ネット証券最大手の SBI証券がかなり攻めてますね。
米国株式の最低取引手数料を無料にしたかと思えば、ウルトラバランス世界株式というカチカチな固いアセットアロケーションにレバレッジ(借金)を掛けてリターンを大きく、リスクを小さくするのを目指したおもしろい商品を販売開始しました。また、日本を含んだ全世界に投資をする投資信託SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))の信託報酬を0.109%まで一気に引き下げたのです。(元は0.15%)
さらに衝撃的な商品が販売されることになりました。「SBI・バンガード・S&P500インデックスファンド(愛称:SBI・バンガード・S&P500)」です。(9/12(木)から新募集を開始)
「SBI・バンガード・S&P500インデックスファンド」は米国を代表する500社の指標であるS&P500をベンチマークとする商品となります。
それだけならそこまで目新しくありませんが、大きなポイントはSBI証券とバンガードが組んだことでしょう。
バンガードは米国最大級の運用会社です。
そこと日本の証券会社のタッグといえば楽天証券でしたが、SBI証券とも組んだ感じとなります。
これ個人的には結構衝撃でした。
最近、アメリカ株人気もあり、S&P500など米国への投資ができる投資信託がかなり充実してきましたが、そこにさらに新たな選択肢が増えた感じですね。
なお、SBI・バンガード・S&P500インデックスファンドはつみたてNISAの対象にもなるようですよ。
今回は「SBI・バンガード・S&P500インデックスファンド」のレビューとして他の米国株へ投資できる投資信託、ETFなどと比較してみたいと思います。
先に結論から言えば
米国へ投資が人気となっている理由
現在の世界経済の中心は米国となっています。
2019年8月現在の時価総額ランキングは以下のとおりです。
2位 アップル
3位 アマゾン・ドット・コム
4位 アルファベット(グーグル)
5位 フェイスブック
6位 パークシャー・ハサウェイ
7位 アリババ・グループ・ホールディングス
8位 テンセント・ホールディングス
9位 VISA
10位 JPモルガン・チェース
7位と8位は中国のIT企業ですがそれ以外はすべて米国企業なんですよね。
それだけ世界経済は米国中心で回っていると言っても過言ではないでしょう。
恐らくこの傾向は当面続くと考えられるんですよ。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
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米国株への投資をする際の選択肢
アメリカ株へのアクセスはかなり良くなっています。
それに合わせて投資方法もいくつか考えられるようになってきました。
米国株を買う
まず、考えられるのが直接米国株を買うことです。
最近は米国株への投資をする場合の手数料もかなり下がっていますから挑戦しやすくなっていますね。
ただし、個別株の場合は銘柄を選ぶ必要がありますからちょっと敷居は高くなりますね。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
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海外ETFを買う
また、米国の株式市場に上場しているETFを買う方法もあります。
こちらの最大のメリットは手数料が日本の比ではなく低いことでしょう。
そのかわり、日本の投資信託と比較して口数単位で買えなかったり、取り回しはちょっとまだ劣っていますね。
ただし、SBI証券などでは「定期買付」なる制度もできてきてだいぶ改善されつつあります。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
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米国株へ投資をする投資信託を買う
もう一つの方法は米国株へ投資をする投資信託を買うということです。
今回発表された「SBI・バンガード・S&P500インデックスファンド(愛称:SBI・バンガード・S&P500)」もその選択肢の一つとなります。
少し前までは米国株へ投資ができる投資信託の種類はかなり限られていました。
しかし、最近はダウだけでなくS&P500をベンチマークとした商品、小型株も含んだ全米株を対象とする商品などかなり幅広くなってきました。
海外ETFと比較して信託手数料は多少高くなっていますが、金額指定で購入できるなど取り回しの良さは投資信託の強みですね。
米国株への投資をする代表的な投資信託との比較
それでは「SBI・バンガード・S&P500インデックスファンド(愛称:SBI・バンガード・S&P500)」と他の米国株へ投資をする代表的な商品を比較していきましょう。
現在のところ、米国株へ投資をする投資信託はSBI証券取扱だけで138本あります。
その中で特に人気となっているインデックス型の投資信託は以下の3本です。
○eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
○iFree NYダウ・インデックス
今回はこの3本と「SBI・バンガード・S&P500インデックスファンド(愛称:SBI・バンガード・S&P500)」を比較していましょう。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とSBI・バンガード・S&P500インデックスファンド(愛称:SBI・バンガード・S&P500)はベンチマークが同じS&P500ですが、他の2本はまったく違うベンチマークですのでその点から押さえておく必要があります。
ベンチマーク
それぞれのベンチマークは「楽天・全米株式インデックス・ファンド」がCRSP USトータル・マーケット・インデックス(円換算ベース)、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「SBI・バンガード・S&P500」はS&P500、「iFree NYダウ・インデックス」はダウ・ジョーンズ工業株価平均となっています。
この3つのベンチマークかなり毛色が違うんですよ。
S&P500とは
まずはS&P500です。
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「SBI・バンガード・S&P500」が採用しています。
S&P500はニューヨーク証券取引所、アメリカン証券取引所、ナスダック、に上場している銘柄から代表的な500銘柄を抽出。
その株価を元に時価総額加重平均をした指数となります。
つまり、米国を代表する500社の株価指数となります。
米国を代表する企業のみに投資をしたいならおすすめの投資先です。
保有上位10銘柄
2019年7月時点の保有上位10銘柄と純資産総額に占める割合は以下のとおりです。
銘柄 | 純資産総額に占める割合 |
マイクロソフト | 4.2% |
アップル | 3.75% |
アマゾン | 3.11% |
フェイスブック | 1.88% |
パークシャー・ハサウェイ | 1.55% |
JPモルガン・チェース | 1.51% |
アルファベット ClassC(グーグル) | 1.50% |
アルファベット ClassA(グーグル) | 1.47% |
ジョンソンアンドジョンソン | 1.39% |
エクソンモービル | 1.27% |
世界の時価総額が高いものが網羅されている感じですね。上位10銘柄で約23%を占めています。
CRSP USトータル・マーケット・インデックスとは
次はCRSP USトータル・マーケット・インデックスです。
「楽天・全米株式インデックス・ファンド」が採用しているベンチマークです。
こちらは米国株式市場に上場する大型株、中型株、小型株約4000銘柄から構成される時価総額加重平均型の株価指数です。
米国の株式市場で投資可能な銘柄のほぼ100%に分散投資をしていると同じことになります。
他の2つの指標と比較して小型株が含んでいることが大きな特徴ですね。
分散性の高さが売りです。
ですから広く米国株に投資をしたいならおすすめの投資先です。
保有上位10銘柄
2019年6月時点の保有上位10銘柄と純資産総額に占める割合は以下のとおりです。
銘柄 | 純資産総額に占める割合 |
マイクロソフト | 3.5% |
アップル | 2.8% |
アマゾン | 2.7% |
アルファベット(グーグル) | 2.2% |
フェイスブック | 1.6% |
パークシャー・ハサウェイ | 1.4% |
ジョンソン&ジョンソン | 1.3% |
JPモルガン・チェース | 1.2% |
エクソンモービル | 1.1% |
VISA | 1.0% |
S&P500と銘柄は同じようなものが上位を占めていますが、多少順位が違うのと比率が違いますね。ちなみに上位10銘柄で約19%とS&P500よりもその比率は小さくなっています。
ダウ・ジョーンズ工業株価平均とは
最後はダウ・ジョーンズ工業株価平均です。
ダウ平均やNYダウとも呼ばれます。
ニュースでは一番報道されている株価指数ですよね。
「iFree NYダウ・インデックス」が採用しているベンチマークです。
ダウ・ジョーンズ工業株価平均はその名前の通り、ダウ・ジョーンズ社が算出している米国の株価指数で、米国株式市場の代表的な30社からなる株価指数となります。
最大の特徴は30社と投資先がかなり限定されていることでしょう。
なお、30社の銘柄の入れ替えもそれなりにあります。
そのため現在、米国の大企業にのみ投資をしたいならおすすめの指標です。
保有上位10銘柄
2019年8月時点の保有上位10銘柄と純資産総額に占める割合は以下のとおりです。
銘柄 | 純資産総額に占める割合 |
ボーイング | 9.1% |
ユナイテッド・ヘルス・グループ | 5.8% |
ホームデポ | 5.7% |
マクドナルド | 5.5% |
アップル | 5.2% |
ゴールドマンサックス | 5.1% |
VISA | 4.5% |
3M | 4.0% |
トラベラーズ・カンパニーズ | 3.7% |
マイクロソフト | 3.5% |
他の2つと比べて純資産総額に占める割合が上位10銘柄で約52%かなり高くなっていますね。これは30銘柄しかないためそうなります。
過去の成績
この3つの指標の過去成績を見ると時期によってどの指標がよいのかはかなりバラバラとなっています。
将来のことはわかりませんので、考え方でこの3つを選択するとよいでしょう。
米国を代表する大型企業のみに投資をしたい→S&P500
米国株全体に投資をしたい→CRSP USトータル・マーケット・インデックス
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
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信託報酬
それぞれの信託報酬を比較してみましょう。
商品名 | ベンチマーク | 信託報酬 |
SBI・バンガード・S&P500 | S&P500 | 0.0938%程度 |
楽天・全米株式インデックス・ファンド | CRSP USトータル・マーケット・インデックス | 0.1562%程度 |
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | S&P500 | 0.165%以内 |
iFree NYダウ・インデックス | ダウ・ジョーンズ工業株価平均 | 0.475% |
後発だけあり、「SBI・バンガード・S&P500インデックスファンド」が信託報酬最安値となっています。
今まで他社の信託報酬引き下げに対応してきているeMAXIS Slimが対応するのかが注目ですね。
「SBI・バンガード・S&P500インデックスファンド」はまだこれからの投資信託ですから実際の成績はわかりません。
しかし、ベンチマークと同じように推移するならばかなり優位な商品であると言えますね。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とは少し毛色が違う
また、「SBI・バンガード・S&P500インデックスファンド」は同じS&P500をベンチマークとしているeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)などと少し違う点があります。
それは「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」などの投資信託は米国の株式を直接買うのに対して、「SBI・バンガード・S&P500インデックスファンド」バンガード社のS&P500ETFである「VOO」を買う投資信託でファンドオブファンズ方式であるっていう点です。
VOOを買うことで間接的にS&P500に投資している感じですね。
バンガード社のVOO自体は老舗のS&P500のETFですからまったく問題ありませんが、ETFを買うファンドオブファンズ方式の投資信託は一般的に普通の投資信託よりも信託報酬外の経費が膨らんでいる場合が多いです。
そのため「SBI・バンガード・S&P500インデックスファンド」もeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)などと比較して値動きの推移や実質コストの推移を見守る必要がありますね。
ちなみに楽天・全米株式インデックス・ファンドもバンガード社の海外ETFである「VTI」を買う投資信託ですね。
米国株への投資をする代表的な海外ETFとの比較
今回の「SBI・バンガード・S&P500インデックスファンド」はバンガード社の海外ETFである「VOO」を買う投資信託です。
ですから直接海外ETFを買うという選択肢も考えられます。
そちらとの比較をみてみましょう。
信託報酬・経費率
それでは海外ETFと「SBI・バンガード・S&P500インデックスファンド」が信託報酬の比較を見ていきましょう。(海外ETFは経費率)
商品名 | ベンチマーク | 信託報酬(経費率) |
SBI・バンガード・S&P500 | S&P500 | 0.09264%程度 |
VOO(バンガードS&P500ETF) | S&P500 | 0.03% |
VTI(バンガードトータルストックマーケットETF) | CRSP USトータル・マーケット・インデックス | 0.03% |
DIA(SPDRダウ工業平均ETF) | ダウ・ジョーンズ工業株価平均 | 0.17% |
「SBI・バンガード・S&P500インデックスファンド」が買う元のETFであるVOOや「楽天・全米株式インデックス・ファンド」が買う元のETFは0.03%とかなり経費率が安くなっています。
つまり、経費率だけを考えれば海外ETFの方がかなり安くなっていると言えます。
海外ETFと投資信託と利便性の差
海外ETFと投資信託を比較すると上記のように手数料のことだけ考えれば海外ETFの方が魅力的です。
しかし、以下のようなデメリットがありますので万人に勧めにくいという部分があるのです。
1口単位の購入が必要
売買手数料が必要
税金が面倒
ドルでの買付が必要
まず一つ目がドルでの買付が必要な点です。
証券会社で購入時にドルに変えられるようにはなっていますが、為替手数料が高めです。
ですから金額によっては上記の経費率と信託報酬の差がこれで飛んでしまうなんてこともありえます。
住信SBIネット銀行なんかを使えばかなり低い為替手数料で交換はできまるようになりましたが、投資信託を直接購入するのに比べて手間が一つ加わる感じとなります。
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1口単位での購入が必要
もう一つが海外ETFは1口単位で購入が必要ということです。
例えば200ドルの海外ETFなら200ドル単位での購入が必要となります。
対して投資信託は1円単位の金額で購入も可能ですから39,999円分買うなんてことも基本的に可能となっています。
この辺りの取り回しは投資信託が圧倒的によいですね。
売買手数料が必要
多くの投資信託はノーロードということで売買時の手数料は無料となっています。
今回ご紹介した4つともノーロードです。
しかし、海外ETFの場合には株式の売買と基本的に同じですから手数料が発生します。
以前と比較してかなり安くはなっていますけどね。
それでも金額によっては経費率と信託報酬の差がこれで飛んでしまうなんてこともありえます。
この点も加味して検討して上げる必要があります。
売買手数料についてはこちらの記事をご覧ください
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税金が面倒
最後が税金の扱いです。
海外の株やETFは現地で課税され、日本でも課税されます。
例えば米国ならば利益に対して米国源泉徴収税率が10%、日本の源泉徴収税率20.315%が差し引かれることになります。
ただし、確定申告をすれば現地分の課税は取り戻すことはできます。
面倒ですけどね・・・
このあたりは結構大きなデメリットですね。
SBI・バンガード・S&P500インデックスファンドレビューまとめ
今回は「【SBI・バンガード・S&P500インデックスファンド】レビュー。米国株へ投資する商品の本命?比較検討してみた」と題してSBI・バンガード・S&P500インデックスファンドについてみてきました。
結論としては以下のとおりです。

評価:[star-list number=5]5海外ETFも経費率の低さは魅力的ですが、利便性に大きな差があります。その点を考えれば投資信託で取り回しがかなり便利かつ、信託報酬が最安値のSBI・バンガード・S&P500インデックスファンドはかなりおすすめな投資信託だと言えるでしょう。
ただし、SBI・バンガード・S&P500インデックスファンドはVOOを買うファンドオブファンズ方式の投資信託であるため、実際の値動きや経費の推移を見守りたいな・・・ってのも個人的にはあります。
SBI・バンガード・S&P500インデックスファンドを買うならSBI証券
SBI証券の資料請求は以下からどうぞ。
米国株式や海外ETFを始めるならば住信SBIネット銀行も合わせて開設しておくのがおすすめですよ。
CHECK! SBI証券
また、同じくアメリカ株を中心に投資をするちょっと変わった「楽天米国レバレッジバランス」はこちらの記事を御覧ください。
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