健康保険の上限が3万円引き上げへ。条件、影響のある人、ない人等を解説

健康保険の上限が3万円引き上げられるニュースが流れてツイッターなどで炎上していました。

しかし、これ影響のある人はそれほど多くはない話なんですよ。

今回は健康保険の上限が3万円引き上げされそうだというニュースの内容を解説していきます。

2022年から健康保険の上限が3万円引き上げへ

まずは今回のニュースソースから見ていきましょう。

新聞各社の報道

時事通信社では以下のように報道しています。

厚生労働省は22日、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)医療保険部会で、自営業者らが加入する国民健康保険の保険料について、年間の上限額を3万円引き上げ、現行の99万円から102万円に見直す案を示した。部会で大きな異論は出ず、同省は2022年度から実施する方針。

出典:時事通信社 国保料上限、3万円引き上げ 高所得者の負担増―厚労省

次は日経新聞

厚生労働省は22日、自営業者などが加入する国民健康保険を巡り、保険料上限を年99万円から102万円に3万円引き上げる案を示した。2022年度に実施する方針で、引き上げは2年ぶりとなる

出典:日本経済新聞 国保保険料、上限3万円引き上げ 来年度102万円に

また、NHKでは以下のとおりです。

自営業者などが加入する国民健康保険について、厚生労働省は、保険財政を改善するため、高所得者の年間の保険料の上限額を来年度から3万円引き上げて85万円にする案を社会保障審議会に示し、了承されました。

出典:NHK  国民健康保険 高所得者の保険料上限額 引き上げ案了承

NHKと時事通信社、日経新聞で金額が違うのがちょっと気になります。

日経新聞と時事通信社は102万と報じていますが、NHKは85万円です、

これは日経新聞と時事通信社は健康保険と介護保険の保険料を足した金額。

NHKは健康保険のみの金額を表記しているという違いです。

ちょっとわかりにくいですね笑

具体的な引き上げ内容(医療保険部会の資料より)

ちょっと各社の報道だけではわかりにくいので元のソースとなっている社会保障審議会の医療保険部会で出されている案を見てみましょう。

国民健康保険料引き上げ案2022年から

出典:厚生労働省 社会保障審議会 医療保険部会 国民健康保険の保険料(税)の 賦課(課税)限度額についてより

医療分(健康保険)が3万円(内訳:基礎賦課分2万円、後期高齢者支援金等賦課分1万円)、介護保険料が据え置きで合計102万円が上限になるってことですね。

反対意見もでなかったとのことで2022年から引き上げとなりそうです。

引き上げの対象者は国民健康保険加入者

ツイッターなどでも自分が影響を受けると思っている方が多かったようですが、実は対象となる方はあまり多くありません。

まず今回の引き上げの対象となるのは国民健康保険の加入者です。

国民健康保険とは自営業、フリーランスの方や社会保険に加入していない会社に勤める労働者、無職の方などが加入する健康保険です。

サラリーマンの方やその扶養の方が加入している健康保険は、会社により組合健保だったり協会けんぽ(全国健康保険協会)だったりしますがそれとはすこし扱いが違います。

国民健康保険は会社負担もなく、加入者に無職の方などが多数含まれている性質もありかなり高いんですよ。

それが今回さらに引き上げされるという・・・

健康保険の種類やその違いにについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

引き上げ対象者となるのは?

さらに引き上げ対象となるのは年収1,140万円以上(単身世帯、全国平均)の方となります。

下記の通り、国民健康保険全体で1.58%程度の方が対象となりそれほど多くはないんですよ。

国民健康保険料引き上げ対象割合

出典:厚生労働省 社会保障審議会 医療保険部会 国民健康保険の保険料(税)の 賦課(課税)限度額についてより

なぜ引き上げるのか?

それではなぜ今回引き上げられる事になったのでしょう?

今回の引き上げられる案として提案されているのは以下です。

◯国民健康保険において、相当の高所得の者であっても保険料の賦課限度額しか負担しない仕組みとなっていることを改めるため、保険料の賦課限度額を引き上げるべきである

医療給付費等の増加が見込まれる中で、限度額(合計額)の超過世帯割合が1.5%台となるよう、限度額(合 計額)を「3万円」引き上げることにより、中間所得層と高所得層の引上げ幅の公平を図ることとしてはどうか

出典:厚生労働省 社会保障審議会 医療保険部会 国民健康保険の保険料(税)の 賦課(課税)限度額についてより

簡単に言えば医療費が増えるし、国民健康保険の上限制度を見直そうぜってことですね。

この引き上げ圧倒的に条件を超過している方にはそれほどですが、ギリギリ超過してしまう人にとってはかなりの痛手です。

例えば今回の引き上げギリギリに該当する年収1,140万円の人なら102万円の健康保険です。

つまり、年収の9%近くが健康保険として持っていかれてしまうという・・・

さらに税金や年金などは別途ですからね・・・

年々その負担割合が増えているという・・・

インボイスも始まることですし、法人化したり、いろいろ工夫する人が増えそうな予感。。。




サラリーマンの健康保険も無関係ではない

今回報道されたのは自営業者などが対象の国民健康保険の話です。

ですからサラリーマンの方は直接関係ある話ではありません。

しかし、間接的にはそうとも言えない健康保険を取り巻く環境の厳しさなんですよ。

2025年問題+新型コロナでかなり厳しい健康保険組合

サラリーマンの方の多くが加入する健康保険組合は大企業もしくはそのグループ企業、業界団体などが共同して保険者となって設立された組合が母体となっています。

しかし、かなり厳しい状況にあるんですよ。

もともと2025年問題といって戦後のいわゆるベビーブームで生まれた世代(約800万人)が75歳の後期高齢者に達するという少子高齢化で、人材派遣健保組合(人材派遣の健康保険組合)や日生協健保組合(生協の健康保険組合)が解散するなど厳しい環境にあった健康保険組合。

そこに新型コロナの蔓延による影響でさらに厳しくなったところが多いのです。

健康保険組合のシナリオ

出典:健康保険組合連合会 「新型コロナウイルス感染拡大による 健保組合の財政影響に関する調査報告」より

当然そうなれば保険料を上げざる得ないでしょうし、中には負担増に耐えかねて解散する健康保険組合が出てくる可能性もあるでしょう。

厚生年金も条件改定

ちなみに厚生年金も令和2年9月から上限が改定されていますね。

今後の2025年問題に向けて様々な負担が増えるケースが多くなってきそうなんですよ。



まとめ

今回は「健康保険の上限が3万円引き上げへ。条件、影響のある人、ない人等を解説」と題して健康保険の引き上げの話をみてきました。

少子高齢化の進展と新型コロナのばら撒きによる負担で今後こういう話が増えてきそうですね。

選挙では各党とも分配的な話ばかりしてますが、そもそも払う金額も増えているのでなんかちぐはぐだな。。としか思えないのですね・・・

税金、年金、健康保険は少子高齢化で全面的に見直す時期に来てると思うのですが・・・

ほんとばら撒きやめてほしいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

「シェア」、「いいね」、「フォロー」してくれるとうれしいです

健康保険の上限が 3万円引き上げへ。
最新情報をチェックしよう!