高級店が閑古鳥。消費税増税でデフレはほんと?

消費税増税により安い飲食店が好調、高い飲食店が苦戦でデフレ傾向ってほんと?データを検証してみた

先日、ある報道を目にしました。

いきなりステーキなど高価格帯の飲食店が不調で吉野家などの低価格帯の飲食店が好調。

消費税増税の影響が大きくデフレに推移しているというものでした。

たしかにいきなりステーキは不調で吉野家は好調です。

しかし、本当に全体的に見てその傾向があるのか?とちょっと疑問に感じました。

そこで上場している飲食店各社の月次データを検証してみましたのでご紹介したいと思います。

結論から言えば

消費税増税でデフレになったとはデータ上思えない

のです。報道を鵜呑みにするのは危険だな・・・ってあらためて感じましたね。

今回は飲食店各社の月次データについて見ていきます。

本当にデフレ?上場飲食店の月次データを比較してみた

インフレ、デフレが一番目に見えてわかるのが飲食店の動向だと言われています。

そのため、比較的高価格帯のいきなりステーキの不調、比較的低価格帯の吉野家の好調でデフレではないか?という報道がされてしまっています。

しかし、この2社の個別の要因の可能性もありますので、全体的に本当にその傾向なのかを消費税増税前と増税後の既存店の月次データを比較しながら見ていきたいと思います。

なお、今回は報道で取り上げられていた2社と上場している飲食店の売上上位5社を確認しています。


いきなりステーキの月次データ(既存店)

まずは今回目立って報道されているいきなりステーキから見ていきましょう。

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4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月
客数 76.8% 73.5% 77.7% 72.8% 64.1% 72% 59.5% 72.2%
客単価 97.8% 99.8% 98.1% 96.8% 101.1% 92.1% 98.5% 93%
売上高 75.2% 73.4% 76.2% 70.4% 64.8% 66.4% 58.6% 67.2%

出所:ペッパーフードサービス「月次推移」より

いきなりステーキは消費税増税関係なく客数が大きく前年割れする傾向が続いていました。

そこに消費税増税があってさらに客離れとなった感じですね。

客単価も低い傾向となっています。

なお、いきなりステーキについては過去に分析していますのでこちらの記事も合わせて御覧ください。

吉野家の月次データ(既存店)

次は吉野家です。

今回の報道ではデフレ傾向の象徴として扱われました。

ちなみにデフレ時代には吉野家はすき家や松屋に価格競争で勝てず苦戦していたんですけどね・・・

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4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
客数 99.1% 99.4% 105.4% 99.3% 110.3% 100.2% 104% 104.7% 110.8%
客単価 105.8% 105.2% 101.6% 103.4% 103.2% 104.2% 100.2% 102.5% 100.4%
売上高 108.1% 105.8% 107.1% 102.6% 113.9% 104.6% 104.6% 107.3% 111.3%

出所:吉野家「月次推移」より

吉野家は消費税増税前から客単価も売上も前年超えが続いており、好調でした。

消費税増税後も客数の落ち込みは他店ほどではなく好調に推移していますね。

客単価が安くなる傾向は出ていません

すき家の月次データ(既存店)

次はデフレ時代の象徴と言っても良いでしょう「すき家」(ゼンショーホールディングス)を見ていきましょう。なお、ゼンショーホールディングスは現在日本で最大の飲食店(グループ売上)です。

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4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
客数 102.7% 102.5% 102.0% 98.6% 102.6% 102.3% 98.4% 100.0% 100.9%
客単価 102% 101.5% 101.3% 100.0% 100.9% 101.5% 102.4% 103.1% 101.9%
売上高 104.8% 104.0% 103.3% 98.6% 103.5% 103.9% 100.8% 103.1% 102.8%

出所:ゼンショーホールディングス「すき家月次推移」より

売上も客数も客単価もほぼ100%超えの好調を維持していますね。

特に着目すべきは客単価です。

デフレ時は値下げ合戦で客単価はどんどん低くなっていましたが、今のところは全くその気配はありません。

消費税増税後は客数の伸びは落ち込んでいますが、客単価が高くなっており、売上高としては伸びをキープできています。

消費税増税時に価格改訂をしたのかむしろ単価アップに成功している感じがあります。

ココスの月次データ(既存店)

次も同じゼンショーホールディングスのココス(ファミレス)です。

こちらはどうでしょうか?

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4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
客数 96.6% 102.0% 95.7% 88.9% 98.6% 96.1% 91.8% 96.9% 90.6%
客単価 98.1% 96.0% 95.2% 95.3% 95.9% 95.9% 101.4% 103.9% 101.1%
売上高 94.8% 97.9% 91.1% 84.7% 94.6% 92.1% 93.1% 100.6% 91.6%

出所:ココスジャパン「ココス月次推移」より

ココスは増税前から売上高、客数、客単価とも前年割れの厳しい状況でした。

消費税増税後は客数は前年より落ち込んでいますが、増税時に合わせて値上げしたのか客単価は前年超えで推移しています。

こちらも客単価アップにはつながっていますね。客数が減っているのは気になるところです。

すかいらーくの月次データ(既存店)

次は同じすかいらーくグループです。こちらは各業態別の数字は出していないようですから全体のデータを見ていきます。

なお、すかいらーくグループの店舗はガスト、バーミヤン、ジョナサン、しゃぶ葉、夢庵、ステーキガスト等があります。

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4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
客数 98.9% 99.5% 97% 91.6% 97.4% 95.6% 88.9% 97.2% 92.5%
客単価 102.3% 104.7% 104.9% 104.5% 105.5% 106.2% 104% 103.6% 103.3%
売上高 101.2% 104.2% 101.8% 95.7% 102.7% 101.5% 92.5% 100.7% 95.6%

出所:すかいらーくグループ「月次推移」より

すかいらーくグループは増税前から客数が落ち込み、それを客単価でカバーするような傾向となっていました。

消費税増税後もその傾向は同様ですね。

消費税が増税された10月は特に客数の落ち込みが激しくなっています。

客単価的には落ちていません

マクドナルドの月次データ(既存店)

こちらもデフレの象徴的な飲食店であったマクドナルドです。

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4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
客数 99.2% 99% 104.3% 101% 101% 111.6% 97.6% 104.3% 103%
客単価 103.7% 104.1% 101.9% 103.1% 103.7% 99.2% 106.9% 98.5% 99.1%
売上高 102.9% 103.1% 106.3% 104.1% 104.7% 110.6% 104.3% 102.7% 102.1%

出所:マクドナルドホールディングス「月次推移」より

マクドナルドは客数はそれほどではありませんが、客単価アップを継続している感じですね。

マクドナルドの場合は、消費税増税に伴い、軽減税率で持ち帰りと店内飲食の価格を変えるのではなく同一価格として全体の7割を値下げ、3割を値上げとしています。

そのため、客単価は少し低くなっていますね。

詳しくはこちらを御覧ください。

コロワイドの月次データ(既存店)

次は国内飲食業売上4位のコロワイドです。こちらも業態別の月次データは出していませんので全体の部分となります。

なお、コロワイドが運営する飲食店はかっぱ寿司、ステーキ宮、牛角、温野菜などです。

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4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月
客数 99.5% 103.2% 101.3% 95.7% 101.5% 100.4% 93.7% 97.9%
客単価 100.8% 100.4% 99.5% 101.3% 101.6% 100.6% 101.8% 103.2%
売上高 100.3% 103.5% 100.7% 96.9% 103.1% 101% 95.3% 101.1%

出所:コロワイド「月次推移」より

コロワイドも傾向は同じですね。消費税増税で客数は大きく落としています。

しかし、客単価は価格の改訂の影響なのか前年プラスです。

スシローの月次データ(既存店)

次はスシローです。回転寿司業界NO1ですね。

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4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
客数 104.5% 107.9% 101.4% 96.9% 104.6% 108.4% 104.1% 104.9% 102.9%
客単価 103.7% 101.9% 103.1% 106.7% 104.3% 103.5% 101.1% 104.9% 104%
売上高 108.4% 109.9% 104.6% 103.4% 109.1% 112.2% 105.4% 110% 107%

出所:スシローホールディングス「月次推移」より

スシローは売上も客数も客単価もほぼ100%超えの好調を維持していますね。

消費税増税後もその傾向は変わっていません。

多少客数の伸びが鈍化したかな?って程度です。客単価も低くはなっていません

サイゼリアの月次データ(既存店)

次はサイゼリアです。低価格帯のイタリアンファミレスですね。

こちらはちょっと気になる数字が出ています。

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4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
客数 95.7% 99.1% 98.5% 94.7% 98.2% 99.5% 92.2% 99.1% 98.5%
客単価 100.7% 101.4% 101.9% 101.9% 102.4% 101.1% 99.1% 99.8% 101%
売上高 96.4% 100.4% 100.3% 96.5% 100.5% 100.6% 91.4% 98.9% 99.5%

出所:サイゼリア「月次推移」より

サイゼリアは全体の傾向として客数が前年と比較して大きく落ち込んでいます。

特に消費税が増税された10月は顕著にでていますね。

どちらかというと低価格帯のサイゼリアが消費税増税の影響を大きく受けた感じとなっています。

客単価も消費税増税前は前年比100%以上を維持していましたが、増税後は前年割れが続きました。

まとめ

今回は「消費税増税により安い飲食店が好調、高い飲食店が苦戦でデフレ傾向ってほんと?データを検証してみた」と題して今回報道された2つのチェーン店と売上の大きい飲食店の月次データを見てきました。

今回はチェーン店のみの月次データで確認しただけですが、あまり報道されているようなデフレ傾向は感じませんでした。

私がこれら資料から感じたのは以下の点です。

消費税増税前から調子が悪い店はそのまま不調
消費税増税前から調子が良い店はそのまま好調
消費税増税後に大きく客数が減ったのはむしろ低価格店

調子が良かったお店にはあまり消費税増税の影響はでていない。もともと客離れが進んでいたお店はより顕著にといった感じです。

客単価ももともと調子が良かった店は下がっていません。

また、高い店から客が離れて、安い店に客が殺到という傾向もみられません。

むしろサイゼリアなど低価格店のほうが消費税増税でお客が離れている傾向が見受けられます

今回は取り上げていませんが、低価格帯のラーメン店である幸楽苑もかなり厳しい数字となっています。

つまり、各お店の問題であって全体の傾向ではないといえるのではないでしょうか。

報道などはどうしても結論が先にあってその結論にあったニュースソースを探すケースが多いです。

今回の場合は消費税増税でデフレになったという結論が先にあって好調な吉野家と不調ないきなりステーキを取り上げられただけのような・・・

一次情報に当たってみるなど実際のデータを確認することが大事だな・・・って今回の報道をみて再確認しましたね。

ただし、今回見たのはあくまでも上場企業の話です。上場企業の多くはチェーンなのでそれほど高価格帯ではありません。ですから実際の高級店の月次データ(上場していなかったり、公開していない)を見てみないと判断できない部分もありますけどね。

統計データについてはこちらの記事も合わせて御覧ください。

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