもの

出張時の日当は、出張時の従業員の食費などを補填的な名目で支給されるもので、法人税法においては旅費交通費として全額を損金に算入できますし、もらった役員や従業員の所得税の課税対象にもならないんですよ。(出張旅費規定などに基づいている場合)

そのため、よく一人法人(マイクロ法人)の方が所得税課税されずに、役員報酬代わりに自分の懐にお金を入れる手段として多様されていますのでターゲットになっても不思議ではありませんね。




まとめ

今回は「通勤手当の非課税がなくなり、課税化されるかもしれないというニュースをわかりやすく解説」と題して通勤手当の非課税をなくすかもという報道について解説してきました。

最近の増税続きな状況を見れば取れるところからはどんどん取るという流れであながちデマというわけでもなさそうです。

国民としてできることはSNSなどで声を上げることと、選挙で見張ることくらいですかね・・・

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最後まで読んでいただきありがとうございました。
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