銀行よりも対面証券会社のほうが投資信託で損した顧客が多かった件(2019年9月時点)

「顧客本位の業務運営」を金融機関が行っているのかを客観的に確認するため金融庁が求めている「運用損益別顧客比率」など共通KPI。

2019年9月末のまとめ資料が先日発表されました。

昨年から共通KPIが発表されることになり、各社が投資信託販売時に顧客本位となってきているのか昨年よりは改善傾向にあります。

しかし、そうでもないのが対面証券会社なのです。

今回は金融庁が発表した共通KPIのまとめ資料を元に銀行よりも対面証券会社のほうが投資信託で損した顧客が多かった件についてみていきます。

※最新版はこちらの記事を御覧ください。

以前の資料はこちらを御覧ください。

運用損益別顧客比率は昨年より改善傾向

投資信託を買った顧客の運用損益別の比率は昨年2018年3月時点よりも改善傾向にあります。

投資信託の運用損益別顧客比率前年比較
投資信託の運用損益別顧客比率前年比較

出所:金融庁「顧客本位の業運営」の取組成果の公表状況より

2018年3月時点では46%いたマイナスの顧客が34%まで減少。

54%だったプラスの顧客も66%まで上昇しています。

相場の動向により影響も当然ありますから一概にはいえませんがとりあえずマイナスの顧客は減っていることは分かります。

業態別の運用損益別顧客比率

次に業態別で見てみましょう。

投資信託の運用損益別顧客比率業種別比較
投資信託の運用損益別顧客比率業態別比較

出所:金融庁「顧客本位の業運営」の取組成果の公表状況より

業態別で最も成績が良いのは投資運用業者

業態別で最もよいのが「投資運用業者」です。セゾン投信などの直販がこれに該当します。

82%の顧客がプラスとなっています。

ちなみセゾン投信はこの分野で一番成績がよく98%の顧客がプラスになっています。

業態別で最も成績が悪いのは対面証券会社

逆に最も成績が悪いのが対面型の証券会社です。

投資信託を保有している顧客のうちプラスなのが53%しかいないのです。

購入手数料や信託報酬が高い投資信託を売りつけているのでしょうかね・・・

同じ証券会社でも自分で商品を選択するネット証券はプラスの顧客が69%とかなり差があります。

実際、私の元にIPO用に作った対面証券会社からたまに連絡がありますが、ほとんどがクソみたいな投資信託を売りつけようという電話ばかりです・・・

銀行はかなり改善傾向

ちなみに金融庁から名指しで批判されてきた銀行はかなり改善しています。

主要銀行はプラスの顧客が66%、地域銀行でも62%です。

対面証券と比較して10%以上も違いますね。

投資信託のコストとリターンの関係

上記のように対面証券がかなり成績が悪い理由は下記の資料を見れば一目瞭然です。

下記は預かり残高上位20銘柄のコストとリターンの関係です。

コストとリターン
投資信託のコストとリターン

出所:金融庁「顧客本位の業運営」の取組成果の公表状況より

ちょっと分かりにくい資料ですが、青色が対面証券会社です。

対面販売の証券会社が販売している投資信託の多くがリターンがそれほどでないのにコストが2%から3%のものがほとんどとなっています。

つみたてNISAの対象にもなれないだろう、高コストな地雷的な投資信託を売りつけているのでしょう。

逆に緑色のネット証券系は1%未満ですからこの差は大きいですね。

リターンは確実ではありませんが、コストは必ず掛かってきますから低ければ低いにこしたことはないのです。

投資信託のリスクとリターンの関係

リスクとリターン
投資信託のリスクとリターン

次は預かり残高上位20銘柄のリスクとリターンの関係です。

こちらもかなり驚くべき結果です。

対面証券会社の販売している商品はリスクがかなり高いことが分かります。

中には22%超えの高リスクなところまで・・・・

かなり多くリスクが高い商品を売っている対面証券会社があるということです。

どこの証券会社なのでしょうかね・・・

ネット証券や投信会社は低コスト、高リスクで高リターンという傾向にあります。

運用損益別顧客比率の業種別成績ランキング

今回の金融庁の発表資料には運用損益別顧客比率を上からランキングまでしてくれています。(運用損益率0%以上の顧客割合が高い順)

かなり数が多いですから業種別にベスト5とワースト5をご紹介しておきましょう

運用損益別顧客比率:銀行のベスト5

まずは銀行のベスト5です。※数字は運用損益率0%以上の顧客割合

意外な銀行がベスト5にランクインしています。

1位:山口銀行 83%
2位:スルガ銀行 82%
3位:ソニー銀行 80%
4位:北九州銀行 79%
5位:オリックス銀行 78%
ネット銀行系が上位に来ていますね。

運用損益別顧客比率:銀行のワースト5

次は銀行のワースト5です。※数字は運用損益率0%以上の顧客割合

1位:あおぞら銀行 36%
2位:長崎銀行 38%
3位:十八銀行 47%
4位:熊本銀行 48%
5位:北國銀行 49%

とくにあおぞら銀行と長崎銀行の成績が飛び抜けて悪くなっていますね。

運用損益別顧客比率:共同金融のベスト5

次は信用金庫などの共同金融のベスト5です。※数字は運用損益率0%以上の顧客割合

1位:尾西信用金庫 98%
2位:館林信用金庫 96%
3位:しまなみ信用金庫 96%
4位:沼津信用金庫 95%
5位:中兵庫信用金庫 94%
かなり高い比率でプラスとなっていますね。
信用金庫は良心的なのでしょうか。

運用損益別顧客比率:共同金融のワースト5

次は共同金融のワースト5です。※数字は運用損益率0%以上の顧客割合

1位:飯能信用金庫 40%
2位:新潟信用金庫 52%
3位:青和信用金庫 59%
4位:東海労働金庫 63%
5位:大川信用金庫 63%

飯能信用金庫が飛び抜けて悪い成績となっています。

運用損益別顧客比率:対面証券のベスト5

次は対面証券のベスト5です。※数字は運用損益率0%以上の顧客割合

1位:野村證券 80%
2位:大万証券 79%
3位:丸三証券 77%
4位:PMM日本 76%
5位:中原証券 75%
日本最大の証券会社である野村証券が運用損益率0%以上の顧客割合が一位という意外?な結果となっていますね。
ちなみに大和証券やSMBC日興証券、みずほ証券といった大手もそれほど悪い数字にはなっていません。
対面証券でも大手は特に問題がないという結果となりましたね。

運用損益別顧客比率:対面証券のワースト5

次は対面証券のワースト5です。※数字は運用損益率0%以上の顧客割合

1位:池田泉州TT証券 22%
2位:七十七証券 26%
3位:武甲証券 30%
4位:とうほう証券 31%
5位:ぐんぎん証券 32%

運用損益率0%以上の顧客割合が22%とかかなりやばい数字が並んでいます・・・

大手ではなく地方の対面証券ほど成績が悪くなっていますね。

運用損益別顧客比率:その他事業者のベスト5

次はネット証券や独立系投資信託などその他事業者のベスト5です。※数字は運用損益率0%以上の顧客割合

1位:セゾン投信 98%
2位:ありがとう投信 95%
3位:財コンサルティング 89%
4位:グローバー・アセット・マネジメント 87%
5位:コモンズ投信 84%
独立系の投信運用会社が上位に並んでいますね。
特にセゾン投信とありがとう投信はかなり高くなっています。

運用損益別顧客比率:その他事業者のワースト5

最後はその他事業者のワースト5です。※数字は運用損益率0%以上の顧客割合

1位:レオス・キャピタルワークス 45%
2位:アイ・コーポレーション 46%
3位:GMOクリック証券 55%
4位:岡三オンライン証券 58%
5位:SBI証券 71%

レオス・キャピタルワークス(ひふみ投信)は下記記事の通り、2019年3月時点では91%の顧客がプラスとなっていましたが、9月の時点では45%の顧客がプラスとかなり苦労していますね。。。

カンブリア宮殿で紹介されてから一気に広まったことによる弊害でしょうかね・・・

まとめ

今回は「銀行よりも対面証券会社のほうが投資信託で損した顧客が多かった件(2019年9月時点)」と題して金融庁が先日発表した共通KPIのまとめ資料を見てきました。

金融機関によってかなり投資信託の成績に差があることがわかったと思います。

ただし、基本的には対面証券会社も銀行も商売ですから儲けが優先になってしまうことは仕方ない部分もあります。

ですから自分自身でその投資が良いのかをちゃんと判断できるようにするのが最大の自己防衛でしょうね。

ちなみに銀行は今回の共通KPIの成績は良くなっていますが、実は外貨預金やファンドラップの流れているという話もあります・・・

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