またまた、トンデモない投資信託が誕生しました。
「野村スリーゼロ先進国株式投信」です。
なんと10年間信託報酬がゼロだというのです。
先進国株式を対象とした投資信託はメインに据えている人も多いことから各社様々な商品を出しています。
そのため、差がつきにくいインデックス型は信託報酬の値下げ合戦も激しくなっていましたが、来るところまで来た感じでしね。
これに他が対抗するのはかなり厳しいものがありそうです。
今回は「野村スリーゼロ先進国株式投信」についてレビューしていきます。
野村スリーゼロ先進国株式投信とは
それでは「野村スリーゼロ先進国株式投信」について詳しく見ていきましょう。
野村スリーゼロ先進国株式投信は野村アセットマネジメントが販売を開始する新しい投資信託です。
最大の特徴は2020年3月16日から2030年12月31までの約10年間信託報酬が0%であるということです。
2031年1月1日以降についても0.11%(税抜0.1%)以内の率とかなり低い信託報酬となっています。
野村スリーゼロ先進国株式投信の投資先
野村スリーゼロ先進国株式投信の投資先は日本を除いた先進国の株式となっており、ベンチマークはMSCI-KOKUSAI指数(円換算ベース・為替ヘッジなし)です。
MSCI-KOKUSAI指数はMSCIが定義する先進国23カ国のうち日本を除いた22カ国で構成されています。
イギリス
フランス
カナダ
スイス
ドイツ
オーストラリア
オランダ
香港
スペイン
スウェーデン
イタリア
デンマーク
シンガポール
ベルギー
フィンランド
ノルウェー
イスラエル
アイルランド
ニュージーランド
オーストリア
ポルトガル
大・中型株のうち、約1,300銘柄を採用、浮動株調整後時価総額の上位銘柄から採用されているのが特徴となっています。
市場カバレッジ85%を目標にしています。
つまり、大きい会社の影響が強い指数ということになります。
ちなみに同じくMSCI-KOKUSAI指数をベンチマークとする人気ファンド「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」の2020年1月末現在の投資先を見るとアメリカが69.7%、イギリス5.7%、フランス4.0%、カナダ3.7%とアメリカがかなりを占めていますね。
それだけアメリカ企業の時価総額が圧倒的だと言えます。
具体的な投資先も時価総額の大きいApple、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、アルファベット(Google)とアメリカ企業が上位を占めています。
おそらく「野村スリーゼロ先進国株式投信」もベンチマークが同じですから同じような形になると思われます。
野村スリーゼロ先進国株式投信の手数料
次に野村スリーゼロ先進国株式投信の手数料を見ておきましょう。
競合投資信託との比較
それでは同じ先進国株対象の投資信託と比較するとどうなのでしょう?
現在人気となっているのは以下の4本となっております。
4本とも買付手数料、信託財産留保額はゼロとなっていますので信託報酬分だけ「野村スリーゼロ先進国株式投信」が安い形となりますね。
実績に運用してみないとベンチマークへの追随性や隠れコストなどはわかりませんので今の時点で完全な比較はできません。
しかし、過去の取り扱い商品を見ている限り野村アセットマネジメントはそのあたりも問題はなさそうですから現在人気の4本と比較しても優位性がありそうです。
※スマートフォンの方はスクロールして御覧ください。
ベンチマーク | 信託報酬率(税込) | 買付手数料 | 信託財産留保額 | |
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド | MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース) | 0.1023%以内 | なし | なし |
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース) | 0.10615%以内(3月17日から0.1023%以内) | なし | なし |
たわらノーロード先進国株式 | MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース) | 0.10989%以内 | なし | なし |
SBI・先進国株式インデックス・ファンド | FTSEディべロップド・オールキャップ・インデックス(円換算ベース) | 0.09549%~0.1022%程度 | なし | なし |
なぜ野村スリーゼロ先進国株式投信は信託報酬をゼロにできたのか?
今回の「野村スリーゼロ先進国株式投信」の登場は本当に驚きました。
他社が10年間ゼロの信託報酬に追随できるとは思えないのです。
これが実現できたのは完全な予想ですがもっと大きな括りの戦いのための広告みたいなものだからでしょう。
「野村スリーゼロ先進国株式投信」はつみたてNISA専用となります。つみたてNISAでしか買えません。
また、野村證券専売となるでしょう。
※追記:野村證券と提携しているLINE証券でも利用が可能となりました。
つまり、「野村スリーゼロ先進国株式投信」で信託報酬率を10年間ゼロとしたのは野村證券でつみたてNISAをやってもらうための広告費的な要素も多分に含まれていると思われるのです。
つみたてNISAはあまり証券会社からすると儲かるものではないそうです。
しかし、つみたてNISAは若者などが初めての投資となりやすい仕組みですし、国もそれを目指して制度設計されています。
つまり、将来顧客を自社でつみたてNISAを始めてもらうことで確保しやすいのです。
これから少子高齢化がどんどん加速していきますので将来の顧客候補を早めに確保しておくことは証券会社にとって死活問題ともいえるでしょう。
しかし、現状のつみたてNISAは楽天カードで投資信託が購入でき、ポイントが貯まる>楽天証券と商品の取り扱いが多く、利便性が高いSBI証券という2大ネット証券が人気となっています。
つみたてNISAでは野村證券の強みである店舗数の多さや対面販売もあまり活かせませんしね。
そこで今回、「野村スリーゼロ先進国株式投信」という飛び道具を自社のつみたてNISA専用商品として出すことで2社に対抗してきたと思われるのです。
この商品が登場したことにより、先進国株の投資信託をつみたてNISAのメインに据えている方は野村證券が有力候補となってくることでしょう。
もし、この商品に対抗する投資信託を作る会社があるとすれば「SBI・先進国株式インデックス・ファンド」のSBIアセットマネジメントや「楽天・バンガード」の楽天投信投資顧問かな・・・って思います。
証券会社と直接紐付いていないところでは厳しいでしょうね。
なお、そもそもつみたてNISAってなに?どうやって始めたらいいの?って方はこちらの記事も合わせて御覧ください。
まとめ
今回は「「野村スリーゼロ先進国株式投信」レビュー。10年間信託報酬がゼロの先進国株投資信託」と題して野村スリーゼロ先進国株式投信のレビューを見てきました。
結論としては以下のとおりです。
評価:5今回の野村スリーゼロ先進国株式投信はかなり思い切った戦略的な商品です。10年間信託報酬率がゼロというのは証券会社に紐付いていない他社が対抗するのはかなり困難だと思われます。この商品の登場によって野村證券のつみたてNISAがかなり魅力になってくることは間違いありません。
今後はつみたてNISA業界をリードするSBI証券、楽天証券がどのように対抗してくるのかが注目でしょう。
あと「野村スリーゼロ先進国株式投信」は出来たばかりの投資信託ですからベンチマークへの追随性や隠れコストは確認しておきたいところですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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