「IPOは初値で売るのが鉄則」
IPO投資を始めると、必ずといっていいほど耳にするこのフレーズ。
確かに、2025年のIPO市場でも勝率88%(65社中57社が公募価格を上回る初値)という実績が示すように、初値売りは「負けにくい戦略」として知られています。
しかし、本当にそうなのでしょうか?
私自身、IPO投資歴は20年以上。
これまで多くの当選と、同じくらいの落選を経験してきました。
そして実際のデータを検証してみると、「初値売りが絶対正解」という常識は、必ずしも正しくないことがわかってきたのです。
この記事では、ブログで公表している2018年~2025年に私が実際に当選した銘柄のデータをもとに、「初値で売った場合」と「2025年12月末まで持ち続けた場合」を徹底比較します。
なぜ「初値売り」が常識とされてきたのか
まず、初値売りが推奨される背景を整理しておきましょう。
IPOは需給の関係上、上場直後に株価が跳ね上がりやすい特性があります。
公募価格より初値が高くなれば、その時点で売却すれば確実に利益が確定できます。
2025年のIPO市場データを見ても、その傾向は明確です。
2025年IPO市場の概況
- 上場企業数:65社(12年ぶりの低水準)
- 初値勝率:88%(57社が公募価格を上回る)
- 初値が公募価格の2倍以上:5社
- 初値が公募価格の3倍以上:1社
- 公募割れ:8社
倍以上と上がっている会社がいくつかあるんですよ。
一方で、2024年のデータからは興味深い事実も見えてきます。
2024年IPO市場の特徴
- 上場企業数:86社
- 初値勝率:74%(64社が公募価格を上回る)
- 公募割れ:22社
- 初値を上回って推移している銘柄:24社
- 初値を下回っている銘柄:59社(約7割)
注目すべきは最後の数字です。
2024年に上場した銘柄のうち、約7割が「初値天井」となっているのです。
これは「初値で売っておけばよかった」という銘柄が大多数を占めることを意味します。
では、私自身の当選銘柄ではどうだったのでしょうか。
2018年~2025年の当選銘柄で徹底検証
実際に私が当選した銘柄について、「初値売り」と「2025年12月末まで保有」のケースを比較してみます。
2018年当選銘柄(3銘柄)
| 銘柄名 | 公募価格 | 初値 | 初値売り損益 | 2025年12月末株価 | 保有継続損益 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 共和コーポレーション | 2,200円 | 2,511円 | +31,100円 | 1,202円※ | -99,800円 | 初値売り○ |
| メルカリ | 3,000円 | 5,000円 | +200,000円 | 3,210円 | +21,000円 | 初値売り○ |
| スプリックス | 1,850円 | 2,587円 | +73,700円 | 1,355円 | -49,500円 | 初値売り○ |
※共和コーポレーションは2019年10月に1株→2株の株式分割を実施。2025年12月末株価1,202円は分割後の価格のため、初値と比較する場合は2,404円相当。
2018年当選銘柄の結果:3銘柄すべてが保有し続けたよりも初値売りが正解
2019年当選銘柄(4銘柄)
| 銘柄名 | 公募価格 | 初値 | 初値売り損益 | 2025年12月末株価 | 保有継続損益 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| スマレジ | 1,350円 | 3,225円 | +187,500円 | 3,185円 | +183,500円 | ほぼ同等 |
| フレアス | 2,530円 | 4,045円 | +151,500円 | 1,016円※ | -151,400円 | 初値売り○ |
| 新日本製薬 | 1,450円 | 1,664円 | +21,400円 | 2,027円 | +57,700円 | 保有○ |
| JMDC | 3,600円 | 3,910円 | +31,000円 | 4,010円※ | +82,000円 | 保有○ |
※フレアスは初値4,045円から大幅下落。JMDCは2020年10月に1株→2株の株式分割を実施しており、2025年12月末時点の4,010円は200株保有相当で計算。
2019年当選銘柄の結果:4銘柄中2銘柄で保有継続が有利
2020年当選銘柄(3銘柄)
| 銘柄名 | 公募価格 | 初値 | 初値売り損益 | 2025年12月末株価 | 保有継続損益 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| カーブスHD | 750円 | 670円 | -8,000円 | 800円※1 | +5,000円 | 保有○ |
| ココペリ | 1,600円 | 3,610円 | +201,000円 | 291円 | -130,900円 | 初値売り○ |
| ウェルスナビ | 1,150円 | 1,725円 | +57,500円 | 1,950円※2 | +80,000円 | 保有○ |
※1 カーブスHDは2024年3月にMBOにより上場廃止(買付価格800円で計算)
※2 ウェルスナビは2025年3月に三菱UFJによるTOBで上場廃止(買付価格1,950円で計算)
2020年当選銘柄の結果:カーブスは新型コロナ暴落時の公募割れ銘柄だったが、MBO価格で見れば保有継続が正解。ココペリは初値売りが圧倒的に正解、ウェルスナビもTOB価格で保有継続が有利という結果に
2021年当選銘柄(6銘柄)
| 銘柄名 | 公募価格 | 初値 | 初値売り損益 | 2025年12月末株価 | 保有継続損益 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| アクシージア | 1,450円 | 2,051円 | +60,100円 | 392円 | -105,800円 | 初値売り○ |
| ステラファーマー(200株) | 460円 | 712円 | +50,400円 | 203円 | -51,400円 | 初値売り○ |
| テスホールディングス | 1,700円 | 2,010円 | +31,000円 | 352円 | -134,800円 | 初値売り○ |
| HCSホールディングス | 1,800円 | 2,210円 | +41,000円 | 1,800円※ | 0 | 初値売り○ |
| Waqoo | 1,920円 | 2,362円 | +44,200円 | 1,377円 | -54,300円 | 初値売り○ |
| ラバブルマーケティングG | 1,260円 | 4,845円 | +358,500円 | 1,155円 | -10,500 | 初値売り○ |
※ HCSホールディングスは2023年8月末にTOB(買付価格1,800円で計算)
2021年当選銘柄の結果:すべての銘柄が初値売りが正解という結果に・・・
2022年当選銘柄(1銘柄)
| 銘柄名 | 公募価格 | 初値 | 初値売り損益 | 2025年12月末株価 | 保有継続損益 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 坪田ラボ | 470円 | 794円 | +32,400円 | 340円 | -13,000円 | 初値売り○ |
2022年当選銘柄の結果:こちらも初値売りが正解でしたね
2023年当選銘柄(3銘柄)
| 銘柄名 | 公募価格 | 初値 | 初値売り損益 | 2025年12月末株価 | 保有継続損益 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| プライム・ストラテジー200株 | 1,390円 | 3,130円 | +348,000円 | 1,155円 | -94,000円 | 初値売り○ |
| 住信SBIネット銀行300株 | 1,200円 | 1,222円 | +6,600円 | 4,900円※ | +1,110,000円 | 保有○ |
| くすりの窓口 | 1,700円 | 1,580円 | -12,000円 | 2,661円 | +96,100円 | 保有○ |
※ 住信SBIネット銀行は2025年7月末にTOB(買付価格4,900円で計算)
2023年当選銘柄の結果:住信SBIネット銀行は初値で売ってもほとんど利益がでませんでしたが、持ち続けたら100万円超えの利益となった結果となりました。くすりの窓口も初値は公募価格割れでしたが、挽回していますね。
2024年当選銘柄(4銘柄・東京メトロ2口座当選含む)
| 銘柄名 | 公募価格 | 初値 | 初値売り損益 | 2025年12月末株価 | 保有継続損益 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 東京メトロ(200株) | 1,200円 | 1,630円 | +86,000円 | 1,560円 | +72,000円 | 初値売り○ |
| 学びエイド | 970円 | 1,282円 | +31,200円 | 428円 | -54,200円 | 初値売り○ |
2024年当選銘柄の結果:東京メトロは初値売りがやや有利、学びエイドは大きく公募価格を割り込んだ株価となっています。
2025年当選銘柄(1銘柄)
| 銘柄名 | 公募価格 | 初値 | 初値売り損益 | 2025年12月末株価 | 保有継続損益 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| SBI新生銀行 | 1,450円 | 1,586円 | +13,600円 | 1,982円 | +53,200円 | 保有○ |
2025年当選銘柄の結果:SBI新生銀行は保有継続が有利
検証結果のまとめ
全体を通して見ると、以下の傾向が見えてきます。
初値売りが正解だったケース
- 話題性先行で初値が跳ね上がった銘柄
- 市場全体が過熱していた時期の銘柄(2021年コロナバブル期)
- 小型で投機的な値動きになりやすい銘柄
保有継続が正解だったケース
- 安定した事業基盤を持つ銘柄(住信SBIネット銀行、新日本製薬、SBI新生銀行)
- SaaS型ビジネスモデルで継続的な成長が見込める銘柄(JMDC)
- 割安な公募価格で上場した大型銘柄
20年の経験から導いた「私の戦略」
これらのデータと経験から、私なりの判断基準をお伝えします。
初値売りを選ぶケース
- 初値騰落率が100%を超えている(公募価格の2倍以上)
- 事業内容が「流行りのテーマ」に偏っている
- 時価総額が小さく、投機的な値動きになりやすい
- 自分自身がその企業の事業を深く理解していない
保有継続を検討するケース
- 「3年後も持っていたい」と思える銘柄
- ストック型ビジネス(SaaS、サブスクなど)
- 安定した収益基盤がある
- 配当方針が明確
私自身、かつてBASE(4477)の補欠当選を辞退したことがあります。
公募価格1,300円に対して初値は1,210円と公募割れスタートでしたが、その後9,000円台まで上昇しました。(現在は低迷していますが・・)
「公募割れだから」と辞退した判断は、結果的に大きな機会損失となりました。
逆に、ニューラルポケットのように初値5,100円から400円台まで下落した銘柄もあります。
要するに、「初値売りが絶対正解」という思考停止こそが、最大のリスクなのです。
まとめ:IPO投資で大切な3つのこと
- 「初値売りが正解」という常識を疑う データが示す通り、銘柄によっては保有継続が正解のケースも多い
- 売却ルールを事前に決めておく 「初値売り」「◯%上昇で売却」「◯年保有」など、感情に左右されないルールを
- その企業を理解する努力を惜しまない 「当選したから買う」ではなく、「持ち続けたいか」を考える
IPO投資は、当選すれば高確率で利益が出る「ローリスク・ミドルリターン」の投資手法です。
しかし、思考停止で初値売りを続けていては、本当の大きな利益を逃してしまう可能性があります。
ぜひ、この記事のデータを参考に、ご自身の投資スタイルを見直してみてください。
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地道に貯めていけばいつかポイントで当選できます。

