金融庁が国内運用会社の運用パフォーマンスに関する代表的な指標(KPIを)公表しました。
これによりどの運用会社が実際にどれくらいの成績をあげているか。どのくらいの信託報酬を取ってるかなどが浮き彫りになってきます。
今回は金融庁の公表した資料を元に国内運用会社のパフォーマンスについてみていきましょう。
なお、今回の調査は2019年度(2019年4月から2020年3月)までのものとなりますので新型コロナウィルスでの株価暴落の大底に近い時期のものとなります。
運用会社別シャープレシオの大きい順(総合)
まずはシャープレシオの大きい順です。
シャープレシオとはリスク1単位あたりの超過リターンを測るもの。
これが高ければそれだけリスクを取ったときに得られるリターンが高くなります。
つまり、シャープレシオを見ればどれだけ効率よく稼げるのかをみることができます。
1位:レオス・キャピュタル・ワークス
シャープレシオの総合部門1位はひふみ投信でお馴染みのレオス・キャピュタル・ワークスでした。
といずれも高くなっています。
これは過去の蓄積分が大きいですね。
ひふみ投信はカンブリア宮殿で紹介されたり、リターンがよかったりで急激と人気となりました。
しかし、ひふみ投信は小型株や中型株が中心のファンドだったので資金が集まりすぎて身動きが取りにくくなってしまったんですよ。
それにより一時はTOPIX以下のリターンしか稼げなくなっていました。
2019年9月時点では運用損益別顧客比率はワースト1位にまで落ちてしまったんですよ。
しかし、その後、アメリカ株を取り入れたり、ひふみワールドをはじめたり、新型コロナウィルスの暴落時のうまい運用である程度挽回しています。
- ひふみ投信(直販)
- ひふみプラス(証券会社用)
- ひふみ年金(iDeCo用)
- ひふみワールド
※ひふみ投信とひふみプラス、ひふみ年金は販売先や用途が違うだけで基本的に同じものです。
ひふみプラス、ひふみワールドはは多くの証券会社や銀行で取扱があります。
2位:シンプレックス・アセット・マネジメント
2位はシンプレックス・アセット・マネジメントです。
とこちらもなかなか高い成績となっています。
シンプレックス・アセット・マネジメントの扱う投資信託は1つだけ
ただし、取り扱いがSMBC日興証券など一部に限られているためあまり知名度がないかもしれませんね。
3位:ステート・ストリート
3位はステート・ストリートです。
投資信託全体の平均(シャープレシオ)
ちなみに今回の集計の全体平均も合わせて公開されています。
- 全体(総合):5年間の平均シャープレシオは▲0.06、累積リターンは▲10.1%、年率リターン▲2.1%
- 全体(インデックスのみ):5年間の平均シャープレシオは0.13、累積リターンは0.2%、年率リターン0.0%
- 全体(アクティブのみ):5年間の平均シャープレシオは▲0.09、累積リターンは▲11.4%、年率リターン▲2.4%
投資信託全体でみるとインデックス型でほぼ収益なし、アクティブ型だとマイナス、全部の平均でもマイナスというかなり厳しい結果となっています。
このデータを見る限り投資信託は儲からないから辞めとけと言われるのは仕方ない部分もあるかもしれません。(新型コロナでの株価暴落の大底での集計なので仕方ない部分もありますが・・・)
それだけ全体で見ると微妙な投資信託が多いってことなのです・・・詳しくはこちらの記事を御覧ください。
つみたてNISA対象商品平均
次につみたてNISA対象となっている商品の平均をみてみましょう。
- 全体(総合):5年間の平均シャープレシオは0.14、累積リターンは5.1%、年率リターン1.0%
- 全体(インデックスのみ):5年間の平均シャープレシオは0.12、累積リターンは2.7%、年率リターン0.5%
- 全体(アクティブのみ):5年間の平均シャープレシオは0.16、累積リターンは7.3%、年率リターン1.4%
つみたてNISAだけでみるとアクティブ型の方が成績が良くなっています。
これはつみたてNSAの対象のアクティブ型はかなり1位となっているひふみ投信など厳しい条件で絞られたものだけが入っているからだと思われます。
つまり、金融庁が選別している意味はあるってことがこのデータからもわかりますね。
DC対象商品平均
次にiDeCoなどDC対象となっている商品の平均をみてみましょう。
- 全体(総合):5年間の平均シャープレシオは0.17、累積リターンは3.0%、年率リターン0.6%
- 全体(インデックスのみ):5年間の平均シャープレシオは0.2、累積リターンは3.9%、年率リターン0.8%
- 全体(アクティブのみ):5年間の平均シャープレシオは0.11、累積リターンは1.3%、年率リターン0.3%
DCのみでみるとインデックス型が強いです。
DCはつみたてNISAと違い、銘柄の選別がその金融機関毎になりますので自社の微妙なアクティブ型商品を採用していることも多く収益が悪くなっているのでしょう。
運用会社別シャープレシオの大きい順(分野別)
次は分野別で見て見ましょう。
国内株式
国内株式を対象とした投資信託では
- 1位:SBIアセットマネジメント(アクティブ)
- 2位:レオス・キャピュタル・ワークス
- 3位:ファイブスター投信投資顧問
の順となっています。
1位はSBIアセットマネジメントの国内株式の投資信託は
- 中小型成長株ファンド ジェイリバイブ
- 中小型割安成長株ファンド ジェイネクスト
- 小型成長株ファンド ジェイクール
先進国株式
次は先進国株を見てみましょう。
- 1位:アライアンス・バーンスタイン
- 2位:UBSアセット・マネジメント
- 3位:クローバー・アセット・マネジメント
1位のアライアンス・バーンスタインの先進国株式の投資信託は
新興国株式
次は新興国株を見てみましょう。
- 1位:UBSアセット・マネジメント(アクティブ)
- 2位:UBSアセット・マネジメント(インデックス)
- 3位:インベスコ・アセット・マネジメント
1位のUBSアセット・マネジメントのアクティブ型です。(今回の集計ではアクテイブ型とインデックス型を同じ運用会社で別集計としているようです)
その他分野
運用会社別平均信託報酬率
運用会社別の平均信託報酬率という面白いデータも出ていますのでご紹介しましょう。
全体でみると安い順に
- 1位:SBIアセットマネジメント(インデックス)
- 2位:日立投資顧問(インデックス)
- 3位:楽天投信投資顧問(インデックス)
となっています。
SBIアセットマネジメントの平均信託報酬率は
残高加重平均0.13%、単純平均0.15%
とかなり低くなっていますね。
SBIアセットマネジメントはSBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド(信託報酬率0.0938%)やSBI・先進国株式インデックス・ファンド (信託報酬率0.1022%)など低信託報酬のインデックス型の投資信託を販売していますから当然の結果かもしれません。
なお、最も高い運用会社はどこかは書きませんが
投資信託全体の平均(信託報酬率)
ちなみに信託報酬も全体平均が合わせて公開されていますので見ておきましょう。
- 全体(総合):残高加重平均1.27%、単純平均1.34%
- 全体(インデックスのみ):残高加重平均0.42%、単純平均0.49%
- 全体(アクティブのみ)::残高加重平均1.46%、単純平均1.48%
全体平均で残高加重平均1.27%、単純平均1.34%となっています。
最近は信託報酬率がだいぶ下がっていますが、まだまだ高い投資信託が多いことがわかりますね。
つみたてNISA対象商品平均
次につみたてNISA対象となっている商品の平均をみてみましょう。
- 全体(総合):残高加重平均0.60%、単純平均0.41%
- 全体(インデックスのみ):残高加重平均0.28%、単純平均0.33%
- 全体(アクティブのみ):残高加重平均0.97%、単純平均0.62%
つみたてNISAは金融庁が対象商品を選別しているだけあり、全体の平均と比較してかなり信託報酬率が低くなっているのがわかります。
迷ったらつみたてNISA対象の商品の中から選ぶのが良いかもしれません。
DC対象商品平均
次にiDeCoなどDC対象となっている商品の平均をみてみましょう。
- 全体(総合):残高加重平均0.55%、単純平均0.76%
- 全体(インデックスのみ):残高加重平均0.29%、単純平均0.35%
- 全体(アクティブのみ):残高加重平均1.04%、単純平均1.95%
DCも同じような傾向ですね。
つみたてNISAと違い銘柄の選別が金融機関ごとなので少し高くなっています。
iDeCoは特に自身でどこの金融機関を選択するか選べますのでそのあたりも踏まえて慎重に検討しましょう。
私のおすすめは以下の記事を御覧ください。
まとめ
今回は「1位はあの運用会社。金融庁が国内運用会社の運用パフォーマンスに関する調査結果を公表」と題して金融庁が発表した国内運用会社の運用パフォーマンスに関する調査結果を見てきました。
かなり運用会社によって成績や信託報酬が違うのがわかっていただけたと思います。
投資信託全体から見るとかなり地雷商品をありますのでその選別のためにも今回のような資料は確認しておきたいところですね。
ぜひ定点観測することをおすすめします。
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