小泉進次郎環境大臣が育児休業(育休)を取得することが話題になっていますね。
これにより男性の育児休業取得も増える可能性があります。
そこで知っておきたいのが育児休業と社会保険料の関係です。
育児休業の取得日が1日違うだけでびっくりするほど社会保険料が違うなんてことがあるんですよ。
今回は自分で育児休業の取得タイミングを計れるならぜひ知っておきたい育児休業と社会保険料免除の関係を見ていきます。
なお、自営業者やその妻のように国民年金の方はまた扱いが違いますのでお気をつけください。
育児休業期間中は社会保険(厚生年金保険・健康保険)の保険料が免除
まず、今回の話のポイントは育児休業期間中は社会保険料(厚生年金保険・健康保険)の保険料が免除になるということです。
育児・介護休業法による満3歳未満の子を養育するための育児休業等(育児休業及び育児休業に準じる休業)期間について、健康保険・厚生年金保険の保険料は、事業主の申出により、被保険者分及び事業主分とも徴収しません。
出所:日本年金機構「育児休業保険料免除制度」より
これ、本人だけでなく事業主負担分も免除となりますから会社にとってもメリットがあるんですよ。
社会保険料(厚生年金保険・健康保険)をどれだけ払っているのかは会社からの給料明細をみればわかります。
例えば東京で協会けんぽ加入の会社に勤めている39歳以下の方の給料(報酬月額)が30万円だったとしましょう。(平成31年4月〜の保険料額表による)
厚生年金本人負担:27,450円
合計:42,300円
上記の金額を毎月払っています。それが免除となるわけですからありがたい話ですよね。
また、非常にお得な育休制度ですが、社会保険料を免除するためにはルールをしっかり熟知しておく必要があります。
多くの方は以下の知識を知らないために短期で育休を取る際に社会保険料が免除されていないんですよ。
社会保険料の免除は月単位
社会保険料の免除は月単位となっており、日割りではないということです。
保険料の徴収が免除される期間は、育児休業等開始月から終了予定日の翌日の月の前月(育児休業終了日が月の末日の場合は育児休業終了月)までです。
出所:日本年金機構「育児休業保険料免除制度」より
育児休業等開始月から終了予定日の翌日の月の前月までが社会保険料免除となります。
ちょっとややこしい書き方ですね(笑)具体的な日にちを用いてみていきましょう。
たとえば1月20日から1月27日まで育児休業をとった場合には育児休業等開始月(1月)から終了予定日(1月27日)の翌日(1 月28日)の月の前月(12月)までが免除となります。
ん??って思った方も多いかも知れません。実は育児休業を開始した日と職場復帰した日の翌日が同じ月ならば社会保険料免除はないのです。
社会保険はだいたいこのパターンが多いのです。
ポイントは月末なんですよ。
退職する際も月末なのか、その前日なのかによって社会保険料が1ヶ月分変わってきます。詳しくはこちらの記事を御覧ください。
例えば1月27日から1月31日まで育児休業とった場合を考えて見ましょう。
この場合には育児休業等開始月(1月)から終了予定日(1月31日)の翌日(2 月1日)の月の前月(1月)までが免除となります。
1月分の社会保険料が免除となります。
つまり、月末に育児休業しているかどうかがポイントになるのです。
極端な話、1月1日から1月30日まで育児休業をとっても社会保険料は免除になりませんが、1月31日だけ育児休業をとったとしてもルール上、社会保険料免除となるのです。
育児休業はとるタイミングによって大きな差がでてしまうのです。
ボーナスも社会保険料免除の対象
さらに大きなポイントがあります。
育児休業で社会保険料が免除になるのは給料分だけでなくボーナス(賞与)分も対象なのです。
例えば8月にボーナスが支給される会社で8月末に育児休業をとっていればその夏のボーナス部分も免除対象です。
これも考え方は同じです。
8月1日から15日に育児休業をとっても社会保険料は免除されませんが、8月31日に育児休業を取っていれば賞与分も含めて社会保険料免除の対象となります。
ボーナスは金額が大きいですから大きな差となってしまいますね。
例えば東京で協会けんぽ加入の会社に勤めている39歳以下の方のボーナスが70万円だったとしましょう。(平成31年4月〜の保険料額表による)
厚生年金本人負担:56,730円
合計:91,870円
育休を取ると将来の年金が減る?
よく頂く質問に育休を取るとなにかマイナスがあるのか?というのがあります。
特に将来の年金について心配される方は他の給付について心配される方が多いです。
以下のような取り扱いとなるのです。
免除期間中も被保険者資格に変更はなく、保険給付には育児休業等取得直前の標準報酬月額が用いられます
出所:日本年金機構「育児休業保険料免除制度」より
当然、育休中の年金保険料免除は保険料を納めたものとして扱われます。
また、養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置というルールもあり、「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書」を事業主を経由して提出すると年金額にも影響がでないようにすることも可能です。
このあたりは育児休業を取る際に会社の総務や人事の方からご提案いただけると思いますのでご検討ください。
育休を取るのと有給休暇を取るのではどちらが良いか
もう一つ考えておきたいのが有給休暇との関係です。
育児休業の手続きが面倒だからと有給休暇を取られる方は多いです。
この2つどちらが良いのかはちょっとややこしいんですよ。
有給休暇の場合は給料は全額出ますが、社会保険料の免除はありません。
育児休業はほとんどの会社ではその期間給料がでません(会社によっては支給)
代わりに雇用保険から育児休業給付金が支給されます。
育児休業給付金の支給額は休業開始時賃金日額×支給日数×67%(育休開始6カ月経過後は50%)です。
通常の給料の2/3がもらえるってことですね。
また、社会保険料は上記ルールに合致していれば免除です。
さらに育児休業給付金は非課税です。育児休業をとって給料が減った分は所得税・住民税が減りますので節税効果も見込まれます。
ですから有給休暇を取るのが良いのか、育児休業を取るのが良いのかはそのあたりもトータルで考える必要があるってことですね。
育児休業まとめ
今回は「子育て世代必見!育児休業と社会保険の関係を知っておこう。育休取得日が1日違うだけでびっくりするほど社会保険料が違うケースも」と題して育児休業と社会保険の関係について見てきました。
育児休業は今後利用者が増える可能性が大きいでしょう。
育休取得日が1日違うだけでびっくりするほど社会保険料が違うケースもありますのでぜひルールを知っておきたいところですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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