確定拠出年金の納付延長(65歳)へ検討開始。延長された際の影響や対策を考えてみる

本日の日経新聞に興味深い記事がありました。確定拠出年金の払い込める期間を現状の60歳から65歳に上げる案です。これは個人型確定拠出年金(iDeCo)及び企業型確定拠出年金の両方を指すものと思われます。

厚生労働省は運用成果によって年金額が変わる確定拠出年金について、掛け金を払い込める期間を延ばす方向で検討に入る。上限を60歳から65歳に上げる案が軸だ。期間が延びれば、老後に受け取る年金は増える。60歳を超えても働く人が増えているため私的年金の仕組みを充実させ、先細りする公的年金を補う。出所:日経新聞 朝刊 8月31日

この案が実現した場合には様々な影響が考えられます。また事前に対策を考えておく必要があるでしょう。今回はこれらの点について考えていきます。

追記:来年には具体的な検討に入るようですね。

年明けに厚労省の社会保障審議会企業年金部会で議論を始め、2020年の通常国会に確定拠出年金法の改正案を提出する方針だ。

出所:毎日新聞 10月28日

確定拠出年金の納付期間が65歳までとなったらどうなる?


現状、確定拠出年金が納付できるのは60歳まででした。それが今回の案が実現して確定拠出年金の納付期間が延長し65歳まで納付が可能となった場合、変更が生じる点やメリットもデメリットなど様々な影響が考えられます。対策も含めてそれぞれみていきましょう。


確定拠出年金の納付期間が65歳になるメリット

まず、メリットから見ていきましょう。いくつか考えられます。

退職金控除が増える

まず一番に考えられるのが退職金控除の話です。退職金控除が関係があるのは確定拠出年金の受け取りを一括で行った場合です。

この場合、税金計算上、確定拠出年金で受け取った金額は退職所得として扱われます。

確定拠出年金での退職所得の計算は以下の通りとなります。

(収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額

退職所得控除額の計算

掛けた年数(=A) 退職所得控除額
20年以下 40万円✕A

(80万円に満たない場合には、80万円)

20年超 800万円+70万円✕(Aー20年)

つまり、掛けた年数がかなり重要となります。

例えば40歳からスタートして20年掛けた場合を考えてみましょう。この場合、40万円掛ける20年の800万円が退職所得控除となります。つまり、800万円までなら所得税などが掛からず受け取ることが可能です。

それが納付期間が5年伸びたらどうなるのでしょう。この場合、25年掛けることができるようになります。退職控除の計算は800万+70万掛ける(25−20)となり1150万が退職所得控除となります。つまり、1150万までなら所得税などが掛からず受け取ることが可能です。

このケースだと5年納付できる期間が増えたことで350万円退職控除が増えたことなりますね。かなり大きいでしょう。

運用できる金額が増える

また、もう一つのメリットは5年間余分に掛けることができますのでそれだけ運用できる金額が増えることになります。自営業者ならば最大で年間81万6千円掛けられますので5年余分になれば408万円運用できる金額が増えますね。月に下限の5000円を掛けている方でも年間6万円。5年間で30万円余分に掛けられることになります。
受け取る時期までは運用することになりますのでそこまで複利で増える可能性もありますからこの点も大きいと言えます。確定拠出年金内なら利益がでても非課税ですから非課税期間が伸びることにもつながりますしね。

実際の定年とリンクする(節税効果を得られる)

1つ目として実際の定年年齢とリンクすることが考えられます。現在定年年齢を65歳にあげようと国あげて取り組んでいます。そのため多くの会社が定年を延長したり、再雇用制度で65歳まで働ける体制となりつつあります。

つまり、65歳まで給料をもらっている現役なのです。

個人型確定拠出年金(iDeCo)の最大のメリットである所得税・住民税の節税効果を働いている間受けることができるようになるってことです。

確定拠出年金の納付期間が65歳になるデメリット

確定拠出年金の納付期間が65歳になるデメリットもいくつか考えられます。

受け取り方や受け取り時期を工夫しないと損をする

前述のように今回の変更が実施されると退職金控除面では優位に働きやすそうですが、逆にデメリットとなりそうなこともあります。それは会社から大きな退職金が出る場合です。この場合、退職金控除のちょっとした点を意識しておかないと大きく損をすることになります。今回の改定が決まるとその懸案がかなり強くなってしまいます。

退職金控除は前述のように掛けた年数を元に計算をします。会社から出る退職金も同様に勤続年数を元に計算をします。両方をもらう場合、その期間が重複しているケースがほとんどでしょう。退職金と確定拠出年金を同年にもらう場合、退職金控除を合算することはできません。

例えば会社に40年勤務して個人型確定拠出年金(イデコ/iDeCO)の運用が20年の場合を見てみましょう。この場合は会社から出る退職金と個人型確定拠出年金(イデコ/iDeCO)の金額も合算して計算します。この場合、退職金控除は800+70万(40−20)となりますので2200万円が退職控除となります。そのため会社からの退職金が1500万だったとすると個人型確定拠出年金(イデコ/iDeCO)700万円までなら非課税となるのです。逆に会社からもらえる退職金が2200万円を超えていた場合、個人型確定拠出年金(イデコ/iDeCO)について控除が受けられなくなりますのでその半分が退職所得として扱われますので税金が大きく増えることになります。

そうなればせっかくの所得税、住民税の節税効果が低減してしまいますよね。

そこで対策として考えておきたいのが受け取り方と受け取る時期です。

受け取り方

個人型確定拠出年金(イデコ/iDeCO)は退職金(一時金)として受け取る以外にも年金として受け取る方法、一時金と年金の併用という受け取り方があります。それぞれメリット・デメリットがありますのでそれらをしっかり認識した上で少しでも税金を安く受け取れる方法を検討する必要があるでしょう。

今回の改定が決まるとメリットで上げたように運用できる金額も増えますからそれだけ受け取り方を気をつけないとそこで税金を取られて得さがだいぶ減ってしまうことになります。

受け取る時期

受け取る時期として意識しておきたいのが退職所得控除の下記の2つの条件です。この条件で受け取るならば退職所得控除の計算を重複して使うことができます。

1.企業年金や小規模企業共済等を一時金として受け取る場合、最後に受け取った退職一時金等から5年以降
2.退職一時金よりも個人型確定拠出年金(iDeCo)を後で受け取る場合、最後に受け取った退職一時金等から15年以降

たとえば1であれば60歳で個人型確定拠出年金(iDeCo)を受け取り。会社を65歳で退職し退職金を受け取るならば重複している期間も含めて退職所得控除の勤続年数として計算できます。かなり有利に受け取ることができるのですね。

詳しくは下記の確定拠出年金の受け取り方の記事を御覧ください。

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退職

もらえる時期が遅くなるかも

今回の案が実現すると一番考えなければならないのが受け取り開始年齢がどうなるかです。

現状は加入期間で受給開始年齢が変わります。

加入者等期間(通算) 受給開始年齢
10年以上 満60歳
8年以上10年未満 満61歳
6年以上8年未満 満62歳
4年以上6年未満 満63歳
2年以上4年未満 満64歳
1ヵ月以上2年未満  満65歳

まず考えられるのがこの受給開始年齢がそっくりそのまま5年スライドする形です。つまり、10年以上加入していた方は満65歳から受給開始可能。あまり掛けていない方は70歳から受給開始が可能になるってことですね。この辺りは現状が案の段階ですからそのあたりの詳しい情報はでていませんので注目する必要があるでしょう。

受け取り開始年齢が変わると老後の生活計画も変わってきますので早めに決めてほしいところではありますね。

既存の年金も68歳まで受給を遅らそうかという話がでているくらいですから十分考えられます。

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まとめ

今回は「確定拠出年金の納付延長(65歳)へ検討開始。延長された際の影響や対策を考えてみる」と題して確定拠出年金の納付延長による影響やその対策につういて考えてみました。

今回の件は、まだ正式に決まった話ではありませんが、決まったらば結構大きな変更になりますので今回ご紹介したような内容はあらかじめ知っておきたいところですね。

個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入するならこの5社から選ぼう

個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を始めるならまずは金融機関を決める必要があります。

しかし、たくさんあってどこにしたらよいのかわからない方も多いでしょう。

簡単に決めてしまう方もおおいかもしれませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の場合、金融機関ごとの違いがとても大きいですから慎重に選びたいところです。

私が今もし、新たに加入するならSBI証券、マネックス証券、松井証券、イオン銀行、大和証券の5択の中から決めます。

(※私が加入しているのはSBI証券です)

この5つの金融機関は運営管理機関手数料はが無料です。(国民年金基金連合会の手数料等は各社共通で掛かります。)

また、運用商品もインデックスファンドを中心に低信託報酬の商品が充実しています。順番に見ていきましょう。

SBI証券

イチオシはSBI証券「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」です。

SBI証券は信託報酬も最安値水準のeMAXIS Slimシリーズを始めとしたインデックスファンドから雪だるま全世界株式、ひふみ年金、NYダウ、グローバル中小、ジェイリバイブといった特徴ある商品をたくさんそろえているところが最大の魅力です。

選択の楽しさがありますよね。

また、確定拠出年金の分野を長年手掛けている老舗である安心感も大きいですね。

SBI証券iDeCo
5

SBI証券は運営管理手数料が無条件で0円ですし、なにより運用商品が豊富で選択の幅が広いです。現状最強のラインナップを誇ることになります。
また、他の証券会社に先んじて確定拠出年金の取扱をはじめてますから安心感が強いですね。

マネックス証券

次点はマネックス証券 iDeCoです。

こちらも後発ながらかなりiDeCoに力をいれています。

マネックス証券iDeCo
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マネックス証券はeMAXIS Slimを多く取り扱っており、信託報酬がほとんど最安値水準でスキがありません。また、iDeCoで唯一eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の取り扱いがあるところも大きなポイントになりますね。

松井証券

松井証券のiDeCoは35本制限まで余裕があるというのは後発の強みですね。

1番人気のひふみ年金の取扱もあるのもポイント高いです。

松井証券iDeCo
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取扱商品が12本と少ないですが、SBI証券やマネックス証券と同様にeMAXIS Slimシリーズを取り揃え信託報酬が最安値水準となっています。
抑えるところは抑えた感じがありますね。逆に本数が少ないことにより選びやすさは増しており初心者向けの筆頭候補といってもよいかもしれません。

イオン銀行

イオン銀行iDeCoは全国各地に窓口があるのが魅力です。

また、銀行として珍しく良心的な投資信託を用意してくれてるんですよ。

イオン銀行iDeCo
4.5

イオン銀行iDeCo

イオン銀行は実質信託報酬の安いたわら先進国株の取り扱いがあるのが魅力です。ひふみ年金の取扱があります。このあたりに興味持つ方は選択肢として全然ありです。また、イオン銀行だけ他へ移るときの手数料が無料なのも個人的にポイント高いです。

大和証券

大和証券 iDeCoは大手証券会社でありながら、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)にもかなり力を入れています。

他のネット証券と違い店舗が全国各地にたくさんあります。そこに魅力を感じる方にはおすすめできますね。

また、取扱商品もダイワつみたてインデックスシリーズなど信託報酬が安めの商品を取り揃えています。

大和証券iDeCo
4.5

大和証券 iDeCo

運営管理機関手数料が無条件で無料ですし、商品も充実したことで選択肢となりえる金融機関になりましたね。中国株、ロシア株、ブラジル株のファンドへ投資できるなど特徴的な商品があるのが他との差別化要因かな。あとはiFreeシリーズ、とくに米国株さえ入れば十分に他と競争できると思いますので期待したいところです。

総合して考えるとこの5つの金融機関ならどれかに加入すれば大きな後悔はないかなと思います。

他の運営管理機関もぜひがんばってほしいところですね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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