毎年のように募集されている補助金に「IT導入補助金」というものがあります。
名前の通り、ITの導入にお金が補助される仕組みのものです。
2022年版は今までと大きく違う点として、2023年10月開始のインボイスや2024年から対応しないといけない電子帳簿保存法の電子取引データの保存があることもあり、「デジタル化基盤導入枠」という特別枠が設けられているのです。
「デジタル化基盤導入枠」の最大の特徴はPCやタブレットの購入が対象となっていることです。
今まで多くの補助金では対象外とされてきた汎用品であるPCやタブレットが対象となるのはありがたいことですね。
今回はそんなIT導入補助金2022のデジタル化基盤導入枠を中心に解説していきます。
IT導入補助金2022とは
IT導入補助金は中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費を補助するものです。
日々のルーティン業務を効率化させるITツールや情報を一元管理するクラウドシステム等、汎用的なITツールの導入に活用できます。
IT補助金2022の補助金対象者
IT補助金の対象者は日本国に登録をされていて日本国内で事業を行う中小企業・小規模事業者等です。
具体的な中小企業の定義は以下の通り。
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業種 | 資本金(資本の額または出資の総額) | 従業員数(常勤) |
製造業、建設業、運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業 | 5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ソフトウェア業、情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 300人 |
ゴム製品製造業 | 3億円 | 900人 |
その他の業種 | 3億円 | 300人 |
医療法人、社会福祉法人 | ー | 300人 |
中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体 | ー | 上記の業種分類に基づき、その主たる業種に記載の従業員規模以下の者 |
特別の法律によって設立された組合又はその連合会 | ー | 上記の業種分類に基づき、その主たる業種に記載の従業員規模以下の者 |
財団法人(一般・公益)、社団法人(一般・公益) | ー | 上記の業種分類に基づき、その主たる業種に記載の従業員規模以下の者 |
特定非営利活動法人 | ー | 上記の業種分類に基づき、その主たる業種に記載の従業員規模以下の者 |
また、小規模事業者は以下の通りとなります。
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業種分類 | 従業員(常勤) |
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
また、他にも細かい条件がいくつかあります。
主なものはこちら。
- 交付申請時点において、日本国において登録されている個人または法人であり、日本国内で事業を行っていること。
- 交付申請の直近月において、申請者が営む事業場内最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上であること。
- gBizIDプライムを取得していること。
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」いずれかの宣言を行うこと。
- 補助事業を実施することによる労働生産性の伸び率の向上について、1年後の伸び率が3%以上、3年後の伸び率が9%以上及びこれらと同等以上の、数値目標を作成すること
IT補助金2022の補助対象経費
IT導入補助金2022の補助対象となるのは以下の経費です。
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)は上記に加えハードウェア購入費等
IT導入補助金2022の種類
かなりややこしいのですが、IT導入補助金2022は以下の3つの枠が用意されています。
- 通常枠(A類型)
- 通常枠(B類型)
- デジタル化基盤導入枠
それぞれもらえる補助金や対象となる経費が異なります。
通常枠
通常枠はIT導入支援事業者が登録するITツールを導入する事業であることが条件となり、以下の業務プロセスで“共P-01~汎 P-07“の内、4つ以上を担うソフトウェアを導入するケースで補助金額が150万円以上450万円以内なら通常枠(B類型)。
“共P-01~各業種P-06“から1つ以上の業務プロセスを担うソフトウェアで補助金額が30万円以上150万未満なら通常枠(A類型)となります。
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業務プロセス | 共通プロセス | 共P-01 | 顧客対応・販売支援 |
共P-02 | 決済・債権債務・資金回収管理 | ||
共P-03 | 調達・供給・在庫・物流 | ||
共P-04 | 会計・財務・経営 | ||
共P-05 | 総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス | ||
業種特化型プロセス | 各業種P-06 | 業種固有プロセス | |
汎用プロセス | 汎P-07 | 汎用・自動化・分析ツール (業種・業務が限定されないが生産性向上への寄与が認められる業務プロセスに付随しない専用のソフトウェア) |
デジタル化基盤導入枠
デジタル化基盤導入枠は補助事業者が会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフト、PC・タブレット等、レジ・券売機等を導入し、労働生産性を向上させるとともに、インボイス制度も見据えたデジタル化を進める事業を補助対象とするとされており、会計・受発注・決済・ECの機能を必ず1種類以上含んでいる必要があります。
PC・タブレット等のハードウェアも今回は対象となっていますが、それだけというのは対象外ですからお気をつけください。
IT補助金2022の補助金額
IT導入補助金2022の補助金の額、補助率等は以下のとおりです。
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A塁型 | B塁型 | デジタル化基盤導入類型 | ||
補助対象経費区分 | ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大1年分補助)・導入関連費等 | ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分補助)・導入関連費等 | ||
補助率 | 1/2以内 | 3/4以内 | 2/3以内 | |
上限額・下限額 | 30万円〜150万円未満 | 150万円〜450万円以下 | 5万円〜50万以下 | 50万超〜350万円 |
ちょっとややこしいですが、デジタル化基盤導入類型の場合は補助率が二段階になっています。
例えば100万円のソフトを入れたとすると50万円まで3/4。
50万円を超える部分2/3支給されます。
ですから約71万円の補助が受けられるってことですね。
100万円のソフトを実質29万円で導入できます。
デジタル化基盤導入類型のハードウェア購入費は以下のとおり
- PC・タブレット・プリンター・スキャナー及びそれらの複合機器:補助率1/2以内、補助上限額10万円
- レジ・券売機等:補助率1/2以内、補助上限額20万円
こちらは補助率が1/2となっていますので半分まで(上限あり)となります。
IT導入補助金2022のスケジュール
IT導入補助金2022のスケジュールは以下のとおりです
通常枠(A・B類型)
通常枠は以下の2回予定されています。
交付決定日:6月16日(木)17:00(予定)
事業実施期間:交付決定日以降~終了時期は後日案内予定
交付決定日:後日発表
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
デジタル化基盤導入枠は以下の4回予定されています。
交付決定日:5月27日(木)17:00(予定)
事業実施期間:交付決定日以降~終了時期は後日案内予定
交付決定日:6月16日(木)17:00(予定)
交付決定日:6月30日(木)17:00(予定)
交付決定日:後日発表
IT導入補助金2022の申請方法
IT導入補助金は基本的にIT導入支援事業者との間で商談を進め、交付申請の事業計画を策定します。
具体的には以下の流れでおこないます。
IT導入補助金2022の理解
まずは当たり前ですが、IT導入補助金の概要をしっかり理解してましょう。
特に公募要領にはかなり細かいですが、重要なことが書いてありますので熟読して補助事業について理解をします。
IT導入支援事業者の選定、ITツールの選択
次に補助金の交付申請を行う準備として、まずは自社の業種や事業規模、経営課題に沿って、IT導入支援事業者と導入したいITツールを選定します。
どんなソフトウェアが対象となっているのかはIT導入補助金2022のWEBページでご確認ください。
gBizIDプライムを取得
次のgBizIDプライムのアカウントを用意します。
取得方法等は下記記事でまとめていますが、gBizIDプライムアカウントID発行までの期間は、おおむね2週間となっています。
申請が殺到すると遅れるケースも多いですので、早めに取得しておくのをおすすめします。
SECURITY ACTIONの宣言
次は「SECURITY ACTION」の宣言です。
これは情報セキュリティ対策に取組むことを自己宣言する制度です。
宣言内容により「★」が異なりますが、「★一つ星」または「★★二つ星」が申請の条件となっています。
難しくはありませんが、早めにやっておくのが良いでしょう。
交付申請
IT導入支援事業者との間で商談を進め、交付申請の事業計画を策定します。
つまり、まずどこのIT導入支援事業者を利用するか決める必要があるってことですね。
その後の交付申請は、以下の流れで行います。
- IT導入支援事業者から『申請マイページ』の招待を受け、代表者氏名等の申請者基本情報を入力する。
- 交付申請に必要となる情報入力・書類添付を行う。
- IT導入支援事業者にて、導入するITツール情報、事業計画値を入力する。
- 『申請マイページ』上で入力内容の最終確認後、申請に対する宣誓を行い事務局へ提出する。
ITツールの発注・契約・支払い
交付申請を完了し、事務局から「交付決定」を受けた後に、ITツールの発注・契約・支払い等を行うことができます。
IT導入補助金の対象となるのは書類を提出して審査を経て「採択/交付決定」の通知を受けてからの購入分だけである点です。
先に買ってしまったり、契約していたりすると対象外となりますのでお気をつけください。
その後の流れ
その後は補助事業の完了後、実際にITツールの発注・契約、納品、支払い等を行ったことが分かる証憑を提出します。
事業実績報告が完了し、補助金額が確定すると、『申請マイページ』で補助額を確認できるようになります。その内容を確認した後に補助金が交付されます。
基本的にこの手の補助金は後払いですから資金繰りにはお気をつけください。
まとめ
今回は「PC、タブレット購入で10万円補助も。IT導入補助金2022のデジタル化基盤導入枠を解説」と題してIT導入補助金2022についてみてきました。
テレビ朝日社員が多額の不正をしていたことが判明してどうなることかと思われたIT導入補助金ですが、2022年も実施されることになりました。
特に2022年は今まで汎用品であるとして対象となっていなかったPCやタブレットが対象なのはありがたいところですね。
インボイスや電子帳簿保存法の対応が必要な方はこのチャンスでうまく対応したいところ。
お知らせ:You Tubeはじめました。
2022年3月26日からYou Tube「お金に生きるチャンネル」をはじめました。
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