厚生年金基金とはなにか?厚生年金、国民年金基金との違いなどわかりやすく解説。

ご質問をいただきましたので今回は厚生年金基金についてわかりやすく解説していきます。

名前が似ていますので厚生年金保険料や国民年金基金とごっちゃになっている方も多いと思いますが、全くの別物です。

厚生年金基金は厚生年金保険の上乗せ部分

それではまずは厚生年金基金とはどういったものなのかを厚生年金保険と合わせて見ていきましょう。

厚生年金保険とは

まずは厚生年金保険についてみていきましょう。

日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金保険」の2つがあります。

基本的に全国民が加入するのが「国民年金」。

「厚生年金保険」は会社員や公務員など第二号被保険者の方が加入するもので「国民年金」上乗せとして2階部分として扱われています。

厚生年金保険は会社が半分、本人が半分負担をします。

みなさんの給料から天引されているのはその半分部分です。会社が同額をプラスして納付してくれているのです。

ちなみに第一号被保険者は自営業者、学生、無職など、第三号被保険者は第二号被保険者に扶養されている専業主婦の方がそれにあたります。

厚生年金基金とは

厚生年金基金は簡単に言えば厚生年金のさらに上乗せ部分にあたります。

3階部分ですね。

3階部分は厚生年金基金の他に確定給付企業年金、確定拠出年金などがあります。

厚生年金基金に加入している会社の場合には以下のような取り扱いとなります。

老齢厚生年金の報酬比例部分は厚生年金基金から支給となりプラスアルファ部分が上乗せして支給されるのです。

厚生年金基金とは
厚生年金基金とは

出所:日本年金機構「厚生年金基金加入期間がある方の年金」より

バブルの頃には厚生年金加入者の3分の1程度の方が厚生年金基金の加入となっていました。

これだけ聞くと良さそうな制度に見えますがちょっと大きな問題を抱えてしまったんですよ。

厚生年金基金の多くは経営悪化で解散

実はすでに厚生年金基金の多くは経営悪化で解散したり廃止をしています。

基金は本来、老齢厚生年金の報酬比例部分を運用して運用益を出してプラスアルファ部分を出すはずでした。

しかし、長引いた不景気で多く(95%以上)の基金は運用を失敗して積立不足や代行割れが生じて社会問題になってしまったのです。

そこで2014年に改正厚生年金保険法で厚生年金基金は新設できなくなり健全でない厚生年金基金は解散命令が発せされたのです。

また、他の制度(確定拠出年金など)への以降を促進されました。

ちなみに私がサラリーマン時代に加入していた厚生年金基金も解散するそうで案内が来てましたね・・・

解散に伴い雀の涙ほどの金額がもらえたと思います(笑)

ちなみに令和2年8月1日時点で解散基金911、過去返上968、将来返上1,267となっています。

現在残る基金数は7しかありません。

厚生年金基金と国民年金基金の違い

同じような名前のものに国民年金基金があります。

こちらは国民年金のみの加入者の方が自ら積み立てる2階建て部分となります。

厚生年金基金は厚生年金加入者の上乗せ部分でしたから仕組みは似ていますが対象が違う感じですね。

国民年金基金の方はまだ解散等の話はでていませんが、厚生年金基金と同じく積立不足が露呈していますので今後が心配な部分もあります。

国民年金基金について詳しくはこちらの記事を御覧ください。

確定拠出年金は厚生年金基金の受け皿として普及

厚生年金基金や確定給付年金は運用がうまく行かないと財政が悪化したり、会社の負担が大きくなってしまいます。

そこで普及してきたのが確定拠出年金です。

iDeCoはその個人版ですね。

確定拠出年金は名前のとおり、拠出金額が確定しているものです。

つまり、会社が出すお金が確定しているってことです、

同じような制度で確定給付年金というものがありますが、こちらは給付する金額が確定しているものです。

つまり、運用に成功しようが失敗しようが従業員がもらえるお金は同じってことですね。

確定拠出年金なら会社の負担はあらかじめ決まってきますが、確定給付年金では運用状況によっては会社の負担がかなり大きくなります。

そのため、会社としてはリスクが少ない確定拠出年金を導入しやすいのです。

確定拠出年金は拠出したお金は従業員がそれぞれに自分の責任と判断を元に運用を行います。

つまり、冷たい言い方をすれば損をしても会社の責任や基金の責任にはなりませんよって仕組みなんですね。

最近では中小企業が導入しやすいように個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の掛け金を中小事業主が納付できるようにする制度もできました。

これなら会社で確定拠出年金を導入しなくても利用できますので敷居が低いんですよ。

厚生年金基金の支給は要注意

前述のように多くの厚生年金基金は解散や廃止をしています。

また、今後もその流れとなるでしょう。

そこで注意したいのが過去に加入した期間がある方です。(私もそうでした)

平成26年3月31日までに脱退した方は要注意

平成26年3月31日までに厚生年金基金を短期間で脱退した方の年金給付、および同日までに解散した厚生年金基金加入員に対する年金給付は、企業年金連合会から支給されます。

解散した厚生年金基金等ではデータの問題があるようで日本年金機構と企業年金連合会は、厚生年金基金加入期間がある方のデータの突き合わせ作業を進めているそうです。

すでに多くの訂正がなされていますが、まだまだ出てきそうな予感。

該当する方は確かめてみても良いかもしれません。(問い合わ先は企業年金連合会です。)

厚生年金基金加入期間がある方への確認のお願い

出所:日本年金機構「厚生年金基金加入期間がある方の年金」より

申請漏れに注意

厚生年金基金は在籍期間などの制限もありますが、年金もしくは一時金での支給となります。

どちらを選ぶにしても申請をしないともらえないですから自身がいつからいつまでどこの厚生年金基金に加入していたのかは控えておくようにしましょう

ちなみに知り合いは金額が少ないから年金でいいやと一時金の申請を放置しておいたら、解散の連絡が来て少しの金額しか分配されなかったということがあったそうです。

一時金で9万円もらえるはずが200円くらいになっちゃったと嘆いてましたね。

解散する場合の残余財産

解散する場合には残余財産を加入者で分けることになります。

残余財産とは厚生年金基金の年金資産から、国へ返還する代行部分の額である最低責任準備金を差し引いたものです。

解散するということは準備金が足りていない状況でしょうから知人のように貰える金額はかなり少なくなる可能性が高いですね。

なお、残余財産の分配は

  • 選択一時金
  • 一時金
  • 年金

の3つから選択します。

なお、解散の時期で下記の通り多少扱いが異なりますのでご注意ください。

平成26年3月31日以前に解散した厚生年金基金

平成26年3月31日以前に解散した厚生年金基金

出所:企業年金連合会より

平成26年4月1日以降に解散した厚生年金基金

平成26年3月31日以降に解散した厚生年金基金

出所:企業年金連合会より

まとめ

今回は「厚生年金基金とはなにか?厚生年金、国民年金基金との違いなどわかりやすく解説。」と題して厚生年金基金についてみてきました。

かなりややこしい制度ですが、厚生年金基金から書類が届いたら必ずチェックして手続きをするようにしましょうね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

「シェア」、「いいね」、「フォロー」してくれるとうれしいです

厚生年金基金とは なにか?
最新情報をチェックしよう!