海外転勤や海外留学で外国に居住することになる場合、NISA(旧つみたてNISAも)はどうなるのでしょう?
今回は海外転勤や海外留学のある方がNISAを始める前に知っておきたいことを見ていきます。
海外在住の場合、NISAの扱いはどうなる?
NISAの加入条件は以下の通りとなっています。
これら制度は非課税制度なのもあり、日本に住んでいることが大前提なんですよ。
そのため、海外に住むことになる場合には基本的に加入対象外となってしまうのです。
逆に言えば住む国にある非課税制度に加入できるケースもあるんですけどね。
非居住者となるとNISAは廃止
海外転勤や海外留学で非居住者(日本に住んでいない人)という扱いとなるとNISAやつみたてNISA口座を開設しておくことができなくなります。
つまり、NISAやつみたてNISAは使えなくなりますので一般口座へ払い出しをする必要があるのです。
なお、非居住者と判定されるのは以下の条件となります。
- 1年以上にわたる日本以外での居住、または居住予定がある。
- 期間の定めのない海外転勤、海外留学。
しかし、2019年4月から少しこのあたりの話が緩和されています。一定の条件の元では利用が可能となりました。
5年以内の海外転出の場合は継続利用も可能に
2019年4月からは5年以内の海外転勤や海外留学などの場合には手続きを踏んでおくと継続利用が可能となりました。
ただし、海外に住んでいる間の新規買付は不可です。つみたてNISAの場合は積立ができなくなります。
口座が維持できてそのまま今まで買った投資信託などがNISAやつみたてNISA口座で保有し続けられるというだけではありますが・・・
それでも非課税制度ですからうまく利用すればお得ですね。
継続保有するには手続きが必要
継続保有するには予め手続きを踏んでおく必要があります。
NISA口座において、出国後も引き続き非課税の適用を受ける場合は、 その出国する日の前日までに「(非課税口座)継続適用届出書」をNI SA口座を開設している証券会社などに提出しなければなりません。ま た、帰国後に引き続きNISA口座で非課税の適用を受けることを希望 する場合には、NISA口座を開設している証券会社などに「(非課税 口座)帰国届出書」を提出しなければなりません。
出典:日本証券業協会 つみたてNISAに関するQ&Aより
つまり、NISA口座やつみたてNISA口座を海外転勤時にそのまま利用するためには出国する前日までにNISA、つみたてNISAを利用している証券会社等に「(非課税口座)継続適用届出書」を提出が必要です。
また、帰国後にNISA、つみたてNISAをそのまま利用したい場合は「(非課税口座)帰国届出書」を提出しなければなりません。
帰国後に上記の手続きを踏むことで新規買付も可能となります。
5年経ってしまったら
5年以内の予定で海外勤務や留学をしていたけど長引いて5年を超えてしまうとどうなるのでしょう?
非課税の適用を受けられる期間は、「(非課税口座)継続適用届出書」を提出した日から5年を経過する日の属する年の 12 月 31 日までの期間です。もし、この期間が終了するまでに「(非課税口座)帰国届出 書」を提出しなかった場合は、NISA口座は廃止され、NISA口座 にお預けになっている上場株式や株式投資信託等は一般口座へ移管されます。
出典:日本証券業協会 NISAに関するQ&Aより
継続適用届出書を提出した日から5年を経過する日の属する年の 12 月 31 日までの期間は利用が可能ですが、それを超える場合にはNISA口座、つみたて口座で保有している投資信託や株は一般口座へ払い出されてしまいます。
つまり、課税扱いとなるってことですね。
例えば2024年5月30日に継続適用届出書を提出した場合は2029年12月末まで利用が可能ってことですね。
海外在住中に非課税期間が終わったら
また、当然ながら海外在住中に非課税期間が終わったら一般口座に払出しとなります。
このあたりは日本でNISA、つみたてNISAを利用している場合と同じですね。
海外に行っている間はカウントされないというわけではありません。
参考:特定口座の扱い
今回ご紹介した中に一般口座への払い出しという話が何回もでてきました。
特定口座じゃないの?という疑問に思った方も多いでしょう。
実は、海外在住中は特定口座も制限があるのです。
出国中、特定口座での保有商品は一時的に一般口座に振替えられ、特定口座は廃止されます。
また、帰国後にお電話いただき所定のお手続きをすることで、特定口座へお戻しすることができます。出典:楽天証券 海外出国のお手続き
海外へ出国中は特定口座は廃止され使えないんですよ。
一般口座になってしまうのです。
特定口座と一般口座の違いは下記記事を御覧ください。
一般口座は自分でその年1年間の譲渡損益・譲渡所得等の金額の計算や確定申告などの手続きが必要となりますのでちょっと面倒ではあります。
まとめ
今回は「海外転勤や留学予定のある人がNISAを始める前に知っておきたいこと」と題して海外勤務や海外留学した場合のNISA、つみたてNISAについてみてきました。
まとめると以下の通り。
- 海外勤務となれば基本的につみたてNISA、NISAは利用不可で廃止
- 5年以内の転出なら継続利用も可能だが、新規買付は不可
かなり制限が加えられる形ですね。
すでにつみたてNISA、NISAをやっている方が海外勤務や海外留学が決まったら継続保有するのか、一旦精算するのかが悩みところかもしれませんね。
海外転勤の可能性がある方はこのあたりのデメリットを把握した上で検討してみるとよいでしょう。
60歳まで引き出せないiDeCoと違ってそこまで大きなデメリットではないかと思いますが・・・
なお、iDeCoの海外在住時の扱いは以下の記事を御覧ください。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。