投資信託は銀行で買うな!ネット証券で買おう。統計データで明らかな差が判明

先日ネット証券大手4社(SBI証券、楽天証券、マネックス証券、カブドットコム証券)が統計情報(共通KPI)を発表しました。これが大変興味深いものでしたので詳しく見ていきたいと思います。

ちなみに同様の統計情報(共通KPI)は金融庁が銀行分については6月に発表しており、銀行から投資信託を買った半数がマイナスという衝撃的な内容でしたね。

金融庁が発表した銀行分の統計情報はこちらからどうぞ

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先日、金融庁が投資信託を販売する銀行・証券会社に対して比較可能な共通KPIと考えられる3つの指標を公表することを発表しました。3つの指標は以下の通り。・ 運用損益別顧客比率・ 投資信託預り残高上位20銘柄のコスト・リターン[…]

銀行が地雷投資信託を売りつける

2019年9月の資料はこちらを御覧ください。

※加筆修正を加えました。

ネット証券大手4社が統計情報を発表


ネット証券大手4社が同時に資料を発表しました。これは金融庁が2018年6月に公表した「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPI」に基づいたものになります。今回発表されたのはそのうち「運用損益別顧客比率」です。ちなみに前述の銀行が出した統計情報も同じ共通KPIに基づいたものになりますので比較しながら見ていきましょう。

【ネット証券4社】投資信託保有者のプラス割合63.8%

まずはネット証券4社の合算データから見ていきましょう。これによると3月末時点で投資信託を保有する顧客のうち評価損益がプラスだった顧客数は全体の63.8%でした。ちなみにこれはすでに売却している人は含まれません。

ネット証券4社合算-min
出所:インターネット証券4社 「投資信託の販売会社におけ比較可能な共通KPI」公開のお知らせより

【銀行】投資信託保有者のプラス割合約55%

ちなみに同時期の主要行等9行、地域銀行20行合算のデータは下記のとおりです。プラスの割合は約54%でした。だいぶ差がでているのがわかると思います。

これはネット証券の場合、ほとんど自分でどの投資信託を買うか選んでいるのに対して、銀行はおすすめの投資信託を売っているかの違いだと思われます。銀行はそれだけ自分達が儲かる商品(顧客の利益度外視)を売っていることがわかりますね。30%以上、50%以上の比率が銀行の方が多くなっているのは銀行で買う層の方が長期的にもっている人が多いのかもしれません。
銀行の投資信託は地雷
出所:金融庁「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPIを用いた分析」より

【SBI証券】投資信託保有者のプラス割合64.7%、売却者も含むと71.1%

次にSBI証券のデータを見ていきましょう。SBI証券は他の証券会社と違いもう少し細かいデータも発表しています。

これによると3月末時点で投資信託を保有する顧客のうち評価損益がプラスだった顧客数は全体の64.7%でした。ちなみにこれにはすでに売却している人は含まれません。ネット証券全体より少し成績が良くなっていますね。この辺りは取扱商品やユーザー層の違いがでているのでしょうか?

SBI証券投資信託-min
出所:SBI証券「顧客中心主義に基づく業務運営の実施状況」より

すでに売却した分も含むと71.1%の人がプラス

次にSBI証券独自に発表した2018年3月末時点の、過去に全償還・全売却された銘柄を含む運用損益(実現損益・評価損益の合計 手数料控除後)のデータを見ると71.1%の方がプラスとなっています。これは2009年12月1日以降、SBI証券で取引があった銘柄を対象としています。入庫した銘柄は、入庫日の基準価額または自己申告の取得価額で計算しています。簡単に言えば利益確定した人や損切した人も含んで見てみたということです。

SBI証券投資信託売却含む-min
出所:SBI証券「顧客中心主義に基づく業務運営の実施状況」より

投資信託買付金額ランキング(2017年度)

合わせて投資信託買付金額ランキングもでていました。ランキングはいつでも表示されていますので驚きはありませんが、全積立買付金額に占める割合が結構衝撃でした。ひふみプラスが全体の12.2%を占めているのです。

最近のひふみはかなり調子悪いですからこの辺り来年のデータでどう変わってくるのか見ものですね。

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現在日本の投資信託一番人気といってもよいのが「ひふみ投信」(ひふみ年金、ひふみプラス)です。しかし、最近どうも成績がぱっとしません。TOPIXや日経平均にすら負けてしまっているのです。今回はこの件を考えてみたいと思います。ひふみ[…]

ひふみ投信を信じられるか
順位ファンド名積立買付金額
(百万円)
全積立買付金額に
占める割合
1ひふみプラス9,51312.2%
2<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド7,87410.1%
3世界経済インデックスファンド4,5945.9%
4ニッセイ日経225インデックスファンド3,1884.1%
5SBI資産設計オープン(資産成長型)3,1824.1%
6<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド1,8222.3%
7eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)1,8152.3%
8eMAXISバランス(8資産均等型)1,7582.3%
9SMT グローバル株式インデックス・オープン1,7032.2%
10たわらノーロード 先進国株式1,5372.0%

出所:SBI証券「顧客中心主義に基づく業務運営の実施状況」より

投資信託預かり残高上位20銘柄(共通KPI)

合わせて投資信託預かり残高上位20銘柄が公開されています。かなり意外な商品が並んでいます。預かり残高と買付け金額ランキングにかなり相違があるのはずっともっている人が多いって感じなんでしょうね。

1ひふみプラス
2ニッセイ日経225インデックスファンド
3ワールド・リート・オープン(毎月決算型)
4SBI資産設計オープン(資産成長型)
5SMT グローバル株式インデックス・オープン
6SBI小型成長株ファンド ジェイクール
7SBI中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブ
8世界経済インデックスファンド
9フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)
10ニッセイグローバル好配当株式プラス(毎月決算型)
11ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)
12好配当グローバルREITプレミアムファンド 通貨セレクトコース
13eMAXIS 新興国株式インデックス
14外国株式インデックスe
15楽天USリート・トリプルエンジン(レアル)毎月分配型
16eMAXIS バランス(8資産均等型)
17朝日Nvest グローバル バリュー株オープン
18SBIインド&ベトナム株ファンド
19中小型成長株ファンド-ネクストジャパン-
20eMAXIS 先進国株式インデックス

出所:SBI証券「顧客中心主義に基づく業務運営の実施状況」より

コスト、リスク、リターン

コストとリターンは下記のとおりです。

残高加重平均値

コスト

リターン

1.3%14.7%

リスクとリターンは以下のとおりでした。

残高加重平均値

リスク

リターン

15.0%14.7%

毎月分配型の割合

また、悪名高い「毎月分配型」の割合もでていました。SBI証券でやっている方は4.4%しか毎月分配型を買っていないのですね。ちょっと安心しました。これ同じように銀行で集計したらどのくらいの割合があるのか興味ありますね。かなり高くなりそうな予感・・・

毎月分配型がだめな理由については下記の記事を御覧ください。

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先日もブログに書きましたが森信親金融庁長官が積立NISAの対象になれるような投資信託は本当に少ないと発言されています。そして名指しで指摘されたのが毎月分配型投資信託です。しかし、この毎月分配型投資信託大変人気もあり、お金の専[…]

毎月分配型投資信託イメージ

毎月分配型の割合-min

出所:SBI証券「顧客中心主義に基づく業務運営の実施状況」より

ノーロードの割合

ノーロードの取扱商品に対する割合もでています。ノーロードとは販売手数料が掛からない投資信託のことです。最近はかなり増えていますね。SBI証券では約半分がノーロードに該当するようです。これも同じように銀行で集計したらどのくらいの割合があるのか興味ありますね。かなり高くなりそうな予感・・・
ノーロードの割合-min
出所:SBI証券「顧客中心主義に基づく業務運営の実施状況」より

【楽天証券】投資信託保有者のプラス割合62.9%、楽ラップ53.9%

次に楽天証券です。楽天証券の投資信託保有者のプラス割合は62.9%でした。他のネット証券と比較すると少し成績が振るいませんでしたね。取扱商品はSBI証券とそれほど大きく変わりませんのでユーザー層の違いのが大きいのでしょうか?

楽天証券投資信託-min
出所:楽天証券「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPI」公開のお知らせ

楽ラップはかなり悪い実績・・・

次に楽ラップに絞ったデータです。楽ラップでプラス割合は53.9%でした。ちょっと成績が振るわない感じですね。始まったばかりのサービスですからこれからだとは思いますがちょっと気になる実績・・・

楽ラップ成績-min
出所:楽天証券「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPI」公開のお知らせ

投資信託預かり残高上位20銘柄

合わせて投資信託預かり残高上位20銘柄が公開されています。SBI証券と1位は同じですがほかが結構違って面白い結果となっています。かなり意外な商品が並んでいます。中でも注目が毎月分配型やアクティブファンドが上位にたくさんあることですね・・・・楽天証券が薦めていたのでしょうか。。。

1ひふみプラス
2ニッセイ日経225インデックスファンド
3楽天USリート・トリプルエンジン(レアル)毎月分配型
4ワールド・リート・オープン(毎月決算型)
5フィディリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)
6ニッセイグローバル高配当株式プラス(毎月決算型)
7ラセール・グローバルREITファンド(毎月分配型)
8SMTグローバル株式インデックスオープン
9高配当グローバルREITプレミアムファンド通貨セレクトコース
10世界経済インデックスファンド
11eMAXIS新興国株式インデックス
12AR国内バリュー株式インデックス
13グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)
14楽天資産形成ファンド
15楽天日本株トリプル・ブル
16SBI中小型割安成長株ファンドジェイリバイブ
17eMAXIS先進国国株式インデックス
18SBI中小型成長株ファンドジェイクール
19グローバル・ヘルスケア&バイオファンド
20外国株式インデックスe

出所:楽天証券「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPI」公開のお知らせ

コスト、リスク、リターン

コストとリターンは下記のとおりです。SBI証券と比較するとリターンが低くなっていますね。

残高加重平均値

コスト

リターン

1.21%12.06%

リスクとリターンは以下のとおりでした。SBI証券と比較するとリリスクが高くなっていますね。

残高加重平均値

リスク

リターン

15.74%12.06%

【マネックス証券】投資信託保有者のプラス割合64.2%

次にマネックス証券です。マネックス証券の投資信託保有者のプラス割合は64.2%でした。こちらはネット証券大手4社の平均を上回りましたね。

マネックス証券投資信託-min
出所:マネックス証券「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPI」を公開

投資信託預かり残高上位20銘柄

投資信託預かり残高上位は下記の通りです。SBI証券と同様に良心的な商品が多いですね。

1ひふみプラス
2三井住友・バンガード海外株式ファンド
3日経225ノーロードオープン
4SMTグローバル株式インデックス・オープン
5マネックス資産設計ファンド<育成型>
6HSBCインドオープン
7ニッセイ日経225インデックスファンド
8インデックスファンドTSP
9ワールド・リート・オープン(毎月決算型)
10朝日Nvestグローバルバリュー株オープン
11ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)
12eMAXIS新興国株式インデックス
13SMT新興国株式インデックス・オープン
14eMAXIS先進国株式インデックス
15マネックス・日本成長株ファンド
16インデックスファンド海外債券(ヘッジなし)1年決算型
17フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)
18HSBCチャイナオープン
19三井住友・ニュー・チャイナ・ファンド
20SMTグローバル債券インデックス・オープン

出所:マネックス証券「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPI」を公開

コスト、リスク、リターン

コストとリターンは下記のとおりです。他よりもコストが安い商品が売れているようです。

残高加重平均値

コスト

リターン

1.14%12.36%

リスクとリターンは以下のとおりでした。

残高加重平均値

リスク

リターン

15.44%12.36%

【カブドットコム証券】投資信託保有者のプラス割合62.0%

次にカブドットコム証券で。カブドットコム証券の投資信託保有者のプラス割合は62%でした。こちらはネット証券大手4社で最下位でした。これは取扱商品やユーザー層の関係なのか親会社が銀行だから(三菱UFJ銀行)なのでしょうか・・・

カブドットコム証券投資信託

出所:カブドットコム証券「カブドットコム証券フィデューシャリー・デューティー基本方針

投資信託預かり残高上位20銘柄

合わせて投資信託預かり残高上位20銘柄が公開されています。こちらも楽天証券と同じく毎月決算型やアクティブファンドが多くなっていますね。かなり微妙なメンツとなっています・・・。1位が同様の外国株式へ投資をするファンドと比較して信託報酬がかなり高いステート・ストリート外国株式インデックスオープンです。このあたりはカブドットコム証券側が薦めていない限りこんな結果にはならなさそうな気がします。他の証券会社のランキングには入っていませんからね。ちなみにSBI証券での販売金額ランキング今日現在で105位のファンドです。

1ステート・ストリート外国株式インデックスオープン
2ワールドリートオープン(毎月決算型)
3ひふみプラス
4インデックスファンド225
5トピックスオープン
6eMAXIS新興国株式インデックス
7ニッセイグローバル高配当株式プラス(毎月決算型)
8eMAXIS先進国国株式インデックス
9SMT グローバル株式インデックス
10三菱UFJチャイナ・オープン
11ニッセイ日経225インデックスファンド
12グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)
13eMAXISバランス(8資産均等型)
14グローバル財産3分法ファンド(毎月決算型
15高配当グローバルREITプレミアムファンド通貨セレクト
16世界経済インデックスファンド
17三菱UFJ世界国際インデックスファンド(年1回決算型)
18エマージング・ソブリン・オープン(毎月決算型)
18ラ・サールグローバルREITファンド(毎月決算型)
18eMAXIS TOPIXインデックス

出所:カブドットコム証券「カブドットコム証券フィデューシャリー・デューティー基本方針」

コスト、リスク、リターン

コストとリスク・リターンは具体的な数字はなくグラフだけとなっていました。コスト高めな商品が多い感じですね。

リターンとリスクはこちら
カブドットコムリスクとリターン

リターンとコストはこちら

出所:カブドットコム証券「カブドットコム証券フィデューシャリー・デューティー基本方針」

毎月分配型の割合

カブドットコム証券も毎月分配型の割合を公表しています。下がってはいるものの直近でも20%近くの方が毎月分配型を買っているようです。一時期は50%近くが毎月分配型だったようです。SBI証券と比較するとかなり比率が高いのが気になりますね。この辺りはカブドットコム証券が推奨しているのでしょうか・・・そうでもないとここまで多くはならないと予想しますが。
カブドットコム毎月分配型-min
出所:カブドットコム証券「カブドットコム証券フィデューシャリー・デューティー基本方針」

まとめ

今回は「【投資信託の評価損益プラス割合】ネット証券63.8%、銀行55%。銀行の酷さが目立つ結果に・・・」と題してネット証券4社と銀行の投資信託の統計データをみてきました。

ネット証券4社でも結構ばらつきがあって面白いですね。今回紹介されたデータだけでみればSBI証券が一番良心的な感じがありました。ネット証券間の差がユーザー層や取扱商品の差にあるのか、それともネット証券側がおすすめした商品によってこのような差を生んでいるのかはわかりませんが・・・

また、ネット証券利用者でも毎月分配型の保有者がかなりの割合を占めているのがちょっと衝撃的でした・・・。

今後このような統計データが定期的に発表されることにより金融機関の顧客本位な対応が増えてきてくれるとうれしいですね。

楽天証券が先日楽天カードで投資信託を買うと1%ポイントが付くようにすると発表しましたが、今後はこの辺りの競争も激しくなりそうです。お客さんの方をみていない証券会社や銀行は顧客離れが進みそうですね。

読んでいただきありがとうございました。

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