2025年5月29日、日経新聞ほか各紙が「NTTドコモが住信SBIネット銀行を子会社化する方針」と報じました。
NTTドコモが住信SBIネット銀行を買収する方針を固めた。3分の2程度の株式取得を目指してTOB(株式公開買い付け)に入る計画だ。ドコモによる買収で、通信大手全社が傘下に自前の金融機関を持つことになる。ネット銀行を傘下に入れることで、手薄だった若年層を取り込む狙いがある。
出典:日経新聞 NTTドコモ、住信SBIネット銀行を買収へ 経済圏に若年層取り込み
買収額は未公表ですが、発行済株式の約3分の2をTOBで取得する計画とされています。
SBI証券と「SBIハイブリッド預金」で資金連携している投資家にとってはインパクト大。
そこで本記事では、
- 買収の背景と概要
- 現行サービスのメリット整理
- 買収後に想定される改悪ポイント
- ドコモ連携で生まれるかもしれない新メリット
- 乗り換え候補となるネット銀行5選
- 判断フロー(乗り換え or 様子見)
について解説します。
住信SBIネット銀行の買収の背景と概要
まずは今回の買収の背景と概要を見ていきましょう。
NTTドコモの狙い
すでにNTTドコモはマネックス証券を子会社化し「ドコモのNISA」を展開。
銀行機能を抱えることで“通信×証券×銀行”エコシステムを完成させ、決済やポイント経済圏を囲い込みたい意図が読み取れます。
ドコモのライバルであるauやソフトバンク、楽天はすでに銀行を保有していますしね。
NTTドコモはSBI証券のライバルであるマネックス証券を子会社に持っていることから、住信SBIネット銀行のウリの一つであるSBI証券との連携を心配することが多く上がっています。
SBIグループ側の事情
一方、SBIグループにも事情があります。
住信SBIネット銀行は三井住友信託銀行とSBIホールディングスがそれぞれ株式の34.19 %を保有したjvです。
SBI新生銀行をSBIグループの傘下に収めた現在、銀行子会社が2行体制となり経営効率が懸念されていました。
持分を売却しキャッシュを確保する判断は合理的と言えます。
確かに最近SBI証券とSBI新生銀行の組み合わせの方がキャンペーン等で力を入れていたんですよね。
今後のタイムライン(予想)
具体的な今後のタイムラインは発表されていませんが、過去の事例で行けばこのような流れかと思います。
※あくまで私の予想です。
2025年夏:TOB開始
2025年秋:株主承認 → 子会社化完了
2026年以降:ブランド・サービス統合方針の発表
現行の住信SBIネット銀行サービスを整理
私も使っている住信SBIネット銀行。
とても使い勝手のよい銀行です。
主なメリットは以下
項目 | 内容 |
---|---|
SBIハイブリッド預金 | 証券余力に即時反映+普通預金金利+0.01%(変動) |
ATM手数料 | 「アプリでATM」利用なら回数無制限で0円 |
振込手数料 | スマプロランクにより月最大20回無料 |
外貨・投信積立 | 住信SBIネット銀行側で決済→SBI証券に自動スイープ |
特にSBI証券利用者のSBIハイブリッド預金や外貨の移動はとても便利
さらに振込手数料もランクに応じて複数回無料と使い勝手が良かったんですよ。
買収後に想定される“改悪”リスク(デメリット)
しかし、今回の買収が実現すると改悪リスクが伴います。
SBIハイブリット預金などSBI証券との連携
まず、最も懸念されるのがSBI証券との連携です。
買収後はSBI証券との距離が物理的に離れるため、金利優遇やリアルタイム入出金が縮小・廃止される可能性があります。
前述したようにNTTドコモはSBI証券のライバルであるマネックス証券を子会社にしたばかりですし、SBI証券との連携が途絶えてしまう可能性はかなり高いかと思われます。
個人的にはこれが現実となったら使わなくなると思いますが・・・
※追記:NTTとSBIホールディングスの資本提携との話がでているようです。そうなるとSBI証券との連携も続く可能性があります。
スマプロランク判定条件の変更
ドコモ側のdポイント連携を優先し、取引実績の算定ロジックが見直されると無料回数が減る恐れがあります。
振込手数料の無料回数が多いことが大きな魅力だったんですけどね・・・
個人的にはdポイントはほとんど貯めていませんし、dポイントの連携にはあまりメリットを感じないですね・・・
手数料体系の再設計
ドコモ系金融サービス(d払い・dカード)の原資を捻出するため、為替手数料や両替スプレッドが拡大することも考えられます。
住信SBIネット銀行は為替手数料が安く、SBI証券との連携もよいことから外国株を買う人はかなり人気がありました。
この部分も怪しくなる可能性があります。
逆にマネックス証券で同様のサービスが展開される可能性はありそうですが・・・
UI/アプリ統合ストレス
住信SBIネット銀行はUIやアプリが評判が良かったです。
しかし、「dスマートバンク」(三菱UFJと共同)で導入済みのUIに合わせる場合、現在の住信SBIアプリは大幅刷新が予測され、慣れた操作フローが変わる懸念があります。
逆に期待できるメリット
今まで不安材料ばかり見てきましたが、メリットも考えられます。
以下のような点です。
項目 | ポジティブ要素 |
---|---|
dポイント連携 | 普通預金残高や決済額に応じたdポイント還元が拡充する可能性 |
通信料セット割 | ドコモ回線ユーザー向けに「金利+0.05%」や振込手数料無制限などの優遇キャンペーンが期待 |
FinTech投資余力 | NTTの潤沢な資本投下でアプリUXやセキュリティが向上する見込み |
スーパーアプリ化 | 証券(マネックス)・保険・決済をワンアプリで管理できる利便性 |
特にドコモ回線を利用している、マネックス証券を利用している、dポイントを貯めている人にはメリットがありそうです。
個人的にはどれも該当しませんので・・・・
乗り換え候補ネット銀行5選
それではこの機会に乗り換えるとしたらどのようなネット銀行があるのでしょう。
銀行 | キラー機能 | ハイブリッド的な証券連携 | 簡易評価 |
---|---|---|---|
SBI新生銀行 | 普通預金0.40%+SBI証券入出金即時 | 〇(SBI証券) | ★★★★☆ |
GMOあおぞらネット銀行 | 普通預金0.21%+外貨・FXに強み | 〇(GMOクリック証券) | ★★★★ |
auじぶん銀行 | auコネクト設定で金利+0.10%、Ponta還元 | △(三菱UFJ eスマート証券) | ★★★☆ |
楽天銀行 | マネーブリッジ金利0.28%、楽天ポイント経済圏 | 〇(楽天証券) | ★★★☆ |
PayPay銀行 | PayPay残高チャージ&入出金リアルタイム | △(PayPay証券) | ★★★ |
まず、筆頭候補に上がるのはSBI新生銀行でしょう。
SBI証券との連携を考えるならまずこちらですね。
元々新生銀行はマネックス証券と懇意にしていたので皮肉なものです。笑

手数料ゼロ&外貨レートならGMOあおぞらネット銀行も有力です。
あとは自分が使っている証券会社、貯めているポイント、利用電話回線で優先度が変わる感じでしょうかね。
乗り換えか様子見か?判断フロー
ただし、現在買収の話がでているという状況だけですから、正式に決まったわけでもありません。
また、実際に改悪されるかもわかりません。
ですから心づもりをして様子見をするのが正しいかもしれません。
SBI証券メインユーザー
ハイブリッド預金等SBI証券との連携が改悪されることに備えて SBI新生への口座開設を準備
ドコモ回線ユーザー
dポイント重視→ 買収完了まで様子見
おそらく買収完了後に新規口座開設キャンペーンなどで大盤振る舞いが行われます。
頻繁に外貨取引
スプレッド拡大懸念→ GMOあおぞらへ分散するのも検討
ATM/振込無料回数が死活問題
手数料改訂発表を待ち、改悪ならSBI新生銀行、auじぶんへ
まとめ
今回は「住信SBIネット銀行がNTTドコモに買収されたらどうなる?改悪リスクと乗り換え先」と題して住信SBIネット銀行が買収されるかもという話を見てきました。
まとめると
改悪される可能性が高いのは主に「SBIハイブリッド預金」「手数料優遇」「アプリUI」。
一方で dポイント還元強化などの新メリットも期待でき、ドコモ回線ユーザー、マネックス証券利用者には追い風になる可能性あり。
「銀行は“複数持ち”がリスク管理の基本」という投資家の王道を忘れず、来る改変に備えましょう。
追記:正式にTOBは発表されました。TOBに参加しないという選択肢についてはこちらの記事でまとめております。
合わせて御覧ください。


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