「顧客本位の業務運営」を金融機関が行っているのかを客観的に確認するため金融庁が求めている「運用損益別顧客比率」など共通KPI。
2020年3月末のまとめ資料が発表されました。特に注目は運用損益別顧客比率です。
金融機関によってかなりの差があるんですよ・・・
コレを見ればどこが良心的な金融機関なのかがわかってきますね。
昨年までの資料はこちらを御覧ください。
運用損益別顧客比率は昨年より悪化
出典:金融庁「安定的な資産形成に向けた金融事業者の取組み状況」より
今回のデータは2020年3月時点ですから新型コロナで株が暴落した時のほぼ底です。
そのため、昨年、一昨年と比較すると運用損益がマイナスとなっている顧客が大幅に増えています。(この後、高騰していますのでそのまま持っていれば改善しているとは思われますが・・・)
業態別ではネット系証券会社がワースト・・・
出典:金融庁「安定的な資産形成に向けた金融事業者の取組み状況」より
業態別でみるとかなり意外な結果がでています。ワーストはプラスの顧客が16%しかいないネット系証券会社です。
2019年9月時点ではネット系証券会社の顧客のプラス比率は69%とかなり高くなっていました。
ネット系証券会社は短期売買の方が多いのでこのような結果となったのかもしれません。
また、昨年からすでにその傾向が出ていますが対面証券会社よりも銀行の方がマシな状況にあります。
プラスの顧客比率が最も高いのは2019年9月時点と同じく投資運用業者ですね。セゾン投信やレオスのひふみ投信などがそれにあたります。
運用損益別顧客比率の業種別ランキング
今回の金融庁の発表資料には運用損益別顧客比率を上からランキングまでしてくれています。(運用損益率0%以上の顧客割合が高い順)
かなり数が多いですから2020年3月末時点の業種別にベスト5とワースト5をご紹介しておきましょう
運用損益別顧客比率:主要銀行のベスト5
まずは主要銀行のベスト5です。※数字は運用損益率0%以上の顧客割合
意外な銀行がベスト5にランクインしています。
2位:ソニー銀行 53%
3位:みずほ信託銀行 51%
4位:SMBC信託銀行 42%
5位:三菱UFJ信託銀行 42%
運用損益別顧客比率:主要銀行のワースト5
次は主要銀行のワースト5です。※数字は運用損益率0%以上の顧客割合
2位:イオン銀行 18%
3位:三井住友銀行 26%
4位:ゆうちょ銀行 33%
5位:みずほ銀行 33%
とくにあおぞら銀行の成績が飛び抜けて悪くなっていますね。
あおぞら銀行は2019年9月の時点でもワースト1位でした。なにか構造的に問題があるのでしょうか・・・
運用損益別顧客比率:地方銀行のベスト5
次は地方銀行のベスト5です。※数字は運用損益率0%以上の顧客割合
意外な銀行がベスト5にランクインしています。
2位:きらやか銀行 54%
3位:大垣共立銀行 43%
4位:南日本銀行 43%
5位:愛媛銀行 43%
運用損益別顧客比率:地方銀行のワースト5
次は地方銀行のワースト5です。※数字は運用損益率0%以上の顧客割合
2位:親和銀行 17%
3位:長崎銀行 18%
4位:千葉興行銀行 19%
5位:百十四銀行 19%
ワーストは熊本銀行です。
こちらも2019年9月の時点でもワースト上位となっていました。過去にかなり悪い商品を売っていたのでしょうか?
運用損益別顧客比率:共同金融のベスト5
次は共同金融のベスト5です。※数字は運用損益率0%以上の顧客割合
こちらも意外な銀行がベスト5にランクインしています。
2位:尾西信用金庫 89%
3位:中兵庫信用金庫 77%
4位:新潟県信用組合 72%
5位:館林信用金庫 65%
運用損益別顧客比率:共同金融のワースト5
次は共同金融のワースト5です。※数字は運用損益率0%以上の顧客割合
2位:新潟信用金庫 6%
3位:飯能信用金庫 8%
4位:留萌信用金庫 13%
5位:富士宮信用金庫 14%
なんと10%割れが3行もあるというかなり厳しい結果ですね。
同じ共同金融ですがこれだけ差があるのです。どこと取引するのかで大きな差となってしまっています。
運用損益別顧客比率:対面証券のベスト5
次は対面証券のベスト5です。※数字は運用損益率0%以上の顧客割合
2位:大万証券 43%
3位:みずほ証券 40%
4位:SMBC証券 40%
5位:東海東京証券 38%
運用損益別顧客比率:対面証券のワースト5
次は対面証券のワースト5です。※数字は運用損益率0%以上の顧客割合
2位:七十七証券 5%
3位:ぐんぎん証券 8%
4位:四国アライアンス証券 10%
5位:第四北陸証券 11%
大手ではなく地方の対面証券ほど成績が悪くなっていますね。
運用損益別顧客比率:その他事業者のベスト5
次はネット証券や独立系投資信託などその他事業者のベスト5です。※数字は運用損益率0%以上の顧客割合
2位:グローバー・アセット・マネジメント 74%
3位:セゾン投信 66%
4位:コモンズ投信 56%
5位:鎌倉投信 56%
運用損益別顧客比率:その他事業者のワースト5
最後はネット系証券会社・独立系運用業者などのその他事業者のワースト5です。※数字は運用損益率0%以上の顧客割合
2位:GMOクリック証券 11%
3位:楽天証券 14%
4位:岡三オンライン証券 19%
5位:auカブコム証券 20%
ワースト1はFanです。IFA(資産アドバイザー)が資産運用のアドバイザリーサービスなどを行っている会社のようです。
それ以降はネット証券会社が続きます。
ネット証券会社の多くは個人の方が自分で調べて購入しているでしょうからマイナスの顧客が多くても責められるものではないですね。
まとめ
今回は「1位は意外なあの金融機関。金融機関ごとの運用損益別顧客比率が発表」と題して金融庁が先日発表した共通KPIのまとめ資料を見てきました。
金融機関によってかなり投資信託の成績に差があることがわかったと思います。
特にワーストとなっている証券会社・銀行・信用金庫から投資信託を買うときは慎重にすべきですね。
ただし、基本的に証券会社も銀行も商売ですから儲けが優先になってしまうことは仕方ない部分もあります。
ですから自分自身でその投資が良いのかをちゃんと判断できるようにするのが最大の自己防衛でしょうね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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