総務省が2021年の家計調査報告を発表しました。
2人以上の世帯の平均貯蓄は前年比5%増加で1,880万円と3年連続の増加で過去最高を記録しています。
コロナ禍で外出が減って出費が減った分を貯め込んだ形ですね。
今回は2021年の家計調査報告を確認してみましょう。
平均貯蓄は3年連続増加で過去最高を記録
まずは貯蓄の現在高の推移(2人以上の世帯)からみていきましょう。
出典:総務省 2021年 家計調査報告
二人以上の世帯における2021年平均の1世帯当たり貯蓄現在高の平均値は、1880万円で、 前年に比べ89万円、5.0%の増加となり、3年連続の増加となるとともに、比較可能な2002年以降で最多となっています。
中央値も増加
統計を見るときは平均値よりも中央値を見るほうが現状の状況把握するのには適しています。
その中央値も1,104万円と前年と比較して43万円ほど増えていますね。
なお、2つの値の違いを簡単に説明すると以下の通り。
平均値とは
平均値とはデータの合計値をデータ数で割った値のことです。
小学校で習いましたよね。
この数字の問題は実態をうまく反映出来ないケースが多いことにあります。
例えばこんなケースが考えられます。
貯蓄1億円もっている人が1人
まったく貯蓄をもっていない人が9人いたとします。
この10名で平均すると貯蓄の平均値は1,000万円となります。
計算は間違えていませんが、なんだか実態を把握できているような感じはありませんよね。
今の日本は格差社会と言われますがこれと同じ現象が起きています。
しかし、テレビのニュースなど出てくるこの手の統計情報はたいてい平均値だったりしますからたちが悪いのです・・・。
中央値とは
対して中央値はデータを小さい順に順番に並べたときに真ん中(中央)にくる値のことです。
ですからこちらはちょうど真ん中くらいの人の状況を把握できるので実態がよく分かるのです。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
平均を引き上げているのは高齢者
ただし、平均を引き上げているのは高齢者なんですよ。
勤労者世帯(働いている世帯)の平均値は以下のとおりです。
全体の平均と比較するとかなり少ないですね。
つまり、高齢者が多く貯蓄をしているというのが現状なのです。
なのにコロナでも高齢者優遇の給付があったりとか謎なのが現在の日本なのです。
出典:総務省 2021年 家計調査報告
働き盛りの方は25年前と比較して貧乏になり、高齢者はより裕福になったということがわかる別の統計情報も出ていますね。
平均を下回る世帯が3分の2と二極化進む
出典:総務省 2021年 家計調査報告
世帯分布を見るとさらにそのあたりが浮き彫りになります。
3分の2の世帯が平均まで到達していないのです。
貯蓄100万円未満の世帯も10.5%あります。
対して4,000万円以上の世帯も12.8%と二極化が進んでいるんですよ。
株の比率も増えてはいるが・・・
出典:総務省 2021年 家計調査報告
構成比をみると上記の通り、通貨性預貯金や定期性預貯金の割合が大きいですね。
増加率をみると有価証券(株)も株高の影響もあってか前年と比較すると55万円ほど増えています。
勤労者世帯では生命保険が減る
出典:総務省 2021年 家計調査報告
同じ構成比でも勤労者世帯をみると少し様相が違います。
注目したいのは生命保険です。全体だと同額でしたが、勤労者世帯に限ると前年305万円だったのが、293万円と12万円下がっています。
全体に占める割合も22.1%から20.2%と減っています。
今まで生命保険を掛けすぎ方が多かったのですが、You Tubeやブログなどで情報が回るようになったことで、適正額まで減らした方が多かったのかもしれませんね。
高齢者世帯では株も増える
出典:総務省 2021年 家計調査報告
高齢者世帯では株の比率が増えていますね。
生活に余裕ができて株を始める方が増えたのかもしれませんし、株があがったのかもしれませんが。
負債の中央値は増加
出典:総務省 2021年 家計調査報告
逆に負債(借り入れ等)はどうでしょう。負債の平均値は567万円と前年よりも5万円ほど減少しています。
しかし、注目すべきは中央値。
1,233万円と統計データがある2012年から最高額となっています。
前述の貯蓄の中央値は1,104万円でしたから上回っているんですよ。
出典:総務省 2021年 家計調査報告
さらに勤労者世帯に限るとさらに多くなります。
住宅価格の高騰による住宅ローンの割合部分も大きそうですけどね。
50代未満が厳しい
出典:総務省 2021年 家計調査報告
ちなみに年齢別でみていくとかなり極端な差が出ています。
50歳以上の世帯は貯蓄額も多く、負債も少なくなっています。
純資産も多いですね。
しかし、50代未満の世帯は負債の方が多くなっており厳しい結果ですね。
純資産がマイナスということです。
これは住宅ローンの部分も大きいでしょうが・・・かなり極端な差となっています。
この状況をみれば年金だけ受給して住民税非課税となっている高齢者世帯より、現役世代の方が生活が厳しいというのは容易に予想ができます。
それなのに日本の支援の多くはなぜか、年金世帯が多い住民税非課税が対象なんですよね。
まとめ
今回は「1世帯の平均貯蓄は過去最高の1,880万円。コロナ禍で外出が減って貯め込んでいた」と題して家計調査報告のデータをみてきました。
コロナ禍もあり貯蓄が出費が減ったのか貯蓄が増えています。
現在、インフレが進行しはじめていますし、貯蓄から投資へがもう少し進展するとよいのですが。
一応岸田総理もロンドンでの講演ではそのあたりに力を入れると公言しましたので期待したいところです。
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