働き方改革関連法でなにが変わるのか?知っておきたい内容・ポイントをわかりやすく解説

先日、働き方改革関連法が可決・成立しました。

ニュースなどで連日報道されてきましたが論点となっていたのが「高度プロフェショナル制度」の是非や厚生労働省の統計問題ばかりで他の件についてはほとんど見ていません。

そのため、働き方改革関連法がどういったものか知らない方が大半かと思います。

今回は働き方改革関連法でみなさんの働き方や生活がどう変わるのか知っておきたいポイントを見ていきたいと思います。

働き方改革関連法とは


働き方改革関連法は正式名称を「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)」といいます。

名前の通り、働き方関連の法律が整備されたのです。

また、働き方改革関連法で1つの法律ができたのではなく、合計8つの法律が改正が行われました。

まずは大まかな括りから見ていきましょう。

働き方改革関連法の概要

厚生労働省の資料によると今回導入された働き方改革関連法は下記が目的となっています。

労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、 多様で柔軟な 働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置を講ずる

厚生労働省:「働き方改革」の実現に向けてより

また、基本的な考え方として

「働き方改革」は、働く方々が、個々の事業に応じた多様で柔軟な働き方を自分で「選択」できるようにするための改革です。

とされています。

働き方改革の話でよく副業の話などがでるのは選択肢の一つとしてなんでしょうね。

それを実現するために特に力を入れているのが下記の2つのルール改正です。

労働時間制の見直し」と「雇用形態に関わらない厚生な待遇の確保」です。

順番に見ていきましょう

労働時間制の見直し

見直しの内容は大きく分けて7つあります。

働き過ぎを防いでワークライフバランスの実現と多様で柔軟な働き方を実現することが目的となっています。

ここでは特に重要な変更点を見ていきましょう。

残業時間の上限規制

まずいちばん大きな変化がこれです。70年前(1947年)に制定された労働基準法のはじめての大改革です。

簡単に言えばこういうことです。

今までは

法律上は、残業時間の上限なし(行政指導のみ)

今後は

法律で残業時間の上限を定め、これを超える残業は不可

簡単に言えば残業の上限が法律で決まったってことですね。

具体的な上限時間

時間外労働の上限は具体的には下記のようになります。

残業時間上限-min

出所:厚生労働省「働き方改革」より

つまり、原則として

月45時間
年360時間

月45時間ですから1日当たりに換算すると2時間程度の残業ということになります。

また、臨時的な特別な事情がある場合(労使の合意が必要)でも下記が限度となります。

年720時間
単月100時間未満(休日労働含む)
複数月平均80時間

過労死のラインが月80時間や月100時間と言われていますのでその水準ということですね。

また、この上限規制を超えて労働させた企業には罰則が適用されます。

そのため、この残業時間の上限は法的な拘束力を持つことになります。

これまでは、残業時間が実質的にはなかったことを考えると、こういったルールができたことは労働者にとって大きな変化になるといってもよいでしょう。

ちなみにこのルールは2019年4月1日からとなります。

中小企業は2020年4月1日からです。

また、医師など一部業種などに猶予期間や除外があります。

年次有給休暇の確実な取得が必要に

次は年次有給休暇の5日間の取得が義務付けられることになったことです。

今までは年次有給休暇を企業は従業員に提供しますが、使うかどうかは従業員の判断でした。

しかし、今後は義務となるので使う必要があります。

具体的には下記のようなルールとなります。

使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者に対し、毎年5日、時季を指定して有給休暇を与える必要があります。

つまり、会社は毎年5日は有給休暇を取得させなくてはならなくなるってことですね。

このルールは2019年4月1日からとなっています。

詳しくは下記記事をご覧ください

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年次有給休暇5日義務

月60時間を超える残業の割増賃金率の引き上げ

もう一つは月60時間を超える残業分の割増賃金率が引き上げられます。

具体的には現状25%の割増賃金率だったのが50%となります。

ちなみにこのルール大企業ではすでに導入済みでしたが、今後は中小企業も適用対象になるのです。

高度プロフェッショナル制度の新設

高度プロフェッショナル制度とは、高度な専門知識を有して、一定水準以上の年収を得ている労働者は労働時間規制の対象から外す制度です。

つまり、該当する方は残業や休日出勤しても割増賃金が払われなくなるってことですね。

高度プロフェッショナル制度の対象者

具体的には研究開発や金融、コンサルタントと行った高度な専門知識を有する業務につく年収1075万円以上とされています。

ただし、適用対象となる職種について明確に定まっているわけではありません。

今後この辺りが拡大解釈されないことを祈るばかりです・・・

また、年収1075万円以上ってなんか細かい数字ですね。

その根拠は労働者の平均給与額の3倍を相当程度上回る水準の人が対象としており、国税庁が出した日本国民の平均年収から算出したようです。

他の見直し内容

他の労働時間法制の見直し内容は以下のとおりです。

労働時間の状況を客観的には把握することが企業に義務づけ
フレックスタイム制のルールが拡充(清算期間が1ヶ月→3ヶ月)

フレックスタイム制は日本ではあまり普及していませんが、使いやすくなることで使える企業が増えればかなり大きいですね。

雇用形態に関わらない公正な待遇の確保

もう一つの大きな改正が雇用形態に関わらない公正な待遇の確保です。

具体的には正規雇用労働者(一般的に正社員と言われる人たち)と非正規雇用労働者(パートタイム労働者、アルバイト、派遣社員など)との不合理な待遇の差をなくすことを目的としています。

海外などではこの仕事がいくら。って給料が決まっている国が多いですが、日本の場合、何年働いて何歳で、肩書がこれだからこの給料と決まっているケースが多いです。

このため、非正規雇用労働者は正社員と同じ仕事をしているのに給料が安いということが起こってしまっていたのです。

それを是正することを目的とします。

よくいう同一労働同一賃金ですね。

簡単に言えば同じ仕事するなら同じ給料にしようよ。ってことです。

詳しくはこちらの記事を御覧ください。

規定の整備

具体的にはまず規定の不合理な待遇差をなくすための規定が整備されます。

ガイドラインを制定し、どのような待遇差が不合理にあたるのかを明確化して示されることになります。

すでに同一労働、同一賃金ガイドライン案が2016年12月に策定されており、今後確定する予定となっています。

均衡待遇規定

下記3点の違いを考慮した上で、不合理な待遇差を禁止します

①職務内容
②職務内容・配置の変更の範囲
③その他の事情

均等待遇規定

下記2点が同じ場合、差別的取扱いを禁止します

①職務内容
②職務内容・配置の変更の範囲

※ 職務内容とは、業務の内容+責任の程度をいいます。

派遣労働者との待遇差

派遣労働者については以下のいずれかを確保することが義務化されます。

また、ガイドラインが策定されることになります。

①派遣先の労働者との均等・均衡待遇
②一定の要件を満たす労使協定による待遇

説明義務の強化、行政による助言、指導、行政ADR

また、非正規雇用労働者は、「正社員との待遇差の内容や理由」など、自身の待遇について説明を求めることができるようになります。

事業主は、非正規雇用労働者から求めがあった場合は、説明をしなければならなくなります。

また、都道府県労働局において、無料・非公開の紛争解決手続きを行います。

「均衡待遇」や「待遇差の内容・理由」に関する説明についても、行政ADRの 対象となります。

つまり、同一労働、同一賃金ガイドラインに基づいた待遇にしておかないといろいろ揉めそうな感じはありますね。

まとめ


今回は「働き方改革関連法でなにが変わるのか?知っておきたい内容・ポイントをわかりやすく解説」と題して働き方改革関連法についてみてきました。

これらの法の施行により働き方が大きく変わることが予想されます。

例えば現状、正社員と同じような仕事をしている派遣社員、アルバイト、パート社員の方は給料が上がることが想定されます。

それは喜ばしいことですが、企業側も人件費の予算は決まっています。

そうなれば正社員の待遇を逆に下げることで格差を埋めるような可能性もあります。

実際大手企業でそれがありちょっと話題になりましたね。

つまり、正社員にも大きな影響が及ぶ可能性が高いのです。

また、AI(人工知能)やRPA(ロボットプロセスオートメーション)などでそもそも人がいらなくする方向で改善するかもしれません。

そうなればリストラの可能性すらあります。

個々でできることは、そうなってもいいようにまずは会社や社会から必要とされる能力を身につけることです。

あとは会社にしがみつくのではなく自分でお金を増やせるように投資をするとか、副業を始めるなど対策をしていく必要もあるかもしれませんね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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