年金が少ない方は年金生活者支援給付金の対象とならないか調べてみよう

2019年(令和元年)10月から消費税が引き上げられました。

それに合わせて同じタイミングから年金生活者支援給付金制度という新しい制度が始まることが決まりました。保育・幼児教育の無償化と合わせて消費税増税が財源として利用されます。

これは消費税増税で生活が苦しくなる方を支援する制度です。今まで臨時福祉給付金という制度がありましたがそれに代わるものとなります。

今回は年金生活者支援給付金制度について解説してきましょう。

※金額の変更等を含め加筆修正を行いました。

年金生活者支援給付金制度とは

年金生活者支援給付金制度とは、消費税率引き上げ分を活用し、年金を含めても所得が低い方の生活を支援するために、年金に上乗せして支給するものです。

今までありました臨時福祉給付金に代わる制度となりますが、対象や内容が大きく変更になっています。

今回の年金生活者支援給付金制度は老齢基礎年金を受給する人を対象とする老齢年金生活者支援給付金、障害基礎年金を受給する人を対象とする障害年金生活者支援給付金、遺族基礎年金を受給する人を対象とする遺族年金生活者支援給付金の3種類があります

さらに老齢年金生活者支援給付金の条件を満たさない人に対しても⽼齢年⾦⽣活者支援給付⾦を受給する者と所得総額が逆転しないよう、補⾜的な給付を支給する補足的老齢年金生活者支援給付金というものもあります。

ちょっとややこしいですね

年金生活者支援給付金制度はいつから始まる?

消費税率が現行の8%から10%に引上げとなる2019年10月1日から施行となります。

支払いは初回(10月分・11月分)が2019年12月中旬です。


年金生活者支援給付金制度の対象者

年金生活者支援給付金制度の対象となるのは以下の条件を満たしている方です。(すべて)

ただし、年金生活者支援給付金制度すべて共通で以下のいずれかの事由に該当した場合は、⽀給されません。

①日本国内に住所がないとき
②年⾦が全額⽀給停⽌のとき
③刑事施設等に拘禁されているとき

【⽼齢年⾦⽣活者⽀援給付⾦】の対象者

65 歳以上で、⽼齢基礎年⾦を受けている。
② 請求される⽅の世帯全員の市町村⺠税が⾮課税となっている。
③ 前年の公的年⾦等の収⼊⾦額とその他の所得(給与所得や利⼦所得など)との合計額が、⽼齢基礎年⾦満額相当(779,300円) 以下であること

老齢年金生活者支援給付金は約610万人が対象となります。

なお、3の条件となっている老齢基礎年金満額相当は毎年改定します。平成31年度(令和元年)は779,300円

ちょっと気をつけなければならないのが老齢基礎年金を繰り上げ、繰り下げしている場合です。

たとえ65歳以上でも繰り下げをしていて⽼齢基礎年⾦を受けていない場合は対象外となります。老齢基礎年金の受取を開始するまで支援給付金は受けられません。また、繰り上げをして⽼齢基礎年⾦を受け取っていても65歳以上になっていなければ対象となりません。

【補足的老齢年金生活者支援給付金】の対象者

65 歳以上で、⽼齢基礎年⾦を受けている。
② 請求される⽅の世帯全員の市町村⺠税が⾮課税となっている。
③ 前年の年⾦収⼊額とその他の所得額の合計が 881,200 円以下である。
補足的老齢年金生活者支援給付金は約160万人の方が対象となります。
なお、781,200円を超え881,200円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

【障害年⾦⽣活者⽀援給付金】の対象者

障害基礎年⾦を受けている
② 前年の所得額が「4,621,000 円+扶養親族の数×38 万円※」以下である。
※ 同一生計配偶者のうち 70 歳以上の者⼜は⽼⼈扶養親族の場合は 48 万円、特定扶養親族又は 16 歳以上 19 歳未満の扶養親族の場合は 63 万円。

【遺族年⾦⽣活者⽀援給付⾦】の対象者

遺族基礎年⾦を受けている
② 前年の所得額が「4,621,000 円+扶養親族の数×38 万円※」以下である。
※ 同一生計配偶者のうち 70 歳以上の者⼜は⽼⼈扶養親族の場合は 48 万円、特定扶養親族又は 16 歳以上 19 歳未満の扶養親族の場合は 63 万円

障害年金生活者支援給付金と遺族年金生活者支援給付金をあわせて約200万人の方が対象となります。

すべて合わせれば970万人の方が該当してきます。

年金生活者支援給付金制度でいくらもらえるのか?

年金生活者支援給付金制度の支給額は年金加入記録に基づいて計算されます。

【⽼齢年⾦⽣活者⽀援給付⾦・補足的老齢年金生活者支援給付金】の支給額

⽼齢年⾦⽣活者⽀援給付⾦の額は、月額 5,000 円を基準に、保険料納付済期間等に応じて算出されます。

次の①と②の合計額となります

① 保険料納付済期間に基づく額(⽉額) = 5,030 円 × 保険料納付済期間 / 480 月
② 保険料免除期間に基づく額(⽉額) = 10,845 円 × 保険料免除期間 / 480 月
なお、補足的老齢年金生活者支援給付金の場合には①に一定の割合を乗じて計算されます。

ちょっとややこしいですから例を使って見てみましょう。自分の保険料納付済み期間がわからない方は年金定期便などで確認してみましょう

480月すべて保険料納付済み

480月すべて保険料納付済み期間だった方は①のみに該当します。

当てはめると月額5,030円の支給となります。

240月保険料納付済み、保険免除期間なし

240月保険料納付済み期間で保険料免除期間がない方も①のみに該当します

当てはめると月額2,515円の支給となります。

【障害年⾦⽣活者⽀援給付金】の支給額

障害年金生活者支援給付金は以下の支給額となります。

障害等級2級 月額5,030円
障害等級1級 月額6,288円

【遺族年⾦⽣活者⽀援給付⾦】の支給額

遺族年金生活者支援給付金は以下の支給額となります。

月額5,030円

ただし、2⼈以上の⼦が遺族基礎年⾦を受給している場合は、5,000 円を⼦の数で割った⾦額がそれぞれに⽀払われます。

年金生活者支援給付金を受け取る方法

年金生活者支援給付金制度はほっといても勝手にもらえるものではありません。手続きが必要となります。

2019 年4⽉1⽇時点で⽼齢・障害・遺族基礎年⾦を受給している⽅

2019年4月1日時点で条件を老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金を受給している方は上記の年金生活者支援給付金制度の条件に合致しているのかを判定されます。

支給要件を満たしている方には2019年9月頃に日本年金機構から受給に必要な提出書類が送られてきます。そちらに氏名などを記入して送付すると受給を受けることが出来ます。

逆に言えばこの書類を送らないともらえないということですから忘れないようにしておきましょうね。

2019 年4⽉2⽇以降に⽼齢・障害・遺族基礎年⾦を受給を始める方

2019年4月2日以降に老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金を始める方は年⾦の裁定請求⼿続きを⾏う際に、あわせて給付⾦の認定請求の手続きを⾏ってください

また、2019 年4⽉2⽇以降に⽼齢基礎年⾦を受給される⽅には、⽼齢基礎年⾦の新規裁定手続きのご案内に、給付⾦の請求書も同封するとのことです。忘れずに提出しておきましょう。

手続きは初回のみ

この年金生活者支援給付金制度はしばらく続くと思われますが、一度手続きして給付⾦を受け取っている方で引き続き支給要件を満たしていればその後の手続は不要です。

ただし、支給要件を満たさなくなって一度受け取れなくなった方は、再度支給要件を満たしたタイミングで認定請求の手続きが必要となります。

年金生活者支援給付金制度まとめ

今回は「年金が少ない方は年金生活者支援給付金の対象とならないか調べてみよう」と題して10月からはじまる年金生活者支援給付金制度について解説してきました。

ちょっとややこしい制度ですが、該当される方は忘れずに申請をするようにしておきましょうね。

該当しない方はキャッシュレス決済をフル活用して増税分節約しましょう。

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また、消費税増税に伴いプレミアム商品券なる制度も始まります。該当される方はうまく活用しましょうね。

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