働き盛りの日本人は25年前と比べて貧乏に。高齢者はより裕福になったというデータを内閣府が公表

最近、日本人が貧乏になったとよく言われます。

先日もそれを感じる出来事がありました。

AppleがiPhone15を発表。最低価格12.5万円ほどという価格に対して日本では「高い」という意見が多くSNSなどネット上では荒れている方も見えましたね。

しかし、アメリカ人の方のSNSやレビューを見る限り逆に「安い」という意見を多く見かけました。

円安の影響で日本での価格は上がっていますが、アメリカでは価格が据え置きなんですよ。

また、アメリカでは所得が増えている一方、日本では増えていないということが大きく影響していそうです。

円安の影響もありますが、日本人が世界的に見ると貧乏になってしまっているとも言えるでしょう。

それを裏付けるようなデータが内閣府から出ております。

令和4年第2回経済財政諮問会議に提出されたデータです。

今回はこのデータを元に日本人、特に働き世代が貧乏になっているという話をみていきましょう。

所得の中央値は25年で178万円ダウン

まずは全世帯の所得分布をみてみましょう。

全世帯所得分布

出典:第2回会議資料:会議結果 令和4年 説明資料 我が国の所得・就業構造について(内閣府)より

1994年の所得の中央値は550万円(再分配前)、509万円(再分配後)でした。

それが2019年には中央値は372万円(再分配前)、374万円(再分配後)と再分配前で178万円もダウンしているのです。

中央値とはデータを小さい順に順番に並べたときに真ん中(中央)にくる値のことで、平均値よりも実情を表すと言われています。

つまり、このデータから言えるのは日本人の真ん中くらいの人の所得が25年で178万円も減っているということなのです。

統計資料の見方について詳しくはこちらの記事を御覧ください。

特に働き世代、子育て世代の所得が激減

世代別で見ると特に顕著なのは働き世代、子育て世代の所得です。

年代別の所得分布

出典:第2回会議資料:会議結果 令和4年 説明資料 我が国の所得・就業構造について(内閣府)より

  • 25歳〜34歳は1994年に470万円だった中央値が2019年には429万円と41万円減少
  • 35歳〜44歳は1994年に657万円だった中央値が2019年には565万円と92万円減少
  • 45歳〜54歳は1994年に826万円だった中央値が2019年には631万円と195万円減少
  • 55歳〜64歳は1994年に560万円だった中央値が2019年には532万円と28万円減少
  • 65歳〜は1994年に50万円だった中央値が2019年には38万円と12万円減少

見事に全世代の所得の中央値が減少しています。

特に減少幅が大きいのが45歳から54歳の層です。

子供が大学入学など一番お金がかかる時期だと思いますが、その層の所得が大きく減少しているのです。

このデータを見るだけで結婚する人が減って、少子化する理由もわかりますね。



所得の中央値が減っている理由

それでは所得はなぜ減っているのでしょう?

年代別に確認してみます。

25歳〜34歳:単身世帯が増え、非正規割合が増加

まず25歳〜34歳の世帯別の状況からみてみましょう。

全世帯では前述のとおり、所得の中央値は41万円減少しています。

25歳〜34歳所得分布世帯別

出典:第2回会議資料:会議結果 令和4年 説明資料 我が国の所得・就業構造について(内閣府)より

その内訳は興味深いものとなっています。

夫婦と子世帯は1994年に508万円だった中央値が2019年には540万円と32万円増加しているのです。

また、夫婦のみの世帯も1994年に555万円だった中央値が2019年には650万円と95万円増加しています。

共働きが当たり前になったことで世帯の所得を引き上げているのでしょう。

単身世帯の割合増加

それではなぜ25歳〜34歳の所得の中央値は減っているのでしょう?

これは単身世帯の割合増加が大きな要因となっています。

所得の中央値自体は1994年も2019年も380万円と同額ですが、1994年は40%だった単身世帯が、60%まで増加しているのです。

単身世帯の方が一人の所得ですから当然、所得の中央値も低いですからここが中央値を引き下げているのです。

非正規割合が増加

さらに内訳をみると非正規の割合が大きく上昇していることもわかりますね。

これも中央値を引き下げる要因となっていそうです。

25歳〜34歳非正規所得分布

出典:第2回会議資料:会議結果 令和4年 説明資料 我が国の所得・就業構造について(内閣府)より

35歳〜44歳:単身世帯が増え、非正規割合が増加

次に35歳から44歳のいわゆる就職氷河期世代をみてみましょう。

こちらは世帯別にみてもすべての中央値が下がっていますね。

35歳〜44歳所得分布世帯別

出典:第2回会議資料:会議結果 令和4年 説明資料 我が国の所得・就業構造について(内閣府)より

また、この世代も単身世帯の割合が大きく増えています。

1994年には16%でしたが、2019年には40%と大きく増えています。

さらに単身世帯の所得の中央値も98万円減っています。

就職氷河期だったのが大きく響いてそうです。

非正規割合が増加

また、就職氷河期だったことも大きいのでしょう。

非正規割合が大きく増えてこちらも所得の中央値を引き下げる要因となっています。

35歳〜44歳非正規割合

出典:第2回会議資料:会議結果 令和4年 説明資料 我が国の所得・就業構造について(内閣府)より

就職氷河期世代は賃金カーブも緩やか

また、就職氷河期世代は賃金カーブがかなり緩やかなことも大きく影響しています。

特に男性は顕著ですね。

就職氷河期世代の年齢階級別賃金

出典:第2回会議資料:会議結果 令和4年 説明資料 我が国の所得・就業構造について(内閣府)より

45歳〜54歳:低所得階級が増加し、高所得階級が低下

今回一番大きな中央値の所得減となった45歳〜54歳。

こちらも全パターンとも所得の中央値は下がっていますね。

45歳〜54歳所得分布世帯別

出典:第2回会議資料:会議結果 令和4年 説明資料 我が国の所得・就業構造について(内閣府)より

特に大きな理由は高所得階級が大幅に減って、逆に低所得階級が増えたことにあります。

世帯所得が1000万円〜が1994年には30%いましたが、2019年には20%くらいですからね。

大きく減った計算となります。

55歳〜64歳:低所得階級が増加し、高所得階級が低下

55歳〜64歳もほぼ45歳〜54歳と同じ傾向ですね。

高所得階級が大幅に減って、逆に低所得階級が増えています。

55歳〜64歳所得分布世帯別

出典:第2回会議資料:会議結果 令和4年 説明資料 我が国の所得・就業構造について(内閣府)より

格差社会とよく言われますが、このデータを見る限り、高所得階級が減って低所得階級が増えていますので日本人全体が貧しくなってきているとも見て取れます。



金融資産、純金融資産の推移

いままでみてきたように所得の中央値が大きく下がっています。

それにより日本人の金融資産にも影響がでています。

下記グラフは1994年と2019年の金融資産と金融負債を年代別に表したものとなります。(一世帯あたり)

金融資産と金融負債

出典:第2回会議資料:会議結果 令和4年 説明資料 我が国の所得・就業構造について(内閣府)より

働き世代の純金融資産は大きく減少

まず、「35~44歳」「45~54歳」の働き世代の金融負債が大きく増加していることがわかります。

金融負債とは簡単に言えば借金ですね。

借金が増えているのです。

それにより金融資産から金融負債を引いた純金融資産は

  • 〜34歳::1994年150万円だったのがマイナス86万円と236万円減少
  • 35~44歳:1994年268万円だったのがマイナス338万円と564万円減少
  • 45~54歳:1994年706万円だったのが399万円とこちらも307万円減少
  • 55~64歳:1994年1,364万円だったのが1,341万円と23万円減少

と各世代とも減少傾向ですね。

特に44歳までの世代がかなり厳しくなっています。

そもそも44歳までの方は住宅ローンの影響もあるのでしょうが、純金融資産の中央値が大きくマイナスなんですよ。

65歳以上の世帯は純金融資産は増加

対して65歳以上は

  • 65歳〜:1994年1,537万円だったのが1,582万円と45万円増加

と唯一増加しています。

最近も政府が選挙対策のためか高齢者優遇の分配を計画しているというニュースがありましたが、このデータを見る限りおかしな話です。



まとめ

今回は「働き盛りの日本人は25年前と比べて貧乏に。高齢者はより裕福になったというデータを内閣府が公表」と題して日本人の所得や金融資産が25年前と比べてどうなったのかをみてきました。

結構衝撃的なデータとなっています。

このまま高齢者優遇の政策を続けてよいのか、本当に考えてほしいところですね。

岸田政権が掲げる新しい資本主義が実現されればさらに日本人総貧乏化が加速しそうです・・・

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最後まで読んでいただきありがとうございました。
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