住宅ローンの固定金利がじわじわ上昇中なのに変動金利はなぜ最安値更新?違いを解説

YCCの修正などもあり、住宅ローンの固定金利がじわじわ上昇しています。

一方、変動金利は最安値を更新

この違いはどこにあるのでしょう?

言葉の意味だけを捉えると逆な気もする方も多いと思います。

今回は固定金利は上がっているのに、変動金利は最安値を更新しているかについて解説していきます。

固定金利と変動金利の比較

先に結論から言っておけば固定金利と変動金利は決まり方が違うためこのような状況となっているんですよ。

まずは固定金利の違い及び現状から比較。確認してみましょう。

固定金利と変動金利の違い

全期間固定金利型とは

出典:独立行政法人住宅金融支援機構 初めての方へ より

固定金利と変動金利は簡単に言えば、ずっと借入時の金利が変わらないのが固定金利

金融情勢で返済中でも金利が変化するのが変動金利

中にはその間のような「固定金利期間選択型」や固定金利と変動金利の「ミックス型」なんて商品もあります。

どれが得なのかは返し終わるまでの金利次第なんですよ。

日本では低金利時代が続いていますので、ここ10年くらいで考えると変動金利がかなり有利で固定金利は損となっていました。

しかし、現在続いている金融緩和の状況が変われば、金利が大きく動く可能性があります。

その際に固定金利だと安心なんですよね。

例えばアメリカなどではインフレ対策で政策金利を上げていますが、それにより住宅ローンの金利が6%まであがっています。

それで返済額が増えてしまいローンを払えず家を手放す方も増えているそう。

そういう金利の変動リスクを減らせるのが固定金利のメリットですね。

住宅ローンは金額が金額も大きいですし、期間も長いので少しの金利差で支払う金額が大きな差となるんですよ。

固定金利の利率推移

住宅ローンの固定金利でメジャーなものとして政府系金融機関の独立行政法人住宅金融支援機構が300以上の金融機関と提携して扱うフラット35があります。

フラット35の金利推移で固定金利の利率推移を確認してみましょう。

令和3年4月以降の金利推移は以下の通り。

フラット35金利令和3年以降

出典:独立行政法人住宅金融支援機構【フラット35】借入金利の推移

ちょっとわかりにくい資料ですが、同じフラット35でも金融機関により金利は異なるので上の紺色の点は金利の最高値、下のピンクの点は金利最低値を示しています。

特に最高値がかなり右肩あがり上昇していますね。

令和3年8月の時点では2.05%だったのが令和4年10月の時点では2.97%まで上がっています。

1年ちょっとで0.92%も上がっているのです。

最低値は令和3年8月の時点では1.28%だったのが、令和4年10月の時点では1.47%ですので伸びは0.2%程度に抑えられています。

フラット35について詳しくはこちらの記事を御覧ください。

それでも最安値水準ではある

上記のデータだけ見るとかなり上がっているように感じますが、長い目で見るとまだまだ低い水準なんですよ。

フラット35で金利が低く人気が高いのがARUHIの金利で確認してみましょう。

フラット35金利推移

出典:ARUHI 【フラット35】の金利推移

2008年ころは3%位あったものが、今は上がったとはいえ1%台ですからまだまだ長い目で見ると低い水準であることは間違いないですね。

多少仕組みも変わっていますので単純な比較はできない部分もありますが・・・

変動金利の推移

変動金利の推移は以下の通り。1990年頃には8%を超えていたんですよ。

それが2022年では2%台となっています。

変動金利推移

出典:独立行政法人住宅金融支援機構 民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)

2%台??固定金利より高いって思われた方も多いと思います。

これは基準金利。普通の商品で言えば定価ですね。

そこから各銀行が値引きのような感じで引き下げを行っています。

ですから金融機関によって変動金利の利率はかなり違うんですよ。

例えば現在金利比較サイトなどで確認できる最も変動金利が低い「auじぶん銀行」で確認してみましょう。

2022年10月適用金利は基準金利「2.341%」に対して「-1.952%」の当初期間引下幅があり、金利は「0.389%」となっています。

auじぶん銀行金利

出典:auじぶん銀行

上記のバーナーにあるようにauじぶん銀行史上変動金利として過去最低金利とのこと。

さらにauサービス(au回線、じぶんでんき)利用で最大で年0.1%引下げ「0.289%」となるとのこと。

auじぶん銀行だけでなく10月に最安値を更新した銀行が多いですね。

ちなみに住宅ローン控除が借り入れ残高に対して「0.7%」受けられますから、控除より金利が安い完全な逆ザヤな異常な状況となっています。



固定金利と変動金利は決まり方が違う

固定金利は上がり始めているのに、変動金利は史上最低金利を更新。

これはなぜなのでしょう?

簡単に言えば決まり方がぜんぜん違う事によるものです。

固定金利の決まり方

まず固定金利は「新発の10年国債の利回り」が基準となっています。

つまりこれから発売する国債の金利ですね。

現在、世界的な利上げラッシュで多くの国の国債の金利があがっています。

そんな状況ですから日本の国債の金利も上がってきているんですよ。

例えば昨年の10月の国債の金利は0.049%でした。

それが2022年10月では0.248%と0.199%も上がっています。

これが固定金利に影響してきているのです。

フラット35の場合

ちなみにフラット35の金利は住宅金融支援機構がフラット35利用者のローン債券を証券化した「機構債(RMBS・住宅ローン債券担保証券)」の金利※、住宅金融支援機構とフラット35を販売する金融機関の利益分の金利を上乗せて決定されています。

※機構債の金利は前述の新発10年もの国債利回りと機構債(RMBS)のローンチスプレッドで決定されます。

その機構債の金利がかなり上がっているんですよ。

今年に入ってからの推移は以下の通り。

※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。

2022年4月第180回機構債5月第181回機構債6月第182回機構債7月第183回機構債8月第184回機構債9月第185回機構債10月第186回機構債
表面金利0.50%0.50%0.50%0.53%0.50%0.58%0.74%

特に直近の10月第186回機構債で一気に上がっていますね。

今後のフラット35の金利がどうなるのかは注目です。

変動金利の決まり方

一方、変動金利は「短期プライムレート」で決定されます。(一部ネット銀行では連動すると謳っておらず、非連動の可能性もあり)

ちなみに短期とは1年以内、プライムは「最優遇」を示します。

つまり、金融機関が1年以内の短期貸付をする際の最優遇金利ってことですね。

なお、この「短期プライムレート」は日銀の政策金利に連動する形となっています。

つまり、変動金利は日銀の政策でどうなるかが決まるということです。

現在、世界的にも孤立状態で金融緩和を続けている日本ですので変動金利が低い水準が続いています。

そのため、住宅ローンの金利の低い水準で最安値を更新しているのです。(各社が競争している)

もし、その前提となっている金融緩和の方針が変わるようなことがあれば変動金利も上がってくるということです。

ただ、このあたりは政権、日銀の考え方次第の部分は大きいですから予想は難しいですね。

専門家でも意見が分かれるところです。

はじめは変動金利。金利が上がったら固定金利に変更は???

ちなみにハウスメーカーは契約時の返済金額が少なく見えることから変動金利を勧めるケースが多いです。

しかし、金利の変動を心配する方によく言われるセールストークが

はじめは変動金利で
金利が上がってきたら
固定金利に乗り換えればいいじゃない
というもの。
これを言う営業マンにあたったら、そこのハウスメーカーはやめたほうが良いかもしれません。
エレベーターが落ちたら墜落する前にジャンプすれば良い
っていう話と同じレベルです。
知識がないか、売ることしか考えていません
一般的に変動金利が上る前に固定金利が上がり始めます
今もその状況ですね。。。
ですから変動が上がった状況っていうタイミングなら、すでに固定金利はあがっているケースがほとんどなのですよ。
金利の予想をするのは専門家でも困難。
それを断定的に言う人は個人的には全く信じられないですね。
ですからそういうタイプのハウスメーカー(営業マン)はお断りしましたね。
ちなみにもう一つある営業トーク
はじめは変動金利で
金利が上がってきたら
繰り上げ返済しちゃえば良いじゃない
これはありです。
基本的に変動金利は金利があがっても返せる方が利用すべき仕組みなんですよ。
ですからある程度資金に余裕があるならこの作戦は大有りですね。




まとめ

今回は「住宅ローンの固定金利がじわじわ上昇中なのに変動金利はなぜ最安値更新?違いを解説」と題して住宅ローンの金利について見てきました。

住宅ローンの金利の変動がよいのか、固定がよいのかは意見がわかれるところです。

どちらを選ぶかで最終的な支払い金額がいくらになるのかも大きく違いますしね。

まずはどういう仕組みなのかをしっかり理解した上でご自身で判断できるようにしましょう。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。
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