2025年10月1日に雇用保険法が改正され、「教育訓練休暇給付金」が新設されます。
これは、雇用保険の被保険者が30日以上の無給の教育訓練休暇を取得した際に、失業給付(基本手当)と同水準の給付を受け取れる制度です。
実質的に“在職中でも失業手当と同額”のサポートが得られるため、長期の学び直し(リスキリング)を後押しする狙いがあります。
今回は教育訓練給付金について見ていきましょう。
教育訓練休暇給付金の概要
まずは教育訓練休暇給付金の概要か見ていきましょう。
まとめると以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
対象者 | ・雇用保険の一般被保険者(パートや有期契約でも可) ・休暇開始前2年間(一定条件下では最大4年間)にみなし被保険者期間が12カ月以上あること |
被保険者期間 | 通算5年以上の加入が必要 |
取得する休暇 | ① 労使協定・就業規則に定められた制度② 本人が自発的に申出し、事業主が承認③ 休暇期間が連続・分割を問わず30日以上 |
支給額 | 休暇中1日につき基本手当と同額(賃金日額×50〜80%程度) |
給付日数 | 被保険者期間に応じて90・120・150日 |
申請窓口 | ハローワーク(公共職業安定所) |
主な支給要件
ポイントとなるのは雇用保険の算定基礎期間が通算5年以上必要ってこと。
通算5年以上あればパートや有期契約の社員でも利用できます。
また、無給の30日以上の休暇が必要となります。
なお、休暇開始前の被保険者期間は、離職後に基本手当を受け取る際の「算定対象期間」から除外されます。
複数回は使いにくくしてあるって感じです。
給付の内容
利用中は休暇中1日につき基本手当と同額(賃金日額×50〜80%程度)が受給できます。
期間は被保険者期間に応じて90・120・150日
被保険者期間 | 給付日数 |
---|---|
5年以上10年未満の場合 | 90日 |
10年以上20年未満 | 120日 |
20年以上 | 150日 |
これは失業保険と同じなんですよ。
なお、前述したように会社からのその間の給料は無給となります。
有給休暇などを取得して両方からもらうのは不可です。
つまり、この間は会社からはお金が出ず、国からお金をもらって勉強する形ですね。
また、この期間にアルバイトなどの収入を得ることも禁止です。
勉強に専念をすることになります。
教育訓練給付金との違いをまとめて確認
似た制度に教育訓練給付金というものもあります。
違いを確認しておきましょう。
教育訓練休暇給付金 | 教育訓練給付金 | |
---|---|---|
主な目的 | 休暇中の生活費の補填 | 受講費用の補助 |
支給対象 | 雇用保険被保険者(在職) | 被保険者・離職者 |
支給額 | 基本手当相当額(賃金の50〜80%) | 費用の20〜80%(上限あり) |
支給日数/上限 | 90・120・150日 | 受講期間終了まで(費用上限あり) |
受給の形態 | 無給休暇の取得が前提 | 在職中・自己学習でも可 |
申請先 | ハローワーク | ハローワーク |
簡単に言えば休みを取ってガッツリ学び直したい人→教育訓練休暇給付金
仕事を続けながら夜間・通信で学びたい人→教育訓練給付金という棲み分けですね。
こんなケースで使える!具体例
それでは具体的にどのような学習をする場合に使えるのでしょう。
基本的に自己啓発的な内容だけでなく、キャリア形成に結びつくものが必要となります。
また、対象となる実施機関での教育訓練である必要があります。
事例で見てみましょう。
ケース①:ITエンジニアが大学院でAI研究
- 35歳/正社員/勤続11年
- 会社の「自己啓発支援休暇制度」を活用して半年(120日)休職
- 教育訓練休暇給付金 ≒ 月額約26万円 × 4か月 → 生活費をカバー
ケース②:介護職員が専門学校で介護福祉士養成
- 28歳/パート/勤続6年(雇用保険加入)
- 30日の休暇を分割で取得
- 仕事と併用し資格を取得
よくある質問(FAQ)
よくある質問も見ておきましょう。
休暇中副業してもよいの?
休暇中に労務提供を行うと「無給休暇」の要件を満たさず不支給となります。
副業は原則NGです。
勉強に専念しましょう。
複数回使える?
支給日数の上限(90・120・150日)を超えない範囲であれば、複数回の分割利用が可能です。
ただし、累計で上限を超えると追加支給はありません。
利用したあと会社を辞めても良いの?
「解雇予定者でない」というルールはありますが、御本人が自主的に辞めるのは規制されているわけではありません。
ただし、教育訓練休暇給付金を利用すると休暇開始前の被保険者期間は、離職後に基本手当を受け取る際の「算定対象期間」から除外されます。
そのため、失業保険がもらえなくなる可能性もありますのでご注意ください。
会社が休暇制度を設けていない場合は?
労使協定もしくは就業規則で新設しない限り利用できません。
制度整備を会社に提案し、導入支援策(助成金あり)を示すと交渉がスムーズです。
まとめ ― “学び直し”の追い風を逃さないために
今回は「教育訓練休暇給付金が2025年10月創設。“学び直し”支援策をやさしく解説」と題して教育訓練休暇給付金について見てみました。
教育訓練休暇給付金は「時間」と「生活費」双方を公的に支援する画期的な仕組みです。
・在職しながらフルタイムで学び直せる
・将来の賃金アップ・キャリア転換に直結
・企業側も人材開発の負担軽減
2025年10月の開始までに、会社に相談し、受講したい講座の選定を進めておくと、スムーズに利用できます。
「学びたいけど時間もお金も足りない…」と悩んでいた方は、この制度を活用してキャリアの可能性を広げましょう!

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