中国恒大集団にGPIF(年金運用機関)が投資していたことを非難している人へ・・・

最近経営難が露呈して話題の中国の不動産開発大手「中国恒大集団」に日本の年金を運用している機関であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が投資をしていたことで非難する声が上がっています。

しかし、これGPIFの仕組みを考えれば当たり前の話で、GPIFがおかしな運営をしていたわけじゃないんですよ。

GPIFは今まで大きな利益を出して貢献してくれているのに、切り取った期間や切り取った投資先で損失がでたらテレビや週刊誌が非難するなど大変ですよね・・・

今回は恒大集団にGPIF(日本の年金)が投資していたことはおかしな話じゃないし、問題ありませんという話を見ていきます。

なお、恒大集団の問題についてはこちらの記事で解説しております。

GPIFが恒大集団に投資をしたのは当たり前の話である

まずは今回の話を整理してみましょう。

GPIFの恒大集団への投資

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)によると、経営難が表面化している中国の不動産開発大手、中国恒大集団に対する投資額は、前年度末時点の時価評価で合計96億7301万円だった。

内訳は債券が59億0781万円、株式が37億6520万円。債券の中で最も金額が大きいのは24年4月償還債で、16億2668万円を保有していた。

出典:ロイター GPIF、中国恒大への投資額は96.73億円 より

GPIFの恒大集団への投資は前年度末で96億円7,301万円ということです。

内訳は債券59億0781万円、株37億6,520万円でした。

仮に中国恒大集団が倒産をしてしまえばこれら投資額が戻ってこない可能性が高く結構大きな話ですね。

この話だけ聞くとまた年金を溶かしやかがって・・・って人が現れますが、GPIFの投資手法を考えれば別に変な投資をしていたわけではないんですよ。

GPIFの投資先

GPIFの投資手法はかなり単純でわかりやすい物となっています。

GPIFのアセットアロケーション

具体的には以下のようなアセットアロケーション(資産配分)をしています。

GPIFアセットアロケーション2021年7月

出所:年金積立管理運用独立行政法人 2020年度業務概況書より

つまり、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式をそれぞれ25%ずつを基本としているのです。

分散することによってリスクを低減させているのです。

GPIFはバッシブ運用が中心

また、投資方法としては基本的にパッシブ運用が中心です。

バッシブ運用とはベンチマークに対してリスクを取ってより良いパフォーマンスを目指すのではなく、ベンチマークそのもののリターンの実現を目指す運用方法のことです。

例えば国内株式のベンチマークがTOPIXとするならTOPIXとと同じ成績になるように運用するのです。

どこの会社の株が上がるのか等を分析して投資をしたほうが成績が良さそうですが、それをするとかなりの労力が必要ですし、人もお金も掛かります。(アクティブ運用といいます)

しかし、その予想があたるかわからないので効率が悪いのです。

実際に過去のアクティブ型の投資信託とバッシブ型の投資信託を比較するととバッシブ型の投資信託の方が成績が良いというデータもあります。

手数料負担が大きいのでしょうね。

バッシブ運用ならベンチマークの動きを目指すだけなので手数料等のお金もかかりにくいんですよ。

そのため、GPIFではバッシブが中心で運用されています。

バッシブ運用なら業績が悪い企業が交じるのは仕方ない

ベンチマークとの連動を目指すバッシブ運用をしている以上、業績が悪い企業が含まれても仕方が無いのです。

そもそもそのベンチマークには業績が悪い企業が含まれていますからね。

今回、問題となった中国恒大集団は中国の不動産開発大手です。

外国債券、外国株式の中には当然中国も含まれてきますから中国の不動産開発大手である中国恒大集団も当然はいってきてしまうのです。

それは仕方ないことで、全体をみれば大した大きな問題では無いんですよ。

逆にこの時期に大きく上がる株も含まれているわけですしね。

GPIFの担当者は今回の件について以下のように回答されています。

広報担当の本多奈織氏は、足元の投資状況についてコメントを控えるとした上で、「分散投資の一環で、年金運用に大きな影響はない」と述べた

出典;ブルームバーグ GPIF、中国恒大に96.7億円投資 より

実際にGPIFの保有している株などをみてみてもほぼ時価総額どうりの順で買われているんですよ。

世界の経済成長を享受できる投資方法となっているのです。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

GPIFの運用益は100兆円を突破

また、96億円7,301万円の投資というとかなりの規模な気がすると思います。

しかし、GPIFの運用資産額は2021年第一四半期現在で191兆6,189億円です。

つまり、96億円7,301万円は金額だけみればすごいですが、全体の割合から考えればすごく些細な話なのです。

割合にしたら0.005%くらいしかないんですよ。

さらにGPIFは2021年第一四半期現在ですでに100兆円以上の運用益を稼いでいますしね。

金額が大きすぎてイメージが湧きにくいと思いますので家計レベルの話で考えてみましょう。

1,000万円の財産がある方なら500円無くしたと同じレベル

例えば1,000万円財産がある方で考えてみましょう。

1,000万円を今回の中国恒大集団の損失となりえる比率0.005%で計算すると500円です。

つまり、中国恒大集団の話は1,000万円の家計で考えれば500円損したかもしれない状況でグタグタいっているというレベルなんですよ。

マスコミは足を引っ張りたいのか四半期だけ切り取ってマイナスだと大きく騒いだり、今回のように一銘柄で大きく騒ぎますがこんなレベルの話なのです。。。

木だけをみて森で語っていないんですよね。わざとかもしれませんが・・・・



まとめ

今回は「中国恒大集団にGPIF(日本の年金運用)が投資していたことを非難している人へ・・・」と題して中国恒大集団に投資をしたGPIFを非難を辞めましょうという話をみてきました。

まとめると以下の通り

  • GPIFはバッシブ運用が中心だから業績が悪い企業も当然交じる
  • バッシブ運用の方が長い目でみると効率的
  • すでにGPIFは100兆円以上の運用益を上げており96億なんて微々たる話

どうしてもマスコミが偏った報道していますのでGPIFが変な運用をしてるんだ、年金を溶かしやがってみたいな風潮になっていますが、実際は木だけをみて森を見ていないだけで、ぜんぜん違う状況ということを知っておきましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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