5月に確定拠出年金に関する法律が改正されました。(確定拠出年金法等の一部を改正する法律)
特に大きな影響を与えそうなのが運用商品の提供数を35本に制限するルール(35本制限)。
デフォルト商品(初期商品)を元本保証以外にできるルール
などです。
それら大きな改正にまじって中小事業主納付制度(逆マッチング拠出)という新しいルールもできています。
確定拠出年金はちょっと制度が入り組んでわかりにくくなってきましたね。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)、企業型確定拠出年金、マッチング拠出、選択制確定拠出年金制度・・・・
そこにさらに個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の中小事業主納付制度が加わった感じです。
今回は個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の中小事業主納付制度についてわかり易く解説していきたいとおもいます。
※追記:中小事業主納付制度はiDeCo+という愛称になりました。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の中小事業主納付制度とは
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の中小事業主納付制度とはその名前の通り、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の掛け金を中小事業主が納付できるようにする制度です。
簡単に言えば従業員に変わって会社が個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の一部掛け金を払ってくれるってことです。
考え方としては企業型確定拠出年金と同様ですがこちらは個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を使って行う制度になります。
従業員の福利厚生を充実させたいと思っても、中小企業にとってはコストがそれなりに掛かる企業型確定拠出年金はちょっとハードルが高いです。
そこで、中小企業が退職金を準備する代わりや退職金の上乗せとして従業員が加入する個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を利用できるようにしたのが中小事業主納付制度です。
まずは個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)とはどういうものかから見ていきましょう。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)とは
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)とは簡単に言えば自分の老後の資金を自分で作るための制度です。
今は少子高齢化もあり年金がもらえる金額も少なく、もらい始める時期も遅くなる方向にあります。
これは今後も大きな流れは変えれないでしょう。
そこで国が考えたのが個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)なのです。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)は老後資金を自分で積み立てて自分で運用することになります。
つまり、自分の老後資金は自分でなんとかしなさいってことですね。
ただし、それだけではあまりにも冷たいので国が様々な優遇措置を与えているのです。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)のポイントをまとめると以下のとおりです。
貰うときも税制優遇あり。(退職金控除、公的年金等控除)
運用時の利益も非課税
投資信託もしくは定期預金や保険で運用する(自己責任)
60歳まで引き出せない
まず、一番大きいのが所得控除が受けられることでしょう。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)は自分が将来もらうために積み立てるのですが、それを掛けることにより税金(所得税、住民税)まで安くなるのです。
この効果が大変大きいです。
会社勤めの方は実感されていると思いますが、給料から引かれる税金や社会保険の金額は本当に多いと思います。
その代表的なのが所得税、住民税、社会保険ですが、そのうち所得税、住民税を減らすことができるのです。
なんか魔法みたいな話ですがこれは、国が将来の年金を自分で用意してほしいという願いを込めてこれだけ優遇しているんですね。
また、運用時に利益がでても税金はかかりません。
もらうときも退職金控除、公的年金等控除が使えますのでうまく受け取ればほとんど税金が掛からずに受け取ることも可能です。(運用成績や会社からもらえる退職金などにもよりますが)
60歳まで引き出せないというデメリットもありますが、逆に考えれば60歳まで絶対開けれない貯金箱にお金をいれていると思えばメリットと言えるかもしれません。
なお、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入できる上限金額は下記のとおりとなっています。
企業型確定拠出年金のある会社に勤めている場合:月2万円(年間24万円)
企業型確定拠出年金のない会社に勤めている場合:月2万3千円(年間27.6万円)
公務員、確定給付年金のある会社に勤めている場合:月1万2千円(年間14.4万円)
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)のもう少し詳しいメリット・デメリットについて詳しくは下記の記事をご覧ください。
個人型確定拠出年金(イデコ/iDeCo)とは、毎月決まった金額を積み立てることで老後の生活に備えるための公的な制度です。この制度最大の特徴は税金面で様々な優遇措置が取られていることです。他にもメリット・デメリットがありますの[…]
中小事業主納付制度の概要
前述のとおり、中小事業主納付制度は従業員が加入している個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の掛け金を中小事業主することができる制度です。
企業型確定拠出年金で従業員が上乗せして掛け金を拠出できる制度をマッチング拠出といいますが、その逆に会社が上乗せしてくれる制度ですから逆マッチング拠出とも言われています。
具体的にはこんな流れとなります。
○加入者掛金に上乗せして、事業主も事業主掛金を拠出
○加入者掛金と事業主掛金を合算した金額が加入者の個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)口座に入金
従業員は通常の個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)と同様に口座内で自由に運用することができますし、もちろん老後にもらうことができます。
給料天引きなのが通常の個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)と少し違うくらいですね。
中小事業主納付制度に加入できる条件
企業型確定拠出年金を導入するのが難しい事業主向けの制度ですから加入できる中小事業主の条件が付けられています。
・従業員(使用する第1号厚生年金被保険者)が100名以下であること。
・企業型確定拠出年金、確定給付企業年金、厚生年金基金のいずれも実施していないこと。
・従業員の過半数で組織する労働組合又は、従業員の過半数を代表する従業員に、中小事業主掛金を実施することについて同意 を得る(労使合意をする)こと
・掛金の払込方法は「事業主払込」であること
出所:iDeCo公式ページ 中小事業主掛金制度の概要より
ちなみに中小企業で多く導入されている中小企業退職金共済へ加入していても中小事業主納付制度は導入が可能です。
また、当然といえば当然なのですが掛金を追加で拠出できるのは個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の加入者だけです。
ということはまずこの制度を導入する前に社内で個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)への説明会なりを開いて加入者を増やしておく必要はありそうですね。
中小事業主掛金納付制度の対象範囲
中小事業主掛金納付制度の対象者をどうするのかは予め定めておくことができます。
全員加入対象者としてももちろんいいですし、一定のルールを付けておくことができるってことです。
もし、ルールを定めない場合、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)へ加入している従業員全員が対象となります。
定めるルールは人単位でなく資格範囲で決めます。
具体的には「一定の職種」又は「一定の勤続期間」です。
一定の職種とは総合職、一般職、営業職、事務職などを指します。
部長、課長などの役職のことではありません。
一定の勤続期間は勤務期間3年以上とかですね。
中小事業主掛金納付制度の拠出額
企業が追加で拠出できる金額は1,000円~22,000円/月の範囲で設定し、加入者掛金額との合計が、5,000円~23,000円/月となるようにします。
ですから加入者掛金1,000円、事業主掛金22,000円ってことも可能となります。
ちなみに金額は1000円単位です。
また、資格範囲を定める場合は会社が負担する金額を変えることも可能です。
例えば、勤続期間10年未満5,000円/月、勤続期間10年以上 10,000円/月のような感じですね。
まとめるとこんな感じです
○加入者掛金と事業主掛金の合計額が5,000円~23,000円の範囲内(1000円単位)
○事業主掛金の額は、一定の資格(職種、勤続期間など)ごとに定めることも可能
○中小事業主の掛金変更は年1回のみ
所得控除の扱い
一般の個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)と同様に掛け金は所得控除の対象となります。
ただし、中小事業主掛金納付制度を使う場合には従業員本人が負担した掛け金が所得控除の対象となります。
会社側が負担した掛け金は会社の損金(経費)として扱われます。
中小事業主掛け金制度開始までの流れ
中小事業主掛金納付制度を開始するためには労使協議及び合意が必要となります。
具体的には下記のとおりです。
○過半数の代表となる第1号厚生年金被保険 者(過半数で組織する労働組合がある場合は、その労働組合を含みます。以下同じ。)に対し、中小事業主掛金納付制度の実施について提案・協議を行います。
○過半数の代表となる第1号厚生年金被保険者は、提案内容に同意できれば、労使合意の手続きとして、書類に必要事項を記入・捺印し、事業主に提出します
出所:iDeCo公式ページ 中小事業主掛金制度の概要より
前述したように対象となるのが掛金を追加で拠出できるのは個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコの加入者だけです。
そのため個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコの説明会を開くなどして加入者を増やしておかないとあまり意味がない一部の従業員だけの制度となってしまいますから注意が必要でしょうね。
まとめ
今回は「もうひとつの個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)。中小事業主納付制度(逆マッチング拠出)についてわかりやすく解説」と題して中小事業主納付制度についてみてきました。
従業員の福利厚生としてかなり導入しやすい制度ですから対象となる事業主の方は是非検討してみてくださいね。
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個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入するならこの5社から選ぼう
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を始めるならまずは金融機関を決める必要があります。
しかし、たくさんあってどこにしたらよいのかわからない方も多いでしょう。
簡単に決めてしまう方もおおいかもしれませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の場合、金融機関ごとの違いがとても大きいですから慎重に選びたいところです。
私が今もし、新たに加入するならSBI証券、マネックス証券、松井証券、大和証券、楽天証券の5択の中から決めます。
(※私が加入しているのはSBI証券です)
この5つの金融機関は運営管理機関手数料が無料です。※国民年金基金連合会の手数料等は各社共通で掛かります。
また、運用商品もインデックスファンドを中心に信託報酬が低い投資信託が充実しているんですよ。
順番に見ていきましょう。
SBI証券
まずイチオシはSBI証券「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」です。
SBI証券は信託報酬も最安値水準のeMAXIS Slimシリーズを始めとしたインデックスファンドから雪だるま全世界株式、ひふみ年金、NYダウ、グローバル中小株、ジェイリバイブといった特徴ある投資信託をたくさん揃えているところが最大の魅力です。
選択の楽しさがありますよね。
また、確定拠出年金を会社員に解禁される前から長年手掛けている老舗である安心感も大きいですね。
SBI証券は運営管理手数料が無条件で0円ですし、なにより運用商品が豊富で選択の幅が広いです。現状最強のラインナップを誇ることになります。
また、他の証券会社に先んじて確定拠出年金の取扱をはじめてますから安心感が強いですね。
マネックス証券
次点はマネックス証券 iDeCoです。
こちらも後発ながらかなりiDeCoに力をいれていますね。
iDeCo初でiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスを取扱い開始したのに興味をひかれる人も多いでしょう。
マネックス証券はeMAXIS Slimを多く取り扱っており、信託報酬がほとんど最安値水準でスキがありません。また、iDeCoでいち早くiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスの取り扱いをはじめたところも大きなポイントになりますね。
松井証券
松井証券のiDeCoは35本制限まで余裕があるというのは後発の強みですね。
その35本制限までの余裕を生かして他社で人気となっている対象投資信託を一気に採用して話題になっていますね。
こちらも有力候補の一つですね。
2020年10月18日から取り扱い商品が大幅拡充されました。
人気となっているeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)や楽天・全世界株式インデックス・ファンドなども採用され最強ラインナップといっても過言ではない充実ぶりですね。
大和証券
大和証券 iDeCoは大手証券会社でありながら、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)にもかなり力を入れています。
他のネット証券と違い店舗が全国各地にたくさんあります。そこに魅力を感じる方にはおすすめできますね。
また、取扱商品もダイワつみたてインデックスシリーズなど信託報酬が安めの商品を取り揃えています。
運営管理機関手数料が無条件で無料ですし、商品も充実したことで選択肢となりえる金融機関になりましたね。中国株、ロシア株、ブラジル株のファンドへ投資できるなど特徴的な商品があるのが他との差別化要因かな。あとはiFreeシリーズ、とくに米国株さえ入れば十分に他と競争できると思いますので期待したいところです。
楽天証券
楽天証券は楽天・全世界株式インデックス・ファンドや楽天・全米株式インデックス・ファンドといった自社の人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。
この2つのファンドは人気ですね。
楽天証券は楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド、楽天・S&P500インデックス・ファンド、楽天・全世界株式インデックス・ファンド、楽天・全米株式インデックス・ファンドといった楽天ブランドの人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。今後は楽天SPUの対象になったりしたらかなり面白い存在ですね。
総合して考えるとこの5つの金融機関に加入すれば大きな後悔はないかなと思います。
他の運営管理機関もぜひがんばってほしいところですが・・・
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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