新しいiPhone、高すぎませんか。
iPhone 18 Proは21万9800円からと、前モデル発表時より4万円も上がりました。
本記事ではその4万円を「円安分」と「メモリ高騰分」に分解。
見えてきたのは、実勢より10円以上円安な「Appleレート」です。
値札の仕組みが分かれば、次の買い方が決まります
結論:iPhoneが高い最大の理由は円安。ただし9月の値上げは「メモリ」が主犯
結論から言うと、iPhoneが高くなった最大の理由は円安です。
ただ、2026年の値上げを細かく見ると、性質のまったく違う2つの波が重なっていました。
1つ目は7月18日の値上げ。日本のApple Storeだけで価格が上がり、海外のストアは据え置きでした。
為替修正による値上げとみられています。
2つ目は、日本時間9月10日の新型発表と同時に行われた値上げです。
こちらは米国でもiPhone 18 Proが前年モデルより100ドル高い1199ドルとなり、販売を続ける旧モデルまで100ドル引き上げられました。
背景にあるのは、AIデータセンター需要によるメモリ価格の高騰。
つまり「円安の波」は日本だけ、「メモリの波」は世界共通なんですよ。
私の試算では、iPhone 18 Proの4万円値上げのうち、円安由来が約2万2000円、ドル建ての値上げ由来が約1万8000円でした。
円安が主犯であることは変わりません。
けれど共犯者がいる、というのが2026年の実態です。
この違いは、あなたの買い方に直結します。
円安分は、為替が戻れば縮む可能性がある部分。
一方でメモリ分は、円高になっても消えません。
しかも円安分でさえ、すぐには値下げに反映されない仕組みがあるのです。
「円高になってきたし、少し待てば安くなるかも」。そう考えていませんか?
検索窓に「iPhone 高い」と打ち込んだ人が本当に片付けたいのは、高い理由を知ることそのものより、「自分はいつ、どう買えば損をしないか」を決めることのはず。
そこでこの記事では、値札を3つの階に分けて、その期待がどこまで現実的かを数字で確かめていきます。
iPhone 18 Proの「4万円値上げ」を円安分とメモリ分に分解する
それではiPhone18Proの値上げについて分解して見てみましょう。
7月18日:日本だけの値上げは「円安の後追い」
2026年7月18日、Appleは国内でiPhoneを一斉に値上げしました。
iPhone 17は12万9800円から14万2800円へ、iPhone 17 Proは17万9800円から19万4800円へ。
このとき米国のiPhone 17は799ドルのまま。
日本の税抜価格から逆算した換算レートは約148円から約162円に動き、当時の相場とほぼ一致していたと指摘されています。
実際、ドル円は7月23日に一時163.99円前後をつけ、1986年11月以来の円安水準に達しました。
9月10日:世界同時の値上げは「メモリの転嫁」
一方、9月の値上げではドル建ての価格そのものが動きました。
iPhone 17 Proの米国価格は1099ドル、iPhone 18 Proは1199ドル。
iPhone 17も799ドルから899ドルに上がっています。
調査会社TrendForceは、256GBのProモデルのメモリコストが前年の5倍近くに膨らみ、部品コスト全体も38%増えたと推計しました。
ティム・クック氏もCEOとして最後の決算説明会で、メモリ不足を「100年に一度の洪水」にたとえ、値上げは避けられないとの認識を示しています。
TrendForceの予想は150〜200ドル増だったため、Appleは一部を利益率で吸収したとも読めます。
分解すると「円安56%、ドル値上げ44%」
以上を踏まえ、iPhone 18 Pro(256GB)までの値上げを段階ごとに分けたのが下の表です。
日本の税込価格を1.1で割って消費税を除き、米国価格で割って換算レートを出しました。
| 時点 | 日本価格(税込) | 米国価格 | 換算レート | 増加額 | 主な要因 |
|---|---|---|---|---|---|
| iPhone 17 Pro発表時(2025年9月) | 17万9800円 | 1099ドル | 約149円 | ― | ― |
| 国内値上げ(2026年7月) | 19万4800円 | 1099ドル | 約161円 | +1万5000円 | 円安 |
| iPhone 18 Pro(2026年9月) | 21万9800円 | 1199ドル | 約167円 | +2万5000円 | ドル値上げ約1万7700円、レート上乗せ約7300円 |
| 合計 | ― | ― | ― | +4万円 | 円安 約2万2300円/ドル値上げ 約1万7700円 |
※筆者試算。端数は四捨五入。
同じ計算をiPhone 17(256GB)に当てはめると、発売時の12万9800円から現在の15万9800円までの3万円は、円安由来が約1万2000円、ドル値上げ由来が約1万8000円。
こちらはメモリ側が6割を占めます。
見逃せないのは、新型の換算レートだけが一段と円安寄りな点です。
iPhone 17の現在の換算レートは約162円なのに、iPhone 18 Proは約167円。CNET Japanも、米国の値上げ率が約9%だったのに対し、日本は約22%に達したと分析しています。
つまり、検討しているモデルによって効いている要因の比率が変わるわけです。
もう一つの見方:日本人が貧乏になった
そもそも円安により円の価値が下がり、相対的にみて日本人が貧乏になったとも考えられます。
円安だけで、すべての人の暮らしが同じように悪化するわけではありません。外貨収入の有無などで影響は違ってきます。
ただ、円で収入を得ている人の場合、輸入品の値上がりに収入が追いつかなければ、買える量は減少。同じ額を貯金していても、買い替え予算が足りなくなることがあります。
「前回と同じくらいのグレードで十分なのに、予算を増やさないと買えない」。困っているのは、性能へのぜいたくではなく、この部分ではありませんか。
ここを見落とすと、買えない理由を自分の浪費や判断力だけに求めがちです。
しかし、欲しいものを変えていなくても、通貨の条件が変われば必要な金額は変わります。
米国人と比較してiPhoneを買うための労働時間は2倍程度必要なんですよね。

実勢153円なのに167円。「Appleレート」という見えない為替
ここからが、多くの解説記事が素通りしている論点になります。
iPhone 18 Proが発表される直前の9月9日、東京外国為替市場のドル円は153円台で推移していました。
ところが新モデルの日本価格から逆算した換算レートは、1ドル165〜168円前後。直近の相場より10円以上も円安です。
仮に153円で換算していたら、iPhone 18 Proは約20万1800円。
現在の価格との差は約1万8000円に上ります(筆者試算)。
なぜこんなズレが起きるのか。
Appleは理由を公表していません。ただ、上経理を務めていた経験から見ると、珍しい動きではないんですよ。
輸入品の価格は、発表の数週間前には固まっているのが普通。
社内では「この先1年、この値段で売っても採算が崩れないか」を検討します。
為替が動くたびに値札を書き換えれば、販売店も会計も混乱してしまう。
だから実勢より少し円安寄りのレートを置き、将来の円安に備える余白を持たせるわけです。
今回はタイミングも最悪でした。
ドル円は7月下旬に164円目前まで円安が進み、7月30日に日本が円買い介入、31日には米国も加わる形で協調介入が行われています。
円高に振れたのは、価格表がほぼ固まった後だった可能性があります。
もう1つ知っておきたいのが、価格の「上がりやすく、下がりにくい」性質です。
経済学には「ロケットと羽根」という表現があります。
ガソリン価格は原油高のときロケットのように上がり、原油安では羽根のようにゆっくり下がる、という現象のたとえです。
iPhoneの値札にも、同じ非対称性が見て取れます。7月は相場に合わせて素早く上げたのに、9月は円高が進んでも新型の値付けには反映されなかったからです。
iPhoneの値札には、Appleが決めた「もう一つの為替相場」がある。
私たちが見ているドル円チャートと、値札に使われるレートは別物。
この前提を持つだけで、「円高になったから次は安くなるはず」という期待との付き合い方が変わってきます。
加えて、Appleが日本で同じモデルを値上げしたのは2022年7月以来、約4年ぶりでした。
それが2026年は7月と9月の2回。
値札の改定頻度そのものが上がっている点も、家計にとっては見逃せないシグナルですね。
「待つ」ほど不利になりやすい。私が新型を即買いし、旧型を売る理由
「新型が出たら旧型が安くなる」。これが長年の常識でした。
実際、米国では2024年と2025年の9月に、前年モデルが799ドルから699ドルへ値下げされています。
ところが2026年は、iPhone 17が新型発表と同時に100ドル高くなりました。
日本でもiPhone 17は、発売時の12万9800円から2段階で15万9800円に。待った人ほど高く買う結果になったんですよ。
ここで見落とされがちなのが、中古相場の動きです。
中古スマホ販売サイト「にこスマ」を運営するBelongによると、AppleがiPadなどの値上げを発表した6月25日の直後72時間で、平均購入価格が直前の72時間より14%上がりました。
新品の値札が上がると、中古の値札も引っ張られるわけです。
これを家計の目線で言い換えると、次のようになります。
円安と部品高の局面では、手元のiPhoneは「値下がりしにくい中古資産」に近づく。
私のApple Gift Card活用と、新型を早く買う考え方
私がiPhoneを安く買うために続けているのは、この性質を活かす方法です。
楽天スーパーセールなど還元が大きい時期に、Apple Gift Cardを定期的に少しずつ購入しておく。
新型が出たら早めに買い、使っていた旧型はすぐに売却する。
購入資金の準備と、端末を買うタイミングを切り離しているんですね。
新型を早く買えば、その端末を「中古相場が高い時期」に長く使えます。
旧型を早く売れば、次の値下がりが来る前に現金化できる。
入口はギフトカードの還元で下げ、出口は早めの売却で高く保つ。
円安局面では、この組み合わせが特に効きやすいと感じています。
売却では、査定の差にも驚かされました。
ある大手買取店では、小さな傷を理由にジャンク品扱いの価格を提示されたんです。
ところが別の店に持ち込むと、同じ端末が良品として満額で買い取られました。
1社の査定だけで決めないことが、出口を高く保つ近道でした。
なお、Apple Accountの残高は上限が30万円と定められています。
36万4800円からのiPhone Duoのように上限を超える機種を狙う場合は、残高への入金タイミングや支払い方法の組み合わせを事前に確認しておきましょう。
この買い方が向かない人と、3つの落とし穴
ここまで読むと「今すぐ買い替えたほうがいい」と感じるかもしれません。
ただ、誰にでも合う方法ではないため、限界も正直に書いておきましょう。
落とし穴1:円高が進むと、出口の価格も下がる
中古相場が新品価格に引っ張られるなら、逆方向も起こり得ます。
介入後のドル円は8月10日までに上昇幅の半分以上を戻しましたが、市場には150円の節目を試すという見方もあります。
円高が定着すれば、Appleレートの余白が縮み、中古相場も落ち着く可能性があるでしょう。
落とし穴2:メモリ高騰がいつまで続くかは誰にも読めない
1階の値上がりは部品の需給次第。
需給が緩めば、次のモデルでドル定価が据え置かれることも考えられます。「今が一番安い」と決めつけて、無理に買う必要はありません。
また、中古相場の先行きは誰かが保証してくれるものではないんです。
株やNISAの値上がり益と同じで、過去の上昇が将来も続くとは限りません。
売却額はあくまで「下振れしても困らない金額」で見積もっておくのが安全です。
落とし穴3:ギフトカードの還元は、使い道が決まっている人向け
ギフトカードは、現金に戻す前提で持つものではないんです。
還元率につられて、買う機種も予算も決まらないまま資金を移すのは避けたいところ。
この方法が向かない人
- 1台を3〜4年以上使う人。売却のうまさより、長く使って1年あたりのコストを下げるほうが合理的
- 端末に傷をつけやすく、売却時の査定が下がりやすい人
- 複数店での査定や売却の手続きを負担に感じる人
- 生活防衛資金を削って購入資金を用意する状況にある人
発売直後の購入には、品薄で希望の色や容量が手に入りにくいという別の悩みもあります。
節約のための買い方で家計や気持ちを苦しくしては、本末転倒ですよね。
今の端末で困っていないなら、買わない選択もある
まず確認するのは、今のiPhoneで何に困っているか。電池の持ちなのか、容量不足なのか、仕事で必要な機能なのかを具体的にします。
不満が電池だけなら、修理の見積もりと買い替え費用を比較する余地があります。
容量の問題なら、写真や動画の整理で改善するかもしれません。
ただし、長く使う場合も、安全に使えることが前提です。
必要な更新への対応状況や故障の兆候を確認し、支障が出ているのに我慢し続ける必要はありません。
「高いから買わない」ではなく、「困りごとを解決する別の方法があるから買わない」。
そう整理すると、見送りも前向きな判断になります。
Androidへ乗り換えという選択肢もあるが・・
また、そもそもiPhoneをやめてAndroidへ乗り換える選択肢もあります。
ただし、こちらも円安とメモリ高騰の影響は受けており、以前よりだいぶ高くはなっていますね。
まとめ
iPhoneが高い理由を振り返ります。
「iPhone 円安」で検索して、ここにたどり着いた方も多いはず。
最大の理由は円安。ただし2026年9月の値上げはメモリ高騰によるドル建ての値上げで、世界共通でした。
iPhone 18 Proの4万円値上げは、円安由来が約56%、ドル値上げ由来が約44%(筆者試算)。
さらに実勢より10円以上円安の「Appleレート」が乗り、値札は上がりやすく下がりにくい形になっています。
円安とメモリ高騰という2つのエンジンは、私たちには止められない。それでも、値札を分解して自分が動かせる部分を選ぶことならできます。
Apple Gift Card、返却プログラム、売却の損得を1枚の表で比べたい方は、こちらの記事にまとめました。

私が値札の仕組みにこだわるのは、iPhoneが家計の「為替リスク」をいちばん身近に感じられる商品だからです。
20年以上投資を続けてきて実感するのは、円安がチャートの中だけの話ではないということ。
ポケットの中の1台から円の実力を読み解く習慣を、あなたにも持ってもらえたらうれしいですね。
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