テレワークが急激に進展したことで地方移住を考える人が増えていると言います。
実際に首都圏のアパートなどは空きが目立つようになり、逆に地方の駅チカの物件が埋まってきていて値段が上がっているという話を不動産屋から聞いています。
都会に住む方の中には田舎暮らしに憧れを持っている方も多いのでしょう。
たしかに地方移住にはいろいろなメリットがありますが、実は生活費の面では都会とそれほど変わらないというのをご存知でしたか?
今回は地方移住で生活費が安くなるのは幻想かもしれないという話を見ていきます。
実は地方でも最低生計費は東京とそれほど変わらないというデータ
出典:全労連オピニオン 2021年5月31日 より
現在、最低時給はその地区の生活費などを元に地区ごとに定められています。
しかし、実は全国それほど最低必要な生計費は変わらないのではないか?というデータが上記です。(全労連の調査)
なお、ちょっと分かりにくいですが上記データは必要な金額を男性が月150時間労働した場合に時給換算したものとなります。
現在の最低時給は全国平均で900円くらいですから全然足りていないということです。
東京は北区でデータを出していますので地区によってはもう少し高いだろうな・・て思わないでもないですが・・・
最低生計費順
各県のデータはちょっと分かりにくいので最低生計費順に並べてみます。
- 長野市:1,699円
- 水戸市:1,687円
- 東京都北区:1,664円
- 岡山市:1,657円
- 静岡市:1,644円
- 京都市:1,639円
- 新潟市:1,613円
- 那覇市:1,642円
- さいたま市:1,613円
- 山口市:1,612円
- 佐賀市:1,613円
- 鹿児島市:1,584円
- 盛岡市:1,524円
- 福岡市:1,517円
- 名古屋市:1,513円
- 札幌市:1,500円
- 長崎市:1,499円
- 福島:1,480円
- 仙台:1,474円
- 山形:1,469円
- 秋田市:1,446円
- 青森:1,441円
比較的東北地方が低めの最低生計費になっていますね。
確かに東北は飲食店などにいっても安い印象はありますが・・・
注目は東京よりも長野市や水戸市が高いところですね。
水戸市はなんとかくわかりますが、長野が意外・・・
なお、もっとも高い長野市と青森市の差は258円となっています。
150時間労働に換算すると月に38,700円生活費が違うということですね。
意外なところでは名古屋市がかなり低い水準です。
名古屋市は住民税を減税しているのも大きいのかもしれません。
最も高いのは長野市
最も最低生計費が高いのが意外なことに長野市です。
東京よりも最低生計費が高いんですよ。
出典:長野県労働組合連合会 長野県最低生計費試算調査2020
長野の場合は車がないと生活が厳しいですからどうしても車両が必要になります。
その車種で結構変わってくるんですね。
軽自動車でも25万4,812円が必要となります。
これは時給換算で1,699円。
普通自動車ならさらに高くなります。
なお、最低生計費の具体的なモデルは以下のとおり。
出典:長野県労働組合連合会 長野県最低生計費試算調査2020
- 住居費:40,625円
- 交通:通信費:29,359円
- 食費:41,323円
- 水道・光熱費:7,298円
- その他:64,508円
- 予備費:18,300円
- 非消費支出:53,399円(税金、社会保険など)
たしかに長野市の場合には住居費は40,625円とかなり安いです。
しかし、その分車の所有が必要で交通:通信費が29,359円と東京と比べてかなり高いんですよ。
車両代はもちろんガソリン代、自動車税、車検代、自動車保険など車に乗ると必要なお金が結構ありますからね・・・
そのため、東京よりも最低必要な生計費は高くなってしまっているのです。
預金やつみたてNISAやiDeCoなどで将来に備えた投資しようとしても予備費の部分しか余裕がありませんので掛けられる上限が18,300円ですね。
なかなか厳しい状況であるのは確かでしょう。
この数字は労働組合の算出で最低賃金を上げたいがために盛っているのかと思いましたが、具体的な数字をみてもおかしな水準ではない感じですね。
これは独身の話で子供がいればさらにお金は掛かるでしょう。
地方在住の若者でこの水準まで給料をもらえる方はそこまで多くないでしょうから少子化が進むのも当たり前なのかもしれません。
最低賃金は最低生計費と関係ない?
一方、最低賃金は地区ごとによって異なります。
佐賀県や沖縄県などが792円で最低金額。最も高いのは東京都で1,013円となっています。
221円の差があるんですよ。
長野県と青森県の最低生計費の差は258円でしたのでこの差は妥当といえば妥当かもしれません。
しかし、最低時給が最も低い佐賀市の最低生計費1,613円。那覇市は1,642円。最低時給の最も高い東京都(北区)の最低生計費は1,664円とそこまで差がないんですよ。
つまり、データだけを見れば東京の人と比べて佐賀市、那覇市の方の生活は厳しいのが想像できますね。
このデータはあくまで最低賃金ではありますが、地方移住で生活費が安くなるわけではないけど、給料は下がる可能性があると考えてもよいでしょう。
当然、最低賃金が低ければ全体の賃金が低くなる傾向にありますしね。
つまり、テレワークで東京の会社から給料をもらいながら地方で暮らすのならよいでしょうが、地方移住で転職や起業した場合には今の生活水準より落ちてしまう可能性もあるんですね。
まとめ
今回は「地方移住で生活費が安くなるのは幻想?最低生計費は全国どこでもそれほど変わらない件」と題して最低生計費についてみてきました。
首都圏の方が生活費が掛かると考えていた方も多いでしょうが、意外と地方でもそれほど変わらないというのがわかっていただけたと思います。
地方都市では人口流出が続いており、消滅してしまう都市がこれから多発するというデータもあり、国や地方の自治体では地方創生としてさまざまな移住を促す制度を実施しています。
補助金なんかもでている自治体も多いですね。
しかし、補助金があるからといって安易に地方へ移住して仕事が上手くいかず途方にくれてしまうって話にならないようにしっかり考える必要があるかもしれません。
テレワークで東京の会社に働きながら地方移住を考える方も実は意外とお金が掛かるということは知っておきたいですね。
お金の面以外の地方移住のメリット・デメリットはこちらの記事を御覧ください。
お知らせ:You Tubeはじめました。
You Tube「お金に生きるチャンネル」をはじめました。
You Tubeでも少しでも皆様のお役に立てる動画を定期的に発信していきますのでチャンネル登録をぜひよろしくお願いいたします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。