楽天証券がやばいとツイッターで話題に。資産を引きあげた方がよいのか?

先日、楽天証券がツイッターのトレンドになっていました。

なんか大きなキャンペーンでも??と思ったら、どうやら楽天の決算が悪かったり、一部のETFの分配金の入金が遅いから楽天証券が危ないのでは?資産を引きあげたほうが良いのでは?というツイートをしている人が多かったようです。

楽天グループが改悪続きなのも大きいのでしょう。

これだけ話題になるってことは心配な方も多いと思いますので、今回は楽天証券が本当にやばいのか?資産を引きあげた方がよいのかについて考えて見ましょう。

楽天の決算はやばいの?

まずは事の発端の一つ、楽天の決算(2022年12月期 第3四半期決算短信)について見ておきましょう。

なお、楽天証券は今の時点では上場していません(予定はあるようですが)

経営成績

まずは経営成績(損益計算書)のデータから見てみましょう

たしかにかなり悪い数字が並んでいるんですよ笑

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売上収益1,364,708百万円
営業利益△287,093百万円
税引前利益△312,058百万円
親会社の所有者に帰属する四半期利益△258,090百万円
四半期包括利益合計額△103,697百万円

出所:楽天グループ株式会社「2022年12月期第3四半期決算短信」より

かなり大きな赤字となっています。

昨年同時期も赤字でしたが、それ以上に大きなものとなっています。

ただし、売上収益は前年より13.7%伸びていますね。

セグメント概況

理由は皆さんご存知でしょう。

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インターネットサービスフィンテックモバイル
セグメントに係る売上収益765,245百万円487,300百万円254,239百万円
セグメント損益58,402百万円74,388百万円△380,196百万円

出所:楽天グループ株式会社「2022年12月期第3四半期決算短信」より

これは一目瞭然ですね。モバイルが大きく足を引っ張っている形です。

楽天モバイルが大きく足を引っ張っている形です。

楽天モバイルだけで△380,196百万円となっています。

前年よりもさらに赤字幅が拡大しているという。。。

楽天経済圏で改悪が相次いでいるのはこの部分が大きいのでしょう。

ただし、大きな理由は減価償却費部分のようです。

減価償却費はすでに導入済みの設備などにかかるものが多く、資金面の話とは別のものとなります。

モ バイルにおける自社基地局設置等の先行投資が継続中のため、減価償却費等のネットワーク関連費用等が増加し、 セグメント損失は380,196百万円(前年同期は302,519百万円の損失)となりました。

出所:楽天グループ株式会社「2022年12月期第3四半期決算短信」より

楽天証券の経営成績

ちなみに楽天証券単独でも決算を発表しています。

2022年12月期 第3四半期決算は以下のとおりです。

営業収益70,741百万円
純営業収益67,059百万円
営業利益12,356百万円
経常利益11,932百万円
四半期純利益7,109百万円

出所:楽天証券「2022年12月期第3四半期のお知らせ」より

楽天証券だけを見ればかなり利益を出している状況ですね。

キャッシュフロー

次にキャッシュフローを見ていきます。

企業を運営していく上でキャシュフローがもっとも大事なんですよ。

極論から言えば万年大赤字でもお金さえ回れば倒産しません

営業キャッシュフロー

まず本業で上手くお金が回っているかを示す営業活動によるキャッシュフローから見てみましょう。

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2022年12月期第3四半期△447,417百万円
2021年12月期第3四半期417,784百万円
増減△865,201百万円

出所:楽天グループ株式会社「2022年12月期第3四半期決算短信」より

赤字幅が増えていることもあり、営業キャッシュフローも減っていますね。

とうとうマイナスに転じています。

営業キャッシュフローがマイナスというのは簡単に言えば本業でお金が出ていってしまっているという状況でかなり厳しいと言えます。

投資キャッシュフロー

次は投資活動によるキャッシュフローです。

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2022年12月期第3四半期△833,335百万円
2021年12月期第3四半期△430,058百万円
増減△403,277百万円

出所:楽天グループ株式会社「2022年12月期第3四半期決算短信」より

前年よりも投資活動によるキャッシュフローでも前年より大きくマイナス幅を広げています。

投資活動のキャッシュフローは将来への布石ですからマイナスは悪いことではないんですよ。

むしろ、ここがプラスの企業よりもマイナスの企業のほうが将来への投資をしているということですから今後に期待が持てるのです。

ただし、営業キャッシュフローがマイナスで投資キャッシュフローがこれだけ増えているというのはどう考えても身の丈には合っていない投資をしているとも言えます。

財務キャッシュフロー

次は財務活動によるキャッシュフローです。

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2022年12月期第3四半期1,417,872百万円
2021年12月期第3四半期819,302百万円
増減598,570百万円

出所:楽天グループ株式会社「2022年12月期第3四半期決算短信」より

財務活動によるキャッシュフローは前期比較でかなり増えています。

主な要因としては借入金を増やしたことですね。

フリーキャッシュフローはマイナス

今まで見てきたように楽天グループの現在のキャッシュフローは本業でお金が出ていってるのを、財務活動でお金を集めて補填し、さらに投資に回しているという状況です。

財務活動でお金が集められているので今の時点では良いのですが、投資活動によるキャッシュフローと営業活動によるキャッシュフローを合計したフリーキャッシュフローがマイナスとなっており、ちょっと身の丈にあっていないレベルで投資をしていることがわかります。

あまり健全な状況とは言えないですね。

つまり、本業で稼いだお金を原資として投資をしているわけではないのです。

当然、背伸びしてビジネスを回しているわけですからうまく行っているときには大きな成長となります。

しかし、なにか問題があれば大きなダメージを受けてしまいやすいのです。

楽天グループは今まで背伸びした投資をしていませんでしたが、楽天モバイルによってその原則が覆ってしまっている感があります。

現状はお金の調達が出来ていますので問題ありませんが、その供給が止まった時に大きな問題となってしまう可能性があります。

ちょっとその辺りが心配ですね。

ソフトバンクは昔から同様な傾向があるんですけどね・・・

ソフトバンクは身の丈にあってない投資を続け成功した例ですが、逆となったのが中国恒大集団ですね・・・




証券会社が倒産したらどうなるのか?

今まで見てきたように楽天の決算はたしかにあまり良いものではありません。

それでは楽天証券から資産を引きあげた方がよいのでしょうか?

まず、知っておきたいのは証券会社は資産を分別管理しているということです。

分別管理とは会社のお金と顧客のお金を区分して保管することで法令で義務付けられているんですよ。

少し前に暗号資産の取引所が分別管理していなくて倒産して問題になっていましたが、証券に関しては法令で守られているのです。

具体的には以下のような扱いとなります。

ですから倒産してもしばらく使えないなど制限はあるでしょうが、大きな問題ではないのです。

国内株式の分別管理

お客様の保有する国内株式は「証券保管振替機構」に預託しており(一部個別管理が必要なものは除きます)、弊社自身の保有する株式と区別して管理がなされています。お客様個々のお預かり分は、帳簿によって直ちに判別できるよう管理しています。

出典:楽天証券 分別管理について

つまり、なにかあっても問題はないってことですね。

投資信託の分別管理

お客様の保有する投資信託は「証券保管振替機構」に預託しており(一部個別管理が必要なものは除きます)、弊社自身の保有する投資信託受益証券と区別して管理がなされています。お客様個々のお預かり分は、帳簿によって直ちに判別できるよう管理しています。
また投資信託の仕組み上、販売会社(当社)、委託会社(運用会社)、受託会社(信託銀行)といった各機関が破綻したとしても、投資家が預けたお金は制度的に守られるようになっています。

出典:楽天証券 分別管理について

投資信託も同じです。

投資信託が運用している委託会社や受託会社が倒産しても同様ですね。

iDeCoはこちらの記事でまとめています。

外国株式、外国債券、外貨建てMMF等の外国証券の分別管理

お客様の持分を正確に管理した上で、国内及び海外の保管機関で混蔵して保管しています。お客様個々のお預かり分は、帳簿によって直ちに判別できるよう管理しています。

出典:楽天証券 分別管理について

外国株なども同様ですね。

楽天キャッシュはちょっと心配

ちなみ楽天キャッシュなどはちょっと心配な点もあります。

それは法律の対象が違い全額保全されていないんですよ。

電子マネーやスマホ決済の発行会社は、利用者がチャージしたお金を保全する措置として、利用者全員の未使用残高が1,000万円を超えると残高の2分の1以上の額を保証金として供託することが資金決済法で義務付けられています。

つまり、半分は保全されているのです。

ですからもし、その発行会社が倒産することになったとしても未使用残高の半分は保護されていると考えることができます。

逆に言えばそれ以外の部分は必ず保障されるわけではないということなのです。

詳しくはこちらの記事を御覧ください。




まとめ

今回は「楽天証券がやばいとツイッターで話題に。資産を引きあげた方がよいのか?。」と題して楽天証券の噂をきっかけに楽天グループの決算書を確認してみました。

結論としては

楽天の決算はたしかに悪いが
資金調達はできており
すぐどうにかなるレベルではない。
また、分別管理しているから
そこまで心配しなくてもよい

ってこと。

ただし、すぐにどうこうなるレベルではありませんが、楽天は身の丈にあっていない投資をしており、赤字幅が広がったあまり良い状況とは言えないので注視はしておきたいですね。

心配するなら全額保全されない楽天キャッシュの方かな・・・

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最後まで読んでいただきありがとうございました。
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