2025年10月4日、自民党の総裁選で高市早苗氏が勝利。
自民党は衆議院議員も参議院議員も過半数に達していませんで、まだ内閣総理大臣になれるのかは未知数ではありますが、可能性はかなり高くなりました。
積極財政派だと言われている高市氏で、すでに円安、株高の値動きとなってきました。
今回は高市氏の公約や過去の発言を元に今後の日本経済について考えて見たいと思います。
短期は「株高・円安・長期金利じり高」の組み合わせが本線?
先に結論から見ておきましょう。
短期は「株高・円安・長期金利じり高」の組み合わせが本線となりそうです。
ロイターや各紙は、高市氏の積極財政・緩和志向が「利上げ前倒し観測を後退」させ、当面は円安と株高に傾きやすいと報じています。
特に就任会見で「金融政策の責任は政府にもある」旨を強調し、政府・日銀の共同声明(アコード)見直しにも言及した点が、市場では“利上げのけん制”と解釈されています。
市場テーマとしては“高市トレード”(株高・円安・国債安=長期金利上昇)を意識する声が強く、日経平均の高値更新を予想する向きも。
もっとも、与党が参衆両院で単独過半数を欠く局面では、政策の過激な部分は国会調整で薄まる可能性が高い点は留意です。
キーワードは「積極財政」「デフレ脱却は尚早」「日銀との関係」
過去の高市氏の発言を見ていくとキーワードは「積極財政」「デフレ脱却は尚早」「日銀との関係」となりそうです。
具体的にみていきましょう。
積極財政と物価高対策
物価高対策の最優先と成長重視を掲げ、交付金の上積み等の財政出動に前向き。
これが短期的な景気押し上げと株高材料になる一方、長期金利の上昇圧力や円安バイアスを通じてインフレを助長するリスクも。
物価高対策と積極財政派相性が悪いのでその舵取りが難しそうです。
高市氏は過去に企業の預金課税(内部留保課税)、金融所得課税の強化などに言及したこともありますので、積極財政の財源としてそれらの課税が強化される可能性はありそうです。


デフレ脱却は尚早
現状はコストプッシュ型で「デフレ脱却と断ずるのは早い」と断言。
需要主導・賃金主導のデマンドプル型インフレが定着するまで、緩和寄りのスタンスを示唆しています。
日銀との関係
就任会見での「金融政策の責任は政府にもある」や「現状が最適かどうかを再評価」との発言が伝えられ、アコード見直しの可能性に言及。
市場は“日銀の独立性侵害”とまでは見ていませんが、これを日銀の利上げペースに対するソフトな抑制シグナルと受け止め、直近の“10月利上げ観測”は後退したと報道されています。
マーケットは何を織り込む?——株価・為替・金利の3点セット
株価:内需ディフェンシブと円安メリットの両輪
「株高」シナリオが優勢。
消費下支え×財出期待で内需ディフェンシブ(小売・フード、電力ガスの一部再評価)に恩恵。
円安で自動車・機械・電機の外需系も追い風。
為替(ドル/円):150円トライ観測
149円台スタート、150円の大台を試す展開が焦点との見立て。
もっとも米景気指標や米政局要因でドル安方向もあり、上抜け持続力は外部環境次第。
金利・国債:長期はじり高、短期は日銀見通し次第
積極財政とインフレ粘着で長期金利はじり高。
利上げ自体は「消える」より「遅れる」可能性が高い、というのがコンセンサス。
短期的な3つのシナリオ
それでは短期的な3つのシナリオを考えてみましょう。
ベース:緩やかな株高・円安、日銀は慎重に年明け〜26年前半へ
まず一番可能性が高いベースのシナリオです。
政策は与野党調整でマイルド化。
アコードは“再確認+文言微修正程度”。
株はEPS伸び+バリュエーション横ばいで高値圏。
為替は145〜153円レンジで往来。
つまり、大きくは変わらないという流れですね。
強気:公約の迅速実行→景気サプライズ
次は強気なシナリオ。
補正積み増し・減税/給付が早期成立、賃上げと需要回復が進む。
株はバリュ拡大、円は一時152〜155円。
弱気:政治的ねじれ・外交波乱で政策停滞
最後は弱気なシナリオ。
これもそれなりにありそう。
統一協会、裏金問題が再燃で支持率低下。
それにより連立もうまく組めず、少数与党下で法案が決まらない。
円安加速と輸入物価上振れで実質賃金が再び圧迫→内需鈍化。
利上げの時期で日銀と揉め、株は乱高下。
高市公約と投資テーマ
それでは高市氏の公約と投資テーマについて考えてみましょう。
実は高市氏は公約でかなり幅広いテーマについて挙げているんですよ。
総裁選が始まった当初は防衛などが高市関連銘柄も上がっていましたね。

経済安全保障・投資審査強化
「対日外国投資委員会」創設などの審査強化に言及。
半導体・防衛・重要インフラの国内投資は追い風だが、外資のM&Aには慎重姿勢
成長投資(科学技術・防衛・インフラ)
研究開発、防衛装備、デジタル基盤投資に資金が向きやすい。
国内重厚長大型や公共投資関連、宇宙・防衛、量子コンピュータもテーマ候補。
物価高対策:エネルギー・食料品の負担緩和
家計支援=内需セクターの底上げ。
電力・小売の価格政策関連は選別で。
追い風が想定される
- 外需×円安メリット:自動車、機械、電機、素材。
- 財政出動×内需ディフェンシブ:建設・インフラ、選別した小売・食品。
- 安保・防衛・宇宙・半導体サプライチェーン:政策連動の資金流入。
相対的な逆風/注意
- 長期金利上昇に敏感:REITの一部、長期デュレーション株。
- 円安によるコスト上振れ:輸入比率が高いセクターは価格転嫁力が鍵。
- 利上げの遅延:金融機関、保険
まとめ
今回は「高市早苗が自民党総裁に就任で株価は上がる?円安?日銀と公約から読む日本経済の行方」と題して高市総理で日本経済がどうなるのかをいくつかのシナリオで考えてみました。
少数与党ですし、過去高市氏が発言してきたような政策がどこまで実現できるのか注目ですね。

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