自営業・フリーランスなら知っておきたい第三の節税策【中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)】

自営業者・フリーランスの節税策といえば個人型確定拠出年金(iDeCo)小規模企業共済が有名です。

どちらも掛け金が所得控除対象となり所得税や住民税の節税効果があるとてもありがたい制度です。

しかし、もう一つ大きな節税策があるのをご存知でしょうか?

それが中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)です。

今回はこの中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)について見ていきましょう。

ちなみに自営業者・フリーランスの節税策といえば他にも国民年金基金がありますが、個人型確定拠出年金(iDeCo)と枠が同じですし、最強にお得な付加年金に加入できなくなりますしあまりおすすめできません。

※加筆修正を加えました。

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)とは

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)は、中小企業基盤整備機構(中小機構)が中小企業や自営業者向けに提供している共済制度です。

取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐことが目的として作られました。

無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れでき、掛金は損金または必要経費に算入できる税制優遇も受けられます。

つまり、取引先の倒産に備えるための制度なのです。

それでいて掛け金が損金または必要経費に算入できるのです。

これが結構大きなポイントだったりします。

詳しく見ていきましょう。

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)のメリット

それではまず中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)のメリットから見ていきましょう。

最大のメリットは節税効果にあります。

掛け金が損金または必要経費に算入できる

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)で節税できるのは掛け金が損金(法人の場合)または必要経費(個人事業主の場合)に算入できることにあります。

個人型確定拠出年金や小規模企業共済と大きく違うのは損金や必要経費になることなんです。

個人型確定拠出年金や小規模企業共済は掛け金が所得控除対象となります。

損金や必要経費はそもそもの利益や所得を減らすことができます。

所得控除は税金を計算する際の所得を減らします。

なんか似ているようですが大きく違う点があります。

それは事業税を減らせるかどうかです。

また、個人事業主の場合の健康保険の金額に影響があるかないかです。

下記の記事にも書きましたが自営業者やフリーランスの方の健康保険はかなり高いです。

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個人型確定拠出年金や小規模企業共済に加入してもこれらは減らすことはできません。

(所得税や住民税と健康保険では計算方法が違うため)

しかし、中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)は直接所得を減らすことができますので健康保険を減らす効果があるのです。

これは自営業者やフリーランスの方にとってはかなり大きいと思われます。

無担保・無保証で掛け金の10倍まで借り入れ可能

共済金の借入れは、無担保・無保証人で受けられます

共済金貸付額の上限は「回収困難となった売掛金債権等の額」か「納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円)」の、いずれか少ないほうの金額となります。

取引割合の大きい取引先が倒産した際に当面の運転資金などに使えるのは本当にありがたいところでしょう。

すぐに借り入れができる

取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になったときは、その事業者との取引の確認が済み次第、すぐに借り入れることができます

また、中小企業倒産防止共済は、取引先事業者が倒産していなくても、共済契約者の方が臨時に事業資金を必要とする場合に「一時貸付金」として納付期間に応じて最大で解約手当金の95%相当額を借入れることができます。

銀行から借り入れようと思ってもそうはいきませんよね。

解約手当金が受け取れる

これも大きなポイントです。

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)は掛け捨ての保険とは違うのです。

共済契約を解約された場合は、解約手当金を受け取れます。

自己都合の解約であっても、掛金を12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40か月以上納めていれば、掛金全額が戻ります

ちなみに12か月未満は掛け捨てとなります。

つまり、40ヶ月以上納めれば全額戻ってくるのです。

前述のように保険の意味もあり、さらに損金や必要経費になることで税金や健康保険を減らす効果があるのにです。

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)のデメリット

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)はいいことが多いですがデメリットももちろんあります。

特に大きいのが受け取るときの話です。

受け取る時は所得や利益となる

これが最大のポイントになりそうですが、中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)を解約して解約手当金を受け取るときは法人なら利益、個人事業主なら所得として扱われます。

つまり、うまく受け取らないとせっかくの節税効果が飛んでしまうのです。

例えば掛け金の上限は年間240万円です。

年間240万支払えば例えば税率30%の人で年間72万円の節税効果があります。

また、健康保険がかなり安くなるはずです。

かなりありがたいところですが・・・

積み立ての上限が800万円です。

いざその800万円を受け取るときは全額法人なら利益、個人なら所得扱いとなります。

個人なら同じ30%の税率としても240万円の税金が発生します。

もちろん健康保険もあがります。

得なのか損なのかよくわからなくなりますよね(笑)

うまく受け取らないと節税というより税の繰り延べという感じになりますね。

受け取るタイミングをしっかり考える必要があるのです。

例えば大きな損失が出そうなタイミングに解約手当金を受け取るとかすれば受け取るときの税金負担を下げることができますね。

個人型確定拠出年金(iDeCo)や小規模企業共済は受け取るときに退職金控除が使えるので有利に受け取れますからその点が大きな違いとなります。

貸付を受け取ると利息分の掛け金が減る

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)は前述のように最大で掛け金額の10倍ですから8000万円まで借り入れすることができます。

また、無利息です。

めちゃくちゃ有利じゃんと思われるかもしれませんが、実こんなカラクリがあります。

借入れは無利子です。ただし、借入れ後は、共済金の借入額の10分の1に相当する額が払い込んだ掛金から控除されます。
出所:中小機構

共済金の借入額の10分の1に相当する額が払い込んだ掛金から控除。

つまり、借りるときに実質10%の利息を取られていると同等ということです。

この10%は毎年取られるわけではありませんが全くの無利息というわけでは実質無いということをおさえておきましょう。

40ヶ月以下だと元本割れ

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)はいつでも解約することができます。

しかし、40ヶ月以上納付していないと元本割れします。

40ヶ月ですから3年とちょっととそれほど長くはありませんが急に資金が必要になっても出しにくいということです。

ですから余裕のある資金で掛けるのがおすすめですね。

利息等はつかない

また、個人型確定拠出年金(iDeCo)ならば運用によって利益がでたり、小規模企業共済なら毎年1%の利息が付きます。

しかし、中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)は特にそういうものはありません。

つまり、自動的に元本が増えるような仕組みではないのです。

そもそも取引先の倒産に備えるための制度ですからね。

ただし、節税効果や健康保険を低くする効果がありますし、40ヶ月以上かければ元本が戻ってきますので受け取る際の税金を抑えることさえできればお得な制度にあることに変わりはありません。

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)への加入

加入できるのは下記表の各業種において、「資本金の額または出資の総額」、「常時使用する従業員数」のいずれかに該当する会社または個人の事業者です。

他にも細かい条件がありますので中小企業基盤整備機構(中小機構)のWEBページでご確認ください。

業種資本金の額または出資の総額常時使用する従業員数
製造業、建設業、運輸業その他の業種3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く。)3億円以下900人以下
ソフトウェア業または情報処理サービス業3億円以下300人以下
旅館業5,000万円以下200人以下

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の加入方法

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の加入申し込みは下記で受け付けています。

商工会
商工会議所
中小企業団体中央会
中小企業の組合
損保ジャパン日本興亜株式会社
都市銀行
信託銀行
地方銀行
第二地方銀行
信用金庫
信用組合
商工組合中央金庫

申し込みをするなら最寄りの商工会や商工会議所が無難かもしれませんね。

銀行だと滅多に申し込みがないためたらい回しにされる可能性があります。

私も小規模企業共済に申し込みをする際に銀行に行きましたが、銀行員がそもそも小規模企業共済の存在をしらずに電話掛けまくりでかなり時間がかかりましたね・・・。

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の掛け金額

掛金月額は、5,000円から20万円までの範囲(5,000 円単位)で自由に選択できます。

月20万円まで掛けられるのはイデコや小規模企業共済と比較してもかなり大きく魅力的ですね。

また、自由度は高いですから年末に利益が多くなったときに掛けるとかそういったことも可能です。

ちなみに掛金は掛金総額が800万円に達するまでしか積み立てることができません。

まとめ

今回は「自営業・フリーランスなら知っておきたい第三の節税策【中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)】」と題して中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)についてみてきました。

うまく使えばかなり節税効果や健康保険を下げる効果が期待できます。

ただし、受け取るタイミングには気をつけないと行けないかもしれませんね。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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