アメリカ株の下げ、利上げによる業績悪化、円高の影響などもあり、日経平均が大きく下げています。
過去二番目に大きな下げとのことで、下げすぎであるという意見もあります。(もともとかなり上げていたという部分が大きいのですが)
さらにPERやPBRを持ち出して下げ過ぎだからそろそろ底だろうという話もでていますね。
本当にこのPERやPBRで本当にどこが底であるのかや下げすぎだからというのが判断できるのでしょうか?
今回はこの件を考えてみます。
ちなみにリーマンショック時は大きく下げ上げをくらい返した後一旦落ち着いてからもダラダラと下げ基調が続いて半年でようやく底って感じでしたね。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
逆にコロナショックのときは世界的な金融緩和もあり、かなり早い段階で底打ちし大きな相場になりました。
株価指標や経営指標では底は分からない
先に結論から言っておきましょう
株価指標や経営指標では底は分からない
のです。
「行き過ぎもまた相場」とは有名な投資格言の一つで大暴落や大高騰の際などは加熱気味になって株価は行き過ぎてしまうよってことです。
相場は行き過ぎてしまいますから株価指標や経営指標で分析してもその時点で底がわかるわけないんですよね。
ただし、過去の暴落時のデータなどと比較すると意味を持ってくる部分もあります。
代表的なものにPERやPBR、配当利回りなど
代表的なものに売上高営業利益率や自己資本比率など
今回はこれら指標で特に今回の暴落で取り上げられているPERとPBR、配当利回りで詳しく考えていきます。
PERとは
PERとは日本語では株価収益率といいます。
簡単に言えば株価と企業利益の関係を表すものでその株価の割安性を測ることができます。
単純に考えるとPERが高いと割高、PERが低いと割安ってことですね。
計算方法は簡単
です。
単位は倍で、PER10倍、PER50倍などと表記されます。
例えば株価が1,000円で一株あたりの利益が100円ならばPERは10倍です。
何倍だったら割安、割高という基準はありませんので、PERを比較するときは同業他社の数字と比較するのが基本です。
PERが同業他社より高いとそれだけ株価は割高(市場から評価されている)
PERが同業他社より低いとそれだけ株価は割安(市場から評価されていない)
ということになります。
なお、多くの証券会社ではPERを表記してくれていますので自分でわざわざ計算しなくてもOKですが、PERの意味を知るためにも計算式は覚えておくのがおすすめです。
ただし、計算式を見てもらえばわかると思いますが、PERはあまり理論的に意味のある計算ではないんですよ。過去のデータや他社のデータとの比較でようやく意味を持つものという感じでしょう。
また、PERには種類がありますのでお気をつけください。
実績PERと予想PER
PERには前記の実績に基づいた実績PERと来季の予想に基づいた予想PERがあります。
一般的には予想PERを見るケースが多いです。
ただし、予想PERはあくまでも企業が出した業績予想を元にした数字ですからどこまでその予想に信憑性が持てるのかという部分がポイントになりますね。
過去に上方修正、下方修正を繰り返している企業の予想PERは業績予想の精度があまり高くないと思われますので、あくまでも参考程度と考えるとよいでしょう。
PBRとは
PBRとは日本語では株価純資産倍率といいます。
簡単に言えば株価と企業の純資産の関係を表すものでこちらもその株価の割安性を測ることができます。
PERは企業の利益を稼ぎ出す力で割安性を測る指標ならばPBRは企業の資産価値で割安性を測る指標ですね。
単純に考えるとPBRが高いと割高、PBRが低いと割安ってことになります。
計算方法はこちらも簡単
です。
こちらも単位は倍で、PBR1倍、PBR5倍などと表記されます。
例えば株価が1,000円で一株あたり純資産が1,000円ならばPBRは1倍です。
何倍だったら割安、割高という基準はありませんが、PBRが1倍という状況はその時点で解散した場合に株主が得られる(純資産の割当)金額が株価と同じということですから一般的に底と判断されることもあります。
しかし、最近はPBR1倍を長い間割っている企業もかなりありますのでそこまで重要度は高くなくなっているかもしれません。
こちらも同業者との比較が重要ですね。
PBRが同業他社より高いとそれだけ株価は割高(市場から評価されている)
PBRが同業他社より低いとそれだけ株価は割安(市場から評価されていない)
ということになります。
ちなみにPBRは一般的に前期の実績を元にした実績PERが使われます。
予想PBRも表記されるケースもありますが一株あたり純資産を予想するって現実的ではないですし、あまり精度が期待できません。
配当利回りとは
配当利回りとは名前のとおり、株価に対する年間の配当割合を示す指標です。
計算方法は簡単
です。
例えば株価1,000円で一株あたり年間10円の配当をだすなら1%が配当利回りとなります。
ただし、配当利回りが高ければその企業が良いわけでは有りません。
成長企業などは配当を出さずその資金を将来の成長に利用したほうが株価に反映されてぷらすになるケースもあるんです。
ですから配当利回りも同業者との比較や企業の考え方としてみるのがよいでしょうね。
配当利回りが異様に高い企業はそれだけ市場から放置されている会社であるとも言えますから。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
ROEとは
最後はROEです。
特に投資家の間で人気のある指標ですね。
計算方法は簡単
ROE=当期純利益÷自己資本×100
です。
投資家からすれば自分たちが投資したお金をどう活かしてくれるのかが分かるのでROEが重宝されているのです。
ROEの高い会社に投資をすれば、ROEが低い会社に投資をするのと比べて自分たちへ株価なのか配当なのかで見返りが来ることが期待できるのです。
たとえばROEが20%の会社とROEが5%の会社があったとしましょう。
その企業に100円投資をしたとします。
理論上はROE20%の会社はその投資から生じる利益が20円です。
ROE5%の会社はその投資から生じる利益が5円となります。
どちらに投資をしたほうが良いのかは一目瞭然ですね。
ただし、ROEはそもそも底を見たりする指標ではありませんし、大きな弱点がありますので他の指標と合わせて考える必要があります。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
PERやPBR、配当利回りは割り引いて考えよう
前述した「行き過ぎもまた相場」以外でもPERやPBRがあまり株価の底を当てるのに役立たない点があります。
簡単に言えば
リーマン・ショック時の底の日経平均株価PBRは0.81倍
ちなみにリーマン・ショック時の底となったのは2009年3月です。
その時点の日経平均株価のPBRは0.81倍でした。
多くの評論家などはこの数字を底の目安としています。
暴落の原因となっている内容によってはもう少し割り引いて考えるとよいでしょう。
現在でているPERはまったくあてにならない
また、PERはよりその傾向が強いですね。
いま出ているPERは企業が予想した数字を元にしたものですが、その予想には多くの企業が円安水準で策定されています。
ですから円高になると大きくPERが悪化することが予想されます。
PBRの計算のもととなる一株あたりの純資産は円高の影響は当然受けますが、純資産で過去の蓄積も大きいですからそこまで劇的な変化とはなりません。
しかし、PERの計算の元となる一株あたりの利益はその年のもので円高の影響で大きく変動することが予想されます。
ですからいま出ているPERはまったくあてにならないと考えて差し支えないでしょう。
ちなみにリーマン・ショック時の底はPER14倍ほどでした。
業績悪化で配当や株主優待の改悪があるかも
配当利回りなんかも同じでしょうね。
業績が悪化すれば配当を維持するのはなかなか困難です。
配当利回り目当てで買ったはいいけど配当が変わったなんてことになったら暴落必須でしょうし。
また、株主優待も改悪される可能性も考える必要があるでしょう。
ですからなかなか現在の相場状況で配当や株主優待目当ての株を購入するのもリスキーな行為なんですよ。
行き過ぎた相場もいつか戻る
前述のようにいま出ているPERはまったくあてになりませんし、PBRも現状と違ったものとなる可能性があります。
ですから株価の底をあてるのにはあまり役立たないでしょう。
ですが、行き過ぎた相場も結局は平常に戻れば適正な価格となってきます。
その際の指標として株価指標や経営指標は意味があります。
ですからこのような異常な状況のときは相場の底をあてると考えるのではなく
「休むも相場」
「2度に買うべし、2度に売るべし」
なんかの投資格言を意識して行動するのをおすすめします。
詳しくは以下の記事を御覧ください。
まとめ
今回は「PERやPBRなどの株価指標で株価暴落時の底はわかるのか?」と題して株価指標で底がわかるのかという話をみてきました。
まとめると以下のとおりです。
- 相場は行き過ぎるから株価指標で底を見つけるのは困難
- 現在のPERやPBRは円高があまり反映されていない
- 行き過ぎた相場はいつか元に戻る
ただし、どこが底なんてプロでも予想はこんなんですから落ちるナイフを取りに行くのはほどほどにしましょう。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。