買い時はいつ?住宅ローン減税の特例の期限が迫り、不動産屋が必死になっている

消費税が8%から10%に増税される際に導入された住宅ローン控除の特例の期限が迫ってきました。

そのためなのか、最近の不動産広告がすごいんですよ。

うちに届くフリーペーパーのページの半分くらいが住宅関連で占められているという異常事態(平常時はほとんど飲食店と美容室)

そこで住宅ローン減税の特例の期限が迫った現在の住宅の買い時について今回は考えてみたいと思います。

住宅ローン減税の特例の概要

まずは今回の話の前提となる住宅ローン減税の特例について簡単に解説しておきましょう。

住宅ローン減税(控除)は住宅ローンを借入れて住宅を取得する場合に、取得者の金利負担の軽減を図るための制度です。

それが現在は特例でさらにお得になっているのです。

通常の住宅ローン減税

まずは通常の住宅ローン減税の仕組みから見ていきます。

住宅ローン減税の適用を受けると

10年間、毎年年末時点の住宅ローン残高又は住宅の取得対価のうちいずれか少ない方の金額の1%がに当たる金額を税金額から控除できます。

住宅ローンの金額は大きいですから1%でもかなり多くの節税となるのです。
住宅ローン減税イメージ

出典:国土交通省 住宅ローン減税制度の概要 より

住宅ローン減税の特例措置

前述のように住宅ローン減税が受けられるのは10年間です。

しかし、2019年10月に消費税が8%から10%に増税される際に住宅需要が大きく落ち込まないように時限付きで13年間控除が受けられる特例が導入されています。

つまり、3年余分に住宅ローン減税を受けられるんですね。

住宅ローン減税の効果は大きいですから3年でも大きな差となります。

ちなみに3年間余分に控除が受けられると消費税増税の2%分くらいの金額となる計算となっています。

つまり、消費税は増税されていますが、消費税増税の分の控除を増やしてくれているのがこの特例措置なのです。

特例措置の期限が2021年9月もしくは11月契約

もともとの期限は新築は令和2年9月、それ以外は令和2年11月末までに契約した方まででしたが、新型コロナウィルスの影響もあり、新築(注文住宅)の場合は令和2年10月から令和3年9月末まで、それ以外の場合は令和2年12月から令和3年11月末までに契約した場合は令和4年末までに入居した方も特例の対象となっています。

ちょっとわかりにくいので表にまとめると以下の通りとなります。

※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。

契約入居
注文住宅の新築の場合令和2年10月1日から令和3年9月30日まで令和3年1月1日から令和4年12月31日
分譲住宅の取得等の場合令和2年12月1日から令和3年11月30日まで令和3年1月1日から令和4年12月31日

つまり、注文住宅の新築の場合は2021(令和3年)9月30日まで、分譲住宅の取得の場合、2021年(令和3年)11月30日までに契約をして入居を2022年(令和4年)12月31日までに終えれば13年間控除できるのです。

つまり、3年長く控除を受けたいならこの期間中に契約して入居する必要があるのです。

逆に言えばこの特例期間までは不動産屋としても買っていただきやすい状況ですから必死に広告を出しているのです。

住宅ローン控除の特例について詳しくはこちらの記事を御覧ください。




住宅の買い時はいつなのか?

前述のように9月(注文住宅)もしくは11月(分譲住宅)までに契約すれば3年控除が余分に受けられるというかなり好条件となっていますので駆け込みで活況を呈しているようです。

しかし、データをみているとそうでもない部分も見えてきます。

住宅着工は増加傾向

国土交通省が発表している建築着工統計調査報告最新版(令和3年5月)によると持ち家、分譲住宅とも増加しています。

住宅ローン減税の影響が大きいのでしょうね。

○持家は 22,887戸(前年同月比 16.2%増7か月連続の増加

◯分譲住宅は 21,426戸(前年同月比 8.4%増, 先月の減少から再びの増)

とくに中部圏が強い動きとなっているようです。

○首都圏 総戸数(前年同月比 14.0%増)

○中部圏 総戸数(前年同月比 21.8%増

○近畿圏 総戸数(前年同月比 1.3%増)

○その他地域 総戸数(前年同月比 6.6%増)

今まであまり増加が見られなかった地方も増加傾向にあります。

これはテレワークが進展している影響も大きそうです。

ただし、地方が生活費が安いというのは幻想かもしれませんが・・・詳しくは下記記事を御覧ください。

地区によっては供給過多?

前述のデータは着工件数です。

注文を受けて作ったものばかりではありません。見込みで作っているものも多く含まれてます。

では実際どれくらい売れているのでしょう?

首都圏新築マンション市場動向

出典:株式会社不動産経済研究所 首都圏新築便乗マンション市場動向2021年6月度

上記は株式会社不動産経済研究所が調査した首都圏の新築分譲マンションの市場動向6月版です。

地域によって異なりますが、契約率、平均価格が下落している地域があります。

対して供給戸数は千葉県以外増えています。

他の県のデータをみてもかなり地域差がでているのですね。

例えば神戸市、京都市、奈良県あたりはかなり契約率や平均価格が下がっています。

詳しい理由はこのデータだけではわかりませんが、供給が増えて契約率、平均単価が下がっているということは供給過多になっている可能性もそれなりありそうに見えます。

住みたい地区の需要と供給を確認しよう

前述のように住宅が供給過多になっている地区なら住宅ローン減税の特例が終わってしまう前に不動産屋も売り切りたいはずです。

ですから安く買える可能性がありそう

逆に住宅ローン減税の需要増に供給が追いついていない地区なら値引きも期待できませんし、早く申し込まないと売り切れてしまう可能性が高いです。

そのような地区の場合はあえて駆け込みで買う人が多い今を避けて住宅ローン減税の特例が終わってから交渉した方がトータルで得をする可能性もありそうです。

つまり、現在は地域によって住宅の供給と需要のバランスが崩れている状況に見えますから自分の住みたい地域のしっかり確認して買い時を探る必要があるということですね。

私の住んでいる地域は値引きが始まっている

ちなみに私が住んでいる地域は供給過多なのかかなり安い金額の広告が入っていたりしますね。

新築マンションなのに前入ってた広告よりもかなり安くなってない?なんてのもしばしば見かけます。

つまり、すでに値引きが始まっているのです。

それだけ住宅ローン減税の特例が終わる前に売り切りたいのでしょうね。

3年控除が増えるとどれだけ違うのか?

3年控除が増えるというのを漠然とお得だと考えている方も多いでしょうが、実際の金額で考えることも重要です。

実は値引きが多く引き出せれば3年控除を受けるよりもトータルでお得になる可能性は結構あるんですよ。

例えば下記は国土交通省のシュミレーションです。

住宅価格5,000万円、借り入れ4,250万円、固定金利2%、35年ローン、収入675万円の設定となっています。
住宅ローン減税シュミレーション

出典:国土交通省 住宅ローン減税制度の概要 より

この場合は13年間で456万円の節税効果があります。

10年間だと376万円でしたから3年増えることで80万控除される金額が増えているということですね。

逆に言えばこの80万円分以上安く買えるならわざわざ特例が受けるために慌てて買わなくても、特例期間が終わった後にじっくり探して買ったほうがお得ということになります。

80万円って大きそうですが、国土交通省のシュミレーションの住宅価格5,000万円だとすれば1.6%に過ぎませんので交渉次第では値引きができるレベルです。

むしろ売れなければ値引き交渉しなくてもそれ以上下がっているケースもよくあります。

消費税増税時でもそうでしたが、増税前の駆け込みで買うよりも増税後に値下げされた時に買ったほうが得のケースが多かったですが、同じことが住宅でも起こり得ると思われます。

今の時期の住宅購入はそのあたりを見定める必要がありますね。



まとめ

今回は「買い時はいつ?住宅ローン控除の特例の期限が迫り、不動産屋が必死になっている」と題して住宅の買い時について見てきました。

住宅ローン減税の特例という人参がぶら下がった状況が今です。

どうしてもこの期間に契約したほうがお得という認識になりがちですが、実際に増える控除額と現在の相場を考えて検討してみてください。

実は住宅ローン減税の特例が終わってからの方がお得なんて事もあり得るのが現在の不動産活況です。

冷静に判断してくださいね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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